CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

光る君へ  進むべき道

2024-03-31 20:50:46 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「光る君へ」視聴完了しました
そこで終わるのかよ
そんな感じで、でも、このドラマの場合、あんなシーンで終わっておいて
来週は、何事もなかったように次の話とか初めておいて、
そういえばとか、さらっと流すような気もするんだが
できれば、がっつり続きをやってほしいというか、
もう、大河ドラマというよりも、昼ドラだな
それはそれで面白いからいいんだけどもさ

さておいて、まひろが寸劇を町辻で披露すると、
一見すれば、死んだ曲芸師一座の跡目というか、何かを継いだようにも見える展開だが
あまりにも大根すぎて、まるで失敗なうえに、何もフォローがないという
さんざんな結果がなかなか潔くてよかった
まぁ、実際は一人二人くらいは、生徒を見つけていたようだし
よかったとも思うのだが
お手伝いというか、女中がいうとおり、詮のないことをしているわけだが、
そこに意義を見出したという大義を無理やり掲げている感じが
実に痛々しくてというか、白々しくてよかった
結局、前の男を忘れられないというそれではないかという
なんか、恋心の持ち方が男みたいだなと思ったりしたのであった

さておいて、時間が四年くらい飛んだという話だったと思うのだが、
その間に、一気にパパ上がボケちゃってというのが衝撃的だったんだが
確かに入内も成功したし、まぁ為すことをなしたともいえる状態だから
それでというのもわからんでもないが、
ドラマを見ている身分としては、一瞬の出来事すぎて、
全然足固めできないまま、いいところで終わった人っぽくも見えてしまい
なかなか恐ろしいところである
しかしまひろの父上も、4年も無職やってるとか、どうやって生きてたんだと
心配になるくらいだったが、色々と立場の変わったあれこれが
物語として、説明がさりげなくされていくのが実に小気味よかったのでありました

最終的に、また道長と再会というまずいシーンで終わるというのが
実に面白かったけども、あの直前のやりとりも面白くて
あの足で行ったのかよ的な感じとかが、実によろしく
コミカルなんだが、真面目な調子というところがよくて
面白くて仕方なかったのである

とりあえず、来週の出だしだけが気になって仕方ないので
一刻も早く一週間経ってほしいとか願いつつ
まずまず4月からの展開を楽しみにするのでありました

【読書】パッキパキ北京

2024-03-30 20:58:07 | 読書感想文とか読み物レビウー
パッキパキ北京  作:綿矢りさ

まるで私小説かのように書いているけども、
当然そうではなくて、でも、ものすごくリアルに、
コロナ厳戒下からこっちについては、まさにこういう状況だったのではと
中国の市井が見えるようで面白い小説だった

女性同士のよくある、マウントの取り合いなんていう
しょーもないやりとりから始まるが、
自分をまったく見失うことのない主人公の女傑っぷりというのが、
ある意味純真な感じで中国と付き合ってて、
あっという間にそこに馴染んで、なんだったら、悶着を山ほどこしらえてと
結局国境やら、状況やらは関係なく
自分がということを押し通せる強さの面白いこと、
そして、どこでどんなことであっても、人間同士なんて解決も問題も一緒だといわぬばかりに
通常とはいいがたいけども、日常が続いているというのが
嫌味でも、押しつけでもなく当たり前だと描いていて
非常に面白いと感じたのである

でも、文体というか、書かれていることは、やはり私小説風というか
いわゆる日記形式のようにも読めて、古典の〇〇日記とほぼ同じ
それでいて、観光ルポのようでもあるし、ドキュメンタリのようでもあるしと
高尚なブログといっても過言ではないような読み応えなんだが
銀座でホステスしていた経験と人生訓が
なんとも味わい深くささってきて、なんだかんだ深く読めてしまうのがよかったと思うのである

しかし、北京てのは、ずいぶん寒いところで、
とんでもなく冬がきつい地域なんだなと、改めて知るばかりであった
ともあれ、楽しむにはある種の才能が必要なようにも見えるけど、
それは、北京に限らず万事においてそうではないかと
そんなオチにもなってて、大変楽しく読み終えたのである

