CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】眺望絶佳

2018-01-31 22:24:21 | 読書感想文とか読み物レビウー
眺望絶佳  作:中島 京子

スカイタワーを扱った短編が数編、
それ以外にも、現代を舞台にした
決して明るく楽しいわけではないけども、
なんか、読めてしまう短編が集まっていました

毒というではないけども、読み終わって
うわぁ、と思わず言いたくなるような内容もあって、
人間のというか、何か、目を背けたくなるような
姿というか、生き方というか、そういうものを切り取っていて、
切なくなってしまうような物語だったと思うのである

仕事に入れ込みすぎて、と解説されていたけども、
どこか常軌を逸してしまった悩み相談員やら、
かつては深窓の令嬢だったと思しき老姉妹の出したお茶が、
現代と過去とであまりにも違ってしまっていること、
あとは、過去や思い出といったこととの
折り合いというか、あるとき、過去を片付けるという日がくるんだと
そう思わされるような物語なんかが、
なかなかしんみりして、心に落ち着いたようでありました

特に面白かったと、以前に読んだ短編のような感想ではないけども、
落ち着いて、じっくりと読んで、それでいて
なんかひっかかるところがあってと、
読書を楽しめる本であり、物語だったように思うのであります

全然自分と似ているところもないというか、
境遇も、年齢も、性別も、何もかも違うのに
どこか共感してしまうような出来事が描かれていて
うまく言葉で言い表せないそれを
読書で追体験できる、いい小説であったと思います

ステキであった
スカイツリーに、ちょっと辛いようにも思ったけども
なんかあるのか、ないのかわかりませんが
楽しい限りであった

【読書】スパイスの歴史

2018-01-30 21:28:20 | 読書感想文とか読み物レビウー
スパイスの歴史  著:フレッド・ツァラ

以前に読んだ、胡椒の歴史と似た感じの
スパイスがどういう歴史を歩んできたか
それを紐解いていくと、西洋の大航海時代に行き着くという
そんな西洋史、あるいは、グローバルな経済史を見るような
そういう内容になっていました

胡椒をはじめとして、シナモン、クローブ、トウガラシ、ナツメグ、そして胡椒と
5つの主要なスパイスについて、その来歴を解説しながら、
それぞれをどのように誰が獲得していったか、
このスパイスの魅力に取り付かれた人たちが
ネットワークを築いていったという話が
興味深く記されているのでありました

特にイスラム教のネットワークが強力だったようで、
その交易範囲で、ぐるぐるとスパイスが取引を拡大していき、
やがて十字軍だとか、西欧とアジアの衝突が発生し、
このネットワークや、物流というものが
流れを大きく変えて、世界中にスパイスが知れ渡るようになり、
海路で、様々な山師たちがこれを手に入れにきたと
まぁ、そういうお話でありました

マルコポーロ、バスコダガマ、コロンブスといった
冒険家たちの名前の出てきて、彼らが何を求めていったか
マルコポーロだけはちょと違うように思いますが、
新天地で、スパイスという黄金とも見まがうものを
見つけて、国へと持って帰りということを繰り返しながら
その覇権というか、やがて、産地を征服するという
列強の植民地政策を促していくところに繋がってと
なかなか、考えさせられるのでありました

実際に中世から近代にかけて、スパイスを手に入れるというのは
強い動機だったようにも思えて、人間の欲望の恐ろしさみたいなのを
見たようにも思うのでありました
現代のように、ありふれた中に暮らしていると
この良さというか、スパイスの魅力というのが
いまひとつわからないな、というか、クローブとかナツメグなんて
食べたことあるかどうかすらわからんと
思ったりもするのでありますが、
個人的に台湾にいって、八角だとか、あんな匂いに魅力を感じたりするあたり
やっぱり、スパイスは食に強い影響を与えて
魅惑的なそれなんだなと思い知らされたりしたのでありましたとさ

もっと、世界中の変わった香辛料とか
そういう話も読みたいんだが、まずはこれまでといった
ところでありました

【読書】道鏡-悪業は仏道の精華なり

2018-01-29 20:50:05 | 読書感想文とか読み物レビウー
道鏡-悪業は仏道の精華なり  作:三田 誠広

恥ずかしいことに、名前は聞いたことあるけど
どんな人か知らない、ひょっとして書物の名前?
とか、自分の無知を思い知ったわけでありますけども
道鏡という、僧侶について書いた小説でありました

