CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【ドラマ】半径5メートル

2021-06-30 21:07:01 | ドラマ映画テレビ感想
NHKドラマ10でした
かなり面白いドラマだった
そして、芳根京子という女優のすごさを思い知った
名優に囲まれての主役だったけども、
凄い自然な女の子像がとてもとてもよかった
こういう女優さんだったんだ、しれっと、そんな音がつきそうな演技が
本当に、ものすごく天然な感じが出てて素晴らしい
そして、ダブル主役といってもよい、永作さんとのやりとりがまぁ本当に素晴らしい
面白いドラマを見たと納得の一作でありました

のっけから引き込まれたというか、
とにかく序盤の面白さというか、そこで印象づけられた「前田さん」というキャラクタが
凄く掴まれてよかったのであります
なんかふわっとした女という感じなんだけども、テンポよくというか、
さばさばしているとも違う、独特な、飛び跳ねるような印象、
ドタバタうるさいのじゃなくて、ぴょんぴょんしていそうな
なんと形容したらいいのか、ともかく、あの感じは芳根さんにしか出せないんじゃないかと
そう思わされるような演技で抜群でありました
いきなり男と酔った挙句寝てしまう、その後悔のシーンとか、
口癖のように飛び出す「マジか」のイントネーションというか
もう、あの感じがすごい好きだと思わされた、掴まれっぱなしのキャラクタでありました

その前田さんがだんだんと成長していくというのが
この物語のいいところで、オバハンライダーである宝子さんの教育課程というか、
取材過程もいい感じで、ホスト調査のあたりの面白さとか
これもまた、この二人じゃないと成立しないような空気感がたまらんわと
楽しくて仕方なかったのでありました

そうかといえば、編集長の奥さんが、出張ホストを利用していたという
しょーもないけど衝撃的なスクープの段とかも面白くて、
これについては、奥さんと編集長の尾美さんのやりとりがまたよくて、
「性感エステを使ったけど何か?」みたいな開き直りのシーンが、
なんだろう、竜巻のようというか、コントみたいな感じなのに
ぎりぎりでドラマになっているというのか
面白いのに鋭い感じが、とてつもなくよかったのでありました
いくつか話があったけど、この回が個人的には一番好きでありました
他のも全部よかったんだがなぁ

そんなわけで、かなりテンション高めで楽しめた
すごくよいドラマだったと思うのだけども、
やっぱり芳根京子という女優さんのすごさを知ることになった
それが、一番の収穫だと個人的に思うのである
べっぴんさんとはまったく違うというか、
この感じだと、もっとコメディ寄りの脚本で主演させるのがいいんだろうなと
思うばかりでありました

【読書】まほろ駅前多田便利軒

2021-06-29 20:50:31 | 読書感想文とか読み物レビウー
まほろ駅前多田便利軒  作:三浦しをん

思ったのと違った
そんな感想を抱いたのですが、漫画みたいな小説でした
過去に何かしらかげのある男性二人が主人公の相棒モノで、
便利屋さんという職業で、なんだかんだ、
あれこれのトラブルに巻き込まれたりしながら
それを解決していくという日々を描いた物語であります

二人の主人公のうち、一人の名前が行天というんだが、
この特異的な苗字はどうしても沈まぬ太陽を彷彿とさせるので、
キャラクタが掴みづらいというか、なんか想像と違う感じに思えてしまったんだが
これは余談であります、でも、元優等生なのに現状チンピラみたいというのは
不思議なキャラだと思ってしまったのである

二人の陰となっているところには、
血縁というか、絆というものについての不安があるようで、
友達でも、仕事仲間でもない二人の関係性も含めて、
誰かとどうにかと、言葉で定義される関係をどう構築したらいいか、
どのように営めばいいかというのがわからなくなっている感じが
不器用な生き方のような、表面上はうまくやっている、
ちゃんと業務というか仕事をこなしている二人の大人だから問題ないように
見せかけているような感じが、悩みでもないが、
割り切れない何かをずっと意識させられ、最終的にこだわりともいえるような
過去の事件というのが出てきたときに、なるほどと思わされたのでありました
ただ、このテーマは重いというか、なんとなく、
女性ならではでないかとも思ったりしたのも事実であります
男女というよりは、自分の狭量さのようでもあるんだが
それを赦せるというか、他人とどういう関係を作ることができるか
試されるような内容でもあったのだろうかと考えさせられたのでありました

