CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】モンスターU子の嘘

2014-01-30 20:56:13 | 読書感想文とか読み物レビウー
モンスターU子の嘘  作:越智月子

なかなか面白い小説でありました
題名のとおり、モンスターと呼んで相違ない
そんな恐ろしい女U子こと、詩子
この女の嘘が真実かわからない生き様を
何の因果から、いろいろと探ることになった男と
探っているさなかに、まさに、嘘に絡め取られていく
女や男なんかの有様、生き様みたいなのを描いた
なかなかスリリングな小説でありました
しかも、私が読んだかぎり
まったくオチてない、いや、なんだろう
それで終わったのか?
難しいというか、どっか読み落としたんじゃないかと
不安になってる現在であります

結局、この女は何者だったのか、
それはまったく理解できなかったのでありますが
嘘と真実が入り混じっていると思われる
様々な事柄のオンパレードに、
どうにも、そういったことはさして重要ではないと
そう騙されてしまうかのようにして、
どんどんと物語は進んでいく
正直、読んでいて、内容と同じく、
これはうそ臭い、これは本当かも、ああ、騙されてやがるとか
あれこれ楽しめるものの、それらの答え合わせは
何一つ行われないという、恐ろしい話しでありました
本当はどれだったんだろうか、
どれでも
どれだったとしても、関係がない話しだったんだろうか
凄く描かれているし、
なんとなく、そうしそうだというキャラクタまで掴めているはずなのに、
そのキャラクタの考えが理解できないという
稀な体験をするのでありました

実際は、この女自体も騙されていたんじゃないかと
思わなくもなかったり、なんというか
さっぱりわからないそれこれであったのですが、
もしかすると、昭和という時代は
そういう人がいっぱい居たと、
そして、そういった昭和の象徴だったものが消えていく
まさにその時代を描いていただけに
なんか、もっと深いメッセージが眠ってんだろうかと
知恵が足らないと楽しめない
そんな小説なのかもしれないとも思うのでありました

ともあれ、自分の母親よりは少し上の世代だけど、
なんというのかな、誰が何をしたかったのか、
娘は本当のところ、何を知りたかったのか
そんな、うやむやとしたまま終わったのでありました

ちょっと、よぎった事件とか感想とかもありますが、
あまりにも推量にすぎるので書けないのですが
どうにも、もやもやした読後感であります

【読書】教場

2014-01-29 19:57:14 | 読書感想文とか読み物レビウー
教場  作:長岡弘樹

警察学校を舞台にした小説ということで、
なかなか興味深く読ませていただいた
そんな具合であります
サスペンスのようでもあり、推理もののようでもあり、
人間ドラマでもありながら、成長を描いた作品であった
そんな具合で、非常に楽しめました
これは、かなり面白い小説だったのではなかろうか

思いっきり清清しい気分に浸れるなんてことは
まったくありませんし、読後感もよいとは言い切れない
そんな、独特の印象をもった内容であります
警察学校で、生徒の側を描いているものの
そのどの物語にも、どの事件にも必ず現れる
ある教師の存在が、不気味といえばいいのか、
読み手で、完全にその物語と離れているにも関わらず、
存在感といったらいいのか、
常に見張られているかのような緊張を覚える
そういう、居心地の悪いものを感じるのでありました

内容は、警察学校内で起こる様々な事件、
ほとんどが、人情のもつれであるものの、
どれも陰鬱な事件にまで発展してしまうのでありまして、
それぞれは、解決するものの、なんというか、
どうもあとくされの悪いといったらいいか、
一つ一つが重たくのしかかってくるようでありました
ただ、それらの事件が最終的には
成長と呼んだらいいのか、その事件の先が描かれることによって
なんか、よかったような気がするという
よくわからない気持ちになるのでありました

ともあれ、警察学校というのがどういうところなのか、
その、なかなか骨の太い酷さみたいなのが、
そこかしこから漂ってくるようで、
なかなか軍隊生活に近いそれは楽しそうでもあるなと
近しい経験をした身としては、考えさせられるのでありました
しかし、出てくる人物が、
警察学校であるにも関わらず、30がらみのおっさんとかばっかりで、
まったくフレッシュ感がないのも凄いところだと
読み進めて、重さと汗臭さみたいなのを
感じるのでありました

