CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】とにかくうちに帰ります

2017-12-28 20:10:51 | 読書感想文とか読み物レビウー
とにかくうちに帰ります  作:津村 記久子

短編集でありました
OLものの職場の作法というシリーズがかなり面白くて、
こっちのほうが表題作より好みでありました
OLという生き方が、なんとなくわかるというか
こういうこと、ありそうだよな
というか、実際あるんだろうなと
辛辣ではないが、独自のロジックによって
様々なことが蠢いていくといったらいいか、
ともかくおっさんと、完全に隔絶してしまっている世界観というか
没交渉っぷりが物凄く面白くて
同時に、怖いとも感じたのであります
私もすでに、この域なんでなかろうかしら

彼女たちの独自のルールというか、
とても整然としているような、物凄い情治主義のような
複雑怪奇なものが、読んでいると滑稽というではないが
面白くて仕方なかったのでありました
事務のおねーさんが、仕事をわざと遅くしたり
相手によって、相応の時間を使うというのは
本当、ありそうな話だと
つくづく思い知るのでありました
なんだろうかな、ギャルズには優しくしておかないといけないねと
なんか、考えてしまうのでありました

この内容については、まったく彼女たちからすると
意味不明のおっさんの言動や行動もまた
非常に面白くて、
なんとなく、おっさんがなぜそういう行動をとるか
これはわかるんだけども、永劫彼女たちには理解されないのかと
その場面を見るというのは
これもまた面白いのであります

そんなサラリーマン世界の独特の滑稽さも楽しめつつ
唐突に、スケート選手の応援をただただ願うばかりの女性の心情を
もう、まさに書きなぐったという感じの短編やら、
ちょっと毛色の違う、台風の日の奇跡といえばいいのか
やるかたない日常について短編と
あれこれ富んで面白い一冊であったと思うのでありました

ともあれ、OL進化論的な、あるいは、
スーパー派遣社員的な話で、和んだのであります

【読書】東京観光

2017-12-26 21:15:34 | 読書感想文とか読み物レビウー
東京観光  作:中島 京子

前回の「妻が椎茸だったころ」で、魅力につかれた感じになりまして
もう一冊と読んでみました、これもまた
同じようなというか、不思議な魅力にあふれた
短編集で楽しく読み終えたのであります
なんといったらいいのかな、この短編
むやむやしてるけども、非常に楽しい

ちょっと、愛だの恋だのともまたずれているような
不思議な感情が彩られていて、
これは、執着とか、偏愛とか、そういうものなのかしらと
思わされるような不思議な出来事というか
かなり一方的な登場人物たちの思いいれがあって
それを、主人公の主張のまま受け入れていると
最終的に、ずれているのはどっちだったのかと
考えさせられるようなのが多くて
他人の意見に左右されがちな自分には、
楽しいというか、恥ずかしいというか、
考えさせられるばかりの内容でありました
面白いと思うのだが、人を選ぶのかもだなぁ

表題の作品については、東京という都市というよりも、
何か、どこかに出かけたという事実自体に
なんともいえない感情を入れるというか
でも、そういうずれた感じもまた旅情といえばいいのか
それこそが本質みたいな主張といえばいいのか
答えはでないけど、なにか
納得までいかないが、わかるといえるものが
たくさん読めたのでありました

自分だけが正しいと思っていることについて、
それが自分だけだと自覚できない、
そういう気分をなぜだか、他覚と呼びたくなるような体験で
楽しむことができたとか
もう、言葉遊びすぎて、何書いてんだかわかんないんですが
楽しいと思えたのでありました

もう一遍、ゴセイトという、思春期にありがちな
一人遊びともいえない、ある種悲しい思い出というか
恥ずかしい体験みたいなのも
ぎゅっとつかまれるようで好きでありました
誰かと話したようなという体験は、
いつの間にか、自分が作り上げた、何かとの会話でないか
そういうのは思春期にもあるけど
今現在ですら、あるのでないかと思えてならないので
なんとも、いやな気分ともいえるそれを感じながらも
目が離せないようで、やっぱり
楽しいと思えたのであります

なんだかんだ、面白く読めてしまう短編ばかりだ

【ドラマ】アシガール!