それはそれとして、自転ターの暴走は嫌だな

【ドラマ】正直不動産2

2024-03-28 20:55:22 | ドラマ映画テレビ感想
人気があったと見えて、正月にスペシャル番組をやったうえに
シーズン2が放映とあって、なかなか楽しく見て過ごしたのでありました
原作を相変わらず知らないままだけども、
もはや、こういう物語なんだろうと
このドラマのキャラクタで満足というか、とてもしっくりきていて、
特に、福原遥の月下が抜群にいい、前もそう思ったと書いた気がするが、
ともかく、この気の抜けた感じが最高にフィットしてて
まぁ面白い、それでいて、元気の押しつけ営業というのが
ちゃんとうまくいかないところも描いていて、しょんぼりしたと思ったら
割と平気そうというのもまたすごくよかった
主人公の一人といって間違いなくて、
正直、月下見てるだけで楽しいといっても過言ではないシリーズだわ

と、それはそれとして、
今回は、神木という仇役が出てきて、この男のわかりやすい悪さと、
キャラ付けのためのタップダンスが、妙といえば明らかに妙、むしろ変なんだけど
ディーンだからというだけで、強引に押し切られたみたいなかっこよさがあって、
まぁ、そう思えるのもこのドラマそのものが
ほのぼのというか、どっか抜けててもいいかという
ほどよい加減があるので気にならないというか、むしろその方がいいと
コントに近いものを見て楽しんだと
そんなドラマでありました

相変わらず続きができそうな風で終わったので、
はたして、3もあるのかどうか、
あってもなくても、どちらでもいいなと思う出来栄えだと思うのだけども
永瀬と月下の組み合わせ、そして、時々桐山がいてくれればと
そんなドラマを見たいなと思わされているのでありました
大河部長も面白いんだが、業界用語説明という新しい役回りが妙にマッチしてて
しかも、ドラマとして、ちゃんと不動産業界を紹介しているそれっぽく仕上がっているので
いい仕事してるなと思ったのである
新人の十影くんとかは、正直あかんだろと思ってしまったんだが
タムパという聞きなれない言葉とともに、嘘リアルな最近の若者像を焼き付けられたのであった

山崎努さんが、だいぶ草臥れてきているのだけすごく気になっているんだが
続きやるなら、少しでも早い方が、草刈さんも含めて思ってしまうのである

【読書】モモンガの件はおまかせを

2024-03-27 21:05:04 | 読書感想文とか読み物レビウー
モモンガの件はおまかせを  作:似鳥鶏

どうもシリーズっぽい感じだが、動物園の従業員が
動物がかかわってそうな、そうでもないような事件を解決するという
ニッチな探偵小説でありました
設定はさておき、濃いめのキャラクタが、ドタバタしながら
あっという間に事件を解決してしまうんだが
事件に関して、結構な動物蘊蓄が入っていて、そういう方面の人には
大変楽しいのではなかろうかと思いつつ
素養ないまま読んでも、ミステリ小説として、
そんなわけあるかよと思いながら読めてよかったのである

多少どころか、だいぶ強引に動物が絡むなと思っていたら、
そもそも動物関係ないというか、ミスリードが基本なんだなと思わされる展開が多くて
謎解きをちゃんと考えるべきか悩ましいながらも、
とりあえず事件は解決するし、推理もさらりと披露されて
なるほどなと思えるところがよかった

とはいえ、扱っているテーマは一貫というか、
この一冊で一つのものがあり「動物の営利販売」の是非といったところが
難しくもなく、わかりやすく問われていて考えさせられた
ペット問題は、本当深刻だなと改めて思い知る内容なわけだが、
それはそれとして、事件は結構悲惨なものもあったりして、
面白おかしい話のようでいて、ずいぶん重いなとも感じるのであった

