CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】理系の子 高校生科学オリンピックの青春

2016-03-29 20:55:46 | 読書感想文とか読み物レビウー
理系の子 高校生科学オリンピックの青春  著:ジュディ・ダットン

面白かった、海外のこの系統の本は、
本当にもう、へたな小説読むより面白いと
つくづく思い知ったというか、大満足でありました
題名のとおり高校生科学オリンピックの挑戦者たちを追いつつ、
この年の大会を実際にレポートするという、
海外のテレビスペシャルによくあるそれでありました
それにしても、凄いというか
面白いなと感心しきりであります

やっぱりアメリカはパネェなと
その天才の天才っぷりに慄くわけですけども、
それぞれ、天才すぎて周りに理解されないという
不遇をかこつけつつ、その天才ぶりに
大学の教授とかが気づいて、大切に育てるという
この感じがまぁ、ドラマティックすぎる
全部で11人紹介されていたのでありますが、
どの話も、一本だけで映画とか作れてしまうんじゃないかと
そう思えるようなドキュメンタリー感たっぷりのそれ
背景がまぁ、貧困から、犯罪から、孤独から、病気からと
あらゆるものの中から浮かんでくるという具合で
スリリングなのでありました
まあ、このあたりは、若干盛られている可能性も
否定はできないが、それにしたって凄いのである

どのドラマもステキというか、真摯というか、
ああ、真面目に生きないといけないなと
反省を催されるほどであり、
また科学の楽しさといったらいいか、
恥ずかしいながらも理系をかじっただけに
その情熱の凄さが、羨ましいと思えてしまう
これだけ思えるというか、やろうとするのが
やっぱり一つの感動でありました
オリンピックとはよくいったもんだとつくづくであります

著者もあれこれ考えて、様々な分野に散らばって取材したおかげか、
広く、物理、天文、生物、化学、機械と
なんでもござれな感じなのがよかった
また、アイドルみたいな見た目の子が
蜂の研究で四苦八苦する話は
研究テーマからも、楽しかったのでありまして
崩壊の謎に迫っていたというのが
ステキなことだと改めて思い知ったのでありました

高校生とは思えないような凄まじい研究もありつつ、
そういう派手なことばかりではなく、
とても重要な基礎研究をしているという話も
凄くステキでありまして
個人的に研究は、基礎研究の積み重ねというのが
大好きなたちなので、なんというか
読んでいるだけで、なんかしたくなる
いい本だったのであります
やる気を出させるという、素晴らしい力のある本でありました

【読書】スーツケースの半分は

2016-03-28 20:49:27 | 読書感想文とか読み物レビウー
スーツケースの半分は  作:近藤史恵

久しぶりにさっくり読める、ステキ小説を読んだ
そんな感想であります
非常に面白いつくりというか、狂言回しがスーツケースという
このギミックが好きだと、偉そうに感心しきりな具合で
読んだというわけでありまして、
様々な女性たちの人生を後押しする
旅であり、出会いでありを演出していく
なかなかに小粋な小説でありました
いい読後感であります

読んでいて、すごいすっきりしている、
重たい背景もあるのに、読んでいると何か
前向きになれるような、登場人物の上向いていく感じが
まぁ、なんというか、気持ちよい、すがすがしい
色々残念なことがありながらも、
ちょっとしたことでそれが裏返るという
よくあるシーンが、ものすごく爽やかに、
さらっと書いてあるのに、ああ、わかるなと
思わされるようでもありまして
まぁ、私、男なんですけども
なんとも、いい気分に浸ったわけであります

情けないと書くのもまた、
語弊というか、違う誤解を呼んでしまうけども
自分がちょうど、この年齢にしてもったり一人旅をするようになっていて
この女性たちの旅に対する気持ちだとか、取り組み方だとかが
まぁなんというか、よくわかる、そうそう、そうなんだよ
ちょっとした特別というか、俗世と離れる何かなんだよと
こう書いてみると、やっぱり違うんじゃないかと
反省しだしてしまうのですけども
旅に対する気持ちと、そこで得る何かみたいなのを
肯定していくというストーリーが
好きなのでありました

連作で、ともすれば同じ展開になりそうなギミックなのに
どれもこれも、あの手この手の見せ方というか
事件というか、物語が展開されて
凄く飽きがない、あっという間に読めるのに
ステキ気分だけが残るという、なかなかよろしい読書でありました
最近、女化しているのかもしれんと
自分でも思うのである

