ある男 作:平野 啓一郎
タイトルの通りといってしまってもいいのかもと思うのだけど、
人間、その人とは何によって定義されるものか、
戸籍や、過去といったものが、人格をどのように形成しているか
そんなことを考えさせられる物語でありました
死んだ男の名前、戸籍は、まったく別の男のものだった
ただの事故死だと思っていたのに、
その人を定義づけるものが急速に失われ、
さりとて、その触れ合った人たちの記憶には、
素直で純朴ともいえる人物像が浮かんでくる
その過去や、秘密を少しずつ解いて行くという物語なわけなんだが、
戸籍ロンダリングや、背乗りなんていうことが、
横行している世界を見せつつ、
どうしても戸籍を交換したいという要望があり、また、売り渡したいという人もいて
このビジネスが成り立ち、そこに関わる人物の
露悪的なまでの胡散臭さが、物凄い印象的で、
物語全体のなんともいえない暗さではない、闇のようなものを
感じさせるのでありました
いくつかの問題も同時に取り扱いつつ、
他人が、ある種のレッテルで判断するということの恐ろしさ、
それがキャラクタを作り上げていて、
偽りの過去の話を聞いていたことが愛を育んだとして、
その嘘が明らかとなったとき、愛していたのは誰のなんだったのか
そんな疑念すらも浮かべつつと
なかなか、考えさせられまくる内容だったのでありました
すかっとする物語とはとても呼べないものだけども
心に残るものがあったと思うのである
タイトルの通りといってしまってもいいのかもと思うのだけど、
人間、その人とは何によって定義されるものか、
戸籍や、過去といったものが、人格をどのように形成しているか
そんなことを考えさせられる物語でありました
死んだ男の名前、戸籍は、まったく別の男のものだった
ただの事故死だと思っていたのに、
その人を定義づけるものが急速に失われ、
さりとて、その触れ合った人たちの記憶には、
素直で純朴ともいえる人物像が浮かんでくる
その過去や、秘密を少しずつ解いて行くという物語なわけなんだが、
戸籍ロンダリングや、背乗りなんていうことが、
横行している世界を見せつつ、
どうしても戸籍を交換したいという要望があり、また、売り渡したいという人もいて
このビジネスが成り立ち、そこに関わる人物の
露悪的なまでの胡散臭さが、物凄い印象的で、
物語全体のなんともいえない暗さではない、闇のようなものを
感じさせるのでありました
いくつかの問題も同時に取り扱いつつ、
他人が、ある種のレッテルで判断するということの恐ろしさ、
それがキャラクタを作り上げていて、
偽りの過去の話を聞いていたことが愛を育んだとして、
その嘘が明らかとなったとき、愛していたのは誰のなんだったのか
そんな疑念すらも浮かべつつと
なかなか、考えさせられまくる内容だったのでありました
すかっとする物語とはとても呼べないものだけども
心に残るものがあったと思うのである