序盤から出てきていた、バス会社の不正めいたお話が、
結構面白かったんだけども、それはあくまで添え物だったようで
最終的に解決しないというのがちょっぴり残念だったけども
そのおかげと、関係があるのか、ないのか
バス停で様々な出会いの入れ違いがあって、
小さな町での色々な事件が繋がっているのが面白かったと思うのであった

【読書】介護入門

2021-06-28 20:46:30 | 読書感想文とか読み物レビウー
介護入門  作:モブ・ノリオ

2004年芥川賞作品でした
これは新しいドキュメンタリだなと、読んで感じたところ
ラップ調といえるのかどうか、ともかく、独り言めいた
ある種の歌詞ともいえる怨嗟や憤りが
とめどなく続くという、実に不思議な文章
そしてときおり挟み込まれる「介護入門」の心得がとてもよい

文中に何度も出てくるし、実際にやってんのかわからんが
大麻を決めている感じをわざとらしく見せつつ、
だからこそのこのノリなんだよと、押し通している感じ
でも、韻がよいというわけでもないのに
文章のすわりが比較的よくて、変に駄洒落合戦みたいな雰囲気というか、
テンポのために、文章を陳腐化したようなところがないのがステキでありました
特に怒りについての語り口調が、冗長なようで、
文章としては凄くすっきりしていて、くどさがないというのが
とても大変なことじゃないかと思ったりしたのでありました

介護に関することについて、
その本質というか、その真っ只中にいたからこそ
傲岸にも、不遜にもなれるということを
ありあり描いているのがよくて、
それらに触れていない人間が読むと、その迫力というか弁舌に
なんか気圧されてしまうようだった
介護ということについて語っているのだけども、
一方的なメッセージで、ともかく一方通行、
反論をさしはさむ隙というか、暇を与えない感じで
飽きることなく続いていく文章といった具合でした

連綿と続くのに、リズムよい言葉運びなのか、
その思考なのか、特別よいことを言っているわけでもないのに
なんだか、連なったそれらが押し寄せてくるうちに
とても尊いようにも思わされてしまう
なんとも不思議な文章を読んだと思うのでありました

言葉選びが伝染りそうだと思ったけど、
そんなに語彙がないからできないわ

青天を衝け  篤太夫、青天の霹靂

2021-06-27 20:46:57 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「青天を衝け」
視聴完了しました
栄一が、幕末の一番危ない時期を海外で過ごすから、
あんまり被害を受けなかった的な話を聞いていたので、
いつ行くんだろうと思ってたら、
そうか、パリ万博だったのか、これで唐突に幕末編終了みたいな
そういう感じになって、オリンピック突入とか
そんな予定なんだろうか、あれこれ考えるが
オリンピック始まるのまだ4週後くらいだから違うか、
パリから帰ってきてから新時代編みたいな感じなのかしらね

さておき、いよいよ慶喜が将軍となってしまい、
右往左往の一橋家、考えてみると一ツ橋という家は、将軍を出した場合
どういう扱いになってたんだろうか、
別に慶喜の子供が継いだとか、そういう感じでもなさそうだったんだが、
この視点はなかったのでかなり興味深い内容でありました
結構な人員を幕府につれていったんだろうし、
でも、官僚みたいに昔からの幕臣という人たちもいただろうし、
その折り合いのつけ方というか、どういう政治風景だったのか
もうちょっと描いて欲しかったな、来週やるんだろうか、
小栗上野介との関係も気になるところであります

そして、ようやっとというか、もしかしたらこれのために
といった感じで、土方とがっつり絡みがあったのだけども
まぁ、史実で、あれこれといった印象からするとこの二人は、
ドラマのように話が合う感じじゃなかったんじゃねぇかなと思ったりするところ
渋沢は、どっちかというと、勝海舟のほうがうまがあいそうだし、
同じ関東の田舎出身でも、豪農と下っ端で奉公に出されてたそれでは
なかなか、ああはならんだろうと思ってしまったが、
ドラマとしてはよい味付けだったように思う、しれっと喜作ともつなぎができたし
五稜郭あたりの話が盛られるのか、豪快にすっ飛ばされるのか
わからんがよかったと思うのであった