真田丸  人質

2016-03-27 20:38:38 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「真田丸」
視聴完了であります
中休みといってはなんだけども、
時代劇的な展開で骨休めと
まぁ、そういう風に見てとったのでありました

しかし、案の定といっていいのか、
やっぱりお梅は策略であったというのが
なんというかな、まぁそんなもんだよなと思ったところ
あれによって、もっと「きり」のよいところが
出てくるといいなぁなんて思うのであるけども
そこは、ゆっくり進むんだろうたぶんあと半年はあのままだろうか

そんなことを思いつつ、内容については
タイムスクープハンターみたいなもので、
ちょっとした頓知で解決という具合、
あれだけですっかり篭絡される上杉もどうなんだと
思わなくもないけど
人がよさそうな景勝は嫌いではないのでありました
あと、切れ者加減の役作りなんだろうけど
兼続の台詞が早すぎて、何言ってるかわかんないのが
気になって仕方なかったのであります
コミカル演技も混ぜてきたから、好きなんだけども
もうちょっとなんとかならんだろうか

知らないうちに、小牧長久手も終わってしまったようで、
石川数正が裏切ったのはこの前後でなかったかと
そこをやってほしかったのに
スルーでなかろうかと残念に思うところ
三谷が仕込んだ「裏切りません→裏切る」ギャグが
拾われなかったように思うのでありますが
どっかでやるのかしら
真田が豊臣についてからかな
ともあれ、徳川方にしろ
あまり動きのない回だったので
まったりと見終えたと
まぁ、そんな感想をしたためておくのでありました

【読書】坊さん、父になる。

2016-03-25 21:17:09 | 読書感想文とか読み物レビウー
坊さん、父になる。  著:白川密成

まさに「説教」でありました
大変ありがたい話をわかりやすく丁寧に、
面白おかしく語りかけてくれるという
実に行き届いた内容に、嘆息みまったのであります
非常によかった、いい気分で考えこんだ

そんなわけで、改めて宗教とは哲学だなと
思い知るわけなのでありますけども
題名のとおり、お坊さんが結婚して、しかもお父さんになってと
そんな人生の風景とそこで思ったこと、感じたことを
説法というか、仏の教えをかんがみつつ
日記のようでもあり、さりとて、諭すようでもありという
実にゆかしい文章で堪能できたのでありました

お坊さんとはそもそもどうするものか、
そういうことを真剣に考えて
いまの時代にあう説法というか、お坊さんのあり方、
仏の道の示し方はないかと考えて、実行してと、
悪戦苦闘とまではいわないまでも、
苦心している様子がほほえましいというか、
何か応援したくなるような気分になったとおもいきや
気づくと、著者が悟るというでもないけど
気づいた教訓を教えてもらえると
まさに仏教的な説話、説教であると
しみじみ感じ入ったのでありました
なんとなし、お坊さんの話を聞きに行きたいような気分になるから
不思議なものであります

こだわりの建物を建立したり、
日々のお仕事について書いてみたり
仏式の結婚式の様子なんかが面白おかしく書かれていて
余興で、居並ぶ僧侶が長淵剛の乾杯を歌うとか
それはちょっと、本当に聞いてみたいなと
のめりこんでしまうようなエピソードを交えつつ
なんだか、お坊さんが身近に感じるものだったのでありました

色々な考え方や、生き方について触れていて、
なるほどなと感心しきり、
そして、いろいろ感銘をうける内容が
仏の教えとしてあるというのが
立派な内容だと、改めて仏教について感動したのでありましたとさ
本当、いいことを言っているのである
これを守れたら、まさに聖人であろうかと
思ったり思わなかったりしつつ
ゆくゆくは、何も無くなる、それへとつながっていくという
この考え方が、なんだか好きだと思えたのでありました

独身も長いし、出家も視野に入れてしまいそうである

新・映像の世紀 第6集 21世紀の潮流・あなたのワンカットが世界を変える

2016-03-24 20:57:52 | ドラマ映画テレビ感想
そして、いよいよ最終回でありました
「新・映像の世紀シリーズ」
現代から未来にかけてかしらと
勝手に想像してて、ちょっと前にやってた
NEXTみたいな番組ちゃうかとなめてかかってましたけども
そうか、今回、これが本命の映像だったのか
そう思わされるほど、ここ最近といっても過言ではない
20年に満たない年月の間に、
とてつもない映像が生み出されていたというのに
相当衝撃を受けたのでありました
面白かった、もっというなら、今回と同じ年代には、
テロや戦争以外に、もっと凄いことがあったんじゃないか
そんな風に感じたのでありました

