CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】このせちがらい世の中で誰よりも自由に生きる

2017-11-28 21:42:51 | 読書感想文とか読み物レビウー
このせちがらい世の中で誰よりも自由に生きる  著:湯浅 邦弘

老荘の本ということで読みました
内容は、だいぶ砕いてあって、
ビジネス書というか、自己啓発書みたいな印象でしたが、
謎の老人と、40代のうらぶれたサラリーマンが、
老荘を語り合うといった内容の小説仕立てで、
大変わかりやすく、その思想について
哲学考察を交えて教えてくれると
そんな本でありました

手法としては、孔子の論語と一緒といったところなんだけども、
老子のあり方が、現代の疲れたサラリーマンには
力を抜くのにちょうどよいといった感じで展開されておりまして、
少し前に流行ったアドラー心理学っぽいなと
なんとなし読んでいて感じたのでありますけども、
老子、その思想のあり方について、
少し理解を深められたように思うのである

ビジネス書というか、生き方に悩んだ人向けに書き下しているので、
実際に老子がそういっていたかどうか、
その解釈には疑問が残るものの、
あまり目立ちすぎない、あるがままであること、
さぼるのとは違う無為、というものについて、
解釈がいくつか書かれていて面白く読めたのであります
なかなかステキというか、自分もまさに
弱った40代のサラリーマンだけに、いい話だと思ったんだが
ここに描かれているほど、出世欲というものはないのだなと
そこがどうも引っかかってしまうんだが、
ともあれ、生きていくうえで、辛いと思ったら
この考え方がよろしいというのは
胸にすっと効くようでありました

個人的によいと思ったのは、
言葉を言葉の通りに受け取ってはいけない、
言葉は不自由なものだから、信じていけないという
どちらかというと、荘子にある言葉のほうで、
これは慧眼というか、敏感に人の話に反応しすぎて疲れている自分に
気付かされるというか、そんなに対応しなくていいかもなと
鈍感さを見つけられそうで、なんとなし
心地よく思えたのであります
老け込む歳ではないはずだが、そういうのを身に着けないとと
思うようになったあたり、老いは精神からやってくるのでありますな

そんなわけで、さらっと読みつつ、
その思想に触れて、東洋哲学の楽しさを
ちょっとだけ学べたようでよかったと思うのでありました
本としては、最後がちょっと納得いかないというか、
老子を読んでいれば、それが何かと
わかるような、わからないような
いや、なんだろう、そこが問題ではないとわかってんだが
本としてちょっと納得がいかんと感じたのであります
わがままかしらね

【読書】武士道エイティーン

2017-11-27 21:10:46 | 読書感想文とか読み物レビウー
武士道エイティーン  作:誉田 哲也

ようやく三部作最終巻を読めました
剣道少女たちの三年間がここに終わったと
そういう感じなんだけども、
確かに青春が繰り広げられて、それぞれの生き方なんかも描かれてと
大変楽しい感じだったのでありますが、
今回は、短編集のようにも読める内容で、
主人公二人だけではなく、その周辺の話も掘り下げていて
短編オムニバスな感じを楽しめました

王道的な青春小説でもありましたが、
それだけで終わらずというか、むしろ、王道ルートは、
割とあっさりというか、ある種の不完全燃焼といったところで落ち着いて
これもまた、ひとつであるなぁと感じたりしながら
そこに居た二人のことを思うと
なんかわからんが、感動に泣けてしまうと
そういう読後だったのでありますけども
試合という区切りがついたからといって、人生が終わるわけではないので
その後という当たり前の日常がついてきて
物語としては、なんかもったいない気がするけども
非常に納得のいく内容だったと感じたのでありました

様々に尾ひれのついた話なんかもありつつ、
剣道のスタイルから、自分を見つめるということが
後輩にも受け継がれたような、それぞれの剣道少女たちの
立ち位置というか、スタイルがはっきりと打ち出されていて
いずれに肩入れすることもなく楽しく読めたのでありました

まぁ、絶対に女子の友情物語としては
ありえない展開だよなと思ったりもしてしまったわけだけども、
可愛らしさのかけらもなさそうな生き方と、
それを包含して、ふわっと剣道やっている楽しさみたいなのの対比が
読んでいて、しっくりくるというか
この二人が青春しているというだけで、楽しい気分になれると
しみじみかみ締めたのでありました