全体的に、なんとなく斜に構えた感じがするので、
ちょっとクセがあるのだけども、さくさく読んで楽しかったと
そう思える一冊だった

【ドラマ】アストリッドとラファエル 文書係の事件録4

2024-03-26 21:05:20 | ドラマ映画テレビ感想
もうすっかり定番となった感すらあるアストリッドとラファエルの新シリーズが
無事NHKで放送されて、しっかりと見終えたのでありました
シーズンをおっかけてきたわけだが、アストリッドの成長がひと段落した感じもあって、
前ほど、はらはらしながら見るという感じじゃないのが
やや残念ではあるものの、着実にアストリッドが成長していっている姿が
実に頼もしいというか、テツオとの関係がほほえましいようでいて、
物凄い色気に満ちていて驚いたのでありました
キスするシーンだけで、これNHKで放送して大丈夫なのかと
そう思うほどものすごく官能的に見えたのは
俺がおかしいのか、女優さんの演技がすばらしすぎるのか、どうなんだ

本シーズンは、ちょっとトリックに無理がないかと
まぁ、前からそうだったかもと、今更ながらに思うところがちらちらあって、
ドラマとして、アストリッドの活躍が主眼であるものの
状況証拠からの推察が、割と簡単になってきているような印象もあって、
さらには、ちょっと行き過ぎた科学っぽさとかが気になってしまった
オーガニックの人の死体が分解早くて椿が咲いたとか
窒素肥料多すぎたらそもそも花咲かないだろうと思ったり、
クローンのあれやこれややら、面白いんだがちょっと違くない?と感じたのである

そうかと思うと、以前に増してオカルト風味も取り入れているところはよくて、
一人未来から来たという女の話が、結局本当はどうだったかわからずじまいというのが
こういうミステリにありがちな展開で、実によかったと思うのであった
理詰めをテーマにしているのに、不可解を許容するというのが
ドラマとして抜群に面白いと感じたわけだ

まぁ、そんなことを感じつつ見ていたわけだけども、
なんだかんだ、女性がみんな奔放だなとそっちが気になって、
コストが、結構な頻度で男と寝ているのが衝撃的というか
そういうもんなのかと文化の違いめいたものを考えさせられたり、
それに触発されたみたいに、アストリッドもどんどん積極的になっているような
接触を厭いながらも抗えない感じになったりとか
実にけしからんが、すばらしい展開が見所でもあったわけだけども
テツオとは、どうやら別れざるをえない展開のようで
次のシーズンがまだ撮影中だそうで、
日本にやってくるのがいつなのか、わからんが、なんとか放映してほしいものだと
願うばかりなのでありました

しかし、ラファエルの年齢がいまいちよくわからんのだが
妊娠というのは衝撃的過ぎてどう処理するのか楽しみのような、怖いようなであるわ
続きがみたい

【読書】邂逅の森

2024-03-25 20:58:32 | 読書感想文とか読み物レビウー
邂逅の森  作:熊谷達也

旅マタギの一生を描いた小説
一生というとやや語弊があるので、「マタギ」としての一生といったらいいか、
どうしてなったか、そしてどうして引退したかまでを描いていて
その間の劇的な変遷が面白くて、講談のような楽しさもあり、
見習いマタギだったが村を追われ、炭鉱夫として働き、やがて狩猟の世界に戻っていく
その変遷に男女のそれがあり、人生のいくつかの転機があり、
それでいて、愉快な弟分との出会いや、詐欺師と仲良くなるとか、
それぞれの話が面白くて、一貫して何か大きなテーマがという感じではないが、
熊を追うこと、その描写の面白さから
ぐいぐい読まされて、気づいたら、マタギの習わしに染まりそうになるくらいの
かっこよさがあって、とても楽しかった

農地解放からこちらといったところの寒村の話なので、
旅マタギというものがどういう経緯で生まれ、
何をしていたかという風俗史的な面白さもあるのだけども、
その一種宗教めいたもの、強い絆、頭領を絶対とした統制といった
男性的な強権、戦術が面白くて読まされてしまう
それでいて、山っ気のある話や、生きるための狩猟という強い欲望、
ある意味生存のための手段としての狩猟へのすごみというのもあって
素人狩猟者が増えていた当時の情勢とかもあいまって
面白すぎるのでありました

そのあと、炭鉱に送られてどうなるんだと思っていれば、
なかなかうまいこと生き延びていくし、そこで出会う弟分がまた面倒だがいい奴で、
この出会いが主人公の生涯を明るくしているようにも見えて
読んでいてほのぼのというか、頼もしくなるのがよかった