良作でありました

【読書】魂が震える話

2014-01-27 21:21:06 | 読書感想文とか読み物レビウー
魂が震える話  著:ゆうけい

日ごろなら絶対読まないような
物凄く苦手な分野の本であります
実話系感動話の本
もう、本当に、嫌いといってもいいくらい
物凄く不得手な内容ですが、
そういう先入観からの好き嫌いによって、
自分が小さくまとまっているというか、
新しいことから遠ざかっていると一念発起して
とりあえず読んでみたのであります

やっぱり苦手だ

まぁ、そんなもんでありますが、
案外耐えられるもので、この本については、
そんなにぼろぼろ泣くほどの話ではなく、
非常に明るく、あとくされのない話ばかりで
物凄く泣けるというわけでなかったのが
私としてはよかったのであります
ありていに言うと、よくある話といいますか、
聞いたことあるような話しと
まぁそんな按配

基本的に、親が~とか、祖父母が~とか、
血縁関係のそれこれ感動話しが
まぁ苦手というか、それだけで泣いてしまう
涙腺が弱りきったおっさんのため、
どうにも、そういうのを読むのを敬遠していたのですけども、
今回のこれは、確かにそういう話でありながらも、
割とさばさばしているというか、
短いおかげなのか、あんまりにも
ぼろぼろ泣くような話はなくて、
ありがとう、これからもがんばって生きていこう
といった、前向きメッセージとして読めて
ああ、これならばなどと
思ったり感じたりだったのであります

はたして、この感想で、この本をちゃんと評価できているのか
それはわからないものの、なんとなし
読めたというそれだけで、個人的には
すごく満喫できたといいますか
一つ、壁をやぶったようで、楽しく思うのでありました
なんだかな

軍師官兵衛  新しき門出

2014-01-26 20:41:23 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」
視聴完了いたしました
嫁と出会い、嫁にするまで
そんなあたりであります

ゆっくりした展開だ
そう思わずつぶやいてしまったのでありますが、
しずしずと時代が進みというふうに見えながら
年代としては、結構あっという間に進んでいるという
これはそれでいいんだろうかな、
しかも次回には子供が生まれるとかなるなら
ここくらいまで子役でやっといた方が
よかったんじゃないかなどと
いろいろ考えてしまいましたが
ともかく、あれよあれよと、信長が美濃を落とし、
上洛間近といった様相
こう見ていますと、
やっぱり信長の時代の人というよりも、
秀吉の時代の人だったんだなと
考えさせられるものでありますね

相変わらず乗馬シーンがうまいなぁなんて
手綱ももたずに、矢立片手にいるさまなんかを
感激してみていたのでありますけども、
思ったよりも光が、おてんば風で出てきたのが衝撃というか
ギャグパート入りしてきたというのが
思惑と違っておりまして、
そうか、その方面で見せるのかと
恐ろしさ半分、期待半分であります
キャラ付けというか、そのあたりがうまくいかないと
嫁パートが見てられなくなってしまう
今後、見守っていきたいのであります

狩のシーンで、本当の雉だと喜んでみていたのですが、
よくよく考えると去年も、こんなシーンで雉が撮られてたなと
思ったりなんだったりなのであります

とりあえず来週の戦シーンを楽しみに控えつつ
本格的に官兵衛の歴史というか人生が動くのは、
秀吉に出会ってからなんだなと思わされつつ
小寺の殿様に、幼い息子を頼まれるシーンは
なんとも、象徴的に秀吉の際に生きてくるのかなと
伏線として期待しつつ
メモっておくのでありますところ

【ドラマ】足尾から来た女

2014-01-25 22:14:55 | ドラマ映画テレビ感想
骨の太いまじめなドラマでありました
二週続けて食い入るように見てしまった
面白かった、凄くよかった
でも、地味でまじめすぎて、流行ってねぇだろうなと
そんなことも思ってしまった

火の魚のときと同じ印象といっていいのか、
何かしら、モノローグとともに動いていく世界というのが
なんとも、オノマチに物凄くあってるというか
実際のところ、ああいったオノマチばっかり見てるせいで、
今回もぐっと持ってかれたと満足なのでありますが、
なかなか、深くて難しい内容だったように思います