すっかり一橋の人というか、慶喜にほれ込んだという形になってて
驚くでもないが、一途の涙といったものは
なかなかいい演出だなと、栄一の一喜一憂が面白く見られたのでありました
それでいて、喜作との衝突も、また、いい塩梅であるな
これから道を違うでもないが、様々ある予感を残しつつも
根っこでは一緒というか、友達というか、大切なそれであろうというのが
なんとなしわかったような気分になれて、ほのぼのでありました

パリ編というので、どこまで西洋のことを吸収してくるのか
予告の「フランス人には気をつけろ」という台詞に爆笑してしまったんだが
どんなところで出てくるものか、楽しみにして来週を待つのでありました
フランスにいくのに、フランス人に気をつけろって無理だろうよ
どういう意味なんだろうかしらね

【読書】花まんま

2021-06-26 21:06:02 | 読書感想文とか読み物レビウー
花まんま  作:朱川湊人

不思議な話の短編集でした
主に大阪、時折その周辺といった、関西を舞台にして
基本的には子供の視線から世間を切り取ったような物語が多いんだけど、
現代版の昔話といった趣の内容でありました
表題作がしんみりとよい内容で、
花を弁当に詰め込んで、「花まんま」というおままごとがあるなんて
まったく知らなかったんだが、これがいいアクセントというか
いい話で、しんみり泣ける感じでよかったのでありました

基本的に子供が中心なので、どっか抜けているというか、
ちょっとぼんやりしている、なんかふわっとしている感想とか、
見も蓋もない発言(脳内での感想なんだが)があったりして
思わず笑いを誘われる感じも明るさがあってよかった
よくよく考えると、ちょっと悲しいお話かもという感じなんだが
悲壮感とかは、あまり見えない感じで、でも、仄かにそういったものの気配を感じさせて
それでいて人情話としてよくまとまっててといった感じで
物凄い感動とか、抱腹絶倒といった感じではないけど
楽しく読める小説でありました

ちょっとしたホラーみたいな話もあったりして、
「妖精生物」なる話なんかが、若干芥川賞じみているというか、
世間の裏側に引き込まれそうな内容だったけども
子供視点だから、そういうこともあるのかと
理屈を越えたところに、ありそう、といった特異点をついているようで
面白かったのでした

葬式のときに、嫁(これも内縁なんだけども)以外の女が来るまで
霊柩車が動かなくなるという、笑っていいのかどうなのかという話も
衝撃的というか、思わず笑ってしまったんだが、
こういうことがあったらいいなと思わせるところで
一番好きだったと思うのであります

子供だから、悲惨にならないことってあるよなと
生きていくうえでの交々について
ちょっと考えてしまう内容だった
おそらくは飛田新地と思しき場所が出てくる話も、
鮮やかな不可思議さが見事で、しみじみしたのでありました

同級生リメイクと私 2

2021-06-25 22:34:31 | スポーツ
*前回のあらすじ
同級生リメイクを通販で買うことにした。

さて、そんなわけで、発売日の翌日に無事届いた
商品名はゲームソフトでしかなかったので、万全だ、ありがたい
どうでもよいことに感心しつつ、パッケージを見て感慨にふける
お約束のように、DOS/V版とWIN版と並べて写真を撮って楽しむ
サターンのifを売っぱらったことを悔やんでしまったが、まぁよい
見比べてみると、当たり前なんだが、今風の絵柄でも
ぎりぎりまで雰囲気を寄せている力作というか
この力の入り方は嫌いじゃないなとしみじみ感じ入るばかりであった

さて、あけてみるとディスクが二枚入っている
片方はフロッピーを模したケースに入っていて、
常識的に考えて、フロッピーのが初代復刻版だろうと思ったんだが、
実際はこれがリメイクのほうで肩透かしをくらう
そんなことに手間取りながら、ようやくインストールをと思ったら
あれこれほかのアプリいれたり、なんだかんだしていくんだが

ダウンロード?