村から追われたり、そのあと、別の村に定住するためにと
その度に女性との関係が出てくるのだが、
物凄く太くはっきりと、男女の分かり合えなさが描かれているのがむしろ好感触で、
女のそれはさっぱりわからんが、そういうことかとあきらめる
このご時世、全世代的な家族というか、夫婦、男女のありかたそのままの様子が
あっけらかんとしてて、一週回って可愛いくらいなのがよかった
女性からしたら嫌なもんだろうけども、
男性としてはわけがわからんとなるし、それによって、手玉にとられたようなことを怒るわけでなく
むしろ、怖いとおじけづくというのが、いかにもな感じで、
しみじみほのぼのするのであった

最終的には、山の神に試されるというそこに帰結していくのだが
その直前の女二人の戦いの方がむしろ鮮烈で、
それを経た後の結末が、はたして、描かれなかった先がどうなったか
想像の余地がありありあって、とても楽しく読み終えたのでありました

光る君へ  思いの果て

2024-03-24 21:14:55 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「光る君へ」
視聴完了しました
副題が意味深というか、この回だけ、あるいは物語としてもそうか、
道長との一つが終わったとも思える内容で、非常に面白かった
けど、これって、物凄い昼ドラっぽさよなと思っていたら
来週よりそれが増しそうな予告が出てきて
これはこれで、大変面白いと楽しみが増していくのであります
紫式部という人が、結局、妾格だけど直接的に道長に囲われていなかったような
自由恋愛している女というのが、今風でありながら、
割とリアルっぽくもあり、凄い面白い解釈で楽しいと
このドラマの真骨頂を見ていると思うばかりであります

さて、弟が、なんかよくわからん内に
血縁がありそうでなさそうな、わけあり女とうまいこといきそうでもあるし、
まひろはまひろで、危ない見合いにひっかかりそうだったけど
なんとかセーフだったっぽいとか、まぁ、あのあたりのコントが
大変ゆるゆる見られてよいなと思っていたんだが、
あのくだりにおける、叔父上の一刀両断っぷりが見事すぎて
凄い笑ってしまった、「あれはだめだ、半分死んでおる」というのが
まぁ、ひどいけど実によかった
まぁ、実際に死ぬのは、道長のパパの方ではあるわけだが
それは来週にとっておこう

まひろの、遅きに失したとしかいいようのない、
一時の気の迷いによって失ったものが、もう二度と手に入らないというのが
ドラマチックすぎて、こういう物語、凄くいいなと思って
しみじみ見入ってしまったわけだが、道長もまた、
一人その道を進んでいくというか、いきなり、左大臣の娘とやっちゃうとか
割とプレイボーイだなと思っていたんだが、
そういうムーブ含めて、凄く少女漫画向けというかレディコミ向けというか
今でもありそうな、そういう話っぽくてとてもよかったと
大河ドラマというか、ドラマとして面白いと
来週をまた、待たされてしまうと思うのでありました

そろそろ清少納言が恋しいんだが、また出てこないかな

追記
録画を見返したら、カブを収穫してるシーンで、
カブが土に埋まってたな、考証は何してんだとか
声を荒げておく機会を失してしまったわ

【読書】僕は金になる

2024-03-23 20:55:36 | 読書感想文とか読み物レビウー
僕は金になる  作:桂望実

将棋をテーマにした小説だと楽しみにして読んだんだが
ほのぼの家族物語だった
少し上くらいの世代の何者にもなれなかった物語であるんだが、
何者かになれたかもしれない風変わりな姉と、ろくでもない父親の面倒をみつつ
自身も成長していくのを意識したりしなかったり
移ろう心と考え方みたいなのに共感を覚える内容で
なかなか楽しく読めたのでありました

将棋がやたら強いけど、色々と生活力がない姉と
その姉に賭け将棋をさせて生計を立てていく父親という
本当にろくでもないそれを、割としっかりものの弟が見守っていると
まぁそういう設定になっているんだが、
将棋をテーマにしつつも、一切盤面というか、筋は出てこないで
角で歩を取るとか、金の斜め上のとか
そういう感じだけで将棋を描いているので、符号でとっつきづらさがでることもなく
それでいて、将棋の楽しさ面白さというのがよく描かれていて感心した
ゲームとしての面白さというか、
将棋というものを楽しんでいる、遊んでいるというのが伝わる感じがよかったと思う

