CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【ドラマ】天使にリクエストを

2020-10-28 21:33:51 | ドラマ映画テレビ感想
NHK土曜ドラマでした
面白かった、作が大森さんということで、
確信してしまったんだが、やっぱり私は、大森さんの作品が好きなんだな
独特のカメラワークというか、印象的な絵作りと物語の朴訥さが
凄い好きで仕方ないと、本作でもかみ締めたのであります

思いのほか分散したというか、いわゆる、散らかった感じの
連続ドラマだったように思うところ
もしかすると、最初の二話、ヤクザの母親の話だけが最初にあったんじゃないか
そう思えてならないほど、この二話で釘付けにされたのでありました
凄い面白かったというか、とてもよかった

かつて捨てた子供がどうなってしまったか
それを探すこととなった人生最期の願いに触れて、
それぞれの人の思いと、所作が交錯して
もう、なんというか、凄いいいドラマだったと思うのであります
その母親の過去の話なんかも凄くよくて、
それを言葉に出してもいないし、観てもいないというのに、
本当のところはすべて伝わったんだろう、
そして、伝わったからこそ、ホンモノの母親、その愛情というものが
見えたんじゃないかしらとか
いや、もう、すげぇ感動しちゃったよと
思わずうなってしまったのでありました
コロナの影響で、呑みにいって、このドラマについてあれこれと語るとか
そういう機会が奪われているのが狂おしい

と、そんなに興奮して見守ったわけでありまして、
その後の話も、それぞれで面白い見所があって、
最後も、すっきりとした綺麗な終わり方だったと思うと
なんとも満足できたドラマでありました

リクエストとかけて、歌をということでもあったんだろうけども、
あの細工というか、定型はそこまで必然性がなかったかなとも思ったんだが、
気付くと最終回の、さーすらおーおーを口ずさんでしまった
割とぶつ切りにしたのもあわせて、いい演出だっただなと
心に残ったのでありました

人が何かのきっかけでよい方向に変わる
そんな姿が見えたようなドラマで
とてもよかった、好きなドラマだったとメモっておく

【読書】しょっぱいドライブ

2020-10-27 20:44:23 | 読書感想文とか読み物レビウー
しょっぱいドライブ  作:大道珠貴

芥川賞受賞作品ですが、そんなに暗くなかった(偏見)
根深いものを描いたというよりは、
どこか覚えがあるとまで言わないけど、そういうことあるな、
そんなふわっとした感情の機微というか、
人生の瑣末について描いていて、楽しかったように思う

善悪とかいう話でもなく、ただ、平生生きていて、
そこらに落ちていそうな、あーでもないこーでもないといった
益体のない思いなんかを独白と、実際の態度と織り交ぜて書いてあって、
なんというか、よくよく気の抜けた物語でありました

展開というか、話の筋は、結構衝撃的といっていいのではないか、
投げやりでもないが、若い女が、しょーもない男と寝るという話なんだけども、
このしょーもない男のありようであったり、
若い女の考え方であったりが、
まったく劇的ではないというのが面白くて、
そこらへんに落ちてそうな物語という体が楽しめた

表題作はそんな感じで、ほか二編あるんだが、
どちらも、同じような雰囲気で、書いてあることはまったく違うんだが、
どっか地続きといっていいのか、投げやりとは違うけど、
劇的さをというのを一切放棄したかのようなやりとりと
物語が面白いと感じたのでありました

人生の起伏とかいうのは、こういうことかとも
思わせる感じがステキと
読み終わって思うところでありました
このなんてことないのを読ませる力というのが
受賞の源泉なんだろうか、あるいは、
受賞したという事実に目が曇ってんだろうか

【読書】アマの将棋ここが悪い! 序・中盤の急所

2020-10-26 20:43:55 | 読書感想文とか読み物レビウー
アマの将棋ここが悪い! 序・中盤の急所  著:桐山清澄

桐山九段の著書であります
図書館で将棋の勉強するのに、まずは本からと読んだんだが
20年前の本でも面白くというか、将棋を勉強しようと思って読むに
うってつけといってよい本でありました
そうか、将棋ってこうやって勉強していくものかと
なんか、勉強した感触が素晴らしい本であります

次の一手形式なので、問題図があり、それについてあれこれ考えて
答え合わせをしていくという単純なそれなんだけども、
アマチュア向けというだけあって、まさに、
この形この前やった、とか、凄い頻出する、といった感じの一手問題で
大変ありがたいのでありました