2017-12-25 21:36:48 | ドラマ映画テレビ感想
土曜時代劇枠でやってました、
気の抜けたというか、いい塩梅で力の抜けた
あまり難しく考えてはいけない、
こういうものだと、ただただ、楽しんでみたらいいと
そういうドラマであったと思うのであります
多分に少女マンガっぽいと感じたんだが
いや、少女マンガというのとも違うな
もっと幼い子向けの
やっぱりマンガという感じだけども、
イケメンの若殿様とラブラブになりたいと
まぁそういうだけの話だったんだが
なんだろう、力抜いて見ていると凄い楽しかった

特にこれがということなど
まったくないに等しいというか、
突っ込みだしたらきりがない内容だったんだが
ヒロインというか主役の結之介が大変よろしく
足が速いというだけで、
あんだけ活躍してしまうのか、いや、
活躍とかそういう問題ではなくと
まぁ、ともかくドラマ仕立てでマンガ読んだような気分で
心安らかに過ごすことができるドラマでありました

最終的に解決したのかしてないのかと
テケトーな終わり方で、
続編ありきという感じであったのが
正直残念なのでありますが、
とりあえずめでたしな感じだったので
血なまぐさいこともなく、
楽しんで終えられた、面白いドラマでありましたとさ

本当にもう、特に難しく考えてはいけない
一生懸命生きたらいいのだと
そういう押し付けがましくもない、でも
素直に受け取りたいと思うメッセージというか
強い印象を備えたドラマであったと
つくづく思い出す次第であります
美人というジャンルではないといわれるのかもであるが、
ショートカットで大変麗しいと
しみじみ、おっさんの目の保養としても
ステキだったと記しておくのである
続編やるなら早いところやらないと
役者さんが成長しちゃうから
難しいんじゃねぇかなとか思ってしまうな

おんな城主 直虎

2017-12-24 22:40:09 | NHK大河ドラマ感想
全体振り返りというか、せっかくなのでと
書いておく次第であります
序盤は、大丈夫かと心配で仕方なかったし、
なんだかんだ、一休さんみたいな話だな
というか、これはもう、朝ドラでよかったんじゃないかとか
散々なことを言い放題してきましたが、
気付いてみたら、しっかりと一年間楽しませてもらえて
よいドラマでありました
下馬評をというほどではないけども、
新しい大河ドラマだったように思う、それでも面白かったのは
ドラマとしてのできばえが
大変すばらしかったからではないかと
つくづく感じたのでありました

昨年を考えてみると、真田の話で、
そのまたちょっと前と、そういう時代背景も若干アウェーといったところで、
しかも女主人公という難しいところを非常に上手に料理したというか
面白く見せてくれたよいドラマでありました
井伊という国衆が、かなり小さい、そしてそれは
大名に翻弄されて生きていたんだなと
昨年とも似たテーマなんだけども、
昨年のは、頭おかしい人々によって、逆転狙ったりしていて、
今年のは、振り回されて、酷い目にあって、でも生きていくと
大変重いといったらいいか、渋いテーマであったように思います
そういう点では、やはり大河ドラマだったんだなと
感じたりもするわけでありました

ところどころコミカルに見せつつ、
そして、毎回ひねりのきいたオチというか、
直虎が、なんだかんだうまいこと用意してみましたと、
それは駄目になるけども、何かそれが影響したかしないか
わからないけども人生は、歴史は進んでいくというのが
ある種新鮮にも見えて、主人公を持ち上げすぎない
ほどよい感じが、ストレスなく見られた要因だったように思います
心地よかったのでありますな

