オバマ氏優勢のまま、民主党の大統領候補選びは終盤戦になってきた。今月中にも、決まる勢いだ。オバマ氏には、結構不利な材料も出たが、ここまで優勢を維持している。クリントン氏を副大統領候補にという話も浮上してきた。
まだ、若く、実績もないオバマ氏がここまで来たのは、その著書の影響も多いのではないか。
政治家になるまでの自伝である”マイドリーム”、そして大統領を目指すことを意識して書いた”合衆国再生”。原題が”The Audacity of HOPE"だから、”大いなる希望を抱いて”という副題の方が、原題に近い。
政治家というと、独特の駆け引きの世界というイメージがつきまとうが、オバマ氏の場合それが、全くない。地縁も、血縁も、資金も何もないところから、彼の理想に共鳴した人々の支援のみで、ここまで来た。しかも弁がたつ。
”アメリカという国の天才的特質は、新しくやってきた人々を吸収し、アメリカの海岸にたどりついた共通点のない人々から国家として独自性(アイデンティティ)を築き上げていく力にあったと思っている。”というフレーズがあったが、オバマ氏の生い立ちは、まさにこのアメリカの天才的特質を象徴している。
ワシントンから離れたイリノイ州で、政治家としての第一歩をスタートしたのも大きい。ワシントンで、第一歩を始めていたら、既存政治の枠組にはまっていたかもしれない。
日本でも、既存の政治の枠組、官僚の助言に頼らない、確固たる理想を持った政治家が出てくれば、絶大なる支持を集めるような気がするのだが。
オバマ氏は、1980年代後半に、シカゴのシドリー&オースチンという弁護士事務所で仕事をしていたそうだ。大手事務所だったから、私も、利用させていただいていた。当時は、オバマ氏はまだ最若手の弁護士で、出会うチャンスはなかっただろうが。