そんなわけで、一問ずつ丁寧に読んでは考えてとやっていくと
思いのほか時間がかかるのは当たり前で、
かつ、自分の棋力が足らないのも痛感できて、
よしとされた図面が、本当に良いのか、自分でまったく消化できない、
なんなら、同じ形でよいとしたやつでよく負ける気がするとか
そんな按配で、これより前の段階で読むべき本があるのかと
思ったりしたのでありました

まぁ、実際のところ、20年前の本ということなので
内容がもしかしたら、少し古いのかもと思ったりもしたんだが
多少古かろうが、序盤の考え方の基礎は変わることもないので、
どんな場合でもやたら端歩を受けることを推奨しているのに
ちょっと違和感を覚えたりもするものの
その通りに指して見るというか、考えてみるのがまた
面白いと思えたのでありました

特に、苦手な振り飛車の呼吸なるものを
考える手助けとなることが多くて
なるほどなぁ、でも、それって本当に優勢かを
悶々としながら読んで、非常に楽しかったのでありました
相矢倉で負け続きなので、これをちゃんと勉強して
覚えていかないとなぁと思うのであった
楽しい

麒麟がくる  摂津晴門の計略

2020-10-25 20:58:11 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「麒麟がくる」
視聴完了しました
摂津がどうしたという話でもあるが、
全部彼のせいにしているだけで、
諸悪というか、まぁ、寺社も公家も、みんなそういう世界を創ってたんだから
どうかしらねと思わされるところでありました
こういうところで、外からの人が一掃するという
日本ぽいそれこれが、興味深いというか
これで、ヘイトを向けさせるというのが
相変わらず変わらないんだなと思ったりしたのでした

光秀も精力的に働いているようだけども、
肝心の力がないというべきか、
あるいは、計っているのか、まだわからないままながら
今回、帝という新しいキーを手に入れた感じが
またよかったように思うのでありました
というか、将軍から、新しいものに振り替えたかのような感じが
軽薄でもないが、
この光秀という男なんだなと思わされるのでありました

この路線で、将軍がどうしたとは、割と早いうちに切れて
帝とどうあるべきかと、そっちを模索しそうだな
それはそれで、楽しみではあるが、
室町幕末の人臣として、佐幕から、勤皇へと宗旨替えするような感じが
ちょっとわくわくするのでありました
考えすぎか

お駒ちゃんが、また、随分と大きな話に首つっこんでいくようで、
しばらくは堺衆とのあれこれで出てくるのかと
こっちも、なかなか先が読めないところでありますが
そろそろ、家康とか、あのあたりどうなったか
気になっているのでありました
次回久しぶりに帰蝶様が出るようで
それもまた楽しみである

D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略

2020-10-24 21:01:50 | 読書感想文とか読み物レビウー
D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略  著:佐々木康裕

また、新しい言葉がやってきたな
そんな感じで読んでしまったんだが、
やる気あふれるビジネスマンが読むと違った感想になるんだろうが、
なんとなし、課題図書的に読んだものなので
まったく身にならない書き出しになってしまったんだが
アメリカでにわかに活気付いているという
D2Cという業態についての本でありました

メーカーが直接顧客と関係を作り販売していく
販売は、物販という概念ではすでになく、
顧客と繋がっているという、その事実、それが価値で提供されるものである

といった具合なんでありましょうか
サブスクリプションを含めて、長期間の付き合いで
少しずつ提供価値とお金を交換していくというか
そういうビジネスが、旧来からのプロダクトアウト型企業を
駆逐していっているというのがお話でありました

確かに面白いと思って読んだんだが、
ここでターゲットとされた、未来を担うミレニアル世代というのが
日本にも存在するのか、いや、存在するんだろうが
アメリカのそれらと同じなのかというのが
きわめて不透明というか、最近の若者のことを知らないんだなと
自分のことを呪ってしまうわけだけども、
消費という概念の変化を感じ取る内容でありました
何かを所有することが希薄になっていると
自分も含めて思うところがあったが、
そういうことではなく、所有するという事実が魅力的かどうか
そこをブランディングできるかが問題なんだなと
前からあることが、アプローチというか
解き明かし方が変わっただけなんではないかと思うと
これは、正しいとか思ってしまったわけでありました

