付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「腕白関白」 吉本洋城

2013-07-17 | 時代・歴史・武侠小説
「この時代には自己破産なんてねーんだよ!」
 徳政令禁止で、借金踏み倒しはたとえ大名でも許さないと羽柴秀次。

 中小企業の課長補佐だったのに、呑んで帰って目が覚めたら戦国時代だった。
 さえない農民の息子として1年ほど暮らして、それで一生終えてもいいかなと覚悟を決めようとしてみたら、なんだか叔父さんは武士をやっていて、織田家に仕えているという。
 どう考えても自分は豊臣秀次らしいのだけれど、そうするといずれ切腹する運命。それだけは避けようと、あれこれ画策するのだが……。

 うちの長男も知っていたweb小説の単行本化で、賤ヶ岳の戦いから戦国時代の終わりまで。身体ごと過去へ飛んだとかではなく「気がついたらその人になっていた」パターンの話です。

 面白くて一気に読んだけれど、気になるところもちらほら。
 とにかくさまざまな武将が登場しますが、基本的に「この人は史実通りのイメージの人です」というような暗黙の了解で話が進んでいるようで、説明不足になりがちです。
 三成が秀次が高く評価していたということは十分わかるのだけれど、一方で秀次がそれほど三成を高く評価していたと思わせる箇所はないものだから、せいぜい政策担当者としては有能だろう程度の三成のことで、秀次があれほど激昂する理由がわかりません。福島正則や加藤清正との関係についても、史実の通りなのねとしか思えません。
 また、史実を知っている男がそれを利用して生き残るというのは定番ネタではあるけれど、中小企業の課長補佐だったという設定はまったく生きてません。これなら、別にゲーマーの高校生でも歴史マニアのOLでも差し替え可能です。
 タイトルの意味まで含めて、もう少し書き込んであったら、もっと素直に面白がれたのに残念。

【腕白関白】【吉本洋城】【皇征介】【FREEDOM NOVEL】【歴史IFシミュレーション】【web小説】【甲斐姫】【駒姫】【小松姫】【12球団】【もうロリコンでもイイよ!】【ガレオン船】
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「香彩七色」 浅葉なつ

2013-07-16 | ミステリー・推理小説
「どうか覚えていてね。目に見えるものだけが、この世のすべてじゃないってこと」
 祖母の言葉は秋山結月に大きな影響を与えた。

 結月は匂いに敏感な女子大生。通りすがりのレストランや民家で調理されている匂いに誘われて、いつもふらふらしていて、太りにくい体質と言いつつも最近は体重の微増が悩みの種だ。
 そんな彼女が珈琲の匂いに誘われているうちに出会ったのは、古今東西の香りに精通する香道宗家の跡取りの神門千尋だった……。

 嗅覚は犬並みだけれど(食べ物以外は)何の匂いまでか知識不足で断言できない女子大生と、人嫌いで家出中の香道宗家跡取りが、ほのかな香りに隠された謎を解いていく3つの物語。日常系ミステリで、基本ほのぼの、少ししんみり……といったところかな。
 香道というと『丘の家のミッキー』で少し間違った方向にかじったことがあるだけでしたが、料理ミステリがありなら、香りミステリもありなんですね。

【香彩七色】【香りの秘密に耳を澄まして】【浅葉なつ】【toi8】【メディアワークス文庫】【アロマミステリー】【日常系】【香水】【香木】【香道】【城コレクション】【おだんご】
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月刊OUT7月号「超人たちがやってくる!!」 

