皆の目線はある一点に集中している。点火である。
ご覧のように年配の方が多い。当然といえば当然。以前は祝日だったが今では平日だ。誰が好き好んで仕事を休み、学校を休んでまでぜんざいを食べに行こうなどと思うわけが無い。
振る舞いを手伝う方たちは割烹着だ。やはり昔のお母さん達はこの姿が好い。中に一人ジーパンを穿いた若い女性がいたが、彼女はエプロンだった。私も古い人間の部類に入るのでやはりこの姿には違和感がある。
皆の目線が集中している先はこれだ。一見ゴミの山だ。どう見てもやはりゴミの山だ。しかし、お払いをし、塩とお神酒で清められ、ゴミではないのであろう。
まあそれは問題ではなくようやくぜんざいに漕ぎ着けたわけだ。
問題は皆が一斉にぜんざいに群がると言うことなのだ。女性が殆どだから甘いものには目が無かろう。これから凄まじい光景を目の当たりにするのである。私などは大きな図体をしていても少し遠慮がちなので、落ち着いた頃を見計らって行くことにした。