まぁ、実際どうだかわからんが、
最近のテクノロジーを駆使すれば、小規模から、顧客に寄り添ったサービスを提供でき、
それが実を結んでいく素地があるといったところで、
このスタートアップたちが、現在大きくなって、
結局、元の木阿弥というべきか、流通に縛られていっているような感じが
面白くも見えて、なかなか楽しい一冊でありました

まぁ、普通のビジネス本と一緒で、
結局この本で、何をという必勝法は教えてもらえないのだけども、
新しい潮流みたいなのを認識できてよかったと思うのであった

【ドラマ】彼女が成仏できない理由

2020-10-22 20:53:04 | ドラマ映画テレビ感想
NHKのよるドラ枠でありました
このつくり大丈夫かと、ネタドラマなのか、そうではないのか
ぎりぎりの路線ではないかと失礼なことを思いつつ見ながらも
最後、なるほどなと、妙な納得を得たので
結構楽しんで見られたと思うのであります

いわゆる漫画ドラマといったらいいか、
あんまり深く考えてはいけないと思いつつ見るものだと
思ったりするところなんだが、
幽霊と同居する海外の青年というトリッキーな設定で、
漫画書きをテーマにしてと
要素だけでおなか一杯になりそうな具合だったんだが、
そういったところは特にこれと思うところもなく、
ほんわか、観ていられたようにも思うのでありました

まぁ、とはいえ、ドラマとして強いメッセージとか、
なんかあったかというと、何もなかったと
思ってしまったんだが、それがよかったというべきか、
下手に社会性とか、そういうものがこめられていないだけに、
ミステリ調なのではと疑ってかかってみていたのを
最後にひっくり返されたというか、
ああ、SFだったのか的な、よく考えてみれば幽霊が出てくるから
そりゃそういうオチもありだよなと思わされたりして
なんとも楽しかったように思うのでありました

もっとキーワードになりそうな
アニメや漫画が出てくるかと思ったら
案外そんなこともなくて、ゆるく、ふんわり見ていられて
派手さのない話を楽しんだのでありました

と、これはこれでと観終えたんだけど、
話数は中途半端だし、話も唐突な感じだったのを考えると
ひょっとしてコロナの影響で大幅に変更となっての放映だったんじゃないかと
ちょっと考えてしまったんだが、どうなんだろうか
これはこれでと、個人的には許容できたんだけどなぁ

【読書】 風に舞いあがるビニールシート

2020-10-21 21:19:01 | 読書感想文とか読み物レビウー
風に舞いあがるビニールシート  作:森絵都

直木賞受賞作品とのことで、気合入れて読もうと思ったら
短編集でありました、長編だとばかり思っていたのに

というわけで、いくつかの短編が、実は連続短編でつながってくるのかしらと
あれこれ考えながら読んだら、まったく別物の短編が集まっていたと
ある意味衝撃的だったのでありますけども、
どの話も面白く読めたのでメモっておく次第

たまたまだとわかっているものの、
結構驚いたのが、市之倉と琵琶湖を舞台にした物語があったことで、
どっちも、少なからず自分に縁のあるところで、
なんというか、妙な親近感みたいなのを覚えたのだけども
特に、市之倉の方の短編が好きで、にやにやして読んだのであります

まさか単発短編だと思ってなかったので、
この主人公がやがてどうしていくのか、
次の展開が楽しみだとか思って読んだのだけども
そうではなく、理不尽な上司に振り回されるという立場が、
最終的には、そういう状況で自身を発露してやまない
主人公がやばいみたいな感じだったと思うと
なかなか楽しい小説だったと思えたのでありました
常軌を逸している感じが素敵だわ
一種の信条のために、すべてをなげうっているというか
常識から逸脱してしまうことをいとわない感じというのが
面白い読み応えだったと思うのであります

もう一方の琵琶湖の方についても、仏像に関するうんちくを撫でつつも
いわゆる仏像ミステリ的な内容に仕上がっていて
こちらは、あんまり仏像マニアじゃないからそういうものかと
楽しみながら読めたわけだが、その人となりみたいなのが
よくよく伝わる読み応えを楽しめたのでありました

肝心の表題作については、その他の短編と完全にジャンルが違うというか
そこまでは、コミカルな部分を見せつつ、ちょっとしたホラー味だったり、
ミステリ味だったり、エンタメ要素があったのに
徹頭徹尾シリアスといって差支えが無い、
至極重いお話でありました

