付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「紳堂助教授の帝都怪異考3」 エドワード・スミス

2014-06-18 | ホラー・伝奇・妖怪小説
 帝都に起きる怪事件の謎に挑む、美貌の帝国大助教授と少年助手の怪奇冒険譚。

 帝都を惑わす連続殺人事件。正体不明の怪物に惨殺される被害者だが、直後、その身辺より飼い猫の姿が消えていたという。
 巷では化け猫の仕業だという噂が広まっていたが……。

 さて、紳堂助教授と篠崎アキヲの探偵物語も、ミステリーよりはホラー、ファンタジーの領域に入ってきました……というか、最初からその境界をふらふらしていたわけですが。
 キツネは哺乳綱ネコ目イヌ科なので、ネコとキツネは遠い親戚なんだねえ。今回はそのキツネとネコが良い意味でも悪い意味でも大暴れです。

【紳堂助教授の帝都怪異考3】【狐猫篇】【エドワード・スミス】【碧風羽】【メディアワークス文庫】【大正不可思議事件簿】【狐憑き】【化け猫】【長靴をはいた猫】【キャス・パリーグ】【ケット・シー】【オサキ狐】【管狐】【王子稲荷】
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「河北新報のいちばん長い日」 河北新報社

2014-06-17 | 伝記・ノンフィクション
 東日本大震災で自らも被災しながらも、休むことなく新聞を発行し続けた河北新報社の記録が文庫版になったので購入。
 眼下で助けを求める人を見ながら報道することが使命とただ空撮を続けるも、結局その人たちに救援が届いたのは1週間後だったと知らされて報道の価値に疑問を生じる者、社命で原発事故直後の福島から待避したことを悔やみ続ける者など、情報を求める読者の感謝を受けながらも苦悩する新聞人たちの記録です。

「犠牲『万単位に』」
 3/14付の1面トップではあえて「死者」という言葉を避けた。
 それが良かったかどうかは別として、常に被災者でもある読者がどう受け止めるかを考え続けた。

 熱しやすく冷めやすい全国紙や在京キー局に対して、あくまで地元の立場で読者目線に立ち、センセーショナルに煽らず、本当に今必要な情報を届けようとした姿勢が伝わります。全体の構成としてはやや雑多な、計算されていないという印象がありますが、それが臨場感となり取り繕わない記録らしさが出ている気がしました。
 記事を作る人がいて、編集する人、印刷する人、運ぶ人、配る人がいての新聞だということが、まっすぐに伝わってきます。

【河北新報のいちばん長い日】【震災下の地元紙】【河北新報社】【文春文庫】【ロジスティクス】【炊き出し】【スパム弁当】
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「銀の匙4」 荒川弘

2014-06-16 | 食・料理
「生きるための逃げは有りです。有り有りです」
 人間は経済動物ではないのだからと校長先生の言葉。

【銀の匙4】【荒川弘】【サンデーコミックス】【豚丼】【ベーコン】【スモークチーズ】【エリア51】【コンバインハーベスター】【断らない男】【バーベキュー】【ブラジャー】
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「ミュンヘンの小学生」 子安美知子

2014-06-16 | エッセー・人文・科学
 高校生の頃に学校図書館で読んで、自分でも購入して、本棚の奥に突っ込んであったのだけれど、ふと気になったことがあって引っ張り出してきました。
 エスカレーターを使用するとき、止まっている人は片側に並び、急ぐ人は反対側を歩いていく。
 事故があって「みんな止まれ」と管理者の責任回避の警告があたりまえとなりましたが、これはそんなに古い習慣ではなかったはず。子安美知子の『ミュンヘンの小学生』か『ミュンヘンの中学生』か『ミュンヘン往き来』か『日本(ヤーパン)の夏』の中で、ミュンヘンで見た(日本では見られない)ドイツ的合理精神の一例として、エスカレーターの使い分けが紹介されていたはず。
 『ミュンヘンの中学生』かと思っていたけれど、違っていたので遡ってみたところ。これでもないなあ……。

