CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】教誨師

2016-02-29 21:46:28 | 読書感想文とか読み物レビウー
教誨師  著:堀川 惠子

ある教誨師をしていた浄土真宗の僧侶から、
その仕事について聞き取ったルポというのか
実録系の本でありました
死刑囚の話し相手になる、というと語弊があるのですが
その心によりそう仕事を教誨と呼ぶのだそうで
門外不出というほどでもないですが、
決して、外にその話をしてはいけないとされる
実に不思議な職業のお話でありました
こんな世界があるんだな、そう思わされるわけである

取り扱う話題からして大変デリケートなので、
おいそれと、よかった、悪かったなんて、
この本から教誨についてあれこれいうことは
絶対にできないし、そういう本ではないのでありますが
やはり死刑囚に対してのこの内容というのは、
なかなか、とてつもなく考えさせられるところでありました
本の内容に、これはまったく出てこないし
そういうことを意図する本でないと
固くしてんだろうと思うんだが、やっぱりどうしてと、
この教誨という仕事の深刻さ、そして、
その真摯さというものに触れるこそに
そこまでして、寄り添うということがはたして
どうなんだろうかと、哲学めくのでありました
被害者からすると、ここに救いが生まれるということも
一種、違和感を覚えるのではないかなんて
思ったりするのであります

しかし、教誨することによって、
ようやっと罪と向き合うといえばいいのか、
そういう心を手に入れる死刑囚もいるようで
そうなってくると、一つの何かを得ているようにも
思わなくもないけども、なんだろうか
どうなんだろうか、この仕事は人間社会に
どうしてもあるべきもののようにも思うし、
そうではないのかもしれないと
ゆれてしまうのでありました

本では、死刑囚のやりとりに加えて、
そこで起こるというか感じる内容、
この仕事により救われる死刑に携わる人たちなんかも見えて
とてつもない重たさをはらむわけですが
ここに教誨を行う僧侶の生き方もまた
仏教における一つの修行というか
役割でもあるのかもしれないと
深く考えさせられつつ
凄いことを知ったようにも思う
そんなことを書いておこうと
とりあえずメモっておくのであります

凄いというのとも違う、感動はない、
なんといえばいいか、考える、考えている
そう自分に言い聞かせるようであります

真田丸  調略

2016-02-28 20:40:56 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「真田丸」
視聴完了であります
今週は、なかなか真田のやりざまを見せつつ
戦国時代をうまいこと説明していたと
感じた次第であります
こういうあからさまな戦劇でいいのであります
うまいこと生きすぎなくらいが、
なんというかちょうどよいと思ったりするところでありました

内容は、かわいそうな春日弾正のせがれでありましたが
まぁ、以前にごちそうさんで詐欺師やってたくらいだから
ここで仇をとられるのも一つであろうなどと
勝手な言い分を覚えてしまったのでありますが、
なかなか、いたたまれない感じでありまして
ステキな調略風景でした
まぁ、みんなお人よしすぎて、ちょっとどうだ
流石にそこは気づくだろうと思わなくもないが
とりあえずいいのであります

解りやすいバカ息子がこれまた素晴らしいなと
北条については、非常に今後も楽しみなのでありますけど
何回もお茶かけてるのはわざとだったというのは
一つ、なるほどなぁと思わされるところであります
あれはあれで、いい使い方だなと
感心しきりでありました
氏直のアホさがより際立つようで素晴らしい

基本的にアホ男しか出てきてないんじゃないかと
ちょっと心配になるほどでありましたが、
真田の御家来である、黒木華のお兄さんが
これまた、素晴らしいアホ男ぶりで
清清しくてステキでありました
まさに脳みそ筋肉というそれを体現しててとてもいい
あの軍神とは思えないほどでもある
いや、軍神のときもそういう役どころだったか

がちゃがちゃしながら、
まずは信濃の国衆が独立という事態になって
なかなか頼もしいことこのうえないのでありますが
確かにそうやって生きてたんだけども、
なんだろうか、あんまり話が進んでいるように見えないというか
戦国を地方に向けてしまうと
話作るの難しいんだなと思わされたのでありました
今後も、こんな話を手を変え品を変えやってくだけだろう
飽きてしまうんじゃないか
不安を覚えたりしながらも、気を抜いて見られるので
よい塩梅かもなんて思うのでありました