新鮮だったといっていいのか、
改めて衝撃を追体験したというべきなのかもと、
しょっぱなの911テロについては、
本当、まさに映画のようなという陳腐なそれで
どうしようもないほど言いえてしまう内容でありました
ニュース番組を、今、映像で見るというのが、
少し前の集にあったケネディ暗殺のときと似たような
あの独特の感触、気配みたいなのを嗅いだように思うのであります
あれ、リアルタイムだったんだよな
いまさらに思い返すわけだ

そこから、映像を利用したさまざまな戦争であり、
アラブの春なる幻想、あるいは暴走、
パリのテロなんかも衝撃いかばかりやといった具合でありました
アメリカ軍の度し難い蛮行なんかも明らかになりと
本当、きわめて危険なものだなと
映像の存在を印象的に見てとるのであります

一方でといっていいのか、
開放としてというか、文化として根付いた動画のよしあし、
正直、これで見るまでまったく知らなかったんだけども、
HAPPYという曲が世界的にヒットしてたとか、
ラジオでよく聞いた曲だけど、そんないわれがあったなんてと
いまさらに驚くのでありました

あとは、同性愛者たちの勝利とか、
なんともいえない哀しい事件を含む
情動を刺激する映像の活躍も
いろいろ考えさせられたのだけども、
不思議とといったらいけないんだが、
私の目が曇っているせいだろうけども
こういった映像で見るものが
ガイジンだから、そういうものかと受け入れているようでもあり
あれが日本人であったならば、
なぜだかしらけて見てしまいそうだと
そんなことを思ったりしたのでありました

各国は、自国のそれだったらやはり
そう思ってしまうんだろうかなどと、
だいぶ偏ったというか、番組の思想と違うことを
疑問として抱いたのだけども、なんともはや
色々考えさせられたのでありました

オチもつけられず、思うままにメモっておく

【読書】オールド・テロリスト

2016-03-23 21:53:50 | 読書感想文とか読み物レビウー
オールド・テロリスト  作:村上 龍

題名の通り、年寄りのテロリストを描いた話だったわけですが、
なんと形容したらいいのか、話はなるほど、
狂言回しのうらぶれた中年男性を軸にして、
それらの年寄りというか、一連のテロ事件を
追っていくというか、巻き込まれていくという
そんなお話だったのであります

読み終えて、まず思ったのは、
本当にもう、村上龍という作家さんは
まったく違ってきたのだなという感慨でありました
これは、前回読んだ55歳のハローライフでも
そんなことを書いたように思うのだけども
過度なというか、若い頃の作品にあふれ出ていた
エログロ的なものが、とんと抜け落ちていて
それでいて、骨子というか
話の進み方、物語の立ち方は不思議と
以前に読んだそれこれと軌を一にしているような
感触を覚えるのでありました

とはいえ、よくよく読んでいると
むしろ当時のぎらぎらしたというか、
抜き身のままのそれこれよりも、
なんか読んでいて、いわゆる、むらむらするような
絶妙な女性描写であったり、
執拗に凄惨な現場であったりするあたりが、
むしろ発展しているんじゃないかしらと
思えたりもするのでありますが
なんというか、文章力というか描写力というか
読んでいくにつけて、得体の知れないものが
体の中に渦巻いてくるような
独特の読後感というか、読書をできたのでありました

カタルシスや、物凄い面白さ、笑い、感動なんかは
ジャンルが違うと思ってしまうのだけど
なぜだか、こんなに分厚いのに、
次々読みたくなるし、さりとて、読んでいると
とても重苦しくなるというか、
正直な話、夢に見たというか、悪夢にうなされるくらいの
形容しがたい文章に襲われるわけでありまして、
病的な部分の描写が、
もうなんというか、自分と同一化しそうになるような
巧緻きわまるといった感想を持ったのでありました
ちょっと怖かった
なんというか、気が狂うというか、気が狂っているという描写は
執拗にされると巻き込まれていくという
恐ろしいそれだと思わされたのでありました

