付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「電波女と青春男(6)」 入間人間

2010-09-16 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「知った顔に頼まれて断れるのが子供。出来ないのが大人。つまるところ、アタシはもう大人」
 歌手・二条オワリの言葉。なんか別の話に出てそうな人です。どうなんだろ?

 行かないとは言ってみたものの、エリオはこっそり文化祭へと出かける。1年以上前に辞めた学校だけれど、がんばって出かけるのだ。空は飛べないけれど、歩けるし走れるのだ。
 ところが、文化祭ではエリオと同じような水色の髪をした人がちらほら……。

 愉しいドタバタ学園祭編。エリオ、がんばった! リュウシさん、イイコ! 前川さん、がんばって!……という話。いちばん気持ちが分かるのはミッキーみたいな気がしますが。 

【電波女と青春男】【入間人間】【ブリキ】【文化祭】【宇宙人】【運命の糸】【多摩湖さんと黄鶏くん】
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「小さな魔女と空飛ぶ狐」 南井大介

2010-09-15 | 架空戦記・仮想戦史
「我々が最高の偽善を為すために」

 ヴェストニア共和国が支援する共和国政府と王党派との内戦が続くサピアに、レヴェトリア皇国は義勇軍を派遣し、戦火はますます拡大していた。
 ある日、突如内地への帰還を命じられた皇国空軍のエースパイロット・クラウゼが送り込まれたのは、天才美少女アンナリーサの支配する軍事研究施設。そこでドクトル・アンナリーサは、技術的問題から開発が中断されていた兵器を次から次に完成させていくが、一方、共和国でも長らく狂気に落ちていた天才数学者が何十年かぶりにやる気を出していた。
 かくして、“小さな魔女”と“気狂い賢者”の戦いが始まり、サピアは新兵器の実験場と化していく……。

 大槍葦人のイラストに、このタイトル、「ワガママ魔女とヤサグレ狐が織りなす現代の御伽話」という帯のあおり文句にてっきりウィッチ・テイルかと思ったら、架空世界の現代空戦記でした。
 こういう本が売れると良いなあとは思うけれど、こういう話にこういうイラストを付けて送り出せるのが電撃文庫の強さかな。定番の売れ線を押さえつつ、アンテナを常に張り巡らせている感じのラインナップです……。

【小さな魔女と空飛ぶ狐】【南井大介】【大槍葦人】【夜間空戦】【メイド】【新型装甲】【二重弾頭】【レールガン】【ガンシップ】【無人航空機】【無差別テロ】【光ジャイロ】【溶けないチョコレート】【性病予防薬付きコンドーム】【凝視型赤外線センサー】
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「ドキュメント宇宙飛行士選抜試験」 大鐘良一&小原健右

2010-09-14 | エッセー・人文・科学
 以前、たまたまテレビを付けたら宇宙飛行士の選抜試験を取材したドキュメンタリを放映していて、なかなか面白く見ることができました。
 JAXAが日本人飛行士を選抜するものですから、宇宙飛行士といっても宇宙機を操縦したりするのではなくミッションスペシャリストの方です。日本は独自の宇宙計画を推進する気があるのかないのか、商業ベースで動かしたいのか科学調査や技術試験を進めたいのか、組織としての宇宙計画は迷走してますが、応募してくる候補者たちはさまざまな分野で最前線に立つスペシャリストたちの姿は素晴らしいものでした。
 そんな男女を閉鎖空間に押し込めて繰り広げられた最終試験の様子を、放映時の番組スタッフが書籍としてまとめたのが、このドキュメントです。
 やっていることの1つ1つは特別なものではないけれど、宇宙船内という極限の閉鎖環境で行動するメンバーを選ぶのですから、内容のポイントは人物評価。なにかをするときに、どう考え、どう行動し、他の者に対してどうアプローチしたのかと、試験期間中の言動をすべて監視されているのですからプレッシャーはたいへんなものと思われます。そんな経緯をあらためて追うことができたのは、とても良かったです。

【ドキュメント宇宙飛行士選抜試験】【大鐘良一】【小原健右】【折り鶴】
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「The MANZAI 6」 あさのあつこ

2010-09-13 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「人生は愛と恋とエロ」
 文芸部元部長の森口京美の言葉。

 高校受験も無事に終わり、秋本と瀬田も4月からは高校生。瀬田の意志はおいといて、漫才コンビのロミジュリは健在。ローカル人気も上々で、サポートチームを作ってこれからますます頑張ろうという祝宴の最中、秋本の前に高校の校長が姿を現した……。