運よくといっていいのか、
大きくメディアというものがそう傾いているのか、
最近、近代社会主義の本をいくつか読んでいたおかげで、
大逆事件とまでいわずとも、
いわゆる、幸徳秋水をはじめとする社会主義者のこと、
それが理解できたのは楽しかったところであります
描き方が、露骨すぎるようにも思えましたが、
その闘争と呼んだらいいのか、
主義思想に躍る様を、ほとんど主義思想を歌わせずに見せる
それがまた、サチの視点ぽくできてて、
なんというか凄くよくできてんなと感心しきり

てっきり、足尾銅山ものの内容かと思えば、
確かにそれを描き、社会主義闘争をかじりと、
そんな風であるにも関わらず、
そういったステレオ的なものではなくて、
もっと根本の、いち市民的なそれが
どう生きたかみたいな、ドキュメンタリめいたそれが
説教くささのない、まじめでステキな話しに
なっていたと思うんだが、
どうなんだろうか、なんか、本読みすぎて
私の頭、および、感想がおかしいんだろうか

そんなことを思ったりしてしまいながらも、
ともかく、メッセージというか、
何かしら思うところを喚起されたという点において
凄くよいドラマだったんじゃないかなと
なんか、偉そうな基準で感想を語ってしまうのでありました

そんな小難しいところは別にして、
石川啄木とかが出てきて、さらっと文芸に触れてくれたのは
なかなか楽しいというか、嬉しいところでありまして、
正直、石川啄木なんて人、ほとんど知らないんだけども、
これを機会に、なるほど、社会主義に傾倒してたのかと
そんな余計な情報を得たりしたのでありました
しかし、見ているかぎり、聞きかじった
芥川龍之介と変わらない生き様に見えたんですが
あの頃の、物書きというのは
ああいった手合いなんだろうかなと
思ったり感じ入ったりするのでありましたとさ

しかし、みんな上手い役者さんばかりで
なんだか、よいものを見たと思えるのでありました

【読書】君に友だちはいらない

2014-01-24 22:14:25 | 読書感想文とか読み物レビウー
君に友だちはいらない  著:瀧本哲史

啓発系の本であります
タイトルは、よく読んでみるとわかるという話でしたが、
もうひとつ、題名と内容の相関が感じられない
そんな具合で残念でありました
しかし、仲間を探し、それらとのかかわりによって
大きな仕事を成してみようと、そんな感じでした
優れた仲間との間にいないと、
人間がどんどん劣化してしまうと
そういうことを危惧した内容であります

それとは、はっきりと書いていなかったものの、
友達という馴れ合いのそれらではなく、
仕事のための集団に身を置いて、
それらを仲間と呼んで、より切磋琢磨していくべきであると
そんな話しを、七人の侍を引き合いにだしつつ、
挿絵というか、イメージ写真に使いつつ
あれこれとレクチュアされるのでありました
いくつかのパターンで、そういった集団や
仲間のあり方を説明していますが、
場面が違うだけで、シンプルに上述の内容を
あれこれ説明しております

まぁ、実際そうなんだろうし
そうでないといかんという論旨は重々承知のすけでありますが、
これがまた、そういったところに身を置く、
覚悟といったらいいのか、なんか、
そういうものについては、人それぞれの何か、
まぁ、よくある、話し方の本とかのそれと同じ根底が
見え隠れしまして、こういうのは
どうにも、自分には残念な具合だと思ってしまうところ

しかし、チームで働くということの意味と
常に、その場に身を置いて生きていくという
なんとなし、聞きかじったアメリカ人のような生き方というのは、
どこかあこがれといいますか、読んでいて、
なるほどかっこいいなんて、思ってしまうのも確かでありまして
そういう、かっこよさを読めるという点において
なかなかよいのかもしれないと
思ったりの感想を抱くのでありました

【読書】心配事の9割は起こらない: 減らす、手放す、忘れる「禅の教え」

2014-01-21 19:51:38 | 読書感想文とか読み物レビウー
心配事の9割は起こらない: 減らす、手放す、忘れる「禅の教え」
著:枡野 俊明

お坊さんの本でありました
よくある、セラピー的な効用が見込まれる内容で、
禅の教えから、いくつかピックアップして、
軽い気持ちで生きてみましょうと
まぁ、そんなことを語りかけるような本であります