もっぱら人間関係というか、人間の成長が重点的に描かれるので、
しっかりものの弟が、はらはらというか、なんかやきもきしながら世話を焼いて
それでいて、その状況をおそらくは楽しんでいる
そんな仲の良い家族風景にも見える感じが優しいと思うところであった

割と切ない家族の物語でもあったわけだけど
そういう関係性も含めて、ある種の憧れともいえる特別さというのが
些細な事と思える、そんなことよりも、色々あって
ごたごたしている人生という姿がよく染みてくる素敵な小説でありました

【読書】三国志名臣列伝 蜀篇

2024-03-21 21:05:03 | 読書感想文とか読み物レビウー
三国志名臣列伝 蜀篇  作:宮城谷昌光

宮城谷先生の三国志物
蜀の臣下を描いた短編集だったんだが、
以前の読んだ後漢篇、魏篇と比べるとかなりメジャーというか
そんな真ん中の方ばっかりでいいのかという慾張りな感じで、
関羽、張飛、趙雲、諸葛亮が割と長めに書かれていて、
蜀というだけに、李恢、王平、費緯といった、劉備後の名臣も書かれていてよかった

先日読んだ諸葛亮にも生かされていたであろう物語の骨格も見えて、
宮城谷先生の描く三国志世界の一端がまた、明らかになったみたいで
大変楽しかったのでありました
さっさと、三国志そのものを読んだ方がいいのだろうか

戯曲、講談風ではない、短編小説としての人物伝が楽しく、
関羽と張飛の二人について、宮城谷先生が丁寧に描くと
どちらも傑物でありながら、人間、武将であるなと思わされる
地に足の着いた感じがすごくよかった
何よりも、劉備を含めた三兄弟の信頼、その絆というものがこれでもかと描かれて、
凄くよい、スタンダードといっていいのかわからんが、
奇をてらうことのない、劉備の生きざまが浮き上がるみたいですごく楽しかった

個人的には、趙雲の描き方が珍しいと感じて、
なんとなく孔明と抜群に仲がいいというか、相性がいいというイメージがあったんだが
本作ではそうではなく、むしろ、そこまで趙雲は買われていないといった感じすらある
もしかしたら本当にそうだったのかもと、やはり孔明とは世代が違うのかなとも
想いいたる内容で興味深かった

さらさらっと書かれていたけども、人物によって、蜀というか劉備の半生と
蜀のありようが網羅されていて、蜀史と読めるようになっているのがとてもよろしく
揃って呉、とりわけ、孫権を唾棄するほど嫌っているのが面白かった
とても楽しく読める

光る君へ  まどう心

2024-03-20 20:17:48 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「光る君へ」
今更ようやっと見終わったのであります
すれ違いだねぇと、にやにやしながら見てしまったんだが、
随所に多様されるギターが泣く劇伴が、かっこよすぎて凄いと
平安時代とロックという組み合わせにおののくばかりでありました
話しもいいんだが、やりすぎなくらいの音楽がまたいいな

道長が、しっかりと藤原家の一人として
ちゃんと政治(といっていいのか)に関わっていくのが、
これまでと大きく変わったところにも見えるのだが、
権力を得るということをはっきりと理解していて、
その通りにふるまえるというのは、ある種の才能だなと思わされるばかりであった
周りの喧騒なんぞ知ったことではないという強さというのが
父親はともかく、息子たちそれぞれにも備わっていて、
またそうでなくてはならないという諦観みたいなものすらあって
すごみがあって楽しかった

一方で、まひろ一家がどうなるかしらの部分が
まぁ、絵にかいたような転落というか、情けないありさまながら、
それをまひろが解決しようと奔走というあたりが、
今までの女性主人公大河にありがちなそれなんだけども、
全然嫌味じゃないというか、まぁ、ちょっと無理があるだろうと思いつつも
それをものすごく塩々で対応されて跳ね返されるというのがよくて
虫けら呼ばわりされるというのが、残酷ながらそりゃそうだというあたり
両面が描けていて、よくよく伝わってきてよかった
そもそも、よく会ってもらえたな、もしかしてなんかあるかと思ったんだろうかと
考えたりするけど、とりあえず一回は聞くという姿勢は、
一貫しているそれなので、別段おかしなことではなかったのかもしれない