2013-07-15 | 超能力・超人・サイボーグ
 まだ方針がアニパロに定まらない頃の、月刊OUTの昭和53年7月号です。
 スーパーヒーロー&ヒロインをテーマに、キャラクター紹介やらパロディやら。カラーイラストは、ひおあきら、牧村ジュン、石井まゆみ、すがやみつる他。ヒロイン淑女録は、サファィア王子から始まり、三条雅、009ノ1、ユキ2号、けっこう仮面、阿修羅王、エスパー魔美、麻宮サキ、干草カオル、ジュディス・ド・グラッセ、ノーラ・スコラあたりまで。内容としてはたいしたものではないのだけれど、これを参考にマンガを読みあさった時代もありました。
 掲載コミックはもろほし★だいじろうと米田仁士。今ではホラーな諸星大二郎の軽妙なファンタジーや、すっかりファンタジーイラスト界の重鎮となった米田仁士のスラップスティックSFとか読めたワタシは幸せ者。

「役者です、声優じゃないよ」
 声の仕事はいろいろある役者の仕事のジャンルの1つにすぎないと山田康雄。

【月刊OUT7月号】【超人たちがやってくる!!】【みのり書房】【華麗でファッショナブルでブリリアントなラブリーマガジン】【SFののしり図鑑】【スペース・スカル】
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「宵星の魔女エミリー」 M・K・ホブスン

2013-07-15 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 南北戦争後のアメリカには技術革新の嵐が吹きまくり、工場で大量生産されたマジックアイテムが、村の呪い師がつくる魔法のお守りを駆逐しようとしていた。
 売上が落ち、生活苦に陥っていた西部の田舎町の魔女エミリーは、金持ちの男を籠絡しようと呪いをかけているところを、旅の魔法使いのスタントンに目撃されてしまう。やがて鉱山で労働に従事していたゾンビの暴走に巻き込まれたことから、手のひらに奇妙な石がはまってしまい魔法が使えなくなってしまうのだが……。

 科学技術と共に魔法技術も普及している19世紀アメリカで、魔女と魔法使いがケンカしながら大陸横断する話。
 主人公のエミリーは行動力はあるけれど考えなしで状況に流されっぱなしだし、そもそも魔法使いって腹黒いか自己中心的かその両方で、つきあいたい相手じゃないなあと思いました。ひとことでいうと、敵も味方もスリザリン寮の出身者みたいだね。

【宵星の魔女エミリー】【新大陸魔法冒険記】【M・K・ホブスン】【ハヤカワ文庫FT】【歴史冒険譚】【ユーモアと恋たっぷりの魔法冒険譚】【魔法アライグマ】【血の魔術師】【ニワトリ型飛行機】【大陸横断】【竜脈】【大統領暗殺】【どこでもドア】【大陸横断鉄道】
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「連帯惑星ピザンの危機~クラッシャー・ジョウ」 高千穂遥

2013-07-14 | 宇宙・スペースオペラ
 宇宙開拓の初期に惑星改造の職能集団として誕生し、やがて「宇宙のなんでも屋」として活躍するようになった、クラッシャーの少年を主人公とした国産スペースオペラの第1作。

 依頼があれば、航路の整備から惑星改造にいたるまで、危険な任務を請け負うクラッシャー。その中でもトップクラスの腕利きであるジョウが新たに引き受けた依頼は、反乱の起こった連帯惑星ピザンを救うことだった……。

 発売当時のソノラマ文庫は薄かった。
 やがて再版されたときに厚さが倍になったのだけれど、購入して確認したら中身は変わっていなかった。ページ数もそのまま。単に紙質の違いらしい。その後、表紙を変えて再版し、ソノラマ文庫なき後はハヤカワ文庫JAからやはり表紙を変えて再スタート。
 昔だったら全バージョンをそろえていただろう。同じ頃の栗本薫の『豹頭の仮面』なんか、初版と、謝罪の注釈文付きと、改訂版と3種類そろえていたけれど、今はそれをやっていたら家が本であふれてしまうので自粛している。それに表紙にガンビーノ爺さんが出てない『連帯惑星ピザンの危機』なんて、寂しいじゃないですか。
 当時は『スターウォーズ』の公開事前情報で煽られ続けていた時代で、本当にスペースオペラに餓えていたので、今風でスタイリッシュなアクションSFは本当に面白かった。宇宙船やレーザーガンでドンパチやって、アートフラッシュであたり一面焼け野原という派手な見せ場の連続に、共に銃を取って戦うヒロインの姿に「こういうのが読みたかったんだ」と感涙したものです。
 ただ、今でも「クラッシャー」と聞いて自動的に連想するのは「クラッシャー・ジョウ」ではなく、「クラッシャー・バンバン・ビガロ」の方。発売前の「月刊OUT」での著者インタビューで、その名前が出たのがインプリンティングされてしまって消えないのです。バンバン・ビガロ自身にはほとんど思い入れがなく、むしろブルーザー・ブロディの方が慣れ親しんだもんですけれど。「ぶっちらばったる」って、これもジョウか……。

