
「結局のところ、人間はすべてを守ることも、すべてを手に入れることもできないんですから、じゃあ欲しいものを手に入れられなかったとき、それをどういう風に受け入れるのかってことが大事ですよね」
すべてを見通すかのように上から目線で語る、忍野扇の言葉。
でも、その彼女の存在そのものの不自然さに気づく者は多くない。
暦の吸血鬼化がとまらなくなった。
別に中学生の妹と一緒に朝風呂に入ったせいではないと思うが、忍野忍の助言に従った暦は影縫余弦と連絡を取ろうとするが、そこに臥煙伊豆湖からのメールが入る……。
「なんでも訊いて。大好きな鬼いちゃんの質問は、訊かれなくても答えたいんだ」
距離感や関係がどうだったかほとんど覚えていないオノノキヨツギ。その感情がないのに感情を表現しようとする彼女の言動は悲しい。
面白いけれど長い。
本来なら化物語のように、1冊に2話とか3話とか入る本の1篇にふさわしい内容。三部作と言いつつ、それを1冊に収めても良いのではなかろうかと思わなくもない。
でも、その水増し部分こそが本分だという解釈もないわけじゃなくて、つまりはこんなハードカバーを発売直後に新刊で買ってすぐに読んでしまうくらいには好きということなんですが。
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