物語については、ひょっとすると執筆中になにか
変化というか転換があったんじゃないかと
不思議に思うような展開が後半にやってきて
大きく物語がうねるというか、なんか
変転するところが不審でありましたけども
全体的に、いわんとするところというか
思想や、モットーといったものを押し付けるそれではない
でも、描いたことで感じるものがなにかあったと
まぁ、とらえどころのないことを書いてしまうんだが
説教くさくはなく、なんとも
面白い小説だったと思えたのでありましたとさ

【映画】マネー・ショート 華麗なる大逆転

2016-03-22 21:28:56 | ドラマ映画テレビ感想
予備情報もなく見に行って、
映画館のポスター見てから、
前に原作読んだあれかと気づいた次第
見終わってから考えてみるに、
原作を先に読んでおくべき映画でありました
ちょっと、見ただけではさっぱり理解できないというか
なんか、駆け足で説教臭いだけのそれだなと
思ったのでないかと感じるのであります

内容は、原作の通りといいたいところながら
実際は、相当にはしょっている、そもそも、
原作がとっちらかった感じだったから
むしろ、よく映像でまとめたなと思わなくもない
そんな具合でありました
サブプライムローンのときにショート(売り)で張った男たちの
そのときを描いた作品でありました
ADHD気味の天才トレーダーや、
潔癖症気味のこれまた精神を若干病んでいる金融仲介者、
一山あてたい学生あがりなんかが、
それぞれの思惑でショートにはっていく様が
丁寧に描かれて、その描き方から
サブプライムローンがなんだったのか、
そして、どこにあの悲惨さが潜んでいたのか
あのとき、ロング(買い)走っていたのはどういう連中かと
そういうのを生き生き描いておりました

演出が独特というか、苦心したんではないかと
見ていて感じ入った部分でありまして、
ともかく難しい金融用語や知識がいっぱい出てくるので
それをどうやって映像というか、映画でわかりやすく見せるか
そこに挑んだ部分が、個人的にはツボでありました
唐突に小芝居めいて、説明シーンが挟まると
そういう感じなんだけども、
ああいうカット割の展開は嫌いじゃないというか
むしろ好きだなぁと、テンポのよさを楽しんだのであります

役者もそれぞれキャラクタが立った演技でよかったけども
驚いたのが、ブラットピットが出ていたところで
正直、物語が終わるまで全く気づかなかった
最後のシーンで急にかっこいいなこのおっさんと
気づいたときに、あれ、ブラピじゃね?なんて
思わされたりしたのでありますけども
好きな人ならさらっと解ったんだろうかしら
ともあれ、上手いなと感嘆でありました

全体的にというか、オチについては、
原作がそもそもそうだったか、記憶にないのだけども
説教談でもないが、なんか勝ったけど虚しいみたいな
そういう感じでうまいこと落としていたんだが、
正直そうじゃないんじゃないかしらと
見ていて思わされたというか、
そういう展開にだんだんとしていく途中の感じも含めて
あんまり好きじゃねぇなと感じたのでありました

面白かったけども、満足というほどではなかったのであります

真田丸  祝言

2016-03-21 19:18:42 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「真田丸」
視聴完了であります
結構ハードな回といってしまうのは簡単ですが、
なんといったらいいかな、どうも、
加減というのをしてほしいなどと
思ったというか感じたのであります

個人的には、大変好きなというか
見たい感じの展開だったのでありますけど
やっぱりなんだろうか、
どうしても大河でのパターンじゃねぇよなと
思ってしまったりなのでありました
どうも、陰惨にすぎるというか、なんだろう
新撰組の鴨が死ぬときもこんなだったような気がする
これが味というか、三谷節なんでしょうと
わかっているんだが、
どうも、もやっとしたのでありました

そんなわけで、あんなに元気で楽しかった室賀さんが
酷い有様で死ぬという衝撃的な回だったわけですけども
序盤のコントはなんだったんだという落差に
慄いたというか、作り方考えろよと
思わなくもなかったところ
ギャップで陰がくっきり出るとか
そういうのじゃなくて、これはなんというか
悪趣味な感じがしたと個人的には
しょんぼりなのでありました
さじ加減が難しいですね

