
獣医学部志望を入試直前に断念。一浪して京都の大学に入り、途中休学してアジアを放浪したりNGO活動で東ティモールの選挙監視団に参加したりの果てに「ワナ猟」の猟師になった青年によるエッセイです。
幼少時の思い出から猟師の資格取得や免許の種類、食肉への考え方を綴ったかと思えば、獲物の解体やワナの仕掛け方について図解付きで解説したり。
著者のこれまでの人生をぎゅっと圧縮したような1冊でした。その分、焦点がまとまらない感じの部分もあるので一長一短。
豆狸や河太郎が本当にいると家族や近所の人に言い聞かされて育ち、やがて柳田國男を読んで……と何歳の人かと思ったら、出版時で33歳。あ、ぼくより若い……。
タヌキと同じく地方によっては「ムジナ」と呼ばれることもあるアナグマは意外に美味。焼き肉でも煮物でも美味しかったとのことで、昔話に出てくるムジナ汁というのはアナグマを使ったのだろうという話。別の本でタヌキを食べる話を読んだことがあったけれど、そのときは土に埋めたり何したり言い伝えやら何やらにしたがって工夫しても臭くてかなわなかったと書かれていた気がします。
しかし、野生動物は硬くて臭いというイメージがありますが、牛でも鶏でも年老いた肉は硬いし、血抜きなどの処理をきちんとすれば鹿でも猪でも臭いなんてことはないそうです。そういえば、以前友人からもらった鹿肉も美味しかった。
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