仏教に詳しいわけではないので、
実際どんな教えがもとなのかはわかりませんが、
何か困ったことがあれば、とりあえず、
お坊さんに尋ねてみれば、何かしらありがたい言葉で
導いてくれそうだと、そう思えるほど
かなり広範囲の心配事を解決してくれる文言集であります
もしかしたら、どれかの言葉同士が、
矛盾したりということもあるかもしれませんが、
そういうことではなく、パラダイムシフトさせるような
あんまり根をつめすぎないで、
とりあえず仏様の教えにすがるというか、
説いてもらうことで、何かしらすっきりする
そんなことを、それこれ説明されたように想います

よくきく、いわゆる説教の内容というわけなので、
目新しく、これで心軽やかになった!と
快哉叫ぶような感動はなかったものの、
やはり、どこか許されたような気分というのは
気持ちが楽になる気がしまして
読んでいて悪くない気分に浸れる
よろしい内容でありました

ただ、まさに説教のそれそのままというところなので、
うっかり何かしながら読んだりすると
さっぱり頭に残らないというか、
耳あたりがよいといいますか、するりと落ちてきて
なるほどと思うところで終わってしまって
中身が残ってこないのが残念でありましたが
何か、思い悩んだりしたときに
今一度読んでみようかなどと、思ったりするのでありました

ドラマ glee3

2014-01-20 20:09:32 | ドラマ映画テレビ感想
NHKの海外ドラマ「glee」のシーズン3が
先日終了いたしました
もう、大団円というか、実質の最終回でありますね
この後、2シーズン続くようですが
それはもはや、蛇足なんではなかろうか
そう信じたいのでありますけども
とりあえず、3期が終了して、大きな転機を迎えたと
まあ、そんな按配でありました

内容は、1期、2期と比べると、もう先がわかっているというか
この流れなら、とりあえず州大会はおろか
全米チャンピオンも間違いないなと思わせるところ
実際そのとおりに進むというか、
1期や、2期のような、大会ごとのハラハラ感が
まったくなかったのは残念でありましたが、
それはあまり重要ではないというか、
いや、非常に重要なファクターなんだけども
やっぱり、このドラマに関しては、
なんかわからないけど唐突に織り込まれる
アメリカの事情というか、そういった社会風刺めいたことを
露骨に、コメディに、安直にといった具合で
ぐりぐり塗りこんでくるのがステキでありますね

成長物語という側面においては、
パックの扱いが、個人的に好きなストーリーである
友情物の鉄板内容だったので満足でありましたが、
マイノリティ問題に、さらにのっけてきたというか、
サンタナとブリのレズビアンカップルの話しは
なんというか、結構ヘビーな具合だったと衝撃でありました
知事選に載っちゃうというのも
茶化し具合としては凄かったけども、
それをスーと一緒にまぜこぜにして描いた挙句、
おばあちゃんには許されない

そう、許されないという展開だとは夢にも思わず
ここで保守というのが描かれていたんだよなと
アメリカずれしていくのでありました
実際はどうあれ、テンプレを描いてくれる
それが楽しいドラマという楽しみ方において
非常にインパクトがあったのでした

あとは、高齢出産にダウン症のそれを載せたり、
もっとも、ここに関しては心配されることもない
スーを使っていたら、心配するような展開にならないと
思わせておきながらも、スーにライバル用意したりとか
まぁ、アメリカドラマは忙しいと
なかなか楽しませてもらったのでありました

そして、まさかのビーストにDVの問題発生とか
予想もつけられなかったけど、
そうかそれ描いておかないといけない問題だよなと
なんとも驚いたのでありました
あと、クインが突然に障害者枠に落ちて、
さらに敬虔なクリスチャンを描くとか
あれ?ひょっとして保守系ドラマ?と思わされたり
アメリカ人気分を楽しむのに十分でした

あんなに、いろいろな問題をのっけてきて
それでも、全部解決というかそれぞれの道が描かれて、
最後はよくよく綺麗にまとまっているという
まぁ王道と思われるそれを満喫できて
楽しく過ごせたわけであります
NHKがはたして4以降を放送してくれるだろうか
多分無理かなと残念に思いながらも
とりあえずの区切りまでは見られたので
話題作gleeシリーズをすっかり堪能できたのでありました