難民保護という仕事について、そこに命を懸ける人について、
それぞれを丁寧に描いていて、特に人の描写が切なくてよかった
どの短編も共通するところだけど
物語というよりも、そのキャラクタを描いているといった印象の話が
なんとも、複雑な心情ではないが、様々なことを考えさせてくれて
楽しいと思えた読書でありました

単純に感動したとか、そういうだけではない
小説を読んだ、人の物語を読んだという
満足感がある読書となったように思う

【読書】光圀伝

2020-10-19 20:54:49 | 読書感想文とか読み物レビウー
光圀伝  作:冲方丁

すげぇ分厚い小説だった
でもとても楽しかった

あの水戸の御老公がどういう人であったか、その一代記を描いた作品であります
どこまで、いや、おそらく真実というか、史実なんでしょう
かなり破天荒な人物で、どうして天下の副将軍と呼ばれるようになったかまでが
よくよくわかる内容で非常に面白かったのでありました
これで光圀を語るのは、にわかだろうけども、
それを赦されたいほど、光圀の一生が語りつくされていて面白かった

一番衝撃だったのは、光圀の圀の字が則天文字だったということでありまして、
そうなのか、そして、その方が軽やかなのかと
なんか新鮮な気持ちで受け入れられたのでありました
文人としても素晴らしい実績と才能を持った人であった光圀が
この字を使ったというのも、なんというか、かっこいい
ただ、そう思えてならないのでありました

出生の秘密やら、その後の行き方、いわゆる水戸学に通じていくのであろう
勤皇の萌芽というものがよくよくこめられていて、
史学を突き詰めていく姿、義を標榜する姿、いずれもが
凄くかっこいいというか、男の一生を賭けるそれだと思わされる内容で
それでいて、苦悩と煩悶も多く、何よりも、師や友人と思われた
かけがえのない仲間たちとの別れが、
もう、次々出てくるのが凄い悲しいというか、
そういう人生を送ったのかと、憐憫みたいなのを覚えるのでありました

江戸初期の時勢というのもよくわかるし、
水戸という御三家筆頭のあり方もよくよく理解できて
非常に面白い内容でありました
特に、家光の時代だったんだなと、今更ながらに知ったりして、
その頃、義直とか、秀忠の兄弟が健在でとか、
そうやって考えると面白い時代だなと
思い知らされたのでありました

林家と儒教の話とか、凄い興味深いし
文人であるということの高みなんかも描写されていて
水戸光圀その人の魅力もさることながら、
その時代の楽しさも伝わる、よい小説だったと思うのであります

麒麟がくる  新しき幕府

2020-10-18 20:47:41 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「麒麟がくる」
視聴完了しました
あわただしく、新幕府の始動といった感じだけども、
すったもんだが過ぎるというか、
なんだろう、潰れかけた老舗に外戚やら、
社外取締役やらが、あれこれといった状況に見えてしまうんだが
なかなか楽しいではないかと、にやにやしながら見守ったのでありました

まずは、三好の内通を疑われる松永が面白かった、
光秀のはぐらかし方が適当すぎるのを見て、
機敏に動いたというべきか、
実に賢い、さらっと、九十九茄子を差し出したエピソードが入ったりして
抜け目ないところがありあり浮かんで面白かった
それを受けてから、朝倉攻めの話への流れが
なんというか、光秀を通ったときにどう映るかというのが
また、見る側に試されてるみたいで
このあたり、描き方が凄い上手いと感じたのでありました
松永としては当然でもあるんだが、それが、あだとなったようにも見えるが、
そんなことをあげ連ねることは、光秀にはできないはずなんだが
そういうことは関係ないといった風情がいい

公方様の描き方も違和感がないというか、
そういう風情だから、今後ああなっていくのかというのが
手に取るようにわかるというか、よくよく
こんな人だったのかもなぁと思えるような造詣が見事で、
非常に楽しみで仕方ないのでありました
信長は相変わらずだし、延暦寺への継ぎも見えてくるようだし
この流れだと、信長のそれを見て、
松永が大仏焼くとかやりそうだなと思うと
これまた楽しいのである

すべて、心の底からそうしたのではなく、
雰囲気や、空気でやったみたいな感じになりそうで
すげぇ日本社会ぽくて楽しいわ
ま、そんなことになるかはわからんのですけどもね