いまどきのゲームのことをまったく理解していなかったということを思い知ったんだが、
インストールディスクの意味はほとんどなくて、DLして遊ぶという、
この物理媒体の存在意義がまるでない、けど、古参にはこれじゃなくてわという気持ちというか、
流れるようにインストール作業に没頭できたので、
最新のゲームの下準備に慣れていないおじさんでも大丈夫な
安心簡単設計だったのではないかと、本編搭載のイージーモードよりも、
このインストール手順のほうが、懇切丁寧なのだなと妙な感心をしたのであった
おかげで、さくさくインストールもできて、ほっと一安心
そして、インストールできたから、今日はここまで♪とか、
かつての自分からは考えられないような判断をしたことに、
またまたよる年波を感じたのでありましたとさ

さて、このインストールをする作業というものも、
もはや同級生リメイクというゲームの一部であった、なんて回想したくなるんだが
このわくわくは、かつてあったものだったろうか
もうわからなくなっているんだが、ともかく、インストールするだけで楽しかったのでありました

そして立ち上がるゲーム画面、流れるOP、
ああ、そうか、こういう感じだったか
真冬に発売されたというのに、夏の日がやってきた
そんな気分が高まり、しばし、その画面を見入ったのでありましたとさ

続けるほどでもないが、長いので次へ引く

同級生リメイクと私 1

2021-06-24 21:12:30 | スポーツ
*この話は長い、まとめる気もないのでつれづれに書く。そして続くと思われる。

そういや、レビュー書いてなかった

白々しい出だしではじめてみるんだが、ずっと気にかけつつも、
どうしようか考えるばかりで時間が過ぎたのが正解であります
今更ながら、「同級生系ホームページ」の管理人をやってた身分なりに、
まったく手をいれてない自分のページで、
数年ぶりの更新とか銘打って、あれこれレビウするのが筋だろうと
思ったりするだけで、結局何もしてこなかった
もう、そんな情熱がないのだな、そういうことを思い知ったというか
味わったゲームとなったのであります(ゲーム関係ない)
そんなわけで、完全にターゲットにされたとわかっていて、
堂々とその罠を踏み抜きにいったのである、地雷?知ったことか!

さて、ゲーム買うのは20年以上ぶりじゃないか?それこそ、win版同級生以来か?と
思ったりしたんだが、往年の名作に数えられる伝説のエロゲ「同級生」
それが令和になってリメイクされたという代物を買うことにしたのでありました
まぁ、この伝説というのも時間が経っておかしくなってると思うんだが、
実際の伝説的名作は同級生2であって、1のほうはそこまでと思わなくもない
いや、俺は1というか、サターンのifから入った口だから偉そうにいえないんだが
古参同士の無益な争いに火種というかガソリンをくべるようなことを書いてしまうのだけども、
ともかく往年の有名作品を現代版としてリメイクという触れ込みでありました

シナリオはwin版準拠、豪華版特典で懐かしの初代同級生も遊べるというのが味噌なんだが、
この初回版を、結局ちゃんと遊んでいないあたり、自分の熱が本当に冷め(もうよい)
絵柄ががらりと変わってしまっていて、コメとトウモロコシくらい違う(注:イネ科による比較)
それはそれとして「同級生」と名がつく以上買うほかないのであります
ともかく、年老いた諸兄が、もう意地というか、付き合いというか、
そういう気持ちで買ったのが売り上げ構成の8割じゃないかなと思うくらい
懐かしいタイトルなのでありました

さて、リメイクが発表されて、その情報をそれこそ、古い同級生仲間から聞いて
そりゃ買うしかないと心に決めたわけなんだが、このご時勢というか、
エロゲって、令和の世の中ではどこで買うべきものなんだ?
エロゲに関わらず、ゲームというものからそもそも遠ざかったために、
ゲーム屋さんという存在が、はたして未だ存在するかもわからない
学生の時分は名古屋に住んでいたこともあって、大須に行けば手に入ると
それこそwin版同級生を発売日に、買いに走ったものであるが、
就職のため滋賀県に越してきた今、それこそ20年経ったけどそんな店見たことねぇよ、
今更帰省がてら大須までいって、あまつ、同級生リメイク買ってくるとか
イベントすぎて恥ずかしい、いや、むしろ、
そのほうが美味しかったんだろうか…(注:現在の大須はそういう町ではない)
発売日に並ぶ同年代以上の男性諸子、妙な友情めいたなにかが生まれそうで怖い、いや、面白い

しかし、20年前に、はたして滋賀県に住んでいた若人は
どうやってそんなもん手に入れていたんだろうかと不思議に思ってしまったんだが
まぁ、大阪まで走ったのか、そこまで行かずとも、京都あたりでそういう店があったのか
今となってはまったくわからないのだけども興味深いところであります
などと、手に入れる前から、あれやこれや、考えているだけで個人的には凄く面白かったので
思いつくままに書いてしまったんだが、あっという間に字数が酷いことに、先を急ごう