どうも、従来からある道鏡のイメージとは異なるものを描きだしていたそうで
知らないから、そういうものかと読んでしまったんだが、
実際は相当の悪坊主だった様子、
それを綺麗にとまではいわないまでも、
野心ぎらぎらした感じには描いておらず
孝謙天皇との関係や、様々な奇跡を交えて
ドラマチックに描いていながら、道鏡という人物のありかた
そして、法王が日本に生まれた時代というのを
読むことができたのでありました

東大寺や西大寺が建立されるころ、
正直、この平安京の遣唐使がどうしたという時代について
日本のほうの知識が不足しているなと
自分が反省ばかりの読書でありましたが、
大変に面白く、いくらか聞いたことのある、吉備真備や藤原不比等といった
随一の賢人、政治家などの争い、鑑真の登場だとか
その当時の仏教について、これまた
たまたま仏教美術から勉強を得ていた、密教の到来だとか、
遣唐使が持ってかえってくる仏教技術のそれこれだとか
なんだかんだ、繋がってきて楽しいと思える読書になったのであります

完全に個人的な読書感想になってしまい心苦しいのでありますが
小説としても、のし上がっていく僧侶である道鏡が描かれて、
その苦悩ではないが、不思議な身の上というのを
不思議に読めたのでありました
ある種の達観といったらいいか、極めるということの虚しさみたいなのが
なんとなく理解できるように思える小説で
面白かったのでありました
出世するやつは、そう欲していなくてもなっていくものとするか、
あるいは、そうではないと思いつつも、その裏にそれがあり
仏教でいうところの幻だったのかもというのが
興味深いというか、仏教の勉強を始めなくてはと思うような
そんな内容だと思えたのであります

西郷どん  新しき藩主

2018-01-28 20:45:43 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「西郷どん」
視聴完了であります
今回、いきなり感動的な話で見入ってしまった
1月のがっつり掴みをとりにきたと
そういう意気込みのようなものまで感じるような
いい回だったように思うのであります

まぁ、とにもかくにも、斉彬がよすぎるというか
やっぱり、世界のケン・ワタナベは別格だなと
馬乗ってる姿からして、惚れ惚れ見てしまったのであります
西郷が本当に叱咤激励していたのか、
そのあたりはわからないけども、
色々とそうじゃなかったろうと思ったりもしながら、
でも、いい場面だなと惚れ惚れ見入るような
これが、やっぱり、役者の迫力なのか、名君がやってきたという感動が
ひしひし伝わるようで満足であります
また、父親との対決もロシアンルーレットとかやりすぎだろうと思いつつも
あの二人ならそれもと思わされるような迫力で、
また加賀さんの演技も抜群によかった、なんてかっこいいやりとりだったんだろうかしら

序盤では、さばさばと切腹に向かう赤山様も見事で、
エロ男爵も、すっかり大御所の風格だなと
切腹の姿も男らしく見事でありました
それでいて、直前の飲み会というのがまた
いい塩梅だなと、芋しか出てこない、出せないという事実もまた
残酷だけど、そうだったんだろうと
思わされたりしてよかったのであります

まだまだ、薩摩の若い侍が
有象無象という感じだけども、未来への期待みたいなのが
凄く感じられる形で進んだので、また来週も楽しみで
わくわくしながら見守りたいと思うのでありました
よかった

【読書】台湾儒学―起源、発展とその変転

2018-01-27 20:07:10 | 読書感想文とか読み物レビウー
台湾儒学―起源、発展とその変転  著:陳 昭瑛

難しい本だった
素養がないのにこういう本にいきなり手をつけるのは
読書効率が悪いのだと痛感しつつも、
台湾儒学という、ひとつの研究ジャンルについて
かなり詳しく書いた本でありました

そもそも台湾儒学とは何か、
そういう解説すらもない、いきなり台湾における儒教の様子、
そこで信仰、あるいは信じられているものは何か、
それがどういう影響で育まれてきたのかと
そういうことが、様々な文献や文化活動から読み解くと
研究論文とまではいわないまでも、
相当に詳しく論じている内容で、
読んでいるほうからすると、求められる基礎知識のレベルが高すぎると
ちょっと手に負えない感じでもありました