とはいえ、ハードなシーンはがっつりと作りこんできてというか、
基本的には、政次とのシーンがよかった、とその話になってしまうんだが、
あの時点というか、政次がだんだんと存在感を増してきたあたりから
大河ドラマとして面白くなってきて、
あのクライマックスはなかなかよかったと中盤の見せ場が
とても印象的だったと思うのであります

また、いつものように役者もみんな良かったという感じで
特に、世代間というか、親となんだかんだ似た感じに
子供たちが育っていくというのが凄いなと
これもまた、政次のところを筆頭になんだけど
之の字もそうだったし、直政もなんだかんだ
そういうものを受け継いだというメッセージの体現のようでもあって
凄いなと感心しきりでありました

まぁ、ご都合といっては差し支えがありますけども
家康が、かなり酷かったけど、なんだかんだ
最終的にはよいという扱いになったのは
ちょっとどうかなと感じつつ、さりとて、
家康も相当に大変な時代を過ごして、雌伏のときを過ごしたのだと思うと
それよりも小さい、井伊という国の大変さもまた
わかったりしたように思うのであります

全体では、猫の印象も素晴らしかったが、
随所に南渓和尚のよさが際立っていたようにも感じられて
あの当時の坊主の恐ろしさというのが、弟子二人からも伝わってきて
よい感じでありました
清盛以来の印象的な坊主であった

ともあれ、一年間、非常に楽しく過ごせたので
よいドラマでありました
また来年も面白いドラマでありますようにと
願いながら閉じるのであります

【読書】密教の美術 修法成就にこたえる仏たち

2017-12-23 20:52:52 | 読書感想文とか読み物レビウー
密教の美術 修法成就にこたえる仏たち  著:内田 啓一

仏教美術の勉強をしようともくろんでいるのですが、
わからずに密教に手を出して、
それもまた、探そうとしている仏教美術のそれとは
違うような感じなっている昨今であります
とりあえず、凄い仏様の種類はなんとなくわかったが
果たして、これで仏教美術の勉強になったんだろうか
理解が遠いと、なんというか、
せっかく読んでも、見ても、役に立たないと
そんながっかりなのであります

そんなわけで、おそらくは今年最後の読書でないかと
そういう感じなのでありまして、
とりあえず読みましたというだけのお話
曼荼羅の数々と、明王という密教独特の
新しい仏様の姿について、
少しばかり知識が増えたのでありますが
なかなかどうして、考えさせられたのであります

まっとうに仏教の勉強をすればいいのにと
ちょっと思ったりもしてしまうのでありますが
弘法大師が京都の東寺で、偉い坊さんを務めていたらしく
だから、東寺に弘法大師の像があったのかと
いまさらながらに知ったわけでありまして
また、前回読んだ本にもあったとおり
唐からもって帰ってきたものというのが
なかなか大切なんだということだけわかったのであります

よしあしや、いわれなんかは
もう漢字がいっぱいだという感想だけで
さっぱり覚えられないのでありますけども
少しずつ、何かに近づいていられたらいいなと
ちょっと考えたのでありましたとさ

【読書】妻が椎茸だったころ

2017-12-21 21:02:48 | 読書感想文とか読み物レビウー
妻が椎茸だったころ  作:中島 京子

不思議な短編集でありました
現代劇で、ちょっとした怖い話めいたオチもありつつ、
なんといったらいいのか、やっぱり
不思議というしかない現代劇がつまっていました

あっという間に読めてしまって、
それぞれに何か感じるところがあるわけでもないけど、
なんか面白い、間の抜けた感じというか、
心地よく読める文章というのが
堪能できるのでありました

個人的に気に入ったのは表題作で、
唐突に妻に先立たれた男が、妻が先立つ直前に予約していた
めったに受けることができない料理教室に
なんか成されるがままというか、えらい間抜けに
参加することになって、なんだかよくわからないけど
ひと区切りつくというか、うん、
読み終わって、気持ちよかった一遍だと思うのでありました
なんだろうな、いいなぁと思えたんだな
不思議な物語だ

