
古代史ブームが続いている。
古代史の最大のエンターテイメントは、豪族たちの争い。
その中で、蘇我vs物部、蘇我vs藤原は、今の日本国の成り立ちに大きな影響を与えた。
蘇我氏は、古代史のキー豪族なのだ。
そんな中、蘇我氏を主題にした新書が、立て続けに出た。
本書は、その内の1冊。
結構特色のある本と言っていいだろう。
蘇我氏の歴史を、名をなす以前から、平安時代まで、より長いスパンで捉えている。
蘇我氏が、大化の改新で、滅亡したのではなく、その後も、重要な豪族で有り続けたことを知った。通常、メインから外れてしまうと、記述ががくんと減るので、見落としがちだ。
石川氏として再生したことや、藤原氏の権力の握り方が、蘇我氏の方法とのコピーであることも、なるほどと思わせる。
それから、普段気づかない蘇我氏に関係する遺構を細かく追っている。
写真はみな著者によるというから、古文献から、場所を特定し、自らの足で、現在の様子を、確認して回ったということだろう。
残念ながら、完全に市街化されてしまっているところも多い。
現代だったら、開発される前に、発掘作業が行われるところだ。
先日の由比ガ浜での発掘現場などまさにそのケース。
本書を片手に、蘇我氏の歴史に迫ったら、古代史の真髄に近づけるかもしれない。