CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

田村はまだか

2009-07-07 22:33:52 | 読書感想文とか読み物レビウー
田村はまだか  作:朝倉かすみ

久しぶりに普通の現代物小説を読みました
いや、普通のっていうのはなんというか
色々間違ってる気がするんだが
サスペンス、いやさ、謎解きのそれとかでなくて
ただ、淡々とした日常を切り取ったような
普通のお話、それでありました

正直、こういうタイプの小説は
初めてかもしれないと思ったのですが
すげー前に、藤堂しづこの読んだなと思い出したので
そのあたりはいいとしつつ
40をまたぐ男女が、小学校くらいのクラス会を開いて
なんとなし、「田村」という同級生をまちながら
その当時から、その時にいたるまでのそれぞれの思惑を
語ったり、思ったりするというお話
退屈といえば退屈だし、まだ私がその年齢じゃないから
どうともとれないといったらそれまでなんだが
みっちりもっちりしておりました

最初に「田村」について、あれこれとみんなが語るシーンから始まり
それによって、田村という人物がうすらぼんやりできてきて
次第にはやく、その田村がこないかしらという気分になって
合い言葉のように「田村はまだか」なんて
文章中に、いや、会話のなかにわざとらしく出てくるのであります
正直、それでまぁ、なんというかな、途中でげんなりしたというか
あうー、つまらない
なんて思っておったのでありますが、読んでいくにつれて
酔っぱらって誰かの話をしてるときって
思いの外こういうもんだよな、しかも
当事者には面白いよなぁと、ぼんやり傍観者として読むと
なかなか面白く、それぞれの妙な背景というか
どこかで、ロマンスめいた何かがあったというお話が
ひとつふたつみっつと重なっていき
なんか、どろどろして煮詰まった頃に「田村」が…

という小説でありました
最後の部分なんか、こう、どうしようもなくなった所に
大きな転換がきて、なんか、おお、どうしてしまうんだ
まさかそんなわけないよなと、オチにおびえつつ読んで
まぁ、ステキに終わると
個人的に、期待通りというか、予想通りとは異なる
ああ、それでいいんだ、そういう話じゃないとな
とか思うような展開でステキでありました
読後感が爽やかとか、すげー面白いことがあったなんてのは
まったくなかったのであります
やっぱり恋愛小説っぽいのはどうもな
なんて、頭をかきつつ、そういうのを文句でもなく
ぶつぶつ言いながら読むようになってしまった自分に

なんというか、登場人物の誰ソレをあてはめてしまうのでありました
もやもや感とは違うんだが、不思議な読後感であります