とはいえ、言い訳を考えながらいくと
非常によくできておりまして、
これまで、ほとんど描かれなかった死というか、
ああいうことが、まざまざ、
初めて描かれたというところが非常に強い印象として残るわけで
ぐっとくるというか、いいなぁと思ったわけなんだけども
なんだろう、そこに何かに対する言い訳のために存在しているような
きりの所作と言動が、これまたどうしたと
思わなくもないのでありました
しかし、それをもってしてオチの部分で、
心情の吐露役というか、いくつかの面のひとつを追っているというのは
なるほどと思うところもありつつ
それはまた、違うんじゃないかとも思ったりなのでありました

ギャグというかコミカルをやっているのに
陰惨シーンを驚くほど濃く描くというのは
やっぱり露悪的でなかろうかと
なんとなし考えさせられてしまったのでありました
ブラックユーモアというか、こういう手法なんだろうかな
考えさせられてしまうのであるが
面白かったのでよいとする

あと、お兄ちゃんがなんだかんだ
とてもよいと思えるようになってきた
素晴らしいな

【読書】もしも悩みがなかったら

2016-03-20 22:13:01 | 読書感想文とか読み物レビウー
もしも悩みがなかったら  作:水野敬也、鉄拳

小説というか、童話というか、
ぱらぱら漫画というのか
ともかく、組み合わせから想像できる通りの内容でありました
読書というでもないな、なんとなし読んでいて
あっという間に終わったと、そんな塩梅だったのですけども
せっかく見たのでメモっておくのであります

内容もまた、タイトルから想像に難くないものでありまして、
非常に納得というか、しっくりくる物語で、
それでいて、著者の肩の力を抜きすぎた塩梅が
ほどよく抑えられていて、本当にいい話で
ぴたっと決まっている作品でありました
ほろりというでもないというか、
なるほどなぁと、思いつつ
オチも非常に丁寧という印象で
ああ、ひとつ、いい話を読んだと
そういうすがすがしい気分で終わるものでありまして
いい意味で、とても毒がなくて
安心して読めるそれでありましたとさ

誰に向けたのかとか、そういうことを
考えるのも意味がないと思うのですけども
きっと、この世界観というか描かれたものによって
ぐっとくるというか、それ、それが読みたかったと
そう渇望している人はきっと居るだろうと
思わされる衝動が詰まっているわけだけども
なんというか、説教臭くなく、それでいて
タイトルの通り、悩みがなかったらどうなのか、
悩みとはどういうものかという感じが
とてもとても、よろしく描かれていたのでありました
そうじゃないとか、そういうことじゃないと
思ってしまったりというのは
自分がちゃんと読みこめていないからかもしれないと
感じたりもしたのであります

なんだろうかしら
えらいまともな感想文になってしまったのだけど
いい塩梅で力を抜いて、ああ洗われたと
素直な気持ちを抱いたので書いておくのでありました

【読書】田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」

2016-03-18 22:36:48 | 読書感想文とか読み物レビウー
田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」  著:渡邉 格

なんと形容したらいいのかわからないのだけども、
天然酵母のパンを作る話と、そのパン屋のなりたちと、
そこから派生してというか、
割と唐突とも思えるように、マルクスの資本論が絡むという
斬新な本でありました
とても優しく解説した、経済学の初手みたいな
そういう感じだったわけでありますが、
読み終えて、結局なにが骨だったのか
よくわからんと思ってしまったあたり
気楽に読み捨てる本でないかと思うのであります

数奇な運命といっていいのか、
やんちゃな若いころから、一念発起して働きだすまでも
なかなか面白いエピソードばかりでありましたが、
どうも、世間に対して反抗するというそれこれを
相当に長い間続けていたのでないかと
そういう感じでありました
その世間への反抗なるものが、
経済活動に対する不信というか、どうも気に入らないと
まぁそういうことになっていたのではないかと
そう感じられるところでありまして
その後、思うところもあって
パンを作って売るという話になり、
さらに、エンデなんかを引用しつつ
地域通貨なども踏襲しつつ、成功例というか
本人が体験してきたそれこれを披露

目指すべき、理想の経済活動というのが
かなり柔らかく書かれていたのでありました
変に説教くさくないのはいいんだけども
物足りないというか、本当、ふわっとしすぎで
結局、経済の話なのか、ただパンの話なのかが
わからなかったりしたのでありますが
それはそれでありましょう