 高校編もありそうな雰囲気ではあるけれど、中学生コンビの青春小説も6冊目にて完結。「中学生日記」みたいな話でしたねえ。エピソードも1巻1話くらいの内容でしたし、これで区切りというのも悪くないかも知れません。あれだけ最後でぐちゃぐちゃにして、ポンッと投げ出しておしまい……というのもなんだかなあと思いますが。
 というか、わがままで乱暴な人間を「あの人にも事情はあったから」と許さないといけないような状況が嫌いなのです。カンダタにもチャンスを与えようと思えるようになったらお釈迦さまレベルの聖人なわけですが、そんな聖人のわけがないじゃないですか。

【The MANZAI】【あさのあつこ】【漫才】【DVD】【末期治療】
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「太陽神の司祭(下)」 マーセデス・ラッキー

2010-09-12 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「悲しいのを恥ずかしく思うんじゃないぞ、若いの。こういうことは、おれたちみたいな者でも慣れることはない。涙を流すに値する相手には涙を流せばいい。泣くのを恥ずかしく思うな」
 ある兵士の言葉。

 正面から戦えば、ヴァルデマールとカースが他勢力と連携してさえ、侵攻してくる<東の帝国>を阻止することが困難なのは明白だった。それほど帝国の力は強大だった。
 だが、そこに魔法嵐が襲来する。すべての魔法を混乱させ、世界を改変していくような異変を伴う魔力の衝撃波だ。
 ヴァルデマールでは、その原因と対策を考えるため、魔法使いや<使者>たちが集結するが、帝国軍では別の仮説にたどり着いていた……。

 さまざまな国のさまざまな立場の民が1つの目的に向かって足並みを揃えていく話は好きです。書記官カラルが、状況の把握には論理と数学が必要と判断し,酒場へと急ぐあたりとか。魔法に立ち向かうのは、科学と論理なんだw
 また、侵略者である東の帝国が、これまでの敵のように単純に恐ろしくて残虐な敵でないところもミソです。内部の権力争いは熾烈だけれど、支配地においては徹底した法の適用による治安の維持とインフラ整備によって支配されるメリットを享受させ、帝国に取り込んでいくあたりが魔法を使うローマ帝国といった感じかな。

【太陽神の司祭】【ヴァルデマールの嵐】【マーセデス・ラッキー】【末弥純】
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「造物主の掟」 J・P・ホーガン

2010-09-11 | その他SF(スコシフシギとかも)
「馬鹿者をその愚かさから守ってやっても、彼らを賢くすることにはならないんだよ」
 カール・ザンペンドルフの言葉。

 2010年7月12日にアイルランドで亡くなった、ロンドン生まれのアメリカの作家、J・P・ホーガンの作品で、続編『造物主の選択』と合わせて「造物主(ライフメーカー)」シリーズとなっています。
 ホーガンは『星を継ぐもの』から始まるガニメアン・シリーズ、『未来の二つの顔』、『断絶への航海』あたりまで読めば十分だと思うし、読まなければ人生の損だと思いますが、さらに何か読みたいと思ったら『造物主の掟』か『プロテウス・オペレーション』だと人には勧める……、自分にとってはそんな位置づけの作品です。
 内容的には、遙か太古に土星の衛星に送り込まれた地球外文明の作業機械が、長い歳月の間に変異と淘汰を繰り返して「進化」してしまい、その結果として人格と意志を兼ね備えた機械文明を築いてしまうのだけれど、21世紀になって地球の調査団が接触し……というファーストコンタクト・テーマであり、機械による進化のシミュレーションであり、コン・ゲーム。
 主人公が科学者とか軍人ではなく、心霊術師ザンベンドルフと仲間たち……という設定がポイント。いかにもいかがわしい名前ですが、その通りのいかさま師。オカルトに懐疑的な科学者たちを手玉にとり、熱心な信者をちょろまかしてきた詐欺師チームが、2つの世界を手玉にとって奇跡を巻き起こせるかというか!?という話です。

【造物主の掟】【J・P・ホーガン】【詐欺】【十戒】【自己増殖機械】【宗教】【ファーストコンタクト】
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「太陽神の司祭(上)」 マーセデス・ラッキー

2010-09-10 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
『冷酷なのは悪いことではないが、完全な冷酷さは危険だ』
 しばしば失うものを何も持たない敵を作ることになるだけだからと、<東の帝国>のチャーリス皇帝。
 広大な帝国を維持するのは、単純な話ではないのです。

