この作品を始めて読んだのは中学生のとき。
当時は友だちと登校するのに本を貸し借りしながらの読み歩きするのが習慣で、その光景は二宮金次郎の行進(今では通じないたとえかな)。小松左京・星新一・筒井康隆らをさんざん廻し読みした末に、回ってきたのがハインラインです。
戦争万歳な話かと思って読んでみたら、デュボア先生の講義に打ちのめされた厨坊の日……。
ジョニーは高校卒業と同時に地球連邦軍に志願した。
深い考えがあったわけではないし、軍役を勤めあげることでのみ得られる市民権が欲しかったわけでもなく、単なる友だち同士のノリにすぎない。そんな彼が唯一適性があると認められ、放り込まれた兵科は過酷な訓練で知られる「機動歩兵」だった。
かくしてジョニーはキャンプ・キューリーにて鬼軍曹ズイムの下で訓練に明け暮れる日々が続くことになるのだが……。
「故郷とは心のあるところだ」
タガログ語の諺。
第二次大戦後に刊行されたミリタリーSFの古典的作品で、「血を流して戦った者だけが、政治的に発言する資格がある」みたいに人間の義務と権利について正面から問いかけた問題作であり、あの時代としては珍しく白人以外がこっそり主人公になっている挑戦的な作品。日本ではスタジオぬえによるパワードスーツの魅力的なデザインが評判になっています。
ベトナム戦争後に出たホールドマンの『終わりなき戦い』の「戦争なんて恐くて退屈で、かといって国に帰っても今さら居場所がないしなあ」という虚無的な雰囲気と比較するのも面白いですね。
時に戦略装甲歩兵といったり倍力服といったり、いろいろな名前で呼ばれるけれど、要はそれを着用することにより、優れた移動力と装甲と火力が備わるというパワードスーツ。
わたしらの世代のグループでは、機動歩兵とかパワードスーツと聞くとすぐにデフォルトのひな形(ぬえ版)が脳裏をよぎりますが、これまた世間一般的には知られていないらしいようです。ゲームプレイヤー同士で話をしていて、最後までイメージが一致しませんでした。まあ、海外版からしてアートを見るとなんだか映画「地球が制止する日」の宇宙人のような、はっきりいって深海用潜水服みたいな野暮ったいデザインで泣けます。日本版がこんなデザインだったら、きっと<ガンダム>も<マドックス01>も<雷電>も誕生しなかったに違いありません。確かにスペックは同じでも、そこから受けるイメージは人それぞれですね。
ただパワードスーツといっても所詮は兵器。活かすも殺すも運用次第。同じくパワードスーツが登場するということでハリスンの『宇宙兵ブルース』を読んだら、パワードスーツが降下中に対空砲火で火だるまになっていて泣けました。(2007/08/22 改稿2012/08/06)
【宇宙の戦士】【ロバート・A・ハインライン】【加藤直之】【スタジオぬえ】【ハヤカワ文庫SF】【志願兵】【参政権】【機動歩兵】【士官学校】【ロジャー・ヤング】【ブエノスアイレス】
当時は友だちと登校するのに本を貸し借りしながらの読み歩きするのが習慣で、その光景は二宮金次郎の行進(今では通じないたとえかな)。小松左京・星新一・筒井康隆らをさんざん廻し読みした末に、回ってきたのがハインラインです。
戦争万歳な話かと思って読んでみたら、デュボア先生の講義に打ちのめされた厨坊の日……。
ジョニーは高校卒業と同時に地球連邦軍に志願した。
深い考えがあったわけではないし、軍役を勤めあげることでのみ得られる市民権が欲しかったわけでもなく、単なる友だち同士のノリにすぎない。そんな彼が唯一適性があると認められ、放り込まれた兵科は過酷な訓練で知られる「機動歩兵」だった。
かくしてジョニーはキャンプ・キューリーにて鬼軍曹ズイムの下で訓練に明け暮れる日々が続くことになるのだが……。
「故郷とは心のあるところだ」
タガログ語の諺。
第二次大戦後に刊行されたミリタリーSFの古典的作品で、「血を流して戦った者だけが、政治的に発言する資格がある」みたいに人間の義務と権利について正面から問いかけた問題作であり、あの時代としては珍しく白人以外がこっそり主人公になっている挑戦的な作品。日本ではスタジオぬえによるパワードスーツの魅力的なデザインが評判になっています。
ベトナム戦争後に出たホールドマンの『終わりなき戦い』の「戦争なんて恐くて退屈で、かといって国に帰っても今さら居場所がないしなあ」という虚無的な雰囲気と比較するのも面白いですね。
時に戦略装甲歩兵といったり倍力服といったり、いろいろな名前で呼ばれるけれど、要はそれを着用することにより、優れた移動力と装甲と火力が備わるというパワードスーツ。
わたしらの世代のグループでは、機動歩兵とかパワードスーツと聞くとすぐにデフォルトのひな形(ぬえ版)が脳裏をよぎりますが、これまた世間一般的には知られていないらしいようです。ゲームプレイヤー同士で話をしていて、最後までイメージが一致しませんでした。まあ、海外版からしてアートを見るとなんだか映画「地球が制止する日」の宇宙人のような、はっきりいって深海用潜水服みたいな野暮ったいデザインで泣けます。日本版がこんなデザインだったら、きっと<ガンダム>も<マドックス01>も<雷電>も誕生しなかったに違いありません。確かにスペックは同じでも、そこから受けるイメージは人それぞれですね。
ただパワードスーツといっても所詮は兵器。活かすも殺すも運用次第。同じくパワードスーツが登場するということでハリスンの『宇宙兵ブルース』を読んだら、パワードスーツが降下中に対空砲火で火だるまになっていて泣けました。(2007/08/22 改稿2012/08/06)
【宇宙の戦士】【ロバート・A・ハインライン】【加藤直之】【スタジオぬえ】【ハヤカワ文庫SF】【志願兵】【参政権】【機動歩兵】【士官学校】【ロジャー・ヤング】【ブエノスアイレス】