オーガニックに徹底的にこだわるということと、
対価について考えさせられるところはなるほど
特に、労働という力をどう使うか、あるいは使われる、搾取されるかと
そういう話にまで発展して面白かったのだけども
そこから脱出するための方法として
著者が選んだ方法が、はたしてどうなんだろうか
全員がこれをしだすと、結局、優位性が保てなくなり
破たんするんじゃないか
その破たんしたのが、少し前で、今の状況へといざなわれた
資本による淘汰ではなかったのじゃないかしらとも
考えたりしたんだが、なかなか興味深いのでありましたとさ

【読書】偉大なる失敗

2016-03-16 20:47:33 | 読書感想文とか読み物レビウー
偉大なる失敗  著:マリオ・リヴィオ

面白かったけども、凄い難しかった
偉大なる科学者たちの失敗をとりあげて、
なぜその失敗が発生したか、
そういったことを考えながら、科学者たちの生き方、
なによりも偉大な発見とその歴史について
詳しく解説した本でありました
とんでもなく難しい本だったけど、よく読んだ俺

進化論、DNAの発見、一般相対性理論など、
生物から宇宙にいたる非常に大きな問題について、
果敢に挑んだ偉大な科学者たちの
その功績を学びつつ、その傍らで間違いも犯していた
その間違いがどういったものだったかと
これまた、長い長い説明で見せるという
まぁ、なんだろうかな、私も含めた
なんちゃって理系学部出身者には、大変よい勉強となる
そんな内容でありました

ダーウィンやアインシュタインという
偉大すぎてぐうの音も出ないような
素晴らしい科学者が、実際にどう考えて、
その偉大な発見をしたのか、
そもそも偉大な発見ってなんなのかについて
大変丁寧に説明されていて、
この年齢にして、ようやっと一般相対性理論について
知ることができました
恥ずかしながら、これ読むまでは、
アインシュタインは特殊相対性理論を提唱した人だと思ってたんだが
それを発展させたというか、宇宙の真理に近いのは、
一般のほうであるのか、とまぁ、
今こう書いておきながら、これであってるのか
不安になってくるくらいの体たらくでありますけど
非常にためになったのであります

進化と遺伝、そして宇宙という
いずれもその発見によって、科学が凄まじく向上した
と言っていいのか、その恐ろしいまでの影響というか
完全にそれまでと、それ以後で世の中を変えてしまうような
凄い考えが、なぜ生まれたのかという部分については、
もう天才の真似なんてできないから無理と
言ってしまいたくなるような内容でありましたが
失敗については、思いのほか自分でもわかるというか
むしろ、人間ぽい、いかにもあるなという
「盲信」という状況が、なんとも
考えさせられるところでありました
考えすぎていると、いつか、自分に都合の良いことしか
見えなくなってしまうのであるというのは
本当、怖いことでもある

天才が、孤独に研究したほうが進むこともあるけど、
その反面、孤独であるが故に、
その考えに意見をするというか、様々な批評を浴びせることでの
ブラッシュアップが望めなくなるというのが
物凄くよくないことなんだと
改めて思い知らされるのであります

偉大な科学者たちは、失敗は自尊心が傷つくだけで、
間違いだと指摘されれば、それ以上の被害がでない
大変有益なことだと
頭ではわかっていながら、なかなか、
その通には実行できなかったんだろうと思うと
なんとも、身近でもないけど
身につまされるようにも読めたのでありました

内容ほとんど語らないまま、こんなに書いてしまいましたが
ともかく、難しいけどためになる本であったのだ

【読書】羽生善治論 「天才」とは何か

2016-03-14 21:02:22 | 読書感想文とか読み物レビウー
羽生善治論 「天才」とは何か  著:加藤 一二三

本当は別の将棋基礎講座みたいな本を読もうとしたんですが、
あいにく図書館で貸し出し中だったため、
せっかくだから、ひふみんの本でも読みましょうと
羽生先生について語ったこの一冊を手に取ったのでありました

あれ、羽生論というか、ひふみんの自慢話じゃないか?