ともあれ、巧みに息子たちのことも利用していくし、
穢れ払いのあたりを喜ぶとか、なんといえばいいのか、
晴明含めて、そういったものを信じているとかいないとかを超越して
徹底的に利用しているというところもあるが、決して軽んじていないないとは思っていないのか、
あるいは、そう思ってしまうと、そのせっかくの力がなくなってしまうことを知っているというのか
ともかく、これが絶妙で、権力とか、信用とか
眼に見えないものを最大化する利用手腕が抜群であるなと
感動するほどでありました

先がある意味読めないので、非常に楽しいことばかりながら
早くつづきが見たいと、わくわくしながらまた待つ日々である

【映画】アーガイル ARGYLLE

2024-03-19 21:10:37 | ドラマ映画テレビ感想
前作にあたるのかわからんが、キングスマンというスパイ映画シリーズがあって、
その外伝でもないが、別枠みたいなお話だったらしいけども、
私のようにそれを知らなくても、一本のスパイアクション映画として
なんなくみることができるものでありました

ある小説家の新作小説が、本当のスパイ組織のそれとそっくりで、
それがもとになって、本当のスパイ組織に追いかけられると
まぁ、そんなお話ではあるんだが、
そこにさらに仕掛けがあって、なかなか楽しいのでありました

漫画のようでもありといった感じでもあり、
小説家が自分の作品内に登場するアーガイルと、
実在する自分を助けてくれるスパイを同一視してしまうとか、
基本的に漫画っぽいお話なんだが、
このアーガイルがやたらかっこいいので、なんとなく見入ってしまった
かっこいいというのも、だいぶステレオタイプのマッチョな男という像で
今、こういうのは流行らないんじゃないかと思わせるかっこよさなんだが、
そういうのがまっとうにかっこよくふるまっているだけで
なんか、画面に吸い寄せられるように見てしまうのが不思議だった
正直、役者が、本当のスパイに戻ってしまうと、
いかにもスパイで、そこらにいそうな男という風体になってしまって、
アクションの魅力が減ってしまうというなと思っていたわけで、
そこを狙ってもいるだろうし、アクションをむやみやたらにゴージャスにしたかったから
この手法にしたとメタっぽく感じたりもしつつ
とりあえずかっこいいし、面白いからいいやと観ていたのでありました

最終的には、なんじゃそりゃという展開になっていくんだが
そのあたりではもう、スパイ映画というので、かつ、本格スパイ小説という設定も、
そりゃなかろうというくらい、荒唐無稽でただただかっこいいを突き詰めていく展開になるのが
いっそ潔いくらいだったので、あまり考えずに見るのがよいと
ドタバタアクションを見て終わった
そんな映画だったのでありました

しかし、女優さんというのはメイクと演技で
あーも変わるものかと、その点は驚きをもってみていたんだが
いかにもああいう小説家いそうだなと思わせる最適なキャラづくりで
パーフェクトすぎるだろうと思ったのである
もっと、笑うところ多いかと思ったが、そんなことなかったのはちょっと残念だったが
おおむね面白かったのである

【読書】幹事のアッコちゃん

2024-03-18 20:54:44 | 読書感想文とか読み物レビウー
幹事のアッコちゃん  作:柚木麻子

スカッとするお仕事系短編小説
シリーズ3作目だそうだが、それを逆手に取るでもない、
アッコちゃんのキャラクタというのが、知らず内に肥大している
そこを調整でもないが、実際は、そう見えているだけで普通のというか
割とだらしない方向の人というのがわかるエピソードもありつつ
でもやっぱり、アッコちゃんはすごいなと思わせて、
なんか気持ちよく、次の仕事へ向かおうと
そんな気分にさせてくれる短編ばかりでありました

基本的に、ちょっとやさぐれた感じになっている人物が、
アッコちゃんと5日間過ごすと、その間にあれこれ振り回されて、
気づくとその力を手に入れているようなといっていいのか、
よいことの伝染が見られる物語で、大変気持ちがよい