 教育学者である著者は1970年代、家族で西ドイツに留学したが、そこで迷った末に娘をシュタイナー学校に預けることに決めた。
 シュタイナー学校は小中高一貫教育の学校であり、オーストリアの思想家ルドルフ・シュタイナーが提唱した教育思想を実践する学校なのだが……。

 神秘思想家とされるシュタイナーは、その教育思想も独特なことから、一般にはバカな子の通う学校と見られることもあったようですが、大学進学に必要なアビトゥーア合格率は悪くはなく、最終的にはむしろ優秀なのだけれど、卒業後も型にはまったビジネスマンや役人などを指向するものはおらず、芸術家指向というか、1人1人がオンリイワンをめざす傾向があるようです。
 そんなシュタイナー教育を中心に、当時のドイツ教育事情や生活の様子を描いたノンフィクション。

 しかし、両親の仕事の都合とはいえ、世界各地を転校して回る小学生女子って、よく考えたらすごく不憫ですよね。

【ミュンヘンの小学生】【娘が学んだシュタイナー学校】【子安美知子】【中公新書】【シュタイナー学校】【オイリュトミー】
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「冬の蝶」 平谷美樹

2014-06-15 | ホラー・伝奇・妖怪小説
「真実が分からねぇ話は、めでたしめでたしでしめておけばいいんでござんすよ」
 薬種問屋・倉田屋の手代、左吉の言葉。うやむやにした方がいいことがこの世にはある。

 時は文政。津軽からやってきて貧乏長屋に住み込んだのは、盲目の美少女・百夜。
 だが、彼女こそ、物の怪、妖怪を調伏する凄腕の修法師だった……。

 年の頃なら14・5で、後ろだけ少し伸ばし、あとは短くまとめた癖のある髪。キリッとした眉にはっきりした目鼻立ちで、なぜか話すのはサムライ言葉……ということで、イメージは砕蜂。そんな腕の立つ美少女イタコというより退魔師が、押しかけ助手みたいになった左吉と共に付喪神やら亡霊を調伏していくという短編集。さほど厚くないページ数の文庫に9編とみっちりだけれど、特に内容が薄いとか駆け足という印象はなく愉しめるのは、ある種、捕物帖的なフォーマットに則っているからなのかもしれません。

【冬の蝶】【修法師百夜まじない帖】【平谷美樹】【藤田隆一】【小学館文庫】【百夜・百鬼夜行帖】【付喪神】【埋蔵金】【間引き】【由井正雪】【千利休】【花見】【ももんじ屋】【蛇の目傘】【ゴミソの鐵次】
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「男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど(……後略) (3)」 時雨沢恵一

2014-06-14 | アイドル・声優・芸能
『女子高生で新人声優をしていますが、年上のクラスメイトで売れっ子ライトノベル作家の男子の首を絞めています』

 前回で終わりかと思ったら、3の登場。正確には、「男子高校生(中略)首を絞められている。」の1巻と2巻が「Time to Play」の上下巻で、今度の3巻は「Time to Pray」。思わず間違い探しです。1巻と2巻はセットで完結する話でしたが、(あとがきにもいろいろ書いてありましたが)3巻は続く気満々の展開。けれど、ライトノベル作家入門みたいな部分はなくなって、歪な部分をそれぞれ抱えた少年と少女の物語になりました。

 似鳥絵里は困惑していた。
 年上のクラスメイトで売れっ子ライトノベル作家の男子を殺すところだったのに、彼はなんでもないという態度で普通に接してくるのだ。彼が何を考えているのか分からない。復讐の機会をうかがっているのではないかと疑いもしたけれど、ボディガードの茜さんはそれはないという……。

 今回は、学校のプリント作りが最大の山場かな。
 作業をしながらクラスメイトと教師が自分の作品に言及し始め、しかも教師がしっかり読み込んでいて先の展開を当ててしまうわ、伏線はがんがん読み解いていくわ、最後には作者の内面までずんずんと踏み込んでくるのをただ知らんぷりして作業しながら聞いていないふりをするしかない作者の心中やいかに。
 思わず、逃げて!と叫びたくなるよね。