そんな体たらくでありましたが、
読みとったというか、こうではないかと思ったところを
軽くメモっておきますと
台湾儒学は、鄭成功から始まるというのが主流のようで、
そのときの明への忠誠、忠孝というものが
台湾儒学、ひときわ、台湾に移住した漢人の心のよりどころになったと
そういうお話でありました
さらには、台湾という国、あるいは土地が、
大陸から分離していて、様々な抑圧を受けてきたということが
アイデンティティを醸成するのに、
複雑な作用をもたらした、その間に、先住民との諍いについて、
ひとつの道徳的な伝説が作られていて、それが
語り継がれていたり、政治に利用されたりといったことがあって、
日本統治時代に、この儒学、儒教的思想を強く押し出した、
蓮雅堂なる人物の台湾通史という本が発行されて、
その内容と、そのほか様々な文人の詩作などを引用しながら
台湾で、復讐や敵を討つことについて
儒教的な内容から肯定するといったものが導き出されていたのでありました

内容は、様々に考えさせられるというか
難しすぎてわからないところも多々あったものの、
儒教という観念、考え方が、大陸から持ち込まれて
地元の信仰とごたまぜになりながら、
道教との合体が不思議な形で進んでしまい、
本土よりも、一層に、孔子や文昌帝君なんかが、
科挙、儒教的なそれこれの神とされてしまい、信仰されると
儒学からいっそ、離れてしまうようなことがおきていたりと
本来というか、教義的、原理的な儒学とは
別になっているのが興味深いとかなんとかと、そういうお話が
相当に書かれていたのでありました

とりあえず、台湾通史なる本を読まないと
これ以上のことはわからないなと思ったりしつつ、
台湾人にとっての鄭成功、あるいは、儒教というものは
少し大陸に寄った考え方になるんだろうかとも
感じたりしたのでありました、台湾とは難しい国だ

【読書】森は知っている

2018-01-23 20:27:56 | 読書感想文とか読み物レビウー
森は知っている  作:吉田 修一

クライムサスペンスというのではないんでしょうが、
産業スパイを描いた、少年漫画のような物語でありました

孤児を産業スパイに仕立て上げる
そういう組織があるとしたらと、
そんな物語なのでありますが、そのアクションや頭の回転なんかが、
どっか浮世離れしすぎていると感じつつも、
そういう世界があって、そういう人材が居るのかもしれないなんて
思わされたりしながら、スパイの動向を楽しめる小説であります

ただ、そういうアクションいっぱいの面白い
エンタメ小説のようでありながら、
主題としていたのは、孤児という存在、
その闇にかなり割いていたんではないかと
思わされるところ
育児放棄の末に死にかけたという経歴について、
少しずつ明かされていく過去とエピソード、
その少年がどう育っていくのか、その現在形と過去形とが
ゆっくりと交わってくるようになって、
物語としては産業スパイがどうしたということよりも、
その生き方を選択する少年の物語になっていて
なんというか、感動といったらいいのか
深く、読み込まされたのでありました

何かをするということについて、
限られた情報から、その意味と意図を探り、
誰がどうしているのかを考えて、
生きるとは、つまるところそういうことなんだと
一番、生きることに希薄と思われる主人公の動きに、
なんだか思い知らされるようで
楽しいと思えた読書でありました

難しく考えすぎた感想でありますけども、
いい物語だったと、深い満足を得ているのであります

【読書】吸血鬼

2018-01-22 21:47:58 | 読書感想文とか読み物レビウー
吸血鬼  作:佐藤 亜紀

難しい小説だった
正直、時間に追われて読むものではないなと
反省いっぱいであります
他人がどう思うというのはあまり意味がないのですけども
かなりの名作と誉れ高いのに
その内容に心というか、理解が追いつかないままに
読み終えてしまったのでありました
もっと、じっくりと腰をすえて読むべき小説であります