アッコちゃんという人物の凄さというのの
敢えて裏側が、それぞれの人物に見せられることで
必ずしも完璧ではない、というか、そういうイメージが先行してしまい
それに乗っかって苦労したり、利用したりのアッコちゃんを見て
色々と考え直すきかっけを得るというのが
ありそうだなという塩梅が実に絶妙で、大変よかった

思いつきで行動しているように見せかけているようで、
やっぱり思いつきで行動しているんだが、全部適当ではない、
その匙加減こそが、肝なのだなということが
アッコちゃんはさておき、すべての仕事に通ずる勘所だろうと思わされて
なかなか楽しいのでありました

実際は、そう思い切りよくできるものでもないんだが
案外、そういう気持ちや、気分で仕事すると
なんか悩んでたことが解消するというのは
物語じゃなくても、往々にしてありそうなので、これを読んだ勢いのまま
ちょっとだけ変化をつけるとかできそうな
いい塩梅の勇気にあふれていると思ったのであった

まぁ、真似して痛い目見るリスクも当然にあって
そういう人物も出てきているのが、なかなか趣深いわけだが
それはそれとして、自分は生きていくしかないのである

【読書】羽田圭介、車を買う。

2024-03-13 21:02:14 | 読書感想文とか読み物レビウー
羽田圭介、車を買う。  著:羽田圭介

週刊誌連載をまとめたものだそうで、
そういや、急にテレビに出る人になってたなと
その記憶が呼び覚まされたわけだが、その頃に車を買うという気持ちになって
その右往左往する日々、逡巡を書いた、日記めいたものであります
かなり面白かったんだが、それこそプロのドライブレビウ並みに、
難しいことを語っていると思わされたんだが
おそらく、本人が凝り性なんだろうな

車を買おうと思って、試乗を繰り返す日々と
そういう日記なのだけども、途中話に出てきた通り、普通の人はこんなに試乗しないだろうなと
自分も、試乗したのって車3台目だけど1回だけじゃないかと思い返すところ
それだけでも、ちょっと変わっていると思ってしまうんだが、
乗るたびに、車の魅力に気づき、欠点に気づくという揺れ動く心情が面白くて
本当、買うなら乗らないのがある意味正解だなと思わされるのである
途中から、連載のためにと微妙に目的が変わったのではと思うほどでもあるんだが
あれもこれもと乗っては調べとしていくと、芋づる式に他社メーカーの比較車種が出てきて、
それがまた、違うのを呼んでという地獄めぐりが始まるようで面白い

振り出しがマツダのロードスターというあたりに
個人的にはとても共感というか、いいチョイスだと思わされてしまったんだが
狭いという欠点から、SUVにいき、ハッチバックにいき、結局セダンだよと
おっさんのそれをまざまざ見せられるような内容がまた面白い
乗り味については、そんなに差があるものなんだと
乗ったことないだけに、感心するところも多くて非常に興味深い
特に高級車が高級車たる所以であろう乗り心地のあれこれ、
操作性なんかについてのコメントが伝わりやすいそれなので、
ああ、なんかわからんけどとてもよい車なんだろうなと
ふわっと伝わるけど、嘘ではない、立脚する骨を感じるコメントでよかった

候補にAMGが入ってきたりするあたり、ちょっと違うなと思わされたんだが
AMGと言いながらも、(当時は)そこまでの価格ではないのに驚いたけど
BMW、ベンツのそれぞれの良さが的確にわかり、
正直好きでもなかった、アウディとかも面白い車があるんだなと
見事に外車名鑑でもないが、入門編として機能している本で
感心して読み終えたのでありました

何を買ったかはネタバレになってしまうから書かないけども、
車に関して専門家とは異なるのに、ここまで書けて面白いというのが
自動車というそれそのものの魅力でもあり、羽田氏の筆力でもあると思うのである