と、戦シーンもさほどの殺陣を見せずとも、
初期の光秀を思わせる小競り合いに終始というのもよくて
あのタイプだったら、負けないということに
説得力があって、またよかった
というか、光秀が急に頼もしいなと不思議だったんだが
かっこいいからいいのだ

あとは、摂津がどうなるかだなぁ

【テレビ】藤井聡太二冠 新たな盤上の物語

2020-10-15 21:07:49 | ドラマ映画テレビ感想
NHKスペシャルで特集組まれるなんて…
嘆息見舞ってしまうくらい、楽しく見られたのでありますが
藤井先生がどれくらい凄いかをわかりやすくというか
いい塩梅に紹介していた、実に素晴らしい番組だったので
メモっておくのであります

渡辺名人を魔王と紹介していたのだけ
ちょっと違和感があったのだけども、
実際呼ばれてんだろうか
自分はネットに毒されすぎているから、魔太郎のイメージしかないんだが
そんな、渡辺名人が棋聖戦でのことを振り返る内容がありまして、
さばさばと、解りやすく語っているのが素晴らしいというか
藤井先生の特集番組ではあるんだが、
喋りに関しては、魔太郎先生は凄い上手いよなぁと感心してしまったのであります
棋士って、ちょっと変わった喋り方の人が多いというか
頭よすぎて、言葉がついてきてないときがある印象が
数人の方によって植え付けられてしまっているわけだけども
丁寧で解りやすく、凄いよかったと思えたのでありました

何気に、将棋のわたなべくんもさらっと紹介されつつ、
笑いをとるでもないけど、ほのぼのと見ていられたけども
対局中に相手の様子で盤上のことを計ってんだなと
はからずも理解できたのが楽しかったのでありました
苦戦してると独り言が多いとか、
読み筋に入ると静かになるとか、
物凄い観察しながら勝負してんだなと
ただ、将棋を指してるだけではなくて、対人間勝負をやってんだなと
改めて思い知ったエピソードでありました

藤井先生へのインタビューではなく、あくまで外堀からというか、
藤井先生をどう見ているかという、様々な人たちのコメントという
一種、ノーナレ的な作り方が番組として凄いよくて、
藤井先生の凄さだけでなく、将棋というものの面白さにも肉薄できていたようで
とてもいい番組だったと思うのでありました

気付けば竜王戦も始まっていて
ああ、今年ももう終わりが近づいてきたとか思ってしまうくらいは
将棋になれてきた昨今でありますが
NHKがしっかり取材して作ってくれる番組に
随分癒されたというか、楽しませてもらったというお話でありました
凄い人を、どのように見せると凄いと理解されるのか
そこに挑んだ番組だなと思うのである

【読書】アサッテの人

2020-10-14 21:17:06 | 読書感想文とか読み物レビウー
アサッテの人  作:諏訪哲史

結構前の芥川賞受賞作品であります
なんとなし読んでみたという感じなんだが、
思いのほか面白くて、芥川賞作品をもう少し読んでみなくてはと
考えたりしたくらいでありました
なんといっても、ポンパだ、ポンパ、そしてタポンテュー

さっぱりわからんといっても差し支えなさそうな感じで、
小説内小説といったらいいのか、正直苦手なジャンルだと
最初で挫折しそうになったけども、
当たり前のように語られるポンパの謎だけをと読み続けていくと
やがて、それらを含めた「アサッテ」という事象というか、
概念が解説されて、なんというか、共感してしまったのでありました
凄いよくわかるという奴であります

ポンパや、タポンテューには、あまり意味がなく、
吃音障害から、なんらかの音に対して心が啓いているというべきなのか
ともかく、気に入っているようで、
あまりにも平穏な生活に浸ってしまうと、唐突に、それらの言葉を口走り、
破綻を顕在化したくなるといったらいいんだろうか、
ともかく、決まりきった、という状況に我慢がならない
その発露という感じで使われているのでありました

こういう症状を持つ人をアサッテの人と称しているようで、
このアサッテ感の説明に引用された、一見普通のサラリーマンが、
エレベーターの内部で奇行に及ぶ姿を見てしまう話、
これが滅法面白いというか、そういうことあるなと
人間の中身というか、内部を見たようで大変楽しいのでありました