軍師官兵衛  命の使い道

2014-01-19 20:48:55 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」
視聴完了いたしました
先週ひっぱったのに、予告であっさり死んだとかいわれた
おたつが可哀想だとか思ってしまいましたのであります

序盤で怒りを見せて、若者の葛藤というところ
そしてそれを諭す祖父という図で
なるほどなとみていたら、なんというかな、
感動ポイントが貯まる前、早々に祖父逝去には
ちょっと、あれ?今の早くね?なんて思ってしまいましたが
よく噛み砕いていけば、まずまずそんなところかと
ちょっと残念でありながら思うところでありました
尾藤イサオが出てこなかったのはどうしてだろうかと
気になってしまいましたが
なんともかんとも

それはさておき、今後のキーマンである
村重の登場はなかなか胸躍るところでありました
まぁ、あまりにもありきたりすぎるというか、
先週受け取ったメッセージである、
この作品は古典的な講談であると思えばこそ
あれはありだなとにやにや見てしまったのでありますゆえ、
なかなかよい出会い方であったように思われるところ
ただ、この楽しみ方は、なんというかな、
ドラマの先を知っているからであってといったところで
ちょっと不安に思ってしまうのであります
知らない人にやさしくない作りじゃないかしらなどと
思うのでありました

名だたる戦国というか、信長時代のそれこれが出てきて
なんだかんだと楽しくなってきたのでありますが、
もう少し派手さがほしいというか、なにか、
パンチがほしいと願いながら
見ていきたいと思うのでありました
しかし、来週もう嫁が出てくるのかと
その速さに驚きであります
3月には、足ひきずってんじゃないかこのままなら

書き忘れてた、追記
剣豪将軍シーンが、あんだけなのに
えらい凝っていて素晴らしかったのでありました
畳に刀差して、ばっさばっさとたたき切る、
最後は、戸板で叩き伏せられてハリネズミと
まぁ、素晴らしい最後でありました
あれは、さらっと流すだけにしては
もったいないシーンだったように思います
今後も、ああいったことを増やしてほしいところ

【読書】王になろうとした男

2014-01-17 20:35:59 | 読書感想文とか読み物レビウー
王になろうとした男  作:伊東 潤

信長の時代を信長周辺の人々から描く
そんな内容でありました
シリーズものの短編集といったところで、
それぞれ、信長にゆかりのある、あまり有名ではない人物、
もしかするとオリジナルの人物ではないか?と
思うような知らない武将の話しなどを織り交ぜつつ、
少し、かっこよすぎじゃないかという
ただただ良い信長を描いた内容でありました
こういう、潔いほどのストーリーは大好きであります

上昇志向集団織田家といった具合で、
ともかく立身出世のため、誰もかれもが身を焦がしていく、
その様、その異様さにも似た何かを見せて、
そこから脱落したもの、燃え尽きたもの、
その影で暗躍したものなどなどを描いて
狂騒であった、信長時代というのを楽しませてもらいました

その中で、一つだけ、信長に関するそれとはいえ、
ほとんど信長が関係ない、むしろ、
下克上というのはこういうことだというのを
荒木村重と中川清秀で描くといった試みの小説がステキというか、
心に強く残った次第であります
読んでみると、全てが同じような話しと
読めなくもないのでありますが
その主役となる人々、欲や出世や、そういった魔物に取り込まれたもの
その姿によって、同じような物語が
まったく別のように読めてしまうのは面白いものであります

そして、タイトル作品は弥助を主役とした小説で、
これもまた破天荒ながら読み応えがあり、
こうであって欲しいと思うような、
綺麗な信長と、そこに畏敬を覚える弥助という
てらいや、ちょこざいが、どこかに身を隠すような内容が
非常によい読み応えでありました
少々やりすぎた感がないこともないけど
これはこれで、見事でありました

そんなわけで、目新しい発見といった内容よりは、
信長の時代を一つのテーマというか、
出世狂騒で描いたというのが面白く
読み物として抜群であったと思うのであります

【読書】桃源郷――中国の楽園思想

2014-01-16 20:51:27 | 読書感想文とか読み物レビウー
桃源郷――中国の楽園思想  著:川合 康三

珍しくまじめな本を読みました
思想書の類や、エッセーとは異なり、
古文から、中国における楽園というものは
どう描かれていたか、どういう情景であるかを
調査し、つまびらかにした本であります
なんというか、このオリエンタルな感じは、
郷愁と呼んでいいのか、
なじむかのように、理解できて驚いたのであります