【ドラマ】作りたい女と食べたい女

2024-03-12 21:05:06 | ドラマ映画テレビ感想
夜ドラであります
前作が割と短かったよなと思ってたら、
人気あったのか、さらっと第2シーズンも作られて放映
ほのぼのとして楽しく見ていたんだが、
そうか、LGBTQ的な話でもあったのか、と驚いていたら
むしろそっちがメインであったようで、
そういう恋愛というカテゴリでいいのかわからんが、
そこは別にして、ただ、タイトルの通り、料理が作られ食べられるという
そういうものだと思っていたのに今回はだいぶ踏み込んだなと
違うドラマのように見守ったのでありました

描かれている世界観が、ずいぶん優しいとみるべきなのか、
実際に、そういう人たちが存在していることが
これだけ喧伝されるようになったから、
確かに社会の雰囲気変わったよなと思うところも多くて、
さらっと、職場でカムアウトして、ああ、性別考えてなかったですなんていう同僚が
いるような、いないような、恵まれた理想の社会を描いているとも思えるし
実際こんなもんになってるかもなと思いながら見たのである

SNSを通じて、そういう同じ悩みを抱えるもの
そうではないけど、やっぱり悩みのある人というのが繋がるというのは
ありうるというか、昔からそういうもんだよなと、
気づけば、オンライン付き合いというのから離れた身分をはかなんでみてしまったんだが
さておき、ちょっとご都合にすぎるけど、仲良くなる隣人が増えて
それぞれの悩みが柔らかく緩解していくという感じがよかった
優しい気持ちで見ていられるというのが、
この枠に求められているのか、安定しているところだなと思うばかりでありました

食事も相変わらずでてくるものは美味しそうで、いいなと思うんだが
実際作れるだろうかというとそんなことはなさそうで、
そして、結構あれこれ作るけど、そこがほとんどクローズアップされていないというか
料理に変にこじつけられていないのがよいとも思えるし、
いくつかある日常のごたまぜというのがよく表れているとも見えたのである
原作をまったく知らないし、ドラマを見ていて、主題という大層なそれを探すものではないと思いながら見ているんだが、
あまりにも淡い物語だなと、良いことも悪いこともある、そういう毎日と料理
ただそれだけなんだが、なんとなし、見てしまう魅力があったと思うのだった

続きがまた、新天地でありそうだなと思うのだけど
まずはこれまでという、3月らしい転居で終わるというのは
季節感もあって、いい最終回だったと感じたのでありました

【読書】農家はもっと減っていい 農業の「常識」はウソだらけ

2024-03-11 20:52:36 | 読書感想文とか読み物レビウー
農家はもっと減っていい 農業の「常識」はウソだらけ  著:久松達央

タイトルと表紙からして、古い農業をこき下ろしてる
ツッパった内容かと思ったら、ものすごく真面目に、農業法人を語った本だった
凄く面白くてためになったわ

いわゆる農家という印象のそれではなく、
ちゃんと会社化して、農業で稼いでいくという方法、
その苦労と考え方がぎっしり詰まっていて、
本人の苦労が端々から伝わってくる内容なんだが、
色々と考えて、四苦八苦しながら、農業を経営していくという姿がよかった
あくまで会社を運営、経営するということが主眼なので、
起業本に近い印象だった

とはいえ、具体的な内容ではなく、
心構え論が大半なため、これを読んですぐに新規就農とか
甘いことがかなえられるはずもないのだけども、
現状の農業という分野の分析、ニッチの掴み方、その難しさ、
マーケティングやブランド作りというコンサル的なそれではなく
着実に、自分が食べていけるよう稼ぐにはどうするかが考えられていて、
その選択しの一つとしてのオーガニックという自身の選択がよかった

あやしげなブランディング、不安をあおるような売り方というのをよしとせずに、
本当においしいものを作るというシンプルさに訴えること、
そして、付加価値としてのオーガニックではあるが、
その雰囲気やイメージではなく、味と利益と、売り方における勝算を計算して取り組んでいるというのが
とてもよかったと思う

業界として古いというのは間違いなく、そこをなんとかハックできるのではと
割と甘い人も多く寄っていたり、補助金で、ぐだぐだになっている問題点の指摘だとか
農業をとりまく環境、政治に関しての気づきもあって
非常に面白い本だった

でも、これで農業がやれるとか、そういう本ではなく
その姿をドキュメンタリ的に見ることができるような本だったと思うのである