そんなわけで、ふんわりとしか理解できなかったのでありますが、
中世の因習が残る村に、現代的な行政官がやってきて
その因習を否定しながらも、それをしてしまう
その裏には、吸血鬼の存在があると
そういうお話でありました
結局、この吸血鬼の存在が何者だったのか、
これは存在していたのか、誰かが狂っていたのか
まったくそのあたりが、つらつら読んでいるだけでは
理解できないという有様でありまして
領主や、使い女や、学士崩れだの、
あれこれと係わり合いがあり、さらには、
革命独立をうなる勢力なんかも出てきたりして、
非常にきなくさいのに、村では吸血鬼騒ぎが起きたりしていると
そのオカルト的なところと、
現代的といえばいいか、実際として利益が、お金がと
そういう話になったり、政治転覆が絡んだりとするのが
魅力的な小説であったと思うのでありますが
やっぱり、なかなかどうして最高に楽しいのところまで
自分が追いつけない読書となってしまった

先日読んだ、スイングの話もそうだったし
もう一度、ちゃんと読み直さないといけない小説でないかと
反省を記しておきつつ、面白かったとかどうとか
判断くだせないまま、まずは、メモっておくのでありました
あかんな、読書への姿勢があかんのだな

西郷どん  子どもは国の宝

2018-01-21 20:54:08 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「西郷どん」
視聴完了であります、着々と話が進んで、
薩摩のどろどろした部分が描かれていて
大変楽しいのであります
そして、待っていたというわけでもないけど、
調所殿の始末と、おゆら騒動が描かれて
大変満足なのでありました、面白かった
やっぱり、調所という人は凄いな

篤姫の時と同じく、ナレーションの説明だけとなった
調所殿の凄さというのが、いつかドラマとして見たいなぁと
思わされたりしたのでありますけども、
まぁ、やってることは密貿易なので、
それを賞賛するような内容は描くはずもないのかと
ちょっと残念なんでありますが、
大赤字だった薩摩を非合法手段とはいえ、
好転させていったというのは、宰相として優れていたと
思えてならないのでありました
もっとも、その状態ですら、今回のように
逃散する一家が後を絶たない状態だというんだから、
調所政治以前の薩摩はどんなことだったんだろうかと
そこも凄い気になるのでありました
あれでいて、かなり好転している状態なんだろうかな

物語としては、しれっと人斬り半次郎が出てきて、
見た目だけなら、竜馬伝のときの以蔵みたいだなと
一種テンプレなんだろうかと思わされたりしつつ
貧乏侍だけど、滅法強いというそれが
今後躍進していくのが楽しみなのであります
考えてみれば、桐野に名を変えて、西郷の最期まで
付き添うことになるんだから、大きくなってからの役者さんも含めて
楽しみなのでありました

薩摩のお家騒動が、様々に波及しといったところで
割と、この頃の薩摩のこと忘れてるなと
おさらいするような気分になりつつ
また、来週も楽しみなのであります

【読書】イベリコ豚を買いに

2018-01-20 18:09:27 | 読書感想文とか読み物レビウー
イベリコ豚を買いに  著:野地 秩嘉

題名の通り、なぜだか、
イベリコ豚を買うことにしたノンフィクション作家の
これまら、ノンフィクション作品といったところ
興味深いというか、大変面白い内容でありました
場当たりといってはなんだけども、
四苦八苦しながら、イベリコ豚を買うことになり、
それを何かしら商業に乗せられないかと
今度は、イベリコ豚を売ることを考えていくと
会社を興すというか、新しい商品を作ると
そういう取り組みについて、また
四苦八苦するという姿、そこで得たものを書いた
なかなか熱い本でありました
今読んでも、おおっと思うんだが、
もっと若い頃に読んだら、さらに興奮したのではないか
そういう熱量があるのであります

この本によれば、日本で呼ばれているイベリコ豚という物体は、
どうも本物ではない、と言っても差し支えないようでありまして、
本物のスペインにいるイベリコ豚は
それはそれはとんでもなく旨いものらしく
読んでいるたけで、凄い食べてみたくなったのでありました

この本にあるとおり、
突然というか、或るとき日本でイベリコ豚という名称が
一人歩きというかブームとなったのは
なんとなし記憶にありまして、
実際にそういうものが、あっちこっちで売られていて
自分でも、これがイベリコかとか言いながら
食べていたなと思い出されたのでありますが
これで作った生ハムの旨さだとか
その歴史、本物の定義というのについて
スペインで出会った職人や大きな会社の経営者と話しながら
掴んでいくというのがとても楽しそうで、
また面白いのであります