主に引用されるのは詩や句といったものなので、
情景たおやかなといっていいのか、
のほほんとした内容が多くとてもわかりやすい
多分、読み下しが丁寧だから一層そう感じたと思いますが、
高校生くらいで四苦八苦した漢文のそれこれとは
まるで違う面白さを感じることができました

古くは三国志の頃から引き合いにだされ、
まさか、曹否とか、曹植とかの詩歌が出てきて
そこには、テンプレートとしての楽園のようなものが描かれるが、
実際のところは、そういう思想はもたず
現実的に、そんな幻想郷は存在しないといった感じで
あれこれと語られていたことなんかも書かれ
なかなか面白かったのであります

中国で古代から夢見られたそれは、
現実での出世競争というか、闘争にも近いそれこれに
嫌気が差して隠居するといったことから、
逃避先のような夢として、そこに、
決して現実にはないような美しいというか
正しいと思われるそれこれが詰め込まれている
そんなことが説明されて
描かれている世界観は、なんというか、
今現在、私が読んでいてもいいなと思うような
平穏で、安穏とした世界であるというのが
なんとも、たまらないと思ったのであります

そんなわけで、すごくまじめな本なのにも関わらず、
笑うとか、興味深いとかとはまったく別の感情をもって
面白いと思わされた、不思議な本でありました
こういう世界を夢みつつ、
それがかなわないのを知っているというのが
なんというか、哀しいことであります

知人にこの話しをしたところ
共産主義的な世界観だといわれて
なにか、いろいろなことが腑に落ちたように想いまして
楽しい本読みができました

年末大型時代劇SP剣客商売~剣の誓約~

2014-01-14 21:08:16 | ドラマ映画テレビ感想
NHKではないドラマも見ます
そんなわけで、トリックの話しにしようか
迷ってしまいながらも、とりあえず
年末年始シリーズ最後のひとつとして
剣客商売であります

新シリーズといっていいのか、
新配役のバージョンは初めてみました
その、配役あれこれからレビウをメモっておこうと
つれつれであります

何から語ったらいいかと、難しくなっていまいますが
とりあえず、この話しについて言いたいというか、
最もアレだと思ったところは

殺陣が少なすぎる

これはもう、剣客商売として致命傷じゃないかと
個人的にがっかり極まりなかったのであります
もっとも、それは配役からして
そうするつもりだった、そうせざるを得なかった
そんなところなんだろうかと思うのでありました
そのため、配役のこれは…と思うところも、
そもそも殺陣ではなく、人情味というか、
あの独特の世界観で見せるという話しなら
そういう配役なのも仕方ないのかなどと
あれこれ想いを語るのであります

というわけで、小兵衛については
殺陣はできるけど披露するところがないというか、
ちょっとやっぱりごつすぎるんじゃないかなと
そのあたりは気になってしまうところ、
もともと、藤田まことさんのときからして、
大先生が、本当に大きいとはいかがなものかと
そんな風に思ってましたので、
まぁ、これはこれかとも思うのですが
もう少し小柄で、それでいてという役者さんが
やってくれないかなと願うのであります

そして、大治郎
斉藤工さんについては、NHKでもよく見ているので
なるほどなぁと思ってはいたものの、
思った以上に細い、細すぎるといって間違いない
どうも、大治郎というそれと違うなぁと
以前の山口馬木也さん版を知っていると
あっちのが好みだと思うのであります

しかし女性陣がよかった、
おはるの貫地谷さんは、台詞があのままで、
さらにかなり無理をした滑稽さを出したにも関わらず
見ることができるというのか、思わず見てしまう
そんな恐ろしいほどの演技といったらいいのか、
おはるっぷりに脱帽いたしました
あれは本当に素晴らしいと思います
可愛らしいというか、愛らしいというか、
あのわざとらしさが愛嬌になってると
贔屓目な気がしますが、ステキすぎると膝を打ちました