 カース国の特使ウルリッヒと若き書記官カラルは、和平交渉の使者としてヴァルデマールに赴くが、それは簡単な仕事ではなかった。
 強大な侵略者に立ち向かうため共闘したものの、ヴァルデマールとカースはつい先頃まで戦いを繰り広げ、互いを魔物と同一視して忌み嫌っていた関係だったからだ……。

 ヴァルデマールの新シリーズ、「ヴァルデマールの嵐」の第一部です。
 最初の50頁ほどは人物と状況の紹介を兼ねてなのか、登場人物の回想と述懐が延々と続き、うんざりして読むのをやめようかと思ったところでひとこと、「ああ、ぼくは考えすぎだ」……って、その通りだよ!
 そのあとはけっこうするすると読めたし面白くなりました。

「学究的な本にばかり没頭している若者は、人生について何も学ばない。そして人生について何も知らない若者は、普通の人々のことを理解できない」
 カース国の魔法司祭ウルリッヒの言葉。

 互いの文化も何も知らないまま憎みあっていた2国が和睦するとなると、並大抵の苦労ではありません。頭で解っていても、ついこの前まで悪魔だと信じていたような相手と対等の人間としてつき合って行かなくてはならないのですから。そして、こういう人と人、国と国が理解し合っていく話を書かせるとラッキーは面白いのですよ。
 前の話も登場人物のほとんどを忘れていても、愉しく読めました。

【太陽神の司祭】【ヴァルデマールの嵐】【マーセデス・ラッキー】【末弥純】【創元推理文庫】
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「アルテミス・ファウル 失われし島」 オーエン・コルファー

2010-09-09 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
 gooのブログ内サーチの形態が変わったら、まったく使えなくなりました。『アルテミス・ファウル』の前作は感想を書いたっけ?と検索かけても引っかからないのだもの。どういうこと? はっきり言ってgoogleサーチの方が使えます……。

「罪の意識をひきずるのは、精神的健康に悪い影響を与えるの」
 だから、謝罪をしたら自分の過ちにけりはついたのだとミネルバ・パラディーゾ嬢。

 さて、『ハリー・ポッター』最大の功績は、二匹目のドジョウを狙った、児童向けの海外ファンタジーの翻訳を一気に拡大させたことにあります。1冊2000円を超えるハードカバーがぞろぞろ翻訳され、かつ書店に並ぶだなんて、ハリポタ以前では考えられませんでした。良い世の中になりました。柳の下のドジョウばんざい!……って、最近、ドジョウ見ないね。グルメ番組の柳川鍋くらい。自分の子供の頃は、普通にどこにでもいたのにね。
 それはともかく、悪の天才少年アルテミス・ファウルの冒険譚の5冊目です。
 父親の遺した犯罪組織を引き継いだ天才少年アルテミスですが、死んだはずの父親とも再会し、一度は誘拐した妖精警察の捜査官とも和解し、ビジネスも次第に合法的な分野へとスライドさせています。かなり丸くなりました。やはり家族円満が大事です。
 そんなアルテミスが知的興奮を求めて手に付けた研究から、妖精界8番目の種族、異次元に隠れ住んでいたデーモン族の魔法が溶け始め、彼らの世界が人間世界に出現しかけていることに気づきます……というのが大ネタなのだけれど、メイン・ストーリーはライバル出現!ですね。
 アルテミスの行く先々に先回りし、彼以上に正確に計画を進めていく謎の少女ミネルバ……。

 これですよ! 悪の天才少年vs謎の天才少女!(「元・悪の」とか書きたいけれど、まだ非合法ビジネスから完全に手を引いちゃいないんだよね)
 この丁々発止の駆け引きが前半の見所。これにアルテミスの凄腕ボディガードのバトラー、元・妖精警察のホリー捜査官やらケンタウロスの天才技術者フォーリー、そしてドワーフで窃盗魔のマルチといったお馴染みの面々が加わって、次元移動とか時間移動やら妖精警察の官僚機構の腐敗っぷりたっぷりの物語を繰り広げていきます。
 夜更かしして一気に読了。個人的にはハリポタよりこっちの方が好き。構成の巧さとか、脇役の活かし方とか、キャラクターの成長とか、嗜好の波長が合うんですよね。

【アルテミス・ファウル】【失われし島】【オーエン・コルファー】【タイムトラベル】【ボーイ・ミーツ・ガール】【ガウディ】【台北101】【白鯨】【ゴーメンガースト】
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「僕と先輩のマジカル・ライフ」 はやみねかおる