そのほかも、怪談というではないけども
ちょっと怖い話やら、おどろおどろしい話なんかもあったりしつつ
飽きなく、あれこれと物語を楽しめるいい作品集でありました
もう少し読んで見たいと思ったので
別のも探してみようかしらと
思わされたのであります、短編が面白い小説家というのは
凄いなと感嘆するのであった

【読書】上流階級 冨久丸百貨店外商部

2017-12-20 21:34:25 | 読書感想文とか読み物レビウー
上流階級 冨久丸百貨店外商部  作:高殿 円

百貨店の外商というテーマを書いた小説でありました
うわさには聞いていたというほどでもないけど、
百貨店外商って、とてつもなく大変な仕事なんだなと
お金持ちを相手にする難しさというか
つまるところ、仕事を丁寧に真摯につとめられるかといったことを
こんこん、諭されるように読める本でした

上流階級を相手にするということ、
百貨店が本当に提供するものはサービスだということ、
このあたりがお金持ち相手の仕事なんだなと
改めて思い知ったのであります
よくお話に聞く、金持ちのための世界というか
そういう気遣いといえばいいのか、
なんとも、高度なおもてなしのようなものを見たのであります

仕事が面白いと思える、
そんな物語なので、非常にストレスなく読めるのだけども
現代劇で、ドラマチックな事件でもないが、
仕事に取り組んで成功して、失敗してと
そういうのを積み重ねていくような姿で、
読み終えて面白かったのは間違いないんだが
なぜだか、ここというのがあげられない
ずっとといえばいいか、いくつかのエピソードの
それぞれが面白いというのに、
不思議とパンチがないというか、強い印象や衝撃がない
でも、確かに物語を堪能できたと
そんな読書体験になったのであります

外商という仕事の本質についてと、
そもそも仕事についてどう考え取り組むか
これについて考えさせられたのであります
面白かった、なのに、現実の自分とあまりに違うように見えて
まばゆいその姿が、なんとも沁みるようだったのである

【読書】随想 春夏秋冬

2017-12-19 21:23:29 | 読書感想文とか読み物レビウー
随想 春夏秋冬  著:宮城谷 昌光

エッセーというと軽すぎる、
内容は氏の語りでもあるのだけど、随筆と堅苦しくもない
ほどほどに内面と、それまでと、これからを語った内容でありました
興味深い内容で面白かった

ちょっと怪談めいたといったらいいか、
不思議な体験の話もあったりして、朴訥とした雰囲気なのに
短い中に、体験と思ったところが素直に書かれているようで
さらさらと読めるのであります
前にも、カメラの話の随筆を読んでいたので
その時に知ったかもしれないのだけども
氏は愛知県、蒲郡のあたりの出身だそうで、
その後、紆余曲折があって、常滑あたりを贔屓にしていたというところが
地元に近いこともあり面白く読めた部分であります
吉良、西尾、常滑とゆっくり西へとくる道行と
その途中のそれこれについての描写が好きというか、
自分がよく通った道と逆方向だけども面白くて
親近感を覚えたのでありました

また、小説家というものは陶磁器を知らないといけないとか、
なんか、思ったことを教条のようにルールとして
意味ではなく事実から追っていくという姿が
愚直で面白く、えらい魅力的に見えたのであります
その教条から、陶磁器を勉強しだして
もうひとつぴんと来てなかった或るとき
信楽を見て、衝撃を受けたという話が凄い好きで
そうそう、陶磁器を好きになるって
そんな感じだったと、これまた、変に自分と似たと思いこんでしまいそうな
その楽しさ、心躍った姿が見えるようで
いいお話だと感じたのであります

そんなわけで、愛知県の話と陶磁器の話と
自分が好きなところばっかり読んでしまったのでありまして
もっと小説に関してというか、出掛けの頃の苦労話とか
そちらも興味深くて面白かった一冊でありました
いい本だった