そんな按配で、本の内容までも自由だなと
慄いたわけですが、もう、ひふみんだから仕方ないと
納得の読書だったのであります

神武以来と呼ばれた天才加藤一二三先生が、
これまた、大天才と呼ばれる羽生先生をどう見ているか
天才同士だからこそ、何かわかるところがあるのではと
そう期待させる、ひふみん節とともに語られる
天才のあり方みたいなのが披瀝されていて
なかなか楽しかったのであります

正直、将棋の本としては
このレベルの人たちは、もうどっか違ってしまっているので
まったく参考にならんと思ったり感じるわけなんだけども、
人間を見るというか、それくらいの人同士で
何か通ずるものがあるのかもと思わされる
面白い考察、そしてひふみんだから言ってもいいこと
つまるところの、羽生さんはもう成績に興味がない、というこれ
この境遇というか、境地に至るところについて
こうではないかと、惜しげもなく書いてくれているのが
非常に面白いところでありました
ほかの人が、つまらん忖度するのではなく
あのひふみんが言うんだから、そうかもしれないし
そうじゃなくてもいいじゃないかと
そう思わされるのであります

私も、米長先生の本から始めて、
その世代の人たちの歴伝を補充しまくっているわけですが
今回の本においても、ひふみんの世代というか
ひふみんがものすごかった頃の、
まさに鬼が住んでいる状態のなかに
羽生先生が入ってきて、ひっかきまわすでもなく
淡々と刺していくという恐ろしさというか
その存在が、大変面白く読めたのであります
NHK杯における、短期戦の強さ、
ここが得意な棋士が非常に強いというか、天才と呼ぶそれじゃないかと
これはなるほどと思わされるところでありました

ひふみんなので、自慢話8割というところかと
思ったりもするんだけども、
どうやら、本当にこのレベルの人になると
盤面を見て、さほど考えなくても一番よい手を選べてしまう
この当て勘の良さみたいなのが天才たるゆえんというか
ロジックはあとからついてくるのに、
その瞬間に正しいそれを選ぶというセンスというか、それ、
それがあるかないか、ここにひとつ天才の因果があるだろうと
まぁ語っていたわけでありました

あとは、どこまで考えても考え続けられる
凄まじい執念というか、考え続ける体力、知力
これもまた重要な要素であると
いつまでも将棋を抱いていられる稀有なそれを
自身を振り返りつつ書いていたのでありました

将棋も楽しいが、棋士がやっぱり楽しいんだなと
改めて思い知ったりしながら、まったり読んだのであります

真田丸  妙手

2016-03-13 20:41:41 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「真田丸」
視聴完了であります
妙手がたくさん出てきて見ごたえがありました
なんとなしですが、信繁が絡め取られた
それが一番の妙手だったんじゃないかと
思わなくもないところ
本当に妊娠してんだろうか…

さて、あれやこれやとひっくり返す話ばかりで
あんなに上手く、上杉が乗ってくるとも思えないのだけども
まぁ、そこは面白いからいいかと
固唾を呑んでという感じで見守りました
久しぶりの戦シーンというか、叔父上の大奮闘は
なかなか、その使者斬りのあたりから
非常に楽しく見られたのであります
もっとも、使者は斬ったら駄目だろうと思うんだが
まぁ、物語なのでよいとしたい
いや、本当に斬ったのかもしれないからわからんけどもさ

妙手という副題どおりに
各陣営があれこれと手を打っていく様が
非常に面白かったわけですけども
ちょっと前は将棋で描写してたのが
気づいたら囲碁描写になったのは
なんか意味があるんだろうかと考えてしまうところ
今は陣取りをしているからそうという話で、
将棋のときは将を攻めてるとか
そういう暗喩なんだろうか
また将棋画面が出ないか楽しみにしたいのであります

あとは、さらっとネタバレしていた
本田の娘を嫁にする話が
あんな簡単に出されるとは夢にも思わなかったのですが
あのシーンのお兄ちゃんは大変よくできましたと
そういうイメージでとても良かったのであります
ただ、直前に信繁が隠密みたいな動きで
平八郎を制したのはやりすぎだろうと
思わなくもないというか、
あんなことできないだろうとも思ったんだが
まぁそれはいいとしよう

なんか、そんなこんなでありましたが
一番笑ったのは、囲碁シーンで
手が悪くなったからって、昌幸が盤を崩したところで
とどめを刺してから、あっさりというか
まぁ気のない声で「あー、これは駄目だな」とか
さらっというところが本当
このドラマの昌幸ってこういう人だなぁと
しみじみ感激というか、納得したのでありました
楽しい回であった

【読書】私が最近弱っているのは 毎日「なんとなく」食べているからかもしれない

2016-03-12 20:05:05 | 読書感想文とか読み物レビウー
私が最近弱っているのは 毎日「なんとなく」食べているからかもしれない  著:小倉朋子

食べ物系雑学本かと思いきや、
食べ物、食べることから人生を見つめなおすという
ちょっとしたハウツー本といいますか、
自己啓発系のそれでありました
なかなか面白い切り口だった