【男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。III ―Time to Pray― (3)】【時雨沢恵一】【黒星紅白】【電撃文庫】【幼児虐待】【死生観】【電撃文庫MAGAZINE】
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「ノーゲーム・ノーライフ6」 榎宮祐

2014-06-13 | 異世界転移・召喚
「意図なくこの世に生まれて」
「意味なく泥を啜って生きて」
「だが意義あってカッコよく、くたばる--上等じゃねぇか」
「それ以上の自由なんてあるのか、ボス?」


 唯一神テトは路地裏で行き倒れていた。
 そういや、人間の身体になったときは、物を食べたり寝なくちゃ生きていけないんだっけ?
 たまたま、初瀬いづなに拾われた創造神は、そのまま彼女とチェス勝負を始めるのだが……。

 獣娘に唯一神が語る「最も新しき神話」につながる「最初の神話」であり、つまり誰も語らなかった、『大戦』がいかに終わったかの顛末、今まで何度も疑問が投げかけられていた、何の力も持たない人間が世界を破壊するほどの戦争でどうやって生き残ったかへの回答、『  』を超えるプレイヤーの物語でした。
 冒頭は、今回は何か地味で鬱な終末SFになるかと思いましたが、厳しくて辛くて悲しいながら(それでも)爽快なゲーム小説でした。で、結局、ジブリールが悪いということに……。
 今回登場するのは機凱種(エクスマキナ)と龍精種(ドラゴニア)、それにほとんど名前だけで地精種(ドワーフ)。機凱種はアレですな、最初から生身の部分が無いボーグですね。なので機凱種との駆け引きにはフレッド・セイバーヘーゲンの『バーサーカー』みたいな雰囲気もあって面白いです。あいかわらず文章に傍点が多くて気になりますが、そろそろ慣れました。

【ノーゲーム・ノーライフ】【NO GAME NO LIFE】【ゲーマー夫婦は世界に挑んだそうです】【榎宮祐】【MF文庫J】【異世界ファンタジー】【チェス】【ボーイ・ミーツ・ガール】
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「皇国の守護者5」 佐藤大輔

2014-06-12 | 架空戦記・仮想戦史
「程度の低い善意は差別意識と同義ですからな」
 父上にも責任があると、板東一之丞。

 近衛少佐・新城直衛が敵軍の総司令官たるユーリア姫を手中にして、都へと凱旋した。
 しかし、それで帝国との戦いが終わるわけではなく、やがて近づく厳冬に備えての準備も始まっていたが、帝国軍とてそのまま豪雪による自然休戦期を受け入れるつもりはなかった……。

 今回の書き下ろし短篇は、直衛10歳の年に皇国の離れ小島、渡仮島に帝国軍の戦列艦が来襲した際の経緯を描いた「島嶼防衛」。
 着々と刊行が進んでいて、嬉しい限りです。

【皇国の守護者5】【英雄たるの代価】【佐藤大輔】【中公文庫】【大河戦記】【……私ごときが】【嚮導聯隊】【温食】【平射砲】【熱水機関】
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「スカイ・ワールド#07」 瀬尾つかさ

2014-06-11 | VRMMO・ゲーム世界
 女性関係については何ともヘタレな主人公の話も7冊目。朴念仁の周囲にハーレムが自然発生という展開でしたが女性関係を整理するどころか、単なる二股三股男にジョブチェンジしているような気がします。そのうち血を見るぞ?

