
遥か昔に地球に漂着した蜥蜴人とそれが生み出した計算機械が支配しているヴィクトリア朝の大英帝国を中心に繰り広げられる「ブックマン秘史」の3冊目。
吸血鬼ドラキュラがヘルシング教授を返り討ちにした時間線の
『ドラキュラ紀元』と似たようなアイデアですが、こちらの方が節操ないかな。『ドラキュラ紀元』に登場するのは、その時代のその場所にいても不思議はない実在および架空の人物の大集合でしたが、こちらは時代も場所もあまり気にしていないようです。前巻のミレディとダルタニャンとか、今回ならいきなりグレン・セント・メアリー村で『プリズナーNo.6』ネタを始めてしまうところとか。
グレイト・ゲームが大きく動き出したが、いまだその全貌を知るものは少ない。
英国諜報部を仕切っていたマイクロフト・ホームズが殺され、自らの死を予期していたマイクロフトによって「村」に引退していたスミスはスパイとして現役復帰させられる。
一方、マイクロフトが生前に指示していた諜報員ルーシー、謎の存在ブックマンの手先となったフーディーニらもそれぞれゲームの謎を追い始めていた。
「やつらを殺しなさい」
ルーシー・ウェステンラが部下に与える命令はそれだけだ……。
「紅茶を飲めるなら、人殺しだって辞さないな」
英国諜報部員、バーラインの言葉。
謎のトライポッドが街を蹂躙し、ロシュフォール伯爵はジキル&ハイドというよりハルクというかキングコングだし、結局はチャールズ・バベッジに帰結して赤い星に落ち着くと。ただ、借用キャラクターの扱いがぞんざいかなとは思いました。オリジナルへのリスペクトを感じられないチョイ役が多すぎます。
じっくりと腰を落ち着けて、1冊目から何度も読み返した方が良い本かもしれませんが、物語がある程度ミレディ中心に推移していた前巻に対し、複数の登場人物の視点が錯綜し、しかも死屍累々の展開なのでストーリーを追うのはなかなか難しいです。
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