結局、そもそもエロゲを買いに行くという行為自体が
流石に恥ずかしいと思うくらいの心が残っていた、というか、
そういうものが芽生えてしまったので、当然のように通販で買ったのでありました(なんだかな)
しかも、通販馴れてないから予約しておけばいいものを前日思い出したように注文して、
なんか無駄に時間を浪費したように思うが、あれこれ画策した時間もまた
とても楽しかったのである

こんな話が、まだ続く

【読書】テロリストのパラソル

2021-06-22 21:09:26 | 読書感想文とか読み物レビウー
テロリストのパラソル  作:藤原伊織

1996年の直木賞受賞作品であります
結構古いし、この時代特有とも思える内容もあるんだが、
スリリングな展開が魅力的で、次々読まされる面白い小説でした

まだこの頃は、全共闘の世代や、南米との関わりとか、
今、見かけなくなりつつあるそれらが蠢いていた最後の頃とも思える
かつて革命を叫び、活動を行った青年が、
その後となった、この時にどうしていたか、
また、その過去にとらわれていったかというのが
ありあり伝わってくるようで、面白すぎたのであります
日本が舞台だし、日本人しか出てこないにも関わらず、
テロを扱った小説として、変なハリウッドっぽさみたいなのが皆無で
日本でありそうな感じがすごく自然で面白いのでありました
日本で、日本人が起こすテロというものが存在する
そういう時代の話なんだと、今じゃ考えられないのに
空気はわかるといった感じがすごくよかった

結局は、そういうことかという動機で終わってしまうんだけど、
入り組んだように見えて、案外単純な関係性が、
だんだんとわかってきたり、元刑事のヤクザとのバディがかっこよかったり、
いい感じでハードボイルドなのもまたよかったのであります
この男くささというか、今時ないなと、いろいろなところから感じるのだけど、
この良さは、今描かれることがないというか、難しいものなのかもなと
面白さを嚙み締めたのでありました

時代を色濃く描いているとも思える
けど、物語そのものは、古臭くないというか、
なんといったらいいんだろう、今読んで、ただ面白いと思えた
それでいて、描かれている情景は、自分があまり知らない日本の空気があるようで
不思議な魅力を感じたのでありましたとさ

同じことばっか書いてしまったが、
ともかく、面白かったとメモっておくのである

【読書】対岸の彼女

2021-06-21 20:42:55 | 読書感想文とか読み物レビウー
対岸の彼女  作:角田光代

2004年の直木賞受賞作であります
15年以上前の作品だけども、描かれていることは
今もまだ、くすぶっているというか、今ならそれがより認められつつある
そうともいえるような、女性のぼっち感について、
その戸惑いと、それと違うところにいる人、
女の友情というのを描いていたように思うのでありました
物凄く面白いという、ぐいぐい引っ張られるものではないんだけど、
過去と現在をオーバーラップしていく構成で、
主人公の一人の過去と、現在の姿があまりにも違いすぎて
なんで、どうしてと感じつつ、
人が生きてきたというのは、こういうことなのかもなと思わされる
非常によい物語でありました

内向的であるというよりも、突発的に起こるいじめ問題という過去があり、
とかく、群れておかないといけないような、不可思議な閉塞感が描かれる
これは女性特有のものなのかもなと思ったりもするんだが
その居心地の悪さ、カーストとグループとのあり方、
それによって、傍観していることの罪悪感みたいなのが、
形容しがたい、真綿となって首を絞めてくるような
窮屈な感じがよくよく伝わってきて切ない

そういった過去があり、今、自分の子供が同じようになってしまうんじゃと
戸惑う中で、自身も変化をしていく、あるいは、させられていく出会いがあってと
このまた、出会った人もまた、過去に様々なことがあったのだと
説明しないので、読み手だけが知っている事実が、
誤解されてそのままにされるというのが、またまたとてつもなく歯がゆい
そして、この窮屈な過去というのが、二人の女性でクロスオーバーしているというか、
ミスリードされているのが秀逸だと感じるのでありました
読み手もわかってんだが、もう、どっちの過去だかわからなくなってしまうのがいい