【読書】老子と上天 神観念のダイナミズム

2017-12-18 21:18:31 | 読書感想文とか読み物レビウー
老子と上天 神観念のダイナミズム  著:浅野 裕一

老子に関する研究の新しい本でありました
かなり難しい、なんとなしで勉強というか
本を読み出した身分で読むべきではなかった
ほぼ、学術書ではなかろうか
そう思うくらい、ちゃんと老子という哲学について
考察を連ねておりました

老子という切り口ながらも、中国古代における
思想史というか、どう統治をするべきか
政治までも含めた、人倫のありかたを
道教も含めて語った本でありました

知らないというのは恐ろしいことで
殷周革命なる言葉がありまして、殷からどうして周が興ったか
それについての解説と歴史背景の説明
現状のテキストというか、見つかった断片から
考察される内容についてが興味深く
殷が周に滅ぼされたのではなくて、
殷の中に周という国があって、そこが乗っ取ったと
そういう感じではなかろうかとのお話でありました

ここで、老子に連なる前の多神教的なものが出てまいりまして
それでは困ると、一神教めいたものを周は掲げたおかげで
殷との差別化をはかり、統治にも影響を及ぼしたと
ただ、それでは人倫がうまくまとめられず
結局、吸収して、様々な神が存在するようになり
その下地が、天や世界、宇宙といったものを
定義、あるいは考察していくようになっていって
そのひとつの答えとして、老子のあり方が出てきたと
まぁ、そんなわけでありました

さらには、黄帝のお話と、老子のかかわりであったり
対孔子、儒教との折り合いなんかも出てきて、
老子がいつ成立したものかということまで含めて
非常に深く、難しい内容で記されていたのでありました
時代を特定していくところでは、
膨大な知識というか、物証をもとに推測して、
写本や、そのあり方なんかまで考えたりして
推論が、飛躍しないようにつとめながら
地道に時代を埋めていくような作業で頭が下がるというか
こういう仕事も大変だなと、いらぬことを感じたのでありました

と、読み終わってみて、老子の新たな何かを身につけたかといえば
さっぱりわかっていないのはいつもの通りで、
ここまできたら、いっそ、ちゃんと老子を一度読むべきでないかなと
台湾に遊びにいくために、廟の勉強をしようから
随分遠いところまできたものだなと
自分自身を思い返すのでありました
ともあれ、楽しいのでよいのである

おんな城主 直虎  石を継ぐ者

2017-12-17 21:04:58 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」
今年も一年見続けたのでありました
序盤ははらはらしたけども、終わってみると
面白いドラマだったと思うのであります
大河ドラマとしては、おいといて、ドラマとして
面白く一年間見られた、それだけで十分甲斐があったと
思ったのであります

全体振り返りは、またどっかの機会でやるとして
最終回について、

まさかのというか、えらい早くに直虎が死んでしまって
衝撃を受けたのでありました、
しかも、あれ、龍雲丸も死んだということだよな
まぁ、直虎よりは長生きするからとか約束してたから
ぎりぎり長生きしていたということなんだろうけども
なんといったらいいか、あの子供時代の夢が
その答えなんでありましょうが、衝撃でありました
結局、鶴でも亀でもなく、龍なのかよと
まぁ、虎だしなぁと思ったりしたんだが
なんだろう、ちょっとだけ納得いかないようにも
思えたのであります
順当でもないが、普通は亀なんじゃないかと
思うんだが、まぁ、このドラマ、物語については
これでいいんだよなぁと納得もしてしまうのであります

凄いあっさり終わったというのが
正直な印象なのでありますが、
直虎の意思でもないが、思うところのあった
元配下や、縁者たちがそれぞれ立ち上がっていくというのは
いい終わりだと思って、眺めてみるように
しみじみ視聴したわけでありますけども
この物語における徳川の立ち位置が、
織田とどういう関係であったかを含めて、
その後の徳川天下に続く地平というか、歴史が見えるようで
これもいい歴史ドラマだったと思えたところ、
ああいう付き合い方なら、織田の後に
秀吉に仕えつつも、なんだかんだというのは
なるほどなという風にも思えたのでありました