そして、三冬の杏、
杏については、タイムスクープハンターといい、
ごちそうさんといい、もう気になって仕方ないと思ってたところに、
三冬というのは、これもまたなるほどなと思わされたところ
殺陣に期待はできないと思いはしましたが、
コミカルな演技ができるのが魅力的すぎて、
これは新しい三冬だわと、感心しきりでありました
「なにが田螺かぁっ」と
はき捨てて出ていくあたりは、本当にもう、
原作の字面そのままではないかと呆気にとられました
あの一言だけでも、三冬やってもらった甲斐があった
これもまた、よいのであります

と、まぁ、そんなところで
今後も続くのでありましょうけど、もうちょっと殺陣を
なんとか見られる殺陣を用意してほしいと
そんなことを願ってやまないのでありました

【読書】劣化国家

2014-01-13 19:37:35 | 読書感想文とか読み物レビウー
劣化国家  著:ニーアル・ファーガソン

難しい本を読みました
衰退する西欧諸国を憂えるといった内容で
イギリス人が書いた本なんだそうだが、
本当、イギリス人とは仲良くなれそうもない
なんというか、どうもわかりにくい
小難しいうえに、交えられる冗談が
私には理解できないからパニックになってしまう
この状態からして、このイギリス人に笑われてしまうだろう
ああ、イギリス人じゃなくて、スコットランド人だったかな
ともかく、英国紳士というくくりでありましょう

さて、そんなわけで、どうして西欧がぐずぐずしだしたのか、
国家とは、そもそも、どういったものによって
それが形作られていき、運営されていくのか、
何がきっかけになって、滅んだり興ったりするんだろうか
そんなことを書いてあったように読んだのでありますが
いくつかのポイントから、現在のくたびれた西欧について
資本主義というのが失敗だったのか、
民主主義というのが間違いだったのか、
宗教がどうだったかといったことを
あれこれと考察していた本でありました
ここのところ読み続けておりました、哲学系とは
また一線を画するものの、
天下国家を語る本というわけで、極めて難解という印象でした

心に唯一というか、ようやっと理解できたのが、
「私学」といいますか、私立学校の重要性について
あれこれと語った部分でありました
これが多いと、必然的に全体のレベルが上がるという話し

読んで初めは、おかしくないか?
今の日本は、バカみたいに学校が増えてにっちもさっちもいかないんじゃ
などと考えたのでありますが、どうやら
そういう有象無象がどうしたというよりは、
官製の学校では育まれることのない、さまざまな
有益な教育というのは、やはり私立という
民製のそれからしか生まれないというお話

官製だと、必然的に教師も堕落し学生も堕落する
よい教育という評価が、どうにも改まらないというか
お仕着せでよろしくないといったことが、
私学にすることで、優秀な教育人材が教鞭をとり、
そこにさらに優秀な学生が集まるという寸法でありました
そう、全体を底上げするんじゃなくて、
より優れた人を育てるのに欠かせないといった
そんな具合であったように想います

一定の水準を満たすことは重要であります
生産性をあげるため、文字を読めたほうがいいし、
計算ができたほうがいい、そんなことは当たり前ながら、
それ以上に、本当の学問というか、練磨を求めるには
やはり優秀なそれこれが必要だろうという
少しばかり、エリート贔屓のような内容だと
自嘲気味に書いていましたが
なかなか考えさせられる内容でありました

ともあれ、西欧が劣化してきている現状を
どうにかするためにあれこれと気をもんでいる
そんなことを書いた本だと、私には読めたのですが
噴飯ものであると笑われそうで
なんというか、悔しいような恥ずかしいようなであります

軍師官兵衛  忘れえぬ初恋

2014-01-12 20:44:33 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」
第二話を無事視聴完了であります
すげぇ、面白かった
楽しみ方がわかった、そんな気がした一話でありました

序盤の戦風景がすばらしく、
なんというか、描きたいこと、描かれたこと、物語
全部が一体となって、とんでもなく面白かった
惜しいのは、官兵衛の殺陣が速すぎたことでしょうか、
走りよって馬に乗るシーンは、
馬首返しのところといい、抜群にかっこいいアクションでしたが、
刀のそれこれが速すぎるというか、
刀の重みを完全に模擬のそれにしているせいで、
なんというか、刀殺陣のそれじゃないというのが
凄く残念でありました
そして、改めて、刀の殺陣って難しいんだと思い知らされた