【読書】美麗島紀行

2016-02-27 20:27:24 | 読書感想文とか読み物レビウー
美麗島紀行  著:乃南アサ

台湾について書いた本であります
著者が、台湾について、特に戦前の日本統治時代について、
また、台湾そのものの歴史について、
あれこれと調査しながら、台湾全土を経巡り歩く
そんな内容でありました
非常に面白かった、大変真面目な旅行記のようにも読める
いい本であります

台湾の歴史をおさらいしながら、
統治時代の遺跡、遺構を見学して、今それがどうなっているか
どう利用しているかというあたり
ここのところ台湾で流行している文創という
リノベーションの姿なんかもレポートしてて
非常に興味深い内容でありました
根底のひとつに、別れた日本という話もあるんだけども
今となっては、すっかり異なるというか
もともと違うものであった、
その文化の根源的なものに気づくというか
改めて思わされるところがあって
独特の文化それを楽しめるお話もありました

台南や高雄の話が多く、
日本語をしゃべるお年寄りなんかも出てきて、
なによりも、東日本震災のときの義捐金については
本当、どうともしようがないほどの感謝を覚えるわけですが
そこをあまりにも世間が知らないと
そんな風に嘆いているところもありながら
そこまで、なぜ日本を助けてくれたのかというあたりが
ただ、日本を好きだとかいうことではなく
台湾人の優しさという根本の精神からきてるのじゃないかと
そう考えてみたりと、なかなかなるほどという話

台湾人というアイデンティティーのありかたや、
先般の総統選につながる前哨戦の話も含めて
大変面白く読めたのでありますけども
ほんの少しだけ日本でも話題になった
台湾の学生たちが立ち上がったデモの内幕というか
実情のレポートが秀逸でありまして
本当の自治というか、独立する意識みたいなのが
凄く文化的に優れている
人間として、大変優秀といったらいいのか
強い精神と知識によるものだと
なんか、感動させられたのでありました
ここまで、民主的な手順をふみつつ
人間尊厳を守るというか、この精神が高潔すぎて
まばゆい、とてもまぶしい
戦前の日本にもあった精神ではないかと
やや嘆くふしがあるのも仕方ないのだけども
なんだろうか、とてもステキに思えてならんのでありました

日本の教育によってそうなったなどと
偉そうなことを毛頭考えることもないのでありますが
根っこのところに、こういう高潔なものを秘めているから
なんというかな、仲良くできるのでないかと
仲良くさせてもらっているとも思ったりなんだったり
えらく、ひいきを引き倒すようにして
読み終えたのでありました
ああ、また行きたい

余談というか、蛇足なんでありますけども
台湾と日本は、別れているからこそはぐくまれたものもあるのではないか
今の日本には彼らが見る日本人なんておらんのでないかなどと
後ろ暗いことも考えてしまうわけなんだが、
なんだろうか、台湾の若い人たちが日本を好きだという気持ちが
とてもありがたいと思いつつ
今の蜜月が、やがて枯れていくのではないかと
どうも心配でならぬこのごろなのでありました
そういう想いも含めて、今の台湾を見たり楽しんだりしておきたいなんて
かっこよく〆ておく

【読書】ロマンシエ

2016-02-25 21:25:04 | 読書感想文とか読み物レビウー
ロマンシエ  作:原田 マハ

軽い感じのロマンス小説でありました
いや、ロマンスだったかな、なんだろう
コメディといってしまったほうがいいのか、
もしかすると、書きながら行き当たり場当たりだったんじゃないか
そう思ったりするような、なかなかとらえどころのないというか、
ふわふわ、軽やかな内容でありましたところ

美術のお話ということで、これはまた、
楽園のカンヴァス的な話かしらと思ったけども、
ずっと軽い感じで、美術をやる側が主体なんだけども、
美術薀蓄は、なかなかたくさん出てくるが
主眼はそこじゃなくて、ただただ色恋、
ほれた晴れたのお話でございました