最終的に赤備えも出てきたけども、
その活躍は描かれることがないというのに
ちょっと残念に思えてしまったのでありますが、
そこまできて、これは直虎の物語だから
これでいいんだなとも感じて
なんだろうかな、穏やかな気持ちで終わったと
そういう気分なのでありました
うまく消化できてない感じというか、ふわっとしてるなと
落ち着かない感じで、終わりをまだ受け入れられていないのかもと
感じたりもしているのである

【読書】すぐわかる 日本の仏教美術

2017-12-15 21:01:25 | 読書感想文とか読み物レビウー
すぐわかる 日本の仏教美術  著:守屋 正彦

縁があって、仏教美術の勉強をしなくてはならなくなり
とりあえず手にとったのでありました
いやー、仏教のこと知らないもんだなと
自分の無知を自覚するに、よい本でありました
本当にさらっとした紹介なのに、ほとんど何も知らなかったと
そういう自分を発見できたのでありました

日本における仏教の成立を飛鳥、奈良時代から
順々にくだってくるという内容になっていまして、
その時代時代の仏像や、仏画の紹介がされていて、
また同時に、その頃に受け入れられていた仏教の形も解説、
これが大変勉強になりまして、
密教とは何か、美術における内容がこんなに違うものなのかと
なるほど、様々なことを覚えることができたのでありました
とりあえず、異形のそれこれは密教なのだと
それだけでも十分でありまして、
また、先日国宝展で見た仏教美術のそれこれも載っていて
先にこれ読んでおけばよかったと、
孔雀明王の図とか見ながら、嘆いてしまったのであります
あれを見て下手だななどと思っていた自分を殴りたい
そういう気分になってしまったのである

さておき、平安時代のそれこれから、
鎌倉時代にはいって、がらっと変わったというか
一気に迫力というか、精彩さが増したようにも見えて
仏像の革新というのも行われていたんだなと
美術史の観点から面白いことも理解できたのでありました
そのまま、模倣模倣で倦んで行くばかりなわけがないのでありますね
仏教とはいえ、そこに美術があれば、
当然、進歩していくのであるな

そんなことを感じたりしながら、
天平白鳳とよく聞くそれこれの絢爛さも見たりして
ふむふむ、一人頷きつつ知識を蓄えていくのでありました
とりあえずはここまでとして、
また、次の勉強本を探さなくてはならないな

【読書】唐玄宗紀

2017-12-14 20:46:21 | 読書感想文とか読み物レビウー
唐玄宗紀  作:小前 亮

唐の玄宗皇帝一代記といった内容でありましたが、
その実、それを支えた宦官・高力士の物語でありました
前回読んだ、楊貴妃の物語で、
ある宦官なんて思っていたんだが、
どうやら玄宗にとっては、非常に重要な人物だったようで
この高力士の才覚が、玄宗の治世において
すばらしい働きをしていたと
それを理解できたのでありました

物語では、玄宗がどのように唐の皇帝となったか、
そして、楊貴妃との劇的な出会いと愛、
その間、画策して働き続ける力士の姿と
まぁそういうのが、描かれていたのでありますけども
何がいいって、玄宗と力士の関係、
主従の絆というのがステキに描かれすぎていて
皇帝に尽くすものの物語として
大変面白く読めたのでありました

実際にどうだったのかわからないけども、
三国志なんかでよく見る宦官とは
一線を画したといえばいいのか、実際は似たようなものかもしれないが
皇帝に忠義を尽くす、官僚として優れた宦官が
大変魅力的に思える内容だったのであります