内容中で、やたらお金に関するところについて
何か書こうと努力というか、意欲を燃やしているように思う部分が
ちょっと多すぎると感じたものの、著者独特の考えから、
商用、経済についての発見と興奮が伝わってきて
いいなぁと思えたのであります、
まぁ、そういう偉そうな感想を覚えながら
自分の仕事が、ここに書かれていたほど
真摯で、大変なものであるかというのは
この際おいておくとして、生きるためというか、
働くということの大変さというものが得られた
そういう一冊のように思えたのでありました

ともかく、この豚食べてみたいんだが
調べたら、今は手に入らないようで
ちょっと残念でありますが
まぁ、そういうものなんでしょう

【読書】安禄山

2018-01-18 22:53:04 | 読書感想文とか読み物レビウー
安禄山  作:塚本 青史

唐末期を描いた小説であります
なんだかんだ、これで唐、特に玄宗を描いた小説を
3冊目であります
この小説のレビウの前に思うところでは、
やっぱり、楊貴妃まわりの物語というのは面白いのであろうと
それに尽きるところであります
則天武后よりも、やっぱり物語としては楊貴妃なんだなと
改めて思い知る次第、単純に、そこが面白いのだと
思わされてしかるべしでありました

今回は、その唐、玄宗と楊貴妃とのそれを終わらせることとなった
安氏の乱が終末でありまして、
その中心人物というべきか、いかにも、唐が産んだといえる
異民族でありながら、唐で取り立てられた
安禄山を主役にした物語でありまして、
彼がどう取り立てられていき、どう成り上がって、
そして、仕舞いを迎えたのかというところが
大変わかりやすく、面白く描かれた
歴史物語でありました

異民族でありながら、少し遠巻きで、
それでも様々な政治に塗れつつ
或る意味運よく生き残るといった結果を迎えながら、
さりとて、そのかかわりあった人たちが
非業ともいうべき最期を迎えていき
やがて、自分すらもというあたりが、涙を誘う内容でありました
この物語では、楊貴妃の重要度が低く
やっぱり、その程度の女であったかもしれないと
思わされてくれたのも、これはこれで
ひとつの物語だと思い知ったりするのでありました

楊貴妃という、この小説では
さして重要ではない人物ながらも、
それをどう描くかが、この時代を描くにあたって
非常に重要なのだと思い知った一冊でもありました
そして、高力士の重要さも含めてでありますが
なかなかどうしてであります

物語として、玄宗の終末を痴呆と
それに帰結しているのも、ひとつの描き方だなと
思い知ったりしたところであります
実際どうだったのか、そうでもなかったのか
こういう一代で凄かった人というのの
終末が酷いというのは、やはり本当のところそうだったんじゃないか
痴呆が始まってたんじゃないかと思わされたりしてしまうのが
哀しいようにも思うし、なんなし
説得力を持つようにも感じるのでありました

ともあれ、面白い小説でありました
唐を楽しめた、こうなると
やっぱり、宋をもっと読みたいんだが
いい小説がないんだよなぁ

【ドラマ】マチ工場のオンナ

2018-01-17 21:50:14 | ドラマ映画テレビ感想
NHKドラマ10枠でありました
個人的にこれまた、大当たりの2017年を
非常に綺麗に〆てくれたドラマだったと思うのであります
よかった、なんといったらいいか、
凄く好きなドラマだった

名古屋の中小工場の悲喜こもごもが描かれたそれだったわけで、
主婦の思いつきで工場が立派になるとか
そういう安易なものかしらと不安に思っていたら、
そんなこともなく、いや、あったのか?
よくわからんが、主婦の思いつきが、
間接的に工場に寄与するというか、
明るくしたり、新しい風を吹き込ませる切欠になったり