「幼女拉致かよ! レベル高ぇな!」
「まわりに女の子をはべらせてる男はひと味違うな!」


 科学と魔法が混在するスカイワールド。その第三軌道への鍵を手に入れた『覇者の御旗』はバクラヴェン島の遺跡へ向かうが、そこで扉の在処を知る『銀翼騎士団』のギルドリーダー・クァンタムからジュンに決闘を申し込まれる……。

 いよいよ高難度のイベントに挑むことになりますが、その前にやらなくてはいけないのがプレイヤー集団の大連合です。中立勢力の取り込みから第三軌道突入、霧の森へ。さらに大図書館の発見、新たな島へと、内通者を警戒しつつも物語の舞台は目まぐるしく移り変わっていきます。

 「バーチャルゲームから帰還できなくなった」タイプの話ですが、ゲームに挑むことそのものよりも、クリアするために味方を集め、敵対するプレイヤー集団は撃退し、中立勢力を引き込むことがストーリーのメインになっている気がします。どちらかというと信長伝とか太閤記の方に近いかも。主人公はあくまでゲームクリアのために重箱の隅をつついて徹底的にやっているだけに、そのギャップが味となっています。

【スカイ・ワールド】【瀬尾つかさ】【武藤此史】【ファンタジア文庫】【オンライン冒険ファンタジー】【MMORPG】【大図書館】【大浴場】【朴念仁っぽいロールプレイ】【霧の森】【ドラゴン】 【ガリアンソード】【リルガミンの遺産】
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「ノーゲーム・ノーライフ3」 榎宮祐

2014-06-10 | 異世界転移・召喚
 部屋の片隅から発掘されたらしく、やっとこさ手元に。というわけで読んだ順番は1・4・5・2・3……と。空が消えた、その存在が白の記憶にしか残っていないという「世界移動しちゃったのか!?」というところで終わっていたので、続きが気になって仕方がありませんでした……。

「本当に必勝とわかってるゲームなんか、ただの『作業』だ」
 そこには何の価値もないと空は初瀬いづなに語る。
 だからこそ全身全霊を賭けても勝てない相手を、いかに負かせるか工夫することは面白い。

 人類種(イマニティ)のすべてをチップにした獣人種(ワービースト)との戦いに臨もうとしているのに、空が消えた。携帯の記録はもちろんジブリールやステフの記憶からも空の存在は消えていた。人類種の王はシロ1人だというのだ。
 半狂乱になる白だったが……。

 ゲーマー兄妹の世界征服日記……みたいなもの。命がけのオセロは壮絶です。
 始まったときには勝敗はついているチートぶりは健在なのに、それでいて勝負の行方に毎回ドキドキさせられてしまいます。なんだろう、この話の引っ張り方の巧さは。
 やはり敵も味方も頭が良くて度胸のある勝負師や詐欺師やペテン師ぞろいで、それらが互いに裏をかきあって、さらにその上で読者の予想の上を行く展開がやってくるコンゲームは大好物です。
 それでなおかつ、あくまでゲームなんですよ。『  』は誰よりも狡くて賢くて容赦がないけれど、他の誰よりも十の盟約を理解しているところがポイントです。

【ノーゲーム・ノーライフ】【NO GAME NO LIFE】【ゲーマー兄妹の片割れが消えたようですが……?】【榎宮祐】【MF文庫J】【オセロ】【足を舐める】【裸の付き合い】【ぎゃる☆がん】【包囲網】
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「荒野に獣 慟哭す[1]」 伊藤勢

2014-06-09 | ホラー・伝奇・妖怪小説
「俺はもはやギャグ展開に乗るような精神的余裕がないんです!!」
 御門周平は夢枕獏に対して怒る。
 これに対して「ギャグもシリアスも同じものなのだよ。視点の違いに過ぎない」と切り替えされます。

 残酷な人体実験を内部告発しようとしていた若き研究者、御門周平もまた人体実験の素材とされ、記憶を失ってしまう。彼が脱出できたのは、レトロウィルス「独覚」によって異能を覚醒した異形の人間兵器「独覚兵」の一派が反乱を起こしたからだ。
 だが、研究所を蹂躙する独覚兵・招杜羅の目的の1つは御門を喰らうことだった……。

 困惑する主人公を置いてきぼりにしたまま、日米の国家規模の秘密組織から民間企業まで複数グループが入り乱れ、そこに夢枕獏っぽい作家やら伊藤勢みたいなマンガ家まで参戦し、誰が敵か味方か分からないままの殺しあいが続きます。でも、その合間にヒューイ論争したり、あちらこちらで名物食べて回って、釣りをして、そんな横道に逸れていても全体の雰囲気は変わらないし、ハードなストーリーがちゃんと進んでいくのです。