まぁ、そこが少しシチュエーション的にけったいなところもありまして、
男が男にほれているというジェンダー的なそれが主軸で、
そこに、岡惚れしているような女だとか、
様々な個性的な人物たちが入り乱れて、
あーでもない、こーでもないと、
美術にまみれながら、どたばたするといった具合
相当に荒唐無稽な部分もあるんだけども
なんだかんだ、面白く読まされたと
そういうお話なのであります

舞台がパリで、パリに関する様々な薀蓄や、
主人公の破天荒な生き様とキャラクタが
ただただ、転がり続けるだけなんだけども
なんだか面白くて見ていたくなると、
そういうキャラ物っぽい小説なんだけど
成長していく過程みたいなのがステキで、
なんだろうか、美術に触れる喜びみたいなのが
特に見えないのに伝わってくるようで
こういう、好きなものを好きとしている姿
それを読ませるというのは、いいことだなと
好きな部類だと、改めて思い知らされるわけでありました
ステキだ

個人的には、色恋という部分よりも、
割とさらっと、いや、中核のひとつとして語られていた
自由に関する部分が、非常に共感できるというか
その解き放たれたかのような状態に、
後から気づくというのがすごくよいなと
なんだか、しみじみ感動したのでありました
そういう体験が減ってるなぁなどと
思ったりもするわけだ

と、まぁ、楽しく読めて、ほどよく面白くてと
満足の一冊でありましたとさ

【読書】骨風

2016-02-24 21:12:31 | 読書感想文とか読み物レビウー
骨風  著:篠原 勝之

ゲージツ家として有名な「クマさん」こと、
篠原勝之さんの本でありました
自伝といったらいいのか、
私小説と読んだらいいのか、
そんなことを考えさせられたのですが、
あの風貌からは、ちょっと想像もつかなかった、
実に繊細な文章を書くという事実に
慄いた次第であります
朴訥というのではない、本当に綺麗な文章で
イメージと全然違うと感じた次第でありました

内容は、幼少の頃の話や、
出会い、別れた話なんかも含めて、
死や、生きるということについての
想いをエピソードと思い出によって語ると
そんな具合でありまして、
考えさせられるというほど重くはないけども
何か、近づいてくる死を見つめるような
不思議な気持ちになったのであります
本当に不可思議な読後感であります

北海道から、単身逃げてきたという生い立ち、
鼻が利かない、片耳が聞こえない身の上、
臆病で気弱な幼少期といった話が、
今とはリンクしないように感じるわけですが、
描かれる風景や、生き方が、なんといえばいいか、
昭和という時代を、ありあり書いているように読めて
なんだろうか、この時代だからこそできた生き方で、
そう生きた人なんでないかしらと
なんとも、懐かしむではないが、愛でるように読んだのであります
変なノスタルジーめいたものがある

印象的だったのは、低速発動機に取り付かれた人の話で、
どこにでも、そういう一風変わった趣味の人というのがいて、
また、それに同好の士というのがいるもんなんだなと
なんとも牧歌的な雰囲気を読んで楽しめたのであります
話の最後は、なんとも悲しいというか、
そうかという、諦念みたいなのを覚えたわけですが
ともかく、面白く読み終えたのでありましたとさ

【読書】カールの降誕祭

2016-02-22 21:34:39 | 読書感想文とか読み物レビウー
カールの降誕祭  作:フェルディナント・フォン・シーラッハ

気づけば、さほどに好きでもないのに、
この作家さんの本を読み続けているなと気づいた
今回も、短編三つという小さな短編集でしたが
罪について考えさせられる、
裁判ものというか、犯罪についてクローズアップした
真っ黒なといっていいか、
ともかく、暗くて深い川の向こうの話といった
そういうものを読めたと思うのでありました

今回は、これまでの何を罪と呼ぶのかという、
根源的な問いかけよりは、
事実として、そんなことがあったといった風で、
犯人というか、罪を犯した人を見せるというか
描いた作品でありまして、
情状酌量なんて生易しいというか、
よく聞く杓子定規なそれではなく、
そういった背景について、考えさせられる
あるいは、それは自分であったかもしれないなんて
思わされたりするようなと
そういう気持ちになったのでありました

