付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「らくせん」 蕗野冬

2012-10-19 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
「どこで死んでもいいではないか。精一杯生きたのなら」
 武仙の正の言葉。

 暇を持て余して下界へ降りてきた仙人たちの恋物語。

 現代社会にあらわれた王子さまみたいな仙人たちが巻き起こす恋の物語。 2巻完結。
 女子高生から警視庁のキャリアまでいろいろな女性たちが登場し、彼女らに絡んでくる武仙たちの時代錯誤な言動がギャップの笑いであると同時に魅力。
 でも、普通に白泉社系とかでもありそうな話だなあと読み進めていて、最終エピソードでひっくり返り、やはり芝村作品であったかと納得。

【らくせん】【わが日本に王子系】【蕗野冬】【芝村裕吏】【電撃コミックス】【不器用で天邪鬼な女子たちに素敵な恋のご提案】【お母さんの若い頃は戦争があった】
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「冒険商人シャルダン」 羽田正

2012-10-19 | 伝記・ノンフィクション
 「冒険商人」という言葉の響きだとすごく格好良くて、メジャーどころではドラゴンクエストの『トルネコの大冒険』とか、マイナーなところでは中里融司の『冒険商人アムラフィ』とかあるわけですが、実態としては当然のことながらマルコ・ポーロの路線なんですね。
 現代で言うなら国際的ビジネスマンとか交易商とか商社マンなんだけれど、17世紀といえばパリからペルシアというと行くだけでも大冒険……という意味での冒険商人であって、決してシンドバットのように宝石の谷に迷い込んだりとか、怪物と戦ってということはありません。はい。

 ジャン・シャルダンはペルシアの王宮に入り込むことに成功し、宝石商いで大成功したが、新教徒であるシャルダンは新教への迫害が続くパリを脱出してロンドンに移住。爵位を得て東インド会社の株を持つことにも成功する。だが、期待の長男は才覚の片鱗を見せないまま放蕩にふけり、インドに残してきた弟夫婦とは取引のいざこざから疎遠になり……。

 商売については親子・兄弟でもケチといわれても仕方がないくらい細かく正確な一方で、フランスから逃れてきた新教徒の支援にはどかーんと寄付する豪快さを併せ持つ人物像が面白い。パトロンになってもらう分には良かったかもしれないけれど、部下とか取引先としたらきつかったろうなあ。
 肖像画が、額縁のおかげで自然史博物館に収蔵されているというのもポイント。

【冒険商人シャルダン】【羽田正】【アジア交易】【イギリス東インド会社】【ペルシア】【旅行記作家】
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