これで唐、特に玄宗に関する物語を二つ読んで
どちらも、楊貴妃の最期を高力士がつかさどったというのは
確かのようでありまして、さらには、
その後、死体が見つからないというのも
神仙の物語のようでもあり、実際に、そうであったと
そのあたりが定見というか、お約束になっているようで
感動といったらいいか、覚えたのであります

今回の物語では、政争がうまく描かれていて
派閥から、宰相の姿が描かれたりというのが
読んでいて斬新に思えて、楽しかったのであります
現代風でもあるが、政治劇だと不思議に唐のそれでも
すんなりと読めてしまうというのが
なかなか、新鮮な体験でありました

ともかく、玄宗という皇帝がどれほど優れていたか、
そして、それを支えた高力士がどれほど素晴らしかったかと
一方的な描き方とはいえ、非常に好感を覚えて
読み終えた小説でありました
綺麗にすぎるのかもしれないが、大変面白い物語だったと
個人的に満足なのであった

【読書】宵山万華鏡

2017-12-12 21:30:52 | 読書感想文とか読み物レビウー
宵山万華鏡  作:森見 登美彦

安心といっていいのか、森見世界のお話でありました
正直、あまりたくさん読んでいないので、
この短編集めいた連作に出てきた人々が、
氏のいくつかの作品に出ていた人たちなんだろうなと
うっすらとわかりつつ、独特の世界観を堪能したのであります

発刊が結構前の作品なのだけども、
最近私が読んだ夜行と似た話もあったりして、
世界を少しずつ描き紡いでいるんだろうなと
そういう印象を持ったのであります

内容では、大きく二つに分けられて
京都の祇園祭宵山にまつわる、宵山時空とでも言いたい、
あっちの世界に引きずり込まれるかのような暗い話と、
腐れ大学生どものとんちき騒ぎめいた
嘘宵山を画策するお話になっていまして
また、このそれぞれもゆるくリンクしていると
興味深い内容なのでありました
嘘がまことになったといったらいいのか、
なんとも形容しがたい、世の中、何が繋がってるかわからないねと
そういうお話ともとれるのであります

もっとも、魅力はなんといっても、
この嘘宵山と、本当の祇園祭とのリンクっぷりで、
知らない人からすると、本当にあんな不可思議な祭なんじゃないか、
ひょっとすると、裏では本当にタヌキや招き猫が
乱舞してんじゃないかしらと思わされるような
妙なディテール、リアルがちりばめられていて
楽しいことこの上ないのであります
というか、この人、京都と金魚が好きすぎるんじゃないかしら
いいんだけどもさ

個人的に残念だったのは、おいろけとは違う
なんとも魅力的なお姉さんが出てこなかったところで、
これはまぁ、好みの仕事もあろうと思えば
文句も言えないのでありますけども
物足りないと思えてしまったのであります、
そもそも、そういう作家さんではないようにも思うので
私がないものねだりをしているのかもしれない

と、感想ともいえぬ愚痴めいたものになってきたので
このあたりで終わろうと思いつつも、
ともあれ、煌びやかな宵山の風景を文章で読ませてくれて、
それでいて、なんか物悲しい、独特の感覚、
京都というよりも、日本的な闇も感じられて
楽しかったのでありました
京都も怖いところだなぁなんて、
柔らかいことを言っておきたくなるのである

【読書】最後の握手 昭和を創った15人のプロ棋士

2017-12-11 21:10:03 | 読書感想文とか読み物レビウー
最後の握手 昭和を創った15人のプロ棋士  著:河口 俊彦

久しぶりに将棋の人物史のような本を読みました
昭和の将棋界を作ってきた人物たちをクローズアップして
その人となりや、事件を描いたものであります
15人の棋士のうち、知っている人は少なくて、
にわか将棋好きには、大変ありがたい情報量でありました
しかし、こういう本を読めば読むほど
大山名人という人が、どれほど怖いというか
恐ろしい人だったのだろうかと
ありあり思い知らされるのであります
いや、同時代人が同じように言うから、そうだともいえるが
そう言えという空気というか
定型化している部分もあるのかもと
ちょっとだけ思うのであります