最終的には、ハッピーエンドといえるのか、
次へという気分になる終わり方なので
清清しく読み終えられたのであります
いい物語を読んだ

青天を衝け  勘定組頭 渋沢篤太夫

2021-06-20 20:44:48 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「青天を衝け」
視聴完了しました
だんだんと、劇団家康のレベルが上がってきているというか、
最初っからあんなに無言劇っぽい感じだったかなと
前衛芸術めいたやりとりが好きになってきているのでありました
あれの監修とか名前出てんのかなと
妙なところが気になるのであった
担当は演出になるのか、それとも別なのか…

さておいて、なんかいつの間にか、薩摩が海外に拠点を築いていたりして
五代様の活躍はもうちょっと丁寧にやって欲しかった気がすると
なんで、ベルギーにいて、しかも、商談まとめてるのか
そのあたりちゃんとやって欲しいとか思ったんだが
仕方ないのでありますね、もうそういうものだと割り切っていこう

相変わらず政治に忙殺されているというか
それが仕事といってしまえば、その通りなのか、
慶喜の苦労がものすごくよくわかる回でありました
こう見ていると、いわゆる幕末物語の中で、
今回も含めて田舎大名としてバカにされている薩摩の国父様が、
名うての政治家であったんだなと思わされるところ
実際の糸引きが一蔵の可能性もあるし、
だいたいの物語がそう示しているから、違うのかもとも思ってしまうけど
斉彬は名知事であり、久光は衆議院議員として大出世するタイプだったんじゃないか
そんな風にも感じるこのごろであります
よきにつけ、悪しきにつけ、そういう人物がいてこそ
日本という国の政治は回る気がするので、必要な人物でないだろうかと思うばかり

栄一も着々と活躍を広げていて、
お札刷ったりもしていたのかと驚いてしまったんだが、
藩札というのは、ぼちぼち、見たことがあったから、栄一だけの手柄ではないだろうが、
この頃の経済をあれこれ開拓していってたというのは
なかなか面白いところだと思うのでありました
だんだん喜作と離れてきてしまっているのが
新世代と旧世代みたいにも見えてしまうんだが、
それぞれの思いと役割というのもわかる気がして、
そして、二人が喧嘩ではないけども、衝突するのは必要なことなんだなと
大人のようなことを思ってしまうのだけども、
物語としては切ない限りだと感じたのでありました
喜作って今後どうなってしまうんだ
心配でならない

来週も楽しみだと思うんだが、オリンピックに入ったら放送中止になるんだろうか
そっちも気になってしまうのでありました
いつまで、何話までやる物語なんだろうかね

【読書】沖で待つ

2021-06-19 21:00:18 | 読書感想文とか読み物レビウー
沖で待つ  作:絲山秋子

短編二編収録の単行本であります
芥川賞受賞作品なので、また身構えて読んだのですが
どちらかというと抜けた感じのテンションだったので安心しつつ読んだのでありました

表題作は、同期入社の男女について、その妙な連帯感というのを描いた作品で、
事件は起きるけど、直接関係がないというか、どこか他人事めいた
いや、当事者なんだが、なんか気が抜けている関係のままに、
つらつらと、社会人あるある的な内容をほんわかと描いた内容でありました
同期で配属先が一緒だったというだけで、
まず、その配属先での排他的違和感を覚える段、
そこから馴染んで仕事をしていく段、その最中の面白おかしい話、
そして、そこを離れるときにすっかり里心のようなものがついていた段、
そしてそして、といった感じなんだけども、
それぞれの思うところと、年齢と、得ていくもの失っていくものが、
何も語られず、ただ、二人の男女が生きてきた様を描いているだけで
変遷というのがみてとれるようで面白かった
人間こうやって、変わっていくような、変わっていないようなと
そんな感じよなと思うのである
オチというか、唐突とも思えた秘密の話が驚愕だったけども
なかなか考えさせられるところである

もう一遍、勤労感謝という素敵な題名で
その題名の通りに、何に感謝すべきかしらと無職の女性が
あるひどい目にあった日の仕上げで考えるといった感じ
これまた気が抜けているし、いい塩梅の会話劇で、何がという描写はないのに
その内面や、内情、人間性みたいなのがにじみでてきていて面白かった
個人的には、こっちのほうが好きだったかもと思うのだが
どっちも、女性の独り言めいた、不可思議世界で、
書かれていることと、本当に思っているところに
何か乖離のようなものがあるんじゃないかと思わせるようでもあり
面白く読んだのでありました