【クラッシャー・ジョウ1】【連帯惑星ピザンの危機】【高千穂遥】【安彦良和】【ソノラマ文庫】【ハヤカワ文庫JA】【クラッシャー】【チューブ】【洗脳】
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「妖奇庵夜話」 榎田ユウリ

2013-07-13 | ホラー・伝奇・妖怪小説
 Y対に配属された新人刑事の脇坂は、世間知らずのお坊ちゃまで変わり者だ。
「コネってのは持っとくものですね!」
 誰が好きこのんでY対、警視庁ヒト変異型遺伝子保有該当者対策本部に配属されたいと思うのだろうか。
 そもそも7年前に、常人と異なる遺伝子の保有者が発見され、妖怪を思わせる人間離れした能力を持っていることから「妖人」として人間と区別されるようになったことが始まりだったのだが……。

 妖と人の狭間で漂う美青年、洗足伊織が物知らずの若い刑事に辟易しながら、妖人が犯人とおぼしき女子大生殺人事件の謎を追う探偵小説。

【妖奇庵夜話】【その探偵、人にあらず】【榎田ユウリ】【中村明日美子】【角川ホラー文庫】【妖怪探偵小説】【妖怪のDNA】【ダイエット】【座敷童】【小豆洗い】
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★しゃべる武器

2013-07-12 | ランキング・カテゴリー
 所持者と会話する武器を挙げてみようと思った。

 アニメ『蒼き流星SPTレイズナー』で主役兵器に搭載されたコンピューター・インターフェース「レイ」は確かに搭乗者と会話しているけれど、あくまで音声対応のOSであってAIとは違います。それをいうならゲーム『絢爛舞踏祭』の主役艦のメインコンピューター「MAKI」は完全にプログラム知類なんですが、携行武器とはちょっと違います。でかすぎるし。

 アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』の携帯型心理診断鎮圧執行システム「ドミネーター」も、サイズはコンパクトながら音声対応インターフェイスみたいなもので、これもちと違う。

 イメージとしてはゲーム『Rance』の伝説の魔剣にして女好きな「カオス」。携行武器で、会話して、自我がある。こういう感じ。

 冲方丁の小説『マルドゥック・スクランブル』にも出てきます。金色のネズミ型の万能兵器「ウフコック・ペンティーノ」。質量保存とかオーバーテクノロジーを駆使して無視して、剣でも拳銃でも変形しちゃうし、なかなかナイーブ。

 マーセデス ラッキーの『ヴァルデマール年代記』に登場する魔法の剣「もとめ」は、もともと人間みたいなものだし、使用する人間に力を与えると同時に制約も与えるけれど、基本的に会話できないし。

 いろいろあると思ったのに、いざ数え始めるとぜんぜん出てこない。あれー?
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「俺と蛙さんの異世界放浪記2」 くずもち

2013-07-12 | 異世界転移・召喚
 「普通の現代人の少年少女が異世界に召喚されたり転生したりゲーム世界から帰還できなくなって、行った先の世界で無双ぶりを発揮する」パターンのゆるゆるバージョンの2冊目。ナイトさん登場で、いよいよヒロイン候補登場!……って、セーラー戦士さんは端からヒロイン候補から外されていたんですか……?

