19期生の田中です。
先日、実家へ帰る際に寝台列車のサンライズ出雲に乗車しました。
チケットは乗車日の1箇月前の10時に販売開始となるのですが、とても人気があるため、販売開始と同時に売り切れとなります。このため、チケットを入手するためには、みどりの窓口に9時半ぐらいから並び、駅の担当者に10時打ち(10時ジャストにチケットの手配をしてもらうこと)をお願いする必要があります。私が狙っていたツインは残念ながらゲットすることはできませんでしたが、幸いにしてシングル2部屋をなんとか取ることができました。
寝台列車はブルートレインが有名ですが、高度成長の1970年に一大ブームとなり、「さくら」「はやぶさ」「みずほ」など多くの列車が走っていました。しかしながら、新幹線の開通や航空網の整備、高速バスの台頭などにより、1990年代以降、人気は衰え、最後まで残っていた「北斗星」も2015年8月22日をもって運行を終了いたしました。
ブルートレインとは対照的に人気を博していた寝台列車としてトワイライトエクスプレスやカシオペアがあります。こちらは豪華列車として、富裕層を中心に需要を取り込みでいましたが、北海道新幹線の開業にともない、線路の使用が不可能となったため、こちらも廃止となりました。
サンライズ出雲に話を戻しますが、見た目は豪華な寝台列車に見えますが、中身は従来のブルートレインとあまり変わりません。しかしながら、サンライズ出雲は今では10時打ちをしないとチケットが取れない人気列車となっています。
一つの見方として、これは残存者利益の定義に近いのではないかと思います。残存者利益の定義は、「過当競争や縮小傾向にある市場において、競争相手である他社が撤退した後、生き残った企業のみが市場を独占することで得られる利益のこと」とあります。今回の事例は、自社競合ではありますが、他の寝台列車が撤退した結果、唯一生き残ったサンライズ出雲が市場(ニーズ)を独占したということです。
市場は縮小したものの、スピードではなくゆっくり旅行を楽しみたいや、最近流行りの豪華列車は高すぎるので普通の寝台列車に乗りたいというニーズはあることから、サンライズ出雲はこれからもこうしたニーズを独占すると思われます。
最後に、サンライズ出雲の乗車は、岡山まであっという間に感じましたが、東海、山陽の景色を堪能でき、いい思い出となりました。