あかん、これでは、自分がサイコパスではないか

そんなわかった風なことを思ったりしたんですが
こんな茶化すこともはばかれるような、
いたって暗い、おどろおどろしい内容だったと
感じたのでありました
精神に訴えてくるというか、こういうパターンの人たちは
じっと見ていると、取り込まれるというか
やがて、自分もそう伝染してしまうと
自分の心弱さから、思い知らされるところでありまして
怖いから見たいというのに近い、
なんともいえぬ読書を強いられるのでありました
強いられるというか、読みたくなってしまうのだな

また、挿絵がとんでもなく暗いというか、
ちょっとどうかしている感じなのも
拍車をかけるというか、
いやぁ、つまされる、そういう気持ちになって
そっと、休みに読むものじゃないなんて
反省したけども、面白かったのでありました

真田丸  奪回

2016-02-21 20:44:13 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「真田丸」
視聴完了であります
かなり物語は動いているんだけども、
なんだろう、同じ調子でめまぐるしいからか
こう、どう評したらいいものか
面白いんだけども、印象に残らない
そんな感じがしてしまうのでありました
いや、丁寧にというか、けっこう乱暴に
シナリオを消化していると
そういう印象を受けてしまうのであります
ナレーションで、人がいなくなるからだろうかな
もう、滝川出てこないのかしら

そんな感じでありますけども、
相変わらず、当たらない勘にしたがって、
危ない橋を渡り続ける真田が
いきいき描かれていたわけであります
人質奪還コントは、なんだろうか、
見ていてわくわくするではないけども、
べたながら、見てて面白いシーンだと
素直に感心してしまったのでありました
もっとも、オチが残念というか、
ああなってしまうと、そんな簡単なことにならんだろうと
思ってしまったわけだけど、
そこまで含めて、滝川が甘いと
そういうお話だったのかなとも思うところであります

全面的に「きり」が押し出ておりまして、
あの扱い方の紹介といった具合でもありましたが、
こんだけはっきりと現代劇で通してくると
すがすがしいというか、もう慣れてくるかしらと
思ったりするのでありました、
あれはあれで、凄い女だなと感心してしまうというか
演劇っぽいななんて、あての外れた感想を
思わずもらしてしまうのでありますところ
邪魔臭い扱いをされるヒロインというのは
ある種斬新ではあるかしらと思ったりしながら
今後も楽しみにしていきたいところでありました

やってることは面白いはずなのに
なんか、もやもやしてしまうというのは
殺陣というか、合戦がないからなのか、
なんなのか、わからんまでも
見守り続けていこうと
思うのでありましたとさ、
ある種、落ち着いて見られるというのかもしれない
わかんない

【読書】タスキメシ

2016-02-20 19:16:02 | 読書感想文とか読み物レビウー
タスキメシ  作:額賀 澪

青春陸上小説でありました
色々と入り組んだ物語というか、
人間的ないざこざがまぶされていて、
それだけ事情が交わるというのに、
ラブストーリーではない、青春小説だったというのが
この本の白眉たる部分であると思ったのであります

しかし、描かれている内容は盛り込まれまくりというか、
ここまで、よくあれこれもってきたというくらい、
兄弟、自立、逃避、片思い、友情、夢と希望と、
まぁ様々に、描かれているうえに、
それを支える基本が、長距離走と料理という、
なかなか凄い本でありまして、
非常に面白かったんだけども、いうほど、
タスキとメシの間に関係がないなと、
そこだけ肩透かしというか、タイトルと違う感じがしたのであります

とはいえ、料理は料理で、描写は淡白なんだけど
なんだかおいしそうなそれこれが盛りだくさんに出てくるし、
陸上における葛藤が、テーマのひとつであるからか、
スポーツシーンは、はらはらというか、重々しいというか、
独特の爽快感とは違う、でも、これはこれで晴れ晴れとしている
ああ、そうか、青春だからか、
なんてこっ恥ずかしいことを思わされるような
ステキさに満ち溢れていたのであります

ちょっと、みんな大人びすぎているというか、
でてくるキャラクタが、高校から大学にかけてなんだけども、
ここまで真摯に打ち込めるというのは、
素直に羨ましいというか、理解が及ばない世界だと
非力の身分としては思わされたのであります
でも、これだけやりたいと思うようなパワーが、
不思議と部活というのには満ち溢れているようにも思うので
よい青春であります
私はこうではなかったが、よかったのだ