暗くない芥川賞は好きだなぁと改めて思うのであった

土曜時代劇   立花登青春手控え3

2021-06-16 21:15:17 | ドラマ映画テレビ感想
NHK土曜時代劇でした
シリーズも3作目だったのだが、どうもこれで終わりっぽいなと
そんな、清清しい終わり方で満足であります
最終的には、ちゃんと幼馴染ともよい感じになったし、
2の終わりのときの唐突なキスシーンよりは、
気持ちが通った感じというか、そういうドラマであったなと
ここまで積み上げてきた二人の仲というのも見えて
よい最終回だったと見終えたのでありました

これまでもそうだったけど、相変わらず男女のそれこれがバックボーンにある
一筋縄ではいかない事件に首をつっこむという感じなんだが、
今回は、まとめに入っているからか、登にもかかわりがあるというか、
なんか、物凄く巻き込まれていく流れが多かったり、
そして、醍醐味であろうはずの殺陣がない回があったりと
結構衝撃的でありました
完全に人情にふってきたというか、時代ドラマとして、
男女の妙を描くというのに重きを置いたんだなと
そんな風に見ていたのであります
これはこれで、なるほどというか、面白かったからいいんだが
投げる殺陣が、大活躍とまではならなかったのが
少々心残りでありました
とはいえ、毎回同じような感じになっちゃうから、
やっぱり殺陣は刀を使ってこそなんだなと、改めて思い知った次第である
面白いけど、投げる殺陣だと、同じような感じになってしまうんだな
不思議だ

二人の色恋のあり方と、他人様のそれこれが
クロスオーバーする感じなので、
やきもちを焼かれることやら、女の気持ちやらという情念を
登があっちこっちで味わってくるというのに、
あまり変わらないような、と、思ったら
ちゃんと考えていたのかというような、
このあたりは、もうちょっとクローズアップしてもよかったんじゃないかと
思わなくもなかったのだけども
とりあえず満願なのでよかったと思うのでありました
淡い横恋慕なんかもあったりして
終始、これまでのシリーズとはちょっと違うなと
思ったのだけども、しみじみ時代ドラマを楽しんだのでありました

次は何やるんだろう、小吉2だろうかしらね

【読書】ハリガネムシ

2021-06-15 20:54:38 | 読書感想文とか読み物レビウー
ハリガネムシ  作:吉村萬壱

芥川賞受賞作品であります
タイトルについて、なるほどと思わされる内容だったが、
いかにも芥川賞といった感じの、うらぶれたといえばいいか、
エログロナンセンス的な話が、ずりずり、はいずりまわる感じで展開する
読んでいて、決して気持ちのよいものではないけど、
なぜか読みやすく、描写がありあり、実像を結ぶように浮かんでくるので
なんというか、大変な小説だと思ったのでありました

倫理の教師が、なんかわからんうちに、怪しいデリヘル嬢と
情を取り交わすようになりはじめ、
そのまま、自分の中に眠っていた衝動や、欲望のままにふるまい始めると
まぁ、そのあたりが、いかにも、ハリガネムシに取りつかれたカマキリのようだと
そういうお話だったわけだけども、
この衝動というものと、それに取り込まれていく虚無感のような、
ずるい諦観みたいなのが見て取れて、非常に面白かった
今の年齢だからわかるのかもしれないが、
こういうこと、あるのかもなぁという、妙な連帯、共感を覚える内容でありました
願わくば自分には、このようなハリガネムシがつかぬように

物語としては、もう一匹、いや、一人、ハリガネムシにとりつかれているのかもしれない
そういう少女が、少しだけ出てくるのも興味深い
彼女については、重要なようなそうでもないような、
不可思議な存在だったんだけども、これがまた、芥川賞っぽいなと思わされたのでありました
脇役の影が濃い、この濃さがすごいと思ったのである