なんてことはない、監視カメラの存在を知らずに
誰もいないからと、エレベーターの中でいきなり逆立ちしてみたり、
頭の上で手をチューリップのようにしてみたりと
非日常を満喫する感じで、一種の露出狂めいた趣向なわけで、
エレベーターが止まれば、いつもに戻る
その切り替えのスムーズさというべきか
ともかく、発露と抑圧の姿が端的に現されていて
大変興味深いといった話でありました

まぁ、そこに凄く共感したというだけで、
この本の本質を捉えたとはとても言いがたいんだが
この一連の描写だけで、随分面白いものを読んだと思えたので
大変満足した読書でありましたとさ

【読書】摩訶不思議な棋士の脳

2020-10-12 21:28:38 | 読書感想文とか読み物レビウー
摩訶不思議な棋士の脳  著:先崎学

先崎先生のコラムをまとめた本であります
あちこちで書いていたものをまとめたもので
こういった形のものとしては最期ではと書かれているけど
実際どうだかわかりませんが、
古いのから新しいのまで、あれこれ混ざっていて
相変わらず楽しい将棋界のお話が読めたのでありました

個人的に気になったというか、いいなと思ったのは
昨今YouTubeで話題というか、動画配信で注目のイトシン先生や
村中先生なんかが、駆け出しの頃に先崎先生にお世話となっていた様子が出ていた話で
イトシン先生がフリクラからの転向だったとか知らなかったので
なんというか、色々感慨深いと思えたのでありました
というか、本当、書いてある通りで、
先崎先生がすっかり、ベテランの育ての人といった感じになってて
なんとも感慨深いのであります

楽しい仲間たちとして、西原先生なんかも出てきたり、
囲碁界やマージャン界の人たちもあれこれ出てきて
この交友関係の広さと、人間的にはどうかわからんが
懐の広さみたいなのがとてもいいなと思えたのでありました
こういう人がいる業界というのもまた、
いいんだなぁと、文章に騙されているのかもしれない

と、その先崎先生の一番の貢献が、
山口えりりんを業界に呼び込んだ切欠になったこととの話もまた、
笑い話なんだけども、確かになぁと思わせるところもあって
今を支えようという若い世代に
大きな影響を与えている人だと
改めて思わされたのでありました

なんとなし、しんみりした感じを覚えたんだが、
将棋界の裏側でもないが、先崎側という側面を見せてくれる
よいエッセーばかりで楽しかったのでありました
しかし、女流棋界にも積極的に関わっていて
本当、八面六臂の活躍なんだなと
改めて人柄を思うのでありました

まぁ、読んでいる限り、間違いなく俺みたいなおっさんが近づくと
邪険に扱うんだろうなとも思えて、
近寄りたくないようでもあるが、見てみたいなぁ

麒麟がくる  宗久の約束

2020-10-11 20:51:59 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「麒麟がくる」
視聴完了しました
信長が京都に上る編でありました
武装のありなしやら、六角との戦いとか
かなり面白いとわくわくしながら観たのでありました

何度も信長ものというか、この頃の話を見てきたはずなのに
六角戦なんて初めて描写を見た気がするんだが、
功名が辻のときとかどうだったっけなぁ

秀吉との妙な潜入捜査も嫌いじゃなかったけども、
やっぱり、武家らしくというか評定のところが非常によくて
わーわーと、様々な武将がそれぞれの意見をぶつけるという
あの感じがとても好きだと思わされたのでありました
会議というよりも、評定というべきあの感じ
凄い好きだわ
なにげに、稲葉が重臣面してるのが面白かったんだけども、
柴田が若すぎるなぁと思いつつも、筆頭家老っぽい立ち位置が
なんともステキやんと思ったのであります

表面はよろしい感じにしているが、
信長が決して従っていない、そこでのヘッドハントを断る光秀
このあたりが、いかにも空気読めてない感じというか、
徹頭徹尾信念を曲げないというあたりが
いっそ清清しい、とりあえずそれが功を奏したのか
そうでもないのか、
まだこの信長の底意がわからない感じで
楽しみでありました

そして、堺衆の大御所として今井宗及との茶会
正直、つなぎをするのはわかるが、
実際に茶を振舞われるお駒ちゃんには違和感を覚えてしまうんだが
まぁ、いいとして、さすがというべきか、
茶碗が唐物っぽいのがステキと、井戸、そして天目と続くのが
名物なんだろうなと、にやにやしてしまうのでありました
利休出てくるんだろうかな

