付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「この空のまもり」 芝村裕吏

2012-10-29 | VRMMO・ゲーム世界
「おまたせしました。そしてもう、待たせません。二度と」
 翼P復帰の第一声。まるで超人田島のようだ。

 専用メガネやiPhoneを介在させることで、現実と電脳空間を同時に認識できる強化現実……電脳コイルの時代が到来した。
 だが、日本は技術的にその波に乗り遅れて衰退してしまっただけではなく、法整備すら旧態依然で放置状態。どこもかしこも個人情報や誹謗中傷、広告を無秩序に書き込んだタグだらけ。
 電脳空間的にはゴミだらけになってしまった、そんな日本を守ろうと動き出したのは、ニートやオタクや物心がついたときには強化現実が存在していた小学生たちだった……。

 美しい日本を守るために電脳空間で戦うニートの物語。帯にあるとおりの「清く貧しく理性的な愛国活動と就活と婚活の物語」。
 ただ、「愛国」というとイコール「右翼」ってことになりがちで、作品中にもそういう理解をする人は登場するけれど、ここで「国」とか「日本人」とは何かというところを、物語の中でしっかり定義づけしているあたりが芝村節。あやふやなままで話を終わらせないのです。

「どんな人にも善意はある。ただまあ、それは小さく、勇気が足りないだけで」
 混乱する大久保の街で、三浦大輔が知ったこと。 

 さわやかに読み終わってしまったけれど、状況的にも、今後の展望も、決して明るくないというか、はっきり言って「悪い」のだけれど、そこに「希望」もあるのですね。
 そして無名世界観的には、あの人がどちら系かは非常に重要なポイント。確定していないということは、どちらの可能性も残っているということですから。

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コメント
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