大山名人についてはわずか1話しか割いていなかったのでありますが、
これまでに聞いた内容に加えて、やっぱり怖いなという
印象的なエピソードがちりばめられていて、
ともかく、若いものに負けないために、こてんぱんにする、
それも将棋と、それ以外と問わず
いわゆる盤外戦術も相当だったようで、
そういう話を読んでいると、最近の将棋は可愛いものなんじゃないかしらと
思ったり思わされたりしたのであります

あと、棋士は40半ばくらいまでは聖人というか
しっかりした人が多いけども、それを過ぎるとこじれてくるんだそうで
このあたり、かつての天才が老いてくると傷んでいくという話で、
非常に興味深いのでありました、世の中だいたいそんなもんだよな、
そして、その年代にさしかかった、羽生世代の人たちも
やがてそうなっていくんだろうか
興味深いというか、木村先生あたりどうなってしまうか
なんか心配になってきた(余計なお世話である)

早世の人も多かったようで、存じ上げない棋士も多数掲載されていて、
その天才っぷりと、また、それぞれが大山名人とどう戦っていたかも
なかなか興味深いところでありました

人格という部分にあたるのかわかりませんが、
森下先生と、二上先生については非常に興味深いところで、
学者肌というではないが、凄みがありながらも
ハト派と呼んでもよさそうな、人柄の良さ
このあたりも、悪い人と比べてというところの気もしてくるんだが
お会いしてみたかったと思わされたのでありました
どちらもお弟子さんが素晴らしいので、
そこからまた人柄が偲ばれるのだろうかとも
思ったりしたのである

と、そんなわけで、現代棋士では、
屋敷先生と深浦先生が語られていて
いずれも天才として数えられていて興味深かったのでありました
この本によって、先日の竜王戦で、
深浦、木村解説が、なんであんなに面白かったのか理解できたというか
読んでおいたら、もっと楽しめたんだなと
思わされたのでありました
いい大人の男だから、仲良しこよしなわけが、
しかも勝負の世界でありえないと知りつつも、
そんなのとは違うところで、将棋界が明るいものであってほしいなぁと
願わずにいられないのである
でも、闇部分があってこその、将棋勝負ともいえるな

おんな城主 直虎  本能寺が変

2017-12-10 20:45:44 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」
視聴完了であります
本能寺をかなり違う形で描いていて
野心的な一回だったなという印象
これが最終回手前と思うと、盛り上がりに欠けるとも
思えてしまうんだが、話としては面白いので
文句はないのであります
そういうものではないのだ、楽しいからいいんだよ

というわけで、結局、織田が殺そうとしていたというのは
明智の妄言だったのかどうか、そのあたりは
闇というか、面白い感じで終わったのでありまして
さらにいえば、伊賀越えが昨年と違って、非常に安穏としていて
どっちにしろ、コントっぽくなるんだなとか
ちょっと違う意味で面白かったんだけども
穴山の片付け方とか、そこから、
腸が腐った方の本多の面目躍如といったところで
非常に面白かったと思うのであります

ドラマとしては、かしら関係が面白いところであって、
なかなかこちらもコントっぽかったけど
満足なのでありました、ふと、このまま直虎は帰らずに
あの場で、かしらと幸せになりました、
外聞悪いので、死んだことにしておきますとか
そういう最終回でもいいんじゃないかなと
ちょっと思ってしまったのであります
まぁ、そういうわけにはいかないと思うんだが
どうだろうね

あっという間に、来週最終回だそうで
凄い寂しいのだけども、満足のラストを飾ってほしいと願いつつ
直政が、ひこにゃん装備をしていたので
そこは見所として楽しみだなと感じつつ
来週を待ちたいのであります
そうか、もう終わりなんだな、今年も、終わってみれば早かった
しみじみである