ちょっと、未来の話とザッピングするあたりが、
ぱらぱら読んでいると理解できなかったのですが、
ドラマというか、映画めいた物語の進み方がステキでもあり、
最終的にどうなんだ、ひょっとして、あれなのかと
やきもきしたのでありますけども、
ある種の平凡の人を描いているというところが、
なんだろう、挫折も含めて、後悔しない青春という
まぁ、なかなかどうしてというキーワードを
ど真ん中から打ち抜いているようで
心地よい読後感だったのでありましたとさ

【読書】エピローグ

2016-02-19 20:59:06 | 読書感想文とか読み物レビウー
エピローグ  作:円城塔

そして、エピローグのほうを読みました
名前からして、こっちが後だろうと思ったんだけども、
こっちを読んでから、プロローグを読むべきなのだと知って
なんというか、残念というか、
いやでも、この順番で問題ないようにも思うところ
非常に楽しく読み終えたのでありました
ああ、そうそう、こういうのを読みたかった、面白かった

と、かっこうをつけているわけでもないですが、
たぶん、自分なりに理解したというか、
読んで面白いと思えたと、確認しているところであります
内容は、文章とか、小説といったことを
SF的に解体して読ませてくれたというか、
虚構と現実とをいったりきたりでもないか、
言葉遊びを相当に極めた一本だったと
そういう感じであります
形而上会話というか、設定がずっと続いていくけども
それを眺めているだけで面白いと思えるのであります

最終的にはラブストーリーが、人智を超えて、
誰もがひきつけられると、そんな単純なオチでは
当然なかったわけですけども、
なんだろう、オチてはいなかったんじゃないか
そう思わなくもないまでも、
文章を解体して、組みなおして、再構成、再構成、再構築と
そんな具合で、文章じゃないと説明できない領域、
あるいは、文章にすらできないもの
そういう何かを描こう、書こうとしているというか、
そういうものを取り扱った内容だったわけで、
ああ、読んでいて、なんとなくわかる、
そうだ、こういうのが文章から得られるもので、
これが読書だろうよ、なんて
一人ごちるというか、
変な病気をこじらせるような満足感を得たわけでありました

大変満足したわけだけども、
これを読んでから、プロローグを読んだら、
プロローグのことが、もっとよくわかったんじゃないか、
ああ、あのわけのわからない話は、
この物語で語られていた、存在しない文章であり、
書き換えられた文章だったのかしら
なんて、思いをはせたりしながら、
なんとも、円城塔づいた、ここ数日を過ごしたのでありました
楽しかった

【読書】プロローグ

2016-02-17 20:04:36 | 読書感想文とか読み物レビウー
プロローグ  作:円城塔

わーい、円城塔の新作だー
なんてのんきに読んでみたのですが、
ああ、とうとう、私には理解できなくなってしまった
そういう悲しみにくれた一冊でありました
ところどころ、笑いどころがあったんだけども、
そうじゃなくて、あの、いつものというか、
読んで、面白い文章だと思うと同時に、意味がわからないと
嘆息見舞うような、あの体験が今回できなかった
もう、頭から拒否されたかのようにして
ちょっと、だいぶ、かなり、難解だったのであります

この感じは、シャッフル航法のときに似ていると
感じたりしたわけなので、
ひょっとすると、書かれていたとおり、これはスクリプトによる
自動生成された文章なのかもと思ったりするところ
ところどころ面白いと理解というか、
楽しめた部分は、やっぱりまだ手が入っているんだけど
もう、のっけから理解を拒んでいるような部分については
これは、自動的なそれこれなんだろうか
そう思ったりすると、これが続くようだと
私は今後読めないなんて、危機感を覚えたのでありました

内容と、要約できようはずもないのでありますけど
文章を自動生成するためには、どうしたらいいかを
哲学的にだったり、実地だったり、観念だったりと
あらゆる方向から近づいていこうとすると
その思索が、ただただ駄々漏れというか、だだ書きされていると
そういう一本だったわけでありました
なんでだろうか、やってることというか、
目指しているところは、これはペンですのときと
さほどにかわらないはずなのに、
どこでどうなったんだろうかしら