【読書】バーニング・ワイヤー

2021-06-14 21:01:03 | 読書感想文とか読み物レビウー
バーニング・ワイヤー  作:ジェフリー・ディーヴァー

シリーズものだと知らずに読んだんですが
かなり面白いクライムサスペンスでありました
電気を使ったトリックというか、
恐ろしいテロ事件が発生して、その犯人を追うというものなんだが
巧妙に誘導や、嘘情報なんかもばらまかれたりして、
二転三転しつつ、最後はといった感じで
非常にスリリングな展開に、次々読んでしまう内容でありました

主人公が、事故で体の自由がきかない刑事なんだが、
生来の頭の良さを武器に犯人を追いつめる、
いや、推理をさえわたらせるといったことがキモで、
そこに至るまでに、細かな情報収集、鑑識の重要性なんかが
随所に現れていて興味深いというか
面白い刑事ものであります

また、その天敵ともいえる男も同時に追いつめているんだが
当然、二つの事件は、あるところでつながってきてと
このあたりが非常に面白かったのでありました
続きものの前のを知っていたら、もっと楽しめたんだろう
惜しいことをした

とはいえ、電気を使って、どんなことができるか
電気ってどれほど怖いかというのが
いやというほど伝わってくる内容で
読んでいて、かなり怖くなるほどだったんだが
実際、何気なく使っている電気は、すぐに凶器へと変わるんだなと
なんとなく、不用意にドアノブさわるのすら怖くなったのであります
なんだかな

序盤で、若干無理というか、なんかおかしくないか?と
ひっかかるところが出てくるんだが、それも
そのはずといった感じに収束していくのが見事で
勘のいいひとなら、すぐわかったんだろうけど
楽しく騙されつつ読むことができて
スリルとサスペンスを楽しませてもらったのでありました
マッスルカーとして、トリノコブラが出てくるんだが
そんなので捜査してたら、目立ってしゃーないだろうと思うんだが
こういう妙なこだわりが好きだ

正直、この間の007はあんまりだなと思ったんだが
これは面白かった
やっぱり、自分のキャラクタというのがいいんだろうかと
そんなことを思ったのである

青天を衝け  一橋の懐

2021-06-13 20:46:41 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「青天を衝け」
視聴完了しました
今週も面白かったというか、天狗党が結構簡単に終わってしまった
もっと悲惨な感じかなと思ったけども、
あれよあれよと粛清も終わってしまったし
ちょっと肩透かしのような気分でもある
でも、喜作が言ってたことが重く、そして、思いやりというか、
喜作がいいやつすぎていけないねぇといった感じだったのが
最高によかったと思うんだが、
本当、嫁は譲るし、藤田の倅のことはかばってやるし、なんていいやつなんだ

さておいて、一橋での仕事というわけで、
徴兵を募ってみたり、農民と親しんでみたりと
なかなか楽しそうであったのだけども、
備中が一橋領だというのに驚いて、さらには、硝石がとれるってのにも
二度驚かされたのでありました
長州のあれこれの時に分捕ったのかと思ったら、
昔から一橋領だったんだそうで、硝石とれたのもたまたまとすりゃ
なかなか運のある人だったのかもと思ったり感じたり
でも、生かされることないんだなぁというのが残念である
いや、生かしても勝てなかったというか、
勝てないから喧嘩しなかったのか
そのあたりは今後、どう語られるか楽しみである

栄一が思ったよりも剣術がやれるというのが驚きだったんだが
よくよく考えてみると、自伝を下敷きにしてるわけだから
そのあたりは、盛ってる可能性があるよなとも思ったりして
思わずにやにやしてしまったんだが、
あの当時の農民ってのは、みんないっぱしのヤットウ使いだったのかもなぁと
思わされたのでありました
実際の戦となったときには、大砲やら鉄砲やらになるから
あんまり意味なさそうだけども、不思議なもんだな

そして、翻った長州、薩摩といった維新側の藩の動きが、
やっぱり、こう見てみるとなんてひどいんだろうと
改めて思わされるのであります
結局、大政権に対抗したいためではないかというか
まぁ、なかなかどうして、ひどい話だと思ってしまうんだが
これが政治というのなら、そういうものなのかもなと
今更ながら思うのでありました
この動きというか、こういうものは時代関係なく
人間社会がある限り、ずっと続いてきたものなのかもと思わされてしまうのであった

ともかく、第二次長征が始まるようなので
そろそろ幕末もクライマックスだなという感じ、
慶喜がいよいよ将軍かと思うと
その時、栄一がどこで何してんだか、楽しみなんだが
また来週を待つのである