周辺の人々の過去話も結構面白くて、
少しおどろおどろしい大人の物語もあったりしつつ、
読み応えというか、全編通して飽きのない
面白い小説だったと感心しきりなのであります
なんだかんだ、彼女たちの生き方が晴れやかであってほしいと思いつつ、
彼女たちを見守るように居るそれぞれの人たちもまた
青春ではない日常を生きているのが
当たり前なんだが、とてもいいなぁと感じた
そういう読後感であります
とても良かった

おんな城主 直虎  決戦は高天神

2017-11-26 20:47:54 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」
視聴完了であります
もう完全に直政じゃないかと思ってしまったんだが、
いやいや、やっぱり直虎あってのという感じを
中野を使ってうまく描いていましたね
本当、よくできた面白いドラマだと感心してしまう
知り合いとも言ってるんだが、大河ドラマとしてはどうかと思うが
面白いドラマである

あの小笠原氏のお城なんだそうで、
風林火山以来だな、何もかも懐かしい
そんな風に感じてしまったのでありますけども、
あっさり落とせそうなところを
織田の横槍でという脚本かと思ったら
史実なんだそうで、ちょっと驚きでありました
狙いとしては、そこまでしても勝頼が援軍出せないということで
武田全体の士気を下げるということを
狙ったとか、そうでもないとかいう話だそうで
なるほどなと感じたところ
まぁ、ドラマではそこまで言わなくてもいいからいいのかしらね

基本は、井伊の家臣団が直政配下になるというのが
一番の見所でありまして、これはこれで
非常に面白いところというか
いい話だなと素直に感動した次第でありました
古参が、若殿のがんばりに再度仕官できるというのは
感動以外に言い表す言葉を知らない
しかし、近藤殿はうんと言ったんだろうか、
言わざるをえない感じだけど
もう一回、近藤殿を見たいなぁとなんだか
懐かしんでしまうのであります

着々と出世していく様も爽快ながら、
徳川家臣団のよさみたいなのも伝わってきて
これはこれで、ちょと前までの井伊との諍いというか
徳川に対する、なんともいえない恨みみたいなのは
霧散したかのようにも見えて
なかなか不思議に思うのでありました
どこも大変なんだなと
そういう話だといえば、その通りだけども
話の展開に、うまく載っているというか
言い方悪いが、騙されているのかもしれない
心地よいから、これはよいのだけども

次週も楽しみである
そして、まもなく終わりなんだなぁ

【読書】李世民

2017-11-25 19:04:18 | 読書感想文とか読み物レビウー
李世民  作:塚本 靑史

唐の二代皇帝の生涯を描いた小説でした
勉強がてらというところなんだけども、
濫読しすぎで、ちゃんと前後関係というか、色々な人間関係を
消化できていないことだけ
大変よくわかったと、自分の能力の低下を
つくづく嘆く次第なのでありますが
物語は面白く読めたのでありました

大人しい小説といってしまっていいのか、
史実を丁寧に描いていたと信じたいのでありますけども
とっぴな物語ではなく、優秀な男であった李世民が、
その父、ほかの兄弟などを踏み台にするようにして
唐の皇帝へとのし上がっていくわけでありますけども、
なかなかどうして、優秀な人間から見て、非優秀であることが許せないと
それに近いものも感じてしまったんだが
まぁ、世の中そういうものだし
そういう人間がこそ、皇帝になるべきでなったんだよなと
きわめて当たり前の感想を抱いてしまったのでありました

隋がどうして滅びたか、
そして、その輝かしい実績を作った煬帝を自分と重ねて
ある種のコンプレックスを抱えながら覇道を進むというのが
なかなかにステキでありまして、
儒教観念なのかしらないが、李世民が口うるさい側近を
ずっと厚遇していたというのがいい話だと感じられて、
人間臭く、時折短絡な行動をしながらも
周りに支えられて、常識の範囲で進んでいくというのが
唐の礎を築いた男だけあるなと納得させられたのでありました

跡取りに恵まれなかったり、
宮廷の政治がそこかしこに出てきたり
讒言誣告は当たり前の状態が、いかにも中華官僚組織といえるようで
面白くもあり、気持ち悪くもありといったところであります

李世民の妻が物凄く優秀な人物だったようで
その描き方も見事であり、ちょっと現代的すぎるというか
フェミニズム的な匂いもあるんだけども
それはそれとして、面白かったと感じたのであります
でも、その薫陶を受けたはずの武照が、
やがて息子と反乱ではないが、乗っ取りをたくらむというのは
なかなか考えさせられるところでありました