信長との距離のとり方というか、信長の捉え方がどうなるのか
楽しみが続くわ

【読書】スウィート・ヒアアフター

2020-10-10 17:56:29 | 読書感想文とか読み物レビウー
スウィート・ヒアアフター  作:よしもとばなな

二回目のレビウであります
前に読んだのを完全に忘れていた、
読んでいて、「刺さった鉄骨が錆びてるのを観てヤバイと思った」的な文章に
物凄い既視感を覚えて調べなおしたら5年前に読んでいたと
そんなわけでありました
これが10年前とかならいざ知らず、つい最近じゃないかとショックを受けた上に
以前の感想を読んでも、まったく記憶にないというか
感想から物語を思い出せなかったのでありました

と、まぁ、どうでもいいことなんだが
今回読んで思ったことを連ねておくのであります
前回と感想がまるで違ってんだが、俺はどうしてしまったんだろう

さて、内容は京都に住んでいた若いカップルが
不幸な事故で死に別れたというお話でありまして
その喪失とどう折り合いをつけるかと
そんなことを語っていたように思うのであります

ちょっとした超常現象めいたこともあるんだけど
それは些細なことで、それよりも、
誰かを失った後、どのように自分を取り戻すのか、
あるいは、自分が変化するのかというのを
受け入れていくまでの物語といった様相でありました

死への理解というでもないが、
自分の中で、その人の死と折り合いをつけていくのに
こういう方法というか、経過もあるのかもしれないと
そんな風に思える内容で、
死んで戻らない人をどう考えるか、
それが弔いというものなのではないかと
まったくそんな言葉は出てこないけど
そう考えさせられるようでありました

物語の中は優しい人ばかりでもあるし、
あえて、辛い部分を描写していないだけなのかもしれない
そう思いながらも、主人公が自分の魂を取り戻すという
形而上のそれが、するりと行われたというか
もう大丈夫なんだと、
ふと思わされる内容に、じんわり感動したのでありました

震災に被災者に向けてという内容だったようなんだが、
5年経った私にも、少しだけ、この気持ちというか
内容がわかったのではないかと思ったのでありましたが
さて、どうだろうな

【読書】ジェノサイド

2020-10-07 21:14:06 | 読書感想文とか読み物レビウー
ジェノサイド  作:高野和明

SF小説の大作でありました
かなり面白かったけど、読み終わって疲れた
映画のような物語で、アメリカとアフリカを舞台にした
誰かを助ける、逃げる、闘うという
エンタメ要素がこれでもかという内容でありました

まったく新しい人類が発生する
現在の人類よりも高位にあたる知能を持つ生物体が発生した
そこにどう対処するかというお話なのだが、
あれこれと説明していくとネタバレになってしまうので
なんとももどかしいんだが、ともかく、人間関係と
科学的な説明が面白くて、次々と読みたくなる内容でありました

実に都合のよいところがSF的に解決しているのも魅力で、
とんでもないオーバーテクノロジーが出てきて、
なんだそりゃと思っていると、なるほどそういうことかと、
結構納得できてしまったりするのが
なんというか凄い楽しかったのでありました
物語に夢があるという感じ
漫画的でもあって、なかなか楽しい

ちょっとだけ気になったのは、4人の傭兵が出てくるんだが
一人だけどうしても納得がいかないというか、
なんか、もうひとつ説明が欲しかったと思える人物がいて、
その謎というでもないんだが、物語の都合をつけて欲しいと
思ったりしたのでありましたが、
おおむね楽しく読めたのでよいと感じるのでありました

高次の生物というのをどう解釈するか、
あくまで、現在で考えれば、猿と人間の差であり、
猿が核兵器もってたら怖いだろうというたとえ話が
物凄くわかりやすくて、ぞっとしたのでありました
少々頭がいいなんていうレベルではないものとの遭遇は
非常に面白いというか、道徳という概念に
幸いなことにしばられそうな感じだというのが
なかなかよくできているというか
楽しいところだなと思い知ったりしたのでありました
触れそうで触れない感覚というか、
なんとなし、わかったような気になれるさじ加減が絶妙でありました

タイトル回収とともに、高尚なお説教が入るかと思っていたけど
そんなこともなく、この物語で何が語られたかというと
突拍子のないことでもなく、ただただ、懸命に努力した人たちの姿を見て
物語を読み終わってよかったね、
なんていう気持ちが残るだけの、よい物語でありました
へたに考えさせられないのがよいと、凄く楽しんだのであります