他のエキストラは、精鋭を選んだというだけあって、
薙ぎではなく、突きを多用して、
そういったことがなかっただけに、なんというか惜しい
でも、よかった
すっげぇかっこよかった
馬乗ってみてぇと思った
と、そのあたり、血沸き肉躍る具合でありましたが
さらに、前回に続いて、孫子をさらっと諳んじたり、
もう、視聴者を無視したといっても過言でない
唐突な十面埋伏とか素晴らしすぎる
ああ、軍師というのを講談風に描きたいんだと思うというか
勝手に伝わった感じがしたので
まぁ、楽しみで仕方ないと
一気に高評価でありました、素晴らしい

その他のシーンも、微妙な人間関係を
少ないシーンでよく見せるし、
せつせつとヘイトポイントを集めていくような
官兵衛の若さとかも、いい塩梅できいていて
俄然楽しみなのであります

そういえば、序盤の200くらいの小競り合いの情景が
かなり驚きでありました、
投石をあそこまでちゃんと描いたのは
それこそ風林火山以来かと、小山田を思い出す
なんというかステキなそれでありましたが
かなりのエキストラと馬を用意して
ダイナミックに、小競り合いを描くという
そうか、その手があったかと思い知らされた次第であります
大合戦じゃなくて、小競り合いに金をかけると
重厚な戦シーンになるとは
思いもしませんでしたが見事であります
あれくらいの画面量で、すかすかのようにも見えるけども
あの感じが小競り合いなんだろう
それでも人は傷つくし死ぬしねと
ちょっと、感慨深いというか感じるところがありました

また、当時をなんとか再現させるという
途方もない夢をかなえてくれそうだと
それだけでも見る価値が高いと
楽しみで仕方ないのでありました
あと、信長の弟殺しの描き方も見事であります
どんどん、ライトな視聴者が消えていくだろうと
手に取るように解るが
これは見ていくしかないと思わされ、
できれば、そんな人がいっぱいいるといいなぁと
願わずにおられないのであります

【読書】暗殺者たち

2014-01-09 20:34:35 | 読書感想文とか読み物レビウー
暗殺者たち  作:黒川 創

小説で、いいと思うのですが、
ある教師がロシアで、大逆事件にからめて、
伊藤博文と、安重根について、
二人が真のテロリストであって、
大逆事件に関わったそれこれは、テロリストなどと呼べる
そんな代物ではないといったことを
つらつらと、あっちいったり、こっちいったりの話題の中で
語り挙げるといった内容でありました
なんというかな、どうも、読みにくいというか、
ある意味でリアルといったらいいのか、
よくわからない講座とか、講義ってこういう感じだよなと
文章でそれを読めたのは凄いとするべきか
なんか、考えてしまうのであります

さて、それはさておいて、大正のあたりにおける
思想のあり方や、その時に行われた様々な事象を
非常にキャッチーな、夏目漱石の一筆から描きだすというのが
なかなかステキなところでありまして、
未発見原稿みたいなので、いつだったか話題になった
その本だったようなのでありました
ちなみに、夏目漱石の満韓なんとかという文については、
さほどに大した内容でもなく、
同時期に漱石が書いておりました、門とか、それからとか
そのあたりとのかかわりが
さらりと読めた、というか、夏目漱石の偉いところは、
こういった政治向きを一切合財取り込まないというか
取り込むのは、本当、表だけで、
なんら思想を語らないというのが
粋でステキだねぇなんて、改めて思い知らされたのであります
大好きだ夏目漱石

で、そんな漱石については、さほどに語られることもなく、
もっぱら、大逆事件のあらましというか、
その時に断罪された幸徳秋水とそのほかが、
いかにしてその事件にたどり着いたか、
そこに至るまでの思想や、暮らしぶりはどうであったか
そんなところが面白いのであります
なかなか、つぶさに描かれていて、
最終的には、こういうやからというのは、
本当のテロリズムをやっするような、社会主義者というか、
その怖いそれとは言いがたいと
まあ、そんなところを書いているのであります

なかなか面白かったような気がするのですが、
いかんせん、もうちょっと背景の事件なんかを
一通り学んでから読むべき本であったと
反省もするのでありました