『冷酷なのは悪いことではないが、完全な冷酷さは危険だ』
しばしば失うものを何も持たない敵を作ることになるだけだからと、<東の帝国>のチャーリス皇帝。
広大な帝国を維持するのは、単純な話ではないのです。
カース国の特使ウルリッヒと若き書記官カラルは、和平交渉の使者としてヴァルデマールに赴くが、それは簡単な仕事ではなかった。
強大な侵略者に立ち向かうため共闘したものの、ヴァルデマールとカースはつい先頃まで戦いを繰り広げ、互いを魔物と同一視して忌み嫌っていた関係だったからだ……。
ヴァルデマールの新シリーズ、「ヴァルデマールの嵐」の第一部です。
最初の50頁ほどは人物と状況の紹介を兼ねてなのか、登場人物の回想と述懐が延々と続き、うんざりして読むのをやめようかと思ったところでひとこと、「ああ、ぼくは考えすぎだ」……って、その通りだよ!
そのあとはけっこうするすると読めたし面白くなりました。
「学究的な本にばかり没頭している若者は、人生について何も学ばない。そして人生について何も知らない若者は、普通の人々のことを理解できない」
カース国の魔法司祭ウルリッヒの言葉。
互いの文化も何も知らないまま憎みあっていた2国が和睦するとなると、並大抵の苦労ではありません。頭で解っていても、ついこの前まで悪魔だと信じていたような相手と対等の人間としてつき合って行かなくてはならないのですから。そして、こういう人と人、国と国が理解し合っていく話を書かせるとラッキーは面白いのですよ。
前の話も登場人物のほとんどを忘れていても、愉しく読めました。
【太陽神の司祭】【ヴァルデマールの嵐】【マーセデス・ラッキー】【末弥純】【創元推理文庫】
しばしば失うものを何も持たない敵を作ることになるだけだからと、<東の帝国>のチャーリス皇帝。
広大な帝国を維持するのは、単純な話ではないのです。
カース国の特使ウルリッヒと若き書記官カラルは、和平交渉の使者としてヴァルデマールに赴くが、それは簡単な仕事ではなかった。
強大な侵略者に立ち向かうため共闘したものの、ヴァルデマールとカースはつい先頃まで戦いを繰り広げ、互いを魔物と同一視して忌み嫌っていた関係だったからだ……。
ヴァルデマールの新シリーズ、「ヴァルデマールの嵐」の第一部です。
最初の50頁ほどは人物と状況の紹介を兼ねてなのか、登場人物の回想と述懐が延々と続き、うんざりして読むのをやめようかと思ったところでひとこと、「ああ、ぼくは考えすぎだ」……って、その通りだよ!
そのあとはけっこうするすると読めたし面白くなりました。
「学究的な本にばかり没頭している若者は、人生について何も学ばない。そして人生について何も知らない若者は、普通の人々のことを理解できない」
カース国の魔法司祭ウルリッヒの言葉。
互いの文化も何も知らないまま憎みあっていた2国が和睦するとなると、並大抵の苦労ではありません。頭で解っていても、ついこの前まで悪魔だと信じていたような相手と対等の人間としてつき合って行かなくてはならないのですから。そして、こういう人と人、国と国が理解し合っていく話を書かせるとラッキーは面白いのですよ。
前の話も登場人物のほとんどを忘れていても、愉しく読めました。
【太陽神の司祭】【ヴァルデマールの嵐】【マーセデス・ラッキー】【末弥純】【創元推理文庫】