 エログロの伝奇バイオレンスの大家、夢枕獏の原作を、シリアスとギャグを見事に融合させた伝奇アクションコミックを描く伊藤勢がコミック化。掲載誌の休刊で中断していたものの、なんとか復活。今回、徳間文庫から再リリースという運びに。嬉しい。文庫だと小さくて読みにくいのが難点で、これは完結してからの豪華愛蔵版を期待したいです。

「朝のこない夜はない!」
 夢枕獏の言葉。ただし、これには「人の一生より長く続く夜もざらにある」といったんギャグで落として、そこからさらに名セリフへと続くのだけれど。

 とりあえず今回はマガジンZ版の3巻までを1冊に。ろくに登場していない薬師丸法山が表紙ってどういうことさ?

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「クラウド・コレクター」 クラフト・エヴィング商會

2014-06-09 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
 クラフト・エヴィング商會を初めて知ったのは、地図専門の雑誌「ラパン」での連載記事でした。
 「大江戸火星人地図」とか、実際に存在しない地図をさも実在しているかのようにでっち上げ、それに対するもっともらしい記事をつけたものでした。あるお泊まりイベントで、その地図をネタにゲーム企画を1本みんなででっちあげてしまったこともありますが、それくらい面白く、インパクトがありました。

 こういう本気の遊びが好きなので、他に記事はないか、本は出していないかと探していてみつけたのがこの本。

 クラフト・エヴィング商会の先代、吉田伝次郎が愛用していた古い皮トランクから発見されたのは、「アゾット行商旅日記」なる10冊の手帳だった。
 そこに記載されていたのは不思議な国アゾットでの旅行記であり、「おみやげ」として遺されていた酒の空壜らしきものやら奇妙な小箱、得体の知れない機械などの図版を交えてアゾットの様子が再構成されていく……。

 面白いけれど、本は本として独立しているので、同じようなことをやっていても雑誌企画とは違うなと確認しました。水路測量の話とか、ロードマップの蘊蓄とか、観光地のイラストマップとか、普通にあたりまえの地図にまつわる記事があれこれ載っている中に、しれっと大嘘をいかにも本当っぽくまとめた記事がホンモノの古地図の記事などの間に載っているからインパクトがあったので、それだけまとまっていてもなんというか、普通の都市系ファンタジーの資料風の本でしかありませんね。
もちろん、クラフト・エヴィング商會の作品を順番に買いそろえてしまうくらい面白かったのですけれど、雑誌で見たときの興奮はなかったのでした。

【クラウド・コレクター】【雲をつかむような話】【クラフト・エヴィング商會】【筑摩書房】【すぐそこの遠い場所】【古ぼけた手帖】
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「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(9)」 渡航

2014-06-08 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「わからないか。ならもっと考えろ。計算しかできないなら計算しつくせ。全部の答えを出して消去法で1つずつ潰せ。残ったものが君の答えだ」
 比企谷は人の心理は読み取れるが他人の感情は理解できていないと平塚静は断言する。だから間違える。ならばもっと考えろと。

 総武高校が海浜総合高校と合同でクリスマスイベントを開催しなければいけなくなり、やる気の無い新生徒会長には大任過ぎると奉仕部にヘルプ要請が来た。
 けれど、今の奉仕部の空気はどこまでも白々しくて、空虚な言葉しか行き交わない。
 生徒会選挙の依頼を引き受けた時、依頼は果たしたものの、やり方を間違えたことは比企谷は理解していた。だが、その間違いを正そうとして、結局比企谷は今回も同じやり方を選んでしまう……。

 痛い。
 内容的にはいつもと同じなのだけれど分量が2割増しなのは、その分比企谷八幡がずっと自問自答しながら悩んでいるから。文学だよね。親友と三角関係で悩んだり、人妻に恋慕してうじうじするのと同じで、ただ自分の心の中身がよく分からないまま、他人の心の中を探ろうとして陥る自家中毒。
 でもそれをそっと押しやってくれる大人がちょろっと顔を出してくれるところが、ジュブナイル的かな。平塚先生、大人だなー。どうして結婚できないんだろう。

【やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。】【渡航】【ぽんかん⑧】【ガガガ文庫】【クリスマス会】【東京ディスティニーランド】【ブラックサンダーマウンテン】【賢者の贈り物】
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「ノーゲーム・ノーライフ2」 榎宮祐

2014-06-07 | 異世界転移・召喚
「この世に、運なんて存在しない」
 空はきっぱりと言い切った。彼らは何事も運任せにはしない。

 5巻を読んだ頃合いで2巻が発見されたので、そのまま読み始めます。
 それで思い出したのは映画『メル・ブルックスの命がけ!イス取り大合戦』のこと。なんとなくイス取りゲームをやって負けたら死ぬ……みたいな話だと期待して観たら、原題が『The Twelve Chairs』とあるように散逸した12脚の椅子の1つに隠された宝石をめぐるコメディで、ゲームの話では無かったのです。
 メル・ブルックスは面白いから『ゲーム・プレイヤー』のときほど損とは思わなかったけれど、期待したものとはやはり違っていて、こういう積み重ねがあったからこそ『ノーゲーム・ノーライフ』が面白く感じてしまうのかなあ。
 とりあえず今回は『命がけ!しりとり大合戦』でした。

 ゲームで全てが決まる世界ディスボードに召喚された空と白は瞬く間に人類種(イマニティ)の王座につくや、内政ゲームで培った知識で政治的経済的な地盤を固め始めた。もちろん反動勢力も現れたが、そこは暴君となって一掃。既に次の獲物に目を付けていた。獣人種(ワービースト)……つまり獣耳少女の国であり、世界第3位の大国でもある『東部連合』がそれだ。
 しかし獣人種は相手の心が読めるとされていて、エルキアの先代国王は見事に8連敗して国土の大半を失っていた。
 そこでまず獣人種のゲームに関する情報を求めて国立エルキア大図書館へと向かうが、そこは天翼種(フリューゲル)の少女ジブリールがやはり先代国王からゲームで巻き上げたエリアだった。
 果たして先代国王は単なる無能だったのか……。

 現実世界では単なるニートでヒキコモリ、でもネット上では都市伝説とまで囁かれる天才ゲーマー兄妹が“神”を名乗る少年に“ゲームで全てが決まる世界”に召喚されたことから始まる物語。

「人類の可能性は無限。ただ、プラスにもマイナスにも無限なんだよ」
 空は人類を信じない。ただその可能性だけは信じる。信じなければ始まらない。

 今回の敵はとりあえずビブリオ・マニアの天使みたいな悪魔のような天翼種でした。

【ノーゲーム・ノーライフ】【NO GAME NO LIFE】【ゲーマー兄妹が獣耳っ子の国に目をつけたようです】【榎宮祐】【MF文庫J】【最も新しき神話】【しりとり】【全年齢対象】【ポケットの中のモンスター】【カードカウンティング】【犬・ノーパン】【ルー大柴】【未知】【淫語】
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「ソードアート・オンライン14」 川原礫

2014-06-06 | VRMMO・ゲーム世界
「過程こそが重要なんだ。這いつくばって死ぬか、剣を握って死ぬかがね。俺たちは……人間だからな」
 “黒の剣士キリト”はアドミニストレータに啖呵を切る。

 キリトと整合騎士アリスはついにアドミニストレータの前に立つ。
 だが、そこに傷ついたユージオが……。

 筆が乗ってるアリシゼーション編も6冊目にてついに決着!……と思ったら、アリシゼーション編の人界編の終わりであって、もうちょい続くそうです。知らない間にリアルワールドの方でも大騒ぎがあって、もうちょいがどこまで続くか気になるところです。

【ソードアート・オンライン】【アリシゼーション・ユナイティング】【川原礫】【abec】【電撃文庫】【MMORPG】【WEB小説】
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