とはいえ、あいかわらずの妙な理系っぷりというか
SFと呼ぶのも違う気がする
しかも、本人は私小説だって言い張るという
どう扱ったものか困ってしまう内容だったわけでありますが
論文を読むのとも違うし、なんともいいがたい、
ちゃんと考えているんだろうけども、
その足跡だけをしるされても、同程度の脳みそがないと
理解できないんだよと、伝えてあげたくなるような
そんな本であったと、なんだかんだ、
一生懸命読んだあとということもあり、書きなぐっておくのであります

と、この後というか、現在、
エピローグのほうを読んでいると、こっちはまだ読めるなんて
思ったりしているあたり、読む順序を間違えたのかもしれない

新・映像の世紀 第4集 冷戦・世界は秘密と嘘に覆われた

2016-02-16 20:26:10 | ドラマ映画テレビ感想
気づいたら、次の回が目前に迫っていますが、
NHK新映像の世紀、第4集もちゃんと見終えております
タイムリーなことにといっていいのか、
先日、どはまりしていた
ブリッジオブスパイの話がそのまんまというほどではないが、
ちらっとだけ出てきて、ああ、
あれってやっぱり本当の話だったんだ
なんて思ったりしたのですけども、
今回のは、映像がクリアになってくると、
なんというか、より酷いというか、重いと
ご飯食べながらはみづらいと感じたわけでありました

そんなわけで、相変わらず、
世界の混沌は、強者による勘違いや疑心から始まると
改めて思い知らされる次第でありました
前半のスパイ合戦においては、
本当、後からの評価でしかないですが、
スターリンが、あの時分に死んだのは
本当によかったんじゃないかしらと
そんなところであります
もっと若かったり、長生きしたりだった場合、
間違いなく核戦争だったんじゃないかと
そう思わされるところでありました

今回のスパイ活動の全貌については、
まぁ、中立といいつつも、少し西側に加担した
そういう描き方ではないか、
やっぱり、西側でも、東のそれと同じくらいのことを
やっていたんじゃないのかねと
思ったりもしたのですけども
CIAとFBIの失態も含めて、
その暗部を描いてくれたのがとてもよかったように思うのであります
まぁ、なんだ、後半のそこを含めた
代理戦争については、あそこでクローズアップしているけど
それ以前から、やっぱりそれは代理戦争だったのではと
感じたりもするのであります
列強というか、強国に生まれていないがゆえの
なんともいえぬ厭世観みたいなのが
自分にもあるのだと思わされた次第

しかし、赤狩りとレーガンの関係だとか、
こういったものが文書で報告というか、
発表、公表されるというのが、アメリカの凄いところだなと
改めて思い知らされるのであります
これは本当、なかなかできないというか、
こういうことができるのに、なんで、差別とかするかしらと
どうも、この正義について、思い知らされるわけであります
アジア人的といってしまうのも、なんか違うと思うんだが
不思議であります、まぁ、彼らのルール内でというところで、
実際、一番あかんのは出してないのかもしれないから
わかりゃしないんだけども、凄いね

そんなわけで、もっと共産主義圏との戦いについて
あれこれと描いて欲しかったと思わなくもないですが
私が見たいのは、日本における60年安保闘争あたりのそれなので
これは世界史的には残らないかなと、
ちょっと低く見積もっているわけですが
次回、どのあたりをやってくれるのか
楽しみにしつつ、待ちたいのでありました

【読書】台湾生まれ日本語育ち

2016-02-15 21:20:21 | 読書感想文とか読み物レビウー
台湾生まれ日本語育ち  著:温又柔

若いといいますか、私と同じくらいの年齢の女性が書いた
まさに、タイトルのとおりの生い立ちから、
国とは、国語とは何かについて、
考えたことをまとめた、論文まではいかないまでも、
思いをつづった本でありました