栄養の取り方とか、新しいダイエット的なそれこれかと
自分のヘルスネス知識を充足させたいために読んだわけですが、
この本では、食べること、食べるものに対して
真剣に向き合うことで、目が醒める、つまるところ覚醒する
それを目指しているというか、気づきにする
そんな内容でありました
いわれてみれば、もっともである
そんな感想を抱く内容なのであります

なんとなし食べていたという事案そのものが、
生活リズムを単調にし、つまらなく、そして、
栄養も偏るので、肉体的にもつまらなくなっていく
それを危惧するというか、警鐘を鳴らす
いや、もっと緩やかで穏やかな調子において、
ちょっと気にしながら食べてみると
不思議なことに、感性というか、感覚が研ぎ澄まされていきますよと
まぁ、漫然と生きることを食べるという目的のついでに
きっちりさせようというお話でありました

五感をフルに使って食べるという行為
まぁ、サラダを食べるというそれに集約されていくのですけども
その味わい方について、かなりの思い入れがある様子で
相当な量の方法を提示しておりまして、
それだけやったら確かに面白いかもしれない
そして、何か得られるかもしれないと
私のようなタイプの人間には、きたすものがあったのですけど
なかなか面白いアプローチだと思うのであります

毎日、絶対に続いていく食事というイベントを
どう楽しくするかと考えるだけでも
人生が豊かになっていくというのが
結論というか、テーマで根幹だったのでありますが、
まぁ、そこまで食べることに執心できない自分であっても、
ちょっと気をつけるだけで、なるほど
ほかのことにも気を配るゆとりというか、
違う目線が手に入るかもやもと
思わせてくれたあたり、いい本であったと
感じたのでありましたとさ

つっこみだしたら、いくらでも文句がつけられるというか
こういうのは、そうだと読んだら、そう信じるものだと
確認しつつ、食べ物の材料にこだわる日が
近づいてきたようにも感じるのでありました
やっぱり、食べることはとても大切であります
妥協はなりませぬ

【読書】ホワット・イフ?

2016-03-10 20:43:37 | 読書感想文とか読み物レビウー
ホワット・イフ?  著:ランドール・マンロー

大好物のサイエンス系読み物であります
今回は、アメリカだか、イギリスだかの
ジョークがわかるサイエンティストが
真面目に、くだらない問題に対して答えるという
日本でも、某掲示板とかにスレッドがありそうなそれであります
話の中に、4chanが出てきたから、
実際そういうことなのかもしれない
とはいえ、くだらない問いに対して
あれこれと難しい知識を並べ立てるという、
いい意味で雑学的な、悪い意味でただの自慢しいというか
もう、これ読んでいるだけで
絶対女にモテなくなるだろうなと
そう思わされるようなステキ読み物でありました

いくつもの、壮大な設問があり
それに対して、科学の力というか、
化学、地学、生物学、物理学、そして数学といった
理系の知識を総動員して、あれこれと解決というか
こうじゃないかと考察するという内容であります
野球ボールを光速で投げるとどうなるか、
海の底が抜けて水がなくなるとどうなるか、
どれくらいの高さから肉を落下させるとよい焼き目になるか
などなど、これはもうアレだ、
昔懐かしいトリビアの泉の実験コーナーとか、
大科学実験とか、ああいうジャンルのもっと
机上論で煮詰ったやつであります

これだけだと、昔日本にも空想科学読本なる、
読み捨て本があったなと思い出したのですが、
まぁノリとしてはあれに至極近いのだけども、
最終的なオチが、非常にガイジンのジョークという感じで
私としては、そこが一番お気に入りでありました
アメリカンジョーク的なのが好きなのである

そんなわけで、野球ボールを光速で投げると
デッドボールになるという話に
爆笑したのが、一番の思い出であると語りつつ
結構な分厚さながら、さらさらっと読めるというか
理屈は正直、覚えていられないけど
なんか、考えているようだからOKじゃないかしらと
そんな風に思わせてくれた
なかなか楽しい本だったのであります

あとは、回答しない、できない、
危険な質問集もなかなか面白かったというか
ああいう質問を考えられる人というのは、
ある意味貴重な人材だよなと
自分の脳みそでは、どう絞ってもでてこない問いに
舌を巻いたりしながら、
非常に楽しく読書を終えたのでありました