ちょっと、新米教師奮闘みたいな内容でもあったけど、
工場の若い工員があんなに子供っぽいだろうかと
感じたりもしたが、それはそれとして、
家族経営ではないが、それに近い中小の工場の感じと、
そこで起こる事件と、その工場に対する愛情みたいなのが
凄く伝わってきて、まぁともかく感動したのでありました
何よりも、名古屋弁がよかった
舘ひろし以外、ほとんど名古屋弁喋らないのは気になりましたが
むしろ、それがよかったのかもしれないとも思ったりする
変に名古屋弁押しされるよりずっとよかったのかもしれない

名古屋弁については、舘ひろしのネイティブな発音といっていいのか、
ああ、ああいうおじさんが俺にも居たな、いや、今も居るなと
思い出させるほど、見事な名古屋のおっさんの発音であり所作であり
言い回しであったと、このあたりの感激は、個人的なものでありますが
ひとしおであった、凄くよかったのである

物語の内容も、よくなる一方なはずもなく、
ちょっとだけぎりぎりでよくなって、新しく踏み込んで、
そして非常事態になってと、ドラマが面白かったのでありました
もう、何回も潰れるなと思ったそのときに、
なぜだか救われていくというのは、
実際にあの時を過ごした、同じような中小工場は
あんな奇跡が訪れることなく潰れていったのだろうとも思ったんだが、
ドラマとして、辛酸を嘗めつつも
どうにか生きていくという姿がいいなと
心に響くようであったと
思うのでありました

ここ二回続けて、この枠のドラマが当たりだったので
衝撃であるのだが、女性向け枠のはずなので、
自分の中が何か大きく変わりだしてんじゃないかと
ちょっと思ったりするのであります

【読書】東京藝大物語

2018-01-16 21:22:02 | 読書感想文とか読み物レビウー
東京藝大物語  作:茂木健一郎

東京藝大を舞台にした、主に美術方面のほうの藝大生を描いた小説でありました
物語としては非常勤講師が、そこで出会う学生と
一年過ごすというそれだけの話なんだが、
それぞれ、キャラの立ったというか、
いかにも藝大生といえるかどうか、知り合いがいないからわかりませんけども
変わった人たちを相手にしつつ、芸術論をぶつけてみたり
普通に授業をしてみたり、
学生同士の恋愛や、考えや、思いなんかと触れながら
過ごしていく風景を記していました

そんなに物語として大きなうねりというか、
事件だとか、何かがあるわけではなく、
ただただ、藝大というところで過ごす時間、
それについて書かれているかのようで
藝大だと思って読んでしまうと、
なんか、もっと違うものを期待しがちで、
肩透かしとも感じるようではありましたが、
そこにある青春といえばいいのか、
人、学生の生き方みたいなのが生き生きしているといえばいいか
楽しいように思えてならないのでありました

そんなに重要ではないのだけども、
ジャガーという綽名をつけた学生とのやりとりが
ほぼメインになっていまして、彼の一種変態的な生き方と触れながら
そのバイタリティによって、人生を謳歌していくというか
たくましい生き様と触れるというのが、
ちょっと楽しいというか、こういう生き方もすごいなと
思わされるのでありました

まぁ、変わった学生にも青春があって、
そこに学生として過ごす時間があるんだなと
そういうことが追体験できるような、
少し不思議な小説でありました
起伏が少なくて、じっくり読める内容でありました

【読書】ヘンな日本美術史

2018-01-15 21:57:03 | 読書感想文とか読み物レビウー
ヘンな日本美術史  著:山口 晃

仏教美術の勉強がてら、
関係ありそうだからと読んでみたのでありますが、
日本の、主に絵画についての歴史というか
変遷を説明解説した本でありました
あまり肩肘張らずに、学術めいた内容とならないようにと
著者の細かな気遣いというか、趣旨もあって、
解りやすく、面白おかしい話として読めたのであります

鳥獣戯画から始まって、ここに画家の想いというか、
名前というものが出てこないのが秀逸で、
誰かが連作とした、そういうジャンルだったみたいな
現代でいう同人誌めいたものでなかろうかという
面白い見方から、

雪舟や、江戸期の浮世絵を経て
洋画との妙な融合が見られるというところが
日本美術、絵画の面白いところだったようであります
明治期には、かなり著名な画家が出てくるわけでありますが
ここで、美術という大雑把な言葉が生まれたりして
画壇ではないが、それぞれの美術家たちが
苦戦というか、あれこれと工夫と取り組みがなされて
明治期の写実的な日本画というのが
生まれていったというのは、なるほどとうなったというか
まぁ、出てきた絵を見て、そういうことかと
納得したりの読書となったのでありました