「危険なものならそこら中に転がっているさ。それといかに付き合っていくかが重要だろう」
 ムーンライトセレナーデ様のお言葉。

 肌の色が白いエルフさんたちも腹の中は黒い……ということで、ダークエルフさん万歳!な話。

【俺と蛙さんの異世界放浪記】【くずもち】【笠】【アルファポリス】【異世界ぶらり脱力ファンタジー】【ダークエルフ】【ツリーハウス】【となりのトトロ】【ブログランキング】【ナイス外道】【全品半額】【世界樹】【オリハルコン】
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「瑠璃色にボケた日常3」 伊達康

2013-07-11 | 学園小説(不思議や超科学あり)
 部活には男は自分1人であとの3人は美少女。そしてクリスマス。
 少しくらい何か期待しても良いかと思ったのに、実際は「瞬間大喜利」大会で終わってしまった。
 そんなしょんぼりする紺野孝巳に、瑠璃は鴫原翠の「晦式」に2人で立ち会うよう誘われたことを伝えた。
 晦式とは自身が従えている守護霊と再契約をするために、獣筋の霊導師が彼らと戦い従えるための儀式だ。危険はあるが、翠ほどの者なら問題ないというのだが……。

「友達を過小評価するのは、自分を過大評価するのと同じくらい愚かなことだよ」
 たまに瑠璃がまともなことを言ったと思ったら、伝説の格闘マンガ『負けるなリュウ!』からの引用。

 「お笑い」と「お祓い」が等価で語られるシリーズですが、今回は「鵺御前」の回で、一族の総帥としての器と獣霊たちとの絆を問われる話。
 でも、Bクラスの鯉が出て、阪神、巨人ときたからプロ野球ネタかと思ったら、オール阪神巨人かい……。

【瑠璃色にボケた日常3】【伊達康】【えれっと】【MF文庫J】【美少女ツッコミ系ラブコメ】【特上寿司】【アニソンメドレー】【カラオケ】【オッパイ餅つき】【一年戦争のハヤトは】【初詣】
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「俺の妹がこんなに可愛いわけがない(12)」 伏見つかさ

2013-07-10 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 既刊すべて中古ショップに売り払うどころか裁断してやると怒っている友人もいますし、相方の感想は「バカだねえ」ですが、そう言われても仕方の無いタイトル通りの最終巻です。

 すっかりギャルゲーの主人公になってしまった京介ですが、何をとち狂ったのか赤城兄妹がすごく真っ当に見えるお話でした。
 これがギャルゲーの隠しエンディングだというなら、これも「有り」だと思うんですけど、たった1つの結末しかない小説で、この必然だか唐突だかわからない選択をした作者はすごいと思います。雛山エンド以来の感動かな。
 これで入間人間の『電波女と青春男(7)』みたいな各ヒロインごとの最終巻が続々刊行したら、やっぱり買ってしまうと思います……って、それならゲーム版を買えば良いのかな?

【俺の妹がこんなに可愛いわけがない】【伏見つかさ】【かんざきひろ】【電撃文庫】
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「生徒会探偵キリカ(4)」 杉井光

2013-07-09 | 学園小説(ミステリ)
「それでは、これから閉会式にかえて、ええとなんだっけ……戦死者をヴァルハラに見送るエターナル・ヴォイド・レクイエムの儀式とかいうものを執り行う」
 その後、生徒会長の舞いは1時間ほど続いたらしい……。