2010-09-08 | 学園小説(ミステリ)
 正確には「僕と彼女と先輩のマジカル・ライフ」。
 幼馴染みの少女と共に大学に入学した快人が遭遇する奇々怪々な事件。でも本当に奇々怪々なのは、幼馴染みの霊能力者の春奈でもなければ、大学何年生だか自分でもわからない怪人・長宗我部慎太郎先輩でもない。カタブツここに極まれりの快人がいちばん奇々怪々です。こいつがいちばんわからんなー。

【僕と先輩のマジカル・ライフ】【はやみねかおる】【ゴツボ×リュウジ】【騒霊】【地縛霊】【河童】【木霊】【カッパのカータン】
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「ホペイロの憂鬱」 井上尚登

2010-09-07 | ミステリー・推理小説
 日本のプロサッカー・リーグにはまず花形舞台で戦うJ1があり、その2部リーグであるJ2があり、そのJリーグとは別に日本フットボールリーグ(JFL)という団体があり、そのJFLの中でJリーグへの昇格をめざして戦っているチーム「ビッグカイト相模原」が舞台。

 主人公の坂上栄作はサッカー選手ではなくてホペイロ(roupeiro)。用具係という意味なんだけれど、周囲の人間はなにかというと雑用を押しつけてくる。そればかりではなく、なにか事件が起きるとそれを解決しろと問題を押しつけてくるのだ……。

 ゆるい日常系ミステリ。
 主人公が厚木飛行場の自衛隊機の爆音をうるさいとぶつぶつ文句をいうくだりがあり、なにかの伏線かと思ったら、結局なんでもなかったので肩すかし。そんなに国防がキライか?

【ホペイロの憂鬱】【JFL篇】【井上尚登】【広報紙】【ポスター】【タロイモ】
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「まんが学特講」 みなもと太郎&大塚英志

2010-09-06 | エッセー・人文・科学
 大塚英志がみなもと太郎に訊く形で綴られた日本のマンガ史。妻は私をどこに連れていきたいのだろう?

 手塚治虫に始まりトキワ荘や24年組に続くという形でしか語られることの無かった戦後マンガ史を、戦前・戦中の紙芝居や漫画から最近の作品まで網羅し、誰が誰にどんな影響を与え、社会にどんな影響を与えてきたかをマンガ家の交友や編集部の方針の変遷にまで言及して総括した1冊。
 本当は少女マンガを描きたかったさいとうたかを、それまではマニアの変態行為に過ぎなかったフェラチオを世に広めた松本零士、少年マンガの表紙に少女を大きく描いて編集者に怒られたみなもと太郎、24年組に影響を与えた聖悠紀に影響を与えたあすなひろしなどなど、紙芝居や貸本の時代、映画の時代を経由してアニメの時代まで。
 印象的だったのは、最近の描き手の特徴として、1コマの絵としての完成度にはとことんこだわるけれど、コマとコマのつながりやネームにはまったくこだわらないものが増えているということ。そしてその延長で10数ページの話のつもりで書いた原作がその4倍以上に脹れてしまっているという話。ホント、話が進まないよね……。でも、こういう形で話を引き延ばしたのは、「あしたのジョー」が最初なんだとか。

【まんが学特講】【目からウロコの戦後まんが史】【みなもと太郎】【大塚英志】【鉄腕アトム】【BASTARD!!】【ホモホモ7】【平田弘史】【西谷祥子】【新城さち子】
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「マンガの脚本概論」 竹宮惠子

2010-09-05 | エッセー・人文・科学
 帰宅すると妻が「これ、買ってきたよ~」と自慢げに差し出した。

 著者が京都精華大学のマンガ学科で教えてきた講義の集大成……というか、タイトル通りの概論。脚本概論といいつつ、表現技法とか歴史まで踏まえて書かれているので、ストーリー創作法とかマンガの描き方として読むと少し物足りないかも知れません。
 マンガを描くにはオリジナリティが大切だけれど、それ以前の話として先人たちが残したものを知っていて、それを足がかりにしないとなかなか前には進めません。独学で連立方程式の解き方を発見した数学の天才の寓話もあったけれど、ジム・ロジャーズも「歴史を知らなくては、何を見たとしても、学ぶことも分析することもできない」と言ってます。
 新しく何かをしようと思うなら、きちんと勉強して先人の業績をちゃんと踏み台にしないといけないし、その積み重ねが人類の歴史なのです(学ばないことも多いけれど)。マンガについても同じこと。しかもストーリーと絵は一体にして不可分なのですから、いかにポイントを絞って見せたい効果を出すかは大問題。ストーリーを活かすも殺すも絵(演出)次第なので、過去の作品から学ぶべきことは幾らでもあります。
 なのに、最近は大学まで来てマンガを学ぼうという者ですら、マンガの神様と呼ばれた手塚治虫の話ですら通じないのだとか。
 そういう状況なので、「脚本概論」と言いつつ、コマ割り・擬音から構成まで、過去の作品から引用して紹介するのに紙幅が費やされていても仕方がないのでしょう……って、自分は今さらマンガ家になるつもりはないので、こういう本を読んでも仕方がないのだけれど……。