個人的には、雪舟のだるま絵の解説が印象的でありまして
先日の国宝展で見たなと思い出しつつ
このだるまの絵が、横を向いているのに
目は正面からの様子で書かれていて、
さらに耳は後ろから見た形になっていると
非常にちぐはぐに書かれているのに、それが強い印象となって
絵の面白さというか、よさになっているというのに
深く納得というか、感心させられたのでありました
こういう見方を説明されると
より面白く美術を楽しめそうだなとも想うのである

と、まぁ、あまり難しいわけでもない
美術のお話で、楽しく勉強できたと
思うのでありました

西郷どん  立派なお侍

2018-01-14 20:49:55 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「西郷どん」
視聴完了であります
私も、それなりに大河ドラマを見続けてきたんだなと
改めて感じたのでありますけども、
小松帯刀が何人か居るとか、どこかしこかに
翔ぶが如くの香り漂うだとか
そんなことを感じるようになったのであります
どうでもよい

さておき、内容は、非常にクラシカルといった印象であります
幕末の貧農がというつかみで、そこになんとかしようと
志を持って立ち向かおうとして、はじき返されるという
テンプレ的な内容でありましたが、
薩摩もやっぱりそうだったのかと
改めて思い知った次第なのでありました、
このあたり、篤姫のときってどういう感じだったかな
思い出せないので仕方ないのだけども、
とりあえず調所殿の扱いがどうなるか
そこに注目していきたいと思うのでありました
ここについては、凄い思いいれがあるというか
篤姫のときの平さんを思い出されるので
楽しみで仕方ないのでありました
調所という人そのものが、薩摩藩において重要だったんだなと
よくしらないでも思い知らされるようで
ドラマを見ている甲斐を感じるのでありました

さておいて、薩摩の面々があっさりとみんな大きくなっていて
これから、キャラ立ってくるんだろうと楽しみなところ
とりあえず、大久保の存在感と扱いが、
このときから、薩摩派閥なのにちょっと違うという風に見えるのが
いい感じだと、にやにやしてしまうところ
やがて、袂を分かつ二人というのが
どこで植えつけられていくのか、いや、多分、
どうしようもなく、大久保から離れるという話なんだろうけども
なんとも楽しみな題材だと思うのでありました

また次回を待つ

【読書】老荘の思想を読む

2018-01-13 19:03:34 | 読書感想文とか読み物レビウー
老荘の思想を読む  作:舘野 正美

老子と荘子について、その成立と根幹について
解説をした本でありました
老子は、ココのところ読んできた本と
大きく変わることもなく、当たり前でありますけども、
老子の道について解説が詳しく、またひとつ
何かに近づいたんじゃないかと読み終えて思ったわけであります
この本では呼吸法とか、そういうところにも言及していて
思想哲学でありながら、修養修行を大切にする様なんかも書かれていて
なかなか興味深いのでありました

そして、一方の荘子について、
こちらは、かなりの長編なんだそうだが、
どうも後世に書き足された部分が多いとの由、
そのあたりを分解しながら、深層については
よく読めば、わかるといったところから
老子と通ずる部分や、荘子ならではとも思われる
寓話や物語によって語るそれこれなんかが紹介されていて
この話、どっかで聞いたことあったが、
荘子がもとだったのかと思わされたりしたのでありました

ただ、この本の冒頭で老子の言で語っている
知るものは語らず、知らぬものは語る
というそれが、まさに荘子に当てはまってしまうんじゃないか
そういう感じで、道について荘子があれこれと
説明を挑もうとしている部分について
賞賛を記していましたが、まぁ、書いてあるとおり
荘子本人も妄言の類として、しっくりきていなかったのでなかろうか
知らないから、言葉を尽くしてしまったんだろうかしらと
感じたのでありました

いずれも、道という生き方とも違う、
あるべき姿とも呼べるようなそれについて知らしめ
そこを辿ろうとすることへのヒントでもないが、
それこれの教訓が書かれているようで
ともかくも、そろそろ本編を読まないといけないかしらと
思ったりもしたのでありました