台湾で生まれたものの、親の仕事によって
日本で育つというか、過ごす、いや、やっぱり育つことになった
その境遇から、言葉について思うところをつづっております
両親の言葉が、特にお母さんの言葉が、
中国語と台湾語と日本語のミックスで、
なかなか大変なんだけども、子供時分にはそういうもんだと思いつつ
大きくなるにつれて、その違和感というか、おかしなところが
恥ずかしいと思うようになったりと、
理解にあまりある内容であります
自分がそうだったらという、益体も無い書き方をしてしまうけども
子供時分だと、それをはらはらしてしまうだおろうなと
感じるわけでありました

そうでありながら、じゃぁ、自分は日本語をしゃべれるようになったけども、
母国語なんていう言葉を聴いて、それは何なのか、
日本語と答えようとすると、自分は日本人ではない、
このしっくりこない感じはなんだ、私は誰なんだ
的なことを、ねんねんと感じつつ、多感な年頃を過ごしたようで
そういった、アイデンティティの喪失と獲得みたいなところを
自分なりに問い詰めていく過程と
ロジックを書いているのでありました
これは、納得というのが正しい言葉なんでしょうが、
自分で、気持ちについて、やりくりするという
作業を見たようでもあり、ひとつ、感動ではないけども
共鳴めいた何かを覚えたのでありました
つきつめていくというのは、ステキなことであります

そんなわけでありますが、
同じように育った妹さんは、さほどにそういったことを気にしないらしく
これは人となりなんだろうなとも思ったり、
ちょっと考えすぎじゃないかしらとも感じたり
そんなことも覚えながら、ルーツを探っていくのを
のほほんと読んだのでありましたとさ

真田丸  迷走

2016-02-14 20:43:00 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「真田丸」
視聴完了であります
いい塩梅で大名に振り回される小領主という具合で、
この右往左往っぷりと、毎回あーだこーだ、
黙れこわっぱっ、と言うだけの会合といい
ステキだと思うのでありました
癖になったというか、あの「黙れこわっぱ」は
真似したくなる魅力がありますな
大好きであります

さて、話は粛々と進めていく具合でありまして、
中国大返しを離れている人たちはどう見ていたかと
まぁ、そんな感じで、北条、徳川、まぁ、しいて言えば滝川が
どうしようと構えていたかを見せたわけで、
まだまだ、絡みのない羽柴が出てきたという感じが、
いい塩梅で、離れているように見えて素敵であります
こういうのを見ていると、実際の話を知らないで見たほうが
新鮮で面白く見えるのかしらと
思ったりするのでありますところ、
いや、でも、みんな知ってるから、
あえてさらっと出してるという手をつかってるし
これはこれで、こなれた視聴者というか
現代人向けなのかもやも

ここにきてというでもないですが、
ころころ話しをかえる真田の、まぁ悪辣さというか、
したたかさが描かれていて楽しいのでありますところ
今日の最後に悟ったような具合でありましたが、
本当、誰がみても、真田ってああいうやつだったんだろうなと
変に神聖視してない具合なのが
非常に頼もしく見えるのであります
これをコミカルに描いてしまえば、
方々から怒られないというのは、なかなか
目の付け所がよいと思うところでありました

みんなが大体身勝手であるというのが
ステキなところでありまして、
戦国っぽいなぁと楽しみにしつつ
そこでありながら、信義を選ぶというのに値打ちがあるというのも
ひとつ、面白い賭け方ではあるなと
なかなか、楽しみながら見ていきたいと
思ったりなんだったりなのでありました

【読書】ほんとうの花を見せにきた

2016-02-13 18:55:31 | 読書感想文とか読み物レビウー
ほんとうの花を見せにきた  作:桜庭 一樹

赤朽葉家以来の読書であります
名前から勝手に男だと判断していたのですが、
女性だったと知って衝撃でありました
いや、考えてみれば、女性的な内容だったではないかと
思ったりもするんだけども
内容にまったく関係ない話はこれくらいに

というわけで、御伽噺めいたといっていいのか、
アジアンファンタジー小説といった具合でありまして、
竹の妖怪バンブーなる生き物というか、そういうものと、
少年の交流を描いた小説だったわけですが、
冒険小説めいたというでもないけど、
なんだろう、不思議な魅力にあふれたお話でありました
ちょっと、趣向が倒錯すぎやしないかねなんて
読んでいて思わされたのでありますが
時間経過の描写というか、
30年くらいが一瞬という考え方からの、
人間の変節、変化のめまぐるしさが
なんというか、新鮮でありました、面白かった

