暑い日が続く。
存在するだけで、消耗する。
ポールのアーカイブシリーズは、何作目になるだろうか。
一応全部揃えているはずだが、今回のもまたヘビー。
Flaming Pie。
出た当時は、個人的に多忙を極めていたころで、全く見向きもしなかったのだが、一方で、アンソロジープロジェクトや、ポールのその他の活動が活発になっていた時期でもあり、ジョンの死後、静かだった動きが、復活してきた時期と認識する。
たぶん初めて通しで聞いた。
その後、ツアーなどで取り上げられることも少なく、インパクトは、少ないのだが、佳曲が多い。
ピュアマッカートニーというポール自身が選んだベスト盤にも、多くの曲が取り上げられていた。
それで、本セットの中で、メイキングとか、PVとか、その他情報がどんどん重ねられるので、さすがポールと言いたくもなってくる。
とにかくサービス精神旺盛。
CDがたくさん入っているのだが、1枚目がリマスター版で、2枚目、3枚目がアンソロジー的な制作過程の音源。
ただ、元々ポールのソロプロジェクトでもあり、制作過程の音源を聞いてもあまり驚きはない(ビートルズの場合、最初の段階と、最終段階で、変化が大きい)。
同じような音を、繰り返し聞かされている感じ。
おまけがやたらに多く、値段がはる原因になっている。
これは、曲ごとの演奏者リストだが、こんな立派なものにする必要は、ない。
楽器の写真のカードなどもたくさん。
ポールの当時のファン誌であるサンドウィッチの復刻盤。
この雑誌は、廃止になり、現在は、WEBでの情報発信になっている。
このFLAMING PIEとい題名の由来を迂闊ながら知らなかった。
先日入手した、マージービート創刊号で、ジョンが、Beatlesのグループ名の由来について、Flaming Pieに乗ってきた男が告げたというジョークから来ているのだそうだ。
Beatlesの名の由来については、諸説あり、アンソロジーでは、映画のセリフから来たということになっているが、ジョンのアイデアというのが本当らしい?
こちらは豪華写真集。
リンダのベジタリアンレシピ付き。
リンダの乳がんが発見された時期と重なり、ひじょうに苦しかった時期となるが、そんなことはおくびにも出さず、制作活動に集中している。
リンダの映像も多いが、ポールと心底楽しみながら本アルバムを制作していることがわかる。
本アルバムに収録されている曲は、1990年代半ばのものから、寸前に完成したものまで、数年に渡って書き溜めていたものだ。
歌詞のオリジナルの複製。
凝りすぎ。
CDの4枚目、5枚目は、ひじょうに面白い。
4枚目は、当時の別プロジェクトの音源で、骸骨のバラードは初めて聞いたが、最初ボブディランかと思った。
その他未発表曲も多く収録されていて、ワイルドなサウンドが楽しめる。
最後は、ウブ・ジュブの1~6だが、これは、当時のポールがDJをしたラジオ番組の音源らしい。
説明書きが全くなく、推測するしかないのだが、WIKIで調べると出てくる。
5枚目は、ポールがアビーロードスタジオにある楽器、設備類を紹介するものだが、これも面白い。
アビーロードスタジオならではの楽器もあるし、その楽器からどのような名曲が生まれたのかも、ポール自身から紹介される。
メロトロンは、今は、シンセサイザーが出て使われていないが、当時は、画期的な楽器だった。
単音しか出せないので、リンダが、片手で演奏していたと言っていたが、本当なのだろうか。
また、オーケストラの音がコンピューターで出せるようになり、ポールのオーケストラ曲もここで作られたそうだ。
4トラック時代の制作技法も説明してくれた。
とにかく原始的だった。
Flaming Pie のイメージの炎。
このパッケージに、CD5枚と、DVD2枚と、歌詞冊子が収納されている。
歌詞冊子では、各曲の紹介が丁寧になされている。
DVDの1枚目は、当時出たIn The World Tonight ビデオのDVD版。
2枚目が、今回新た作られた続編みたいなものだが、合わせて見ても楽しめる。
メイキングや、PVや、音源にもあったアビーロードスタジオの紹介や、当時取り組んでいた絵画の話や、オーケストラ用の曲の話や、サーの称号授与の話や、プロモライブの様子や、インタビュー番組の様子や、ジャケット制作過程の様子や、とにかく興味深い話のてんこ盛り。
リンゴとの共演や、ジェフ・リン、ジョージ・マーティン、ジェフ・エメリックとの制作過程も興味深い。
息子のジェームスの演奏の様子まで出てくる。
ということで、ちょっと高いけど、ビートルズファンには、マストな商品になっているのではないか。