
吸血鬼化しての不死を勧める友人らの言葉を拒み、ボウルガードはローマにて死期を迎えていた。だが、そんなボウルガードを英国諜報部のボンド中佐が訪れる。
おりしもローマの街はドラキュラ成婚に沸いていたのだが……。
第一次大戦が終わり、次は第二次大戦かという予想は見事に裏切られました。イタリアの太陽というか、退廃的な薫りに満ちあふれた作品。
“ドラキュラ成婚”で話は始まりますが、“ドラキュラ崩御”で話が終わります。人生の墓場から教会の裏手の墓場まで一直線ですか? わかりませんが、さすが伯爵。
同時に伯爵のライバルであり、闇内閣の幹部にまで上り詰めたことのあるボウルガードも105歳。伯爵も十分に生きましたが、ボウルガードも十二分。しかも、かつての婚約者やらなんやら、美しい吸血鬼たちがよってたかって枕元に集結していて果報者です。
ボウルガードの命数が尽きるから物語が終わるのか、物語が終わるから命数が尽きるのか? ネタ満載のシリーズもついに完結。
かなり分厚い本ばかりですが、するすると読めるのはそれぞれの作品に登場するアクの強いキャラクターたち(フー・マンチューやモリアーティ教授からジェームス・ボンドまで)の群像劇になっていたからで、それだけだとバラバラになってしまうストーリーをまとめていたのが、ボウルガードとジュヌヴィエーヴだったのです。
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