 中高一貫の巨大学園「白樹台学園」に君臨する天王寺会長だが、唯一彼女が一度も勝利できていない相手があった。
 学園はいよいよ体育祭シーズン。校内を紅白に二分しての激戦が繰り広げられるが、体育科だけで占められた紅組とそれ以外による白組では常に紅組の優勝が続いており、3000万円にものぼる体育祭予算は体育会系団体の手に握られ続けていた。
 この雪辱を果たさんと、普段は敵対している生徒会、中央議会、監査委員会が一団となって臨むが、紅組が総大将に押し立ててきたのは邪気眼の中二病患者、ルイーナ・アクアドラコこと瀧沢瑠威那だった……。

 今、シリーズもので楽しみにしている学園ミステリはこれとにわか高校生探偵団の事件簿シリーズで双璧。
 事前の諜報戦から始まり電波の入った外交交渉を経由して、華やかな応援合戦あり、怒濤の騎馬戦あり、隠された企みありで、ちゃんと巨大学園もので、学園ミステリで、体育祭をテーマにした青春小説でした。

「戦いに善悪はない。勝つか負けるか、それだけだ」

 巨大学園の生徒会・中央議会・監査委員会を仕切るのはいずれも才媛の美少女たちだけれど、中身はいろいろ残念な人たちばかりで、主人公である牧村ひかげがツッコミを入れっぱなしなんだけれど、そのひかげからして「何か悪巧みがおこなわれていたら彼の仕業」という定評が定まってしまって残念。もうキャラクター紹介が「詐欺師」ですよ。
 でも、体育祭は全員が愉しめてナンボという姿勢は素晴らしいと思いました。

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「ガンパレード・マーチ2K~西海岸編1」 榊涼介

2013-07-08 | 異世界結合・ゲート・ゾーン
 シアトルでつかの間の休息を楽しむ5121小隊の面々だったが、そこに銀行襲撃犯が壬生屋と滝川との面会を要求しているという知らせが入り……。

 シアトルでの市警vs軍警からサンディエゴでの市街戦の真相をめぐる一悶着まで、アメリカ編の最終エピソードの開幕です。
 「お約束」は嫌いではないし、「ワンパターンも磨けば光る」には同意しますが、ストーリーがすっかり5121の定番パターンにはまってしまっていて、先が見えてしまう大味なアメリカンテイストが感じられるので、ここはもう一波乱が欲しいところです。

【ガンパレード・マーチ2K】【西海岸編1】【榊涼介】【きむらじゅんこ】【電撃ゲーム文庫】
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「るり姉」 椰月美智子

2013-07-07 | その他フィクション
「多趣味なのはいい。ヲタでもいい。けれど、子どもがいるのを忘れられては困る」
 それが家族という絆を選んだ者の責任だと思います。

 さつきもみやこもみのりも“るり姉”が大好きだ。
 るり姉はお母さんの妹だけれど、3人の少女をかわいがってくれるお姉さんで、天真爛漫で感激屋。でも、そのお姉さんが入院することになってしまい、おかあさんもおばあさんもるり姉のダンナさんのカイカイも口を濁して様態を教えてくれないのだ……。

「幸せじゃなくていいです。どうか、ふつうでいられますように」
 開人は神さまに祈る。

 3人の少女やその看護師の母、“るり姉”の夫らが“るり姉”の思い出をそれぞれの視点で語る物語。ひとことでいうと、「血は争えない」。
 舞台としては旅行のコースからして静岡か神奈川あたりかな。『本の雑誌』2009年上半期のエンターテイメント・ベスト10の第1位だけれど、いまだにじわじわ売れていて、地方の中小書店にはなかなか入荷しないんだそうな。
 
【るり姉】【椰月美智子】【双葉文庫】【日間賀島】【焼き物散歩道】【イチゴ狩り】【花火大会】【花とゆめ】【機動戦士ガンダムSEED DESTINY】【アニメイト】
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「着ればわかる!」 酒井順子

2013-07-06 | エッセー・人文・科学
『男性達は、自然食品ばかり食べている時に人工甘味料とかカップラーメンを無性に口にしたくなるように、キャバ嬢に惹かれるのではないか』

 セーラー服から自衛官、果ては宝塚や十二単まで、さまざまなジャンルの衣装を40代の女性作家が着てみるという『オール讀物』の連載記事をまとめ、増補版としてAKB編を追加したもの。
 今時は「コスプレ」のひとことでわかった気になってしまうけれど、三島由紀夫の言うところの「扮装狂」のように、自分とは遠い世界の人の服装を身につけることによって異体験をするというのは最近の若者に限った趣味ではないのです。そして、何を着るかで人の性格やら心構えは変わる面がありますので、実際に体験することで見えてくるものがあるんじゃないかというのがこの企画です。
 たとえば、キリッとした印象を与えながらその実、Vゾーンや裾に無防備さが存在しているセーラー服。これに対して、シャープな印象があるけれど実は機能性が高く、しゃがんだり腕を上げてもチラ見えしないスチュワーデスのユニフォームなど、デザイン思想の違いが指摘されます(セーラー服のソレがデザイナーの意図した物かどうかは別として)。あるいは十二単を身につけてしまえば、否が応でも絵巻物に描かれた平安女性のようなポーズしかとれなくなってしまうし、口元だって隠したくなってしまう……そういうものなのです。そういうものなのか……。
 『東京女子高制服図鑑』の森伸之のイラストがよくマッチした、着てみて初めて理解できたアレコレが詰まった1冊で、『カエアンの聖衣』と対で読むとますます面白くなる本です。

【着ればわかる!】【酒井順子】【森伸之】【文春文庫】【オール讀物】【カウガール】【ゴスロリ】【養蜂家】【ディスコ】【茶摘み】【ビーチバレー】【キャッツ】【バスガイド】【巫女】【合唱団】【矢沢永吉】【ねぶた】
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「ドキュメント《スター・ウォーズ》」 ゲリー・ジェンキンズ

2013-07-05 | 伝記・ノンフィクション
「シニシズムから何かを学ぶことはできても、それを基盤として創造することはできない」
 ジョージ・ルーカスの言葉。

 子供の頃に映画館で夢中になって観た「フラッシュ・ゴードン」のようなSF活劇を作りたいと思い続けていたジョージ・ルーカスは、やがて映画監督として頭角を現し、日本映画「隠し砦の三悪人」に着想を得たSFアクション映画の製作に取りかかる。
 だが、シナリオは二転三転し、予算は膨らみ、時代遅れのSF映画に大金を注ぎこむことなど愚かなことだという周囲の批判、続発する事故と、ジョージ・ルーカスはすっかり疲れきった状態で公開日を迎えたのだが……。

 1977年5月25日に封切られた映画『スター・ウォーズ』の誕生と興亡のドラマは、作品の内容以上にドラマチックだと、監督であるジョージ・ルーカスの生い立ちを家庭環境から語り、やがて映画青年となっていく姿から、「スター・ウォーズ」の製作に突入し、成功し、そして集まった仲間たちと意見や行く道が異なって別れていく姿を追ったドキュメンタリー。結論から言うと「なんでヒットしたか誰にもわからない」。

「誰も、何もわからないのだ」
 ハリウッドの脚本家ウィリアム・ゴールドマン。

 確かに事前にSF大会などでPRを繰り返し、公開前から前例のないノベライズやコミック化、積極的に玩具の商品化を推し進めていたけれど、どれも決定打とは断言できず、次々に討ち死にしていった類似作品とどこが違うのか、はっきりしたことは誰にもいえなかったのです。

 なんにせよ、スター・ウォーズ以後、SF映画の技術は飛躍的に発展したし、映画館が総入れ替え制になったのもスター・ウォーズがきっかけなのですが、成功によって巨大化したルーカス・フィルム自身が、かつてあれほど嫌った大手映画会社と同じように変質していくことになります。まさに興亡。 
 訳者でもある、野田昌宏の特別エッセイ付き。

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