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「“文学少女”見習いの、卒業。」 野村美月

2010-09-04 | 本屋・図書館・愛書家
 本の流通は明らかにおかしくて、客注で予約した本や雑誌すら地方書店にはまともに入荷しない状態なので、どうしても書店で買うよりオンライン書店で予約して取り寄せた方がポイントも付くし、利用しがちになってしまいます。8月の新刊がやっと9月に入って来るというのは別に書店員の怠慢じゃないし、1ヶ月遅れでも入るだけ御の字なんだろうけど、この本はなんとか3日遅れで入荷しました。

 ななせはかわいいなあ。

「恋には確かに罪が伴うことがあるかもしれません。けれど、人を好きになること自体は罪悪ではないんですよ」
 井上心葉の言葉。

 菜乃もちゃんとこの1年で成長し、見習いを卒業できたようです。どうなることかと思いましたが、彼女も立派な文学少女です。長編「“文学少女”見習いの、寂寞。」と幕間劇「ある日のななせ」、そして締めくくりの短編「“文学少女”見習いの、卒業。」を収録。これにて見習い編は完結です。
 読み終わって、ああ、これでお別れか、寂しいなあと思っていたら、あとがきに続いて刊行予定が2つも! 年末には「挿話集」の4が出て、来年には半熟作家の話が出るそうなので、まだまだ愉しませてもらえそうです。(2010.9.4)

 「寂寞」の読み方をつい忘れてしまうのでメモしときます。「せきばく」です。「ひっそりして物寂しい様子」のことです。(2010.9.4)

【“文学少女”見習いの、卒業。】【野村美月】【竹岡美穂】【こころ】【桜の園】【カンガルー】【バレンタンデー】【卒業式】【ゾンビ好きなヒロイン】
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「バカが全裸でやってくる」 入間人間

2010-09-03 | その他フィクション
「小説というのは著者の全裸を読者に見せつけているようなものでしょう?」
 大学生にして人気作家の甲斐抄子の言葉。創作活動というのはその作者の人となりを裏表まで全部さらけ出すということなのだ。

 「馬鹿が戦車でやってくる」(1964)というハナ肇主演の邦画があって、戦後の田舎を舞台にした悲喜劇なんだけれど、一方でジェームス・ガーナー主演の「ミスター・タンク」(1984)という洋画もあって、どちらも虐げられた者が最後にすがる拠り所が鋼鉄の塊だった……という話なんだけれど、タイトルでは「馬鹿が戦車でやってくる」の方がインパクトが大きいなあ。
 そんなインパクト大のタイトルをもじったのであろう『バカが全裸でやってくる』だけど、そのまんまだよ、これ。確かに小中高生向けのライトノベルとしては売れない話です。

 作品を書くと言うことについての思い入れや必要とされる能力とか、新人賞に応募された作品がどのように選ばれていくのかとかを、何人かの視点から、時代を前後させつつ描いていくメタ・フィクションっぽい何か。帯に推薦文を書いている甲斐抄子が面白かったので、彼女視点でじっくり読みたい気もしました。
 ただ、悪いことをした人間が罰を受けないまま話が終わってしまう点だけはすっきりしませんでした。この伏線は、どこかで回収されていたのかな……?

【バカが全裸でやってくる】【入間人間】【全裸】【幽霊】【読書感想文】
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「ささみさん@がんばらない3」 日日日

2010-09-02 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
 学校に行くようになったものの、再び以前よりひどい引きこもりになったささみさん。なんとかささみさんに会おうという邪神三姉妹は壮絶な戦いに挑む……。

 引きこもった少年少女に会おうとするなら、戦争の1つ2つどころか、世界を滅ぼす覚悟も必要だという話。日本最古の夫婦神もかくやという壮絶な親子ゲンカも和解できたようでなにより。あれを和解というならの話だけれど……。

 「頑張ればどんなことでもなんとかなる」とか、逆に「頑張ってもどうにもならないことはある」という話はあたりまえにあるのだけれど、「なにがなんでも頑張ったらいけない」という話は珍しく、本当にその路線で3冊目。こういう着眼点と斬り込み方が日日日の持ち味だと思います。

【ささみさん@がんばらない】【日日日】【左】
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