唐という時代が彼女を作った
その前、下準備といえばいいのか、
大国が建つ姿が見えて、面白い小説であったと
思うのであります
覚えておくのは、耳痛いことをいう忠臣を大切にできるかどうかだと思うところ

国宝展 第4期

2017-11-24 21:44:49 | 陶磁器を探す旅と名物
一ヶ月前に続いて、第四期の国宝展を見てきました
今回は空いているのではないかと期待して
夕方からの拝観を試みたんですが、
いやもう、全然無理、凄い人数がいてやんの
どうなってんだ京都、いや国宝
そうげんなりしながらも、京都に久しぶりに戻ってきた尾形光琳やら
大井戸茶碗なんかも見て、なかなか楽しく過ごしたのでありました

第四期の見所は、源頼朝の図でありました
ああ、あの教科書にのってるやつ
そういうのの定番中の定番といっても過言ではないそれ
しかも、あれは三幅あって、そのうちのひとつだったと
今回見て初めて知ったのでありました
平重盛と藤原の何某が同じような図案でかかれていて
頼朝だけが、右向きになっているのが不思議でありましたけども
一番凛々しいというか、保存状態と顔の造詣がイケていたように思うのであります
やはり天下人ゆえんだろうか

大好きな陶磁器関係については、あまりなくて
東洋陶磁美術館の油滴天目がにぎわいをみせていたくらいで
通期展示していた卯の花垣、冒頭の喜左衛門井戸くらいでありました
御物あずかりの青磁もあって、思わず顔がほころんでしまったのでありますが
あれは宋としか書いてなくて、汝窯っぽい色だけども
南宋官窯あたりなんだろうかなと素人なりに思ったりしてたのえありました

そんな中、今回一番目を見張ったというか、
初めて見たと興奮してしまったのが、あの、円山応挙、
鑑定団で出てきたら9割がた偽者といわれる、あの円山応挙の雪松図屏風でありました
これが、流石近世といっていいのか、それまでの歴史を感じさせるそれと
異なるように見られる、見事なあでやかさ、白と黒だけなのに、
目に鮮やかな松と雪の姿が見事で、遠くから眺めるとまた
一段と素晴らしいできばえで惚れ惚れとしたのであります
本当に凄い一品だった、テキスタイルと呼んでもいいのか、イラストのようでもあり
見事だったのであります、大興奮

あとは、中国と日本の孔雀明王図が見られたことと、
火炎型土器のNo6なる、前回みたのより小ぶりのものが見られたのが
感動の一端でありました
これらは、まぁ、なるほどなというくらいだったんだけども
心躍る体験だったのは間違いないと感じたのであります

見たものすべてが国宝だというのが
この展覧会の一番凄いところなんでありますが、
自分の趣味に合致したものはいわずもがな、
そうではないものでも、言い得ぬ迫力を味わうことができて
なかなか充実した鑑賞になったと
勝手に感心、感動している次第でありました
非常に面白かった、死ぬ前に見ておけてよかったなんて
思うような冬間近であります

【ドラマ】この声を君に

2017-11-23 21:10:53 | ドラマ映画テレビ感想
NHKドラマ10であります
予想外にというと失礼になってしまうけども、
凄い面白かった、物凄く見入ってしまった
個人的に、スペシャルヒットのドラマでありました

内容としては、数学者という変人的な主人公が、
やもめになるだの、そうではないだのとしつつ、
ひょんなことから、朗読教室に通うことになって、
本を通じて人間性を育んでいくというか
情操を豊かにしていくというお話でありまして
とても楽しかったのであります

何がよかったというと、あれこれ各話ごとにしたいくらいながら、
特に良かったのは、朗読を通して
ちょっとしたラブシーンめいた雰囲気を描いたところで
NHKでこんなエロいことして大丈夫かと
心配になるような朗読、
朗読がこんな官能的になるなんてと驚嘆したのでありました
凄いいいシーンだった、下世話な話じゃなくて
物語の中でも、随一の見せ場というか
本の力と、それに揺り動かされる人間感情のそれこれが
スマートに、ステキに、見事描かれていて
脱帽というか、本当感動したのでありました

物語の根幹にある、本の力という部分が
とても丁寧に描かれて、実際そうだと思えるような
主人公を通してのドラマ体験が
本当にもう秀逸きわまりなかったと思うのであります

絵本を読んだり、童話をなぞったりと、
そういうことで人生ではないが、人間の感情というものが
育まれるんだと、なんかすごく納得できるかのような
体験をしたのであります
特に偏屈な数学者という、もう、人間として駄目極まりないだろうと
容易に想像できるキャラと、実際