本書は、本屋で見つけた。
目次を見たら、古代史の興味のあるテーマに添って、その道の第一人者がそれぞれ述べる構成になっていて、面白そうだったのでゲット。
読んでみたら、まさにそのとおりで、面白かった。
古代史入門者も本書を読めば、古代史ファンになること間違いなし?
どのテーマが面白かったかを言われても難しいのだが、有史以前の古代史の本はずいぶん読んできたので、平安時代の摂関政治の話とか、桓武天皇の話、奥州藤原氏の話など面白かったかもしれない。
我々が、日本史で習ってきたことは、その後の発見、研究により、大きくその理解は変わってきている。全く違って来ていると言っても過言ではないかもしれない。
桓武天皇は、平安遷都の天皇として名を残すが、蝦夷討伐と、平安の街づくりで、人民は疲弊し、頓挫した。しかし、その背景には東アジアへの脅威が減少したこともあり、結果的には、その後明治維新まで続く都となった。
摂関政治と言ってもその定義は曖昧である。ネガティブなイメージと捉えられることが多いが、実は、この制度が、天皇家の力を支え、天皇家が今まで続く王朝とする原動力となった。
奥州藤原氏の権力は、京文化を東北に花開かせたと言われているが、その後、大規模寺院の後が次々に発見され、その規模は、従来知られていた規模を凌駕するもので、独自の様式も生み出していたことがわかってきた。その暮らしぶりも、京のそれと遜色ないもので、東北の財力が様々な交易を通して(もちろん金が取れたこともあるが)、巨大なものになっており、中央が放っておける規模を超えてしまったことから悲劇になった。
一つ一つのテーマが1冊の本にできるようなテーマなので、やや食い足りない部分もあろうかと思うが、参考文献も多数紹介されており、そちらもどうぞという仕立てになっている。
読みやすいし、面白い。