感動作と大手をふるほど、涙涙ではなかったのでありますが
どうしようもない別れといったらいいか、
惜別のような哀しさもあって、なんともいえず、
しんみりと読んだのでありました
庇護者であったバンブーが、わずかな時間で、
その関係が逆転するかのように、
庇護する対象へとなっていくというか、
少年が大人になると、大人だと思っていたバンブーたちが
そんなに大人ではないということに気づく
このなんというかな、
描かれている、ある種の親子愛みたいなのが
まぁ、なかなか、ステキというか
いい感動を与えてくれまして、
陳腐なエピソードなら、ある日、母の背中が小さく見えた系というか
そういう感動を、よりくっきりと描いていて
なんとも、じんとするのでありました

あんなに強く想いをもって一緒にいたはずなのに、
名前が出てこないなんて、という絶望というか、
このどうしようもない事象が、
絶えられないほどの苦痛ではなく、むしろ受け入れてしまうような
これはなかなか、心に響くなと
もはや、読んでないと何書いてるかわからない私の感想であります

そんなわけで、文章に酔ってきた具合もあるので
このあたりでメモを終わるのであります

【映画】オデッセイ

2016-02-11 19:52:57 | ドラマ映画テレビ感想
知り合いに薦められてみてきました
久しぶりに、どっぷりとエンターテイメント映画で、
泣いたり笑ったり驚いたりと、
そういう起伏を堪能できたと、そんな按配であります
内容に難しいところがなくて、やきもきしつつも、
成功へと進んでいくというのは、
この年齢にとっては、まばゆいものでありますな
見て、見終わって、非常にすがすがしい気分であります

内容は、火星においてけぼりになった植物学者が、
なんとか、次の救助がくるまで生き延びるという話でありましたが、
非常にテンポよくというか、さくさく話が進んでいき、
私にとってはほどよい、ひっぱりというか、
タメがあってからの解決というのが繰り返されて
なんとも楽しく見られたのであります
こういう映画になれている人は、
かなり物足りないそれなのかもしれない
知らないということは、それだけで得をするな

目を見張るというでもないけど、
主演のマッドデイモンが、最初ムキムキの体つきなのに、
最終ミッション時には、ものすごい痩せていたのが衝撃的で、
その痩せたという事実ではなくて、
本当に、ものすごく病的な痩せ方といったらいいか、
食べるものが無いからやせたという感じが、
腕の不気味な細さから感じ取れて
すげぇなこれはと、息を呑んでしまったのであります
あの体で、よく最後のミッションを耐えたというか
がんばれたよな、ちょっと矛盾してないこともないかと
考えたが、杞憂である
あとは、冒頭での、一人手術シーンの痛そうな感じが
まあ、伝わる伝わる、思わず見ていて歯を食いしばってしまったくらい
痛そうな映像でありました、グッドジョブ

しかし芋だけ食いつないで、あんなにがんばったというのは、
さすが西洋人なんて思ってしまったあたり
私もどうかしているのでありますが、
気になるといえば、あれで何世代の芋を取り続けたのか、
三世代目くらいには、連作障害とウイルス病でアウトじゃねぇかななんて
心配したりだったのでありますけども、
まぁそこは、植物学者だからなんとかしたんだろうか
かなり、かいつまんでというか、どんどん話が進むので
細かいところがすっとばされたようでもあり
なかなかどうしてでありました
そもそも、不完熟堆肥というか、そのものを根下に入れたら
種芋腐っちゃうだろうに

嫌な見方だなと、相変わらず自分でも思うのですけど、
最初の埋もれてたシーンで、カメラマンが
ヘルメットに映りこんでいたように見えたんだけどもどうだったのか、
しょーもないところもメモしておきつつも
最初に書いたとおり、はらはらしたり、どきどきしたり、
なかなかあっさり目の感動があったりでステキな一本でありました
時間が経つのを忘れたといっても過言ではない
それくらい、楽しんできたのでありましたとさ
結構笑いもあってというか、
爆笑ではない笑いが救いのように見られてステキでありました