付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「ダチョウは軽車両に該当します」 似鳥鶏

2013-07-04 | ミステリー・推理小説
 県民マラソン大会に、どこからか出現したダチョウが乱入!
 たまたま居合わせて捕獲することになった桃くんたち楓ヶ丘動物園の飼育員たちだったが、その様子がネットで公開されてしまい……。

「チンパンジーやニホンザルの群れなんかも、順位争いを見てると人間並みに黒いですよ」
 動物は無垢で人間は醜いというのは、単なる思い込みだよと桃くん。

 残念な動物園スタッフが活躍する動物園ミステリの第2弾。
 今回はいつも折り紙と共にあるガフのようなアイドル飼育員の七森さんの出番は控えめな感じで(印象だけで実際はそんなに少なくは無いけれど)、服部くんの正体不明な変態さ加減がクローズアップされています。
 あいつはいったいなんなんだ?

【ダチョウは軽車両に該当します】【似鳥鶏】【スカイエマ】【文春文庫】【製薬会社】【インフルエンザ】

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「アリス・リローデッド2」 茜屋まつり

2013-07-03 | 時間SF・次元・平行宇宙
「大事なら、手放すな。たとえもっと大事なものを守るためであっても、手放してはいけない。手放してしまえば必ず後悔するだろう。宝物なら守り通せ」
 ミスター・マグナムは《女王》ロッキーにそう告げた。

 魔法使いによって生み出された、意志を持った魔法の銃と天衣無縫な少女が荒野を駆ける西部劇も続刊が登場。

 未来から飛ばされてきた魔法の銃ミスター・マグナムだが、魔女ゾォードを斃したことで歴史が変わり、彼の知らない歴史が動き出した。
 彼とアリスの前に立ちふさがった《魔犬》スティール・ボーマンは、もう1人の予言する者であり、ロッキーを殺すことになる敵だった……。

 済んでしまった未来とこれから始まる現在が交差しながら語られる西部劇で、今回は大牧場の跡取りとしてのロッキーを軸にした土地争い……の形を借りた大きな陰謀が綴られていきます。
 考え無しのバカなのに時として正論を吐き、へったくそなのに本番では奇跡のようなガンさばきを見せるアリスが魅力的ですし、仲間の面々も個性的ですが、ここらで魅力的な敵役も期待したいところです。まだ、強くてイヤな相手ばかりしか出てきませんので……って、西部劇ならそれでいいのかな。

【アリス・リローデッド2】【ヘヴィ・ウェイト】【茜屋まつり】【蒲焼鰻】【電撃文庫】【マジック・ガンアクション】【西部劇】【つぎはぎ】【スカートを捲り上げる女】【停戦交渉】【双子巫女】【抜刀術】
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「中華料理の文化史」 張競

2013-07-02 | 食・料理
 中国四千年の歴史というけれど、広大な大陸のすべてを同じ民族、同じ王朝が支配していたわけではなく、さまざまな勢力が群雄割拠し興亡があっての四千年。その文化の一部である料理も同じで、中華料理の定番とも言える料理もせいぜい百年というものが多いようです。
 そもそも今では普通に中華の食材として利用されているトウガラシやトマトも原産地は南米。つまり、楊貴妃はトマトの飾り切りなんて見たことも無かったし、四川料理だって辛みはせいぜい山椒でトウガラシが使われるようになったのは最大で考えても500年そこそこ。
 そして新たな食材、新たな料理法と共に忘れ去られた食材や調理法も数限りなく、漢民族がいて満州族が勃興して騎馬民族が押し寄せ南蛮が北上し……という世の移り変わりと共に食の変遷も続き、生肉料理を食べていたり食べられなくなったり、犬やら山菜やら食べるようになったり廃れたりの連続です。
 そんな食材と調理法の変遷を、春秋戦国時代から現代まで文献から壁画まで駆使して追いかけたのがこの本で、今回の文庫化にあたって最近の事情について1節を追加しています。中国で生まれ育った著者も、10年ぶりに帰国したら、メニューに何が書かれているか分からなくなっていたという冒頭のくだりは印象的です。
 今では大皿ではなくフレンチのように飾り付けして料理を一品ずつ饗するのがあたりまえになりつつあり、飲茶の習慣も広まりつつあるようですが、いろいろな食文化を積極的に取り入れているという点では日本とよく似ているのに、新しいものの導入によって古い料理や食材が忘れ去られてしまうというところが中国的なのだといえそうです。

【中華料理の文化史】【張競】【ちくま文庫】【春巻】【膾】【北京ダック】【麻婆豆腐】
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「リングワールド」 ラリー・ニーヴン

2013-07-01 | 宇宙探検・宇宙開発・土木
「名誉の問題とは、時間に左右されるものではないのだ」
 クジン人<話し手>の言葉。

 29世紀も半ば。
 宇宙の片隅で、奇妙な人工建造物が発見された。恒星をリング状に取り囲む巨大な「リングワールド」である。
 ルイス・ウーは200歳ながら若返り治療を受けて青年の肉体を保っている元冒険家。平穏な日常に飽き飽きし始めているルイスに、臆病で有名なパペッティア人のネサスがリングワールド探検への参加を持ちかけてくる。
 ネサスは探検隊のメンバーとして自分とルイス、それに人類の仇敵であったクジン人を加え、最後の4人目のメンバーとして“幸運の遺伝子”の持ち主を加えようとするが、なぜかいずれの候補者とも連絡が取れず……。

 ニーヴンの《ノウンスペース》シリーズの代表作というか、宇宙SFの代表作。
 恒星系内すべての惑星から小惑星までを原料として、恒星を取り巻くベルト状の人工世界を構築するというリングワールドというアイデアはSFファンの琴線をゆさぶり、さまざまな理論構築がされたという。でも、話の核となるアイデアは、ティーラ・ブラウンの幸運の遺伝子の方だよね。すべての物語の主人公補正に「ご都合主義」ではなく「幸運の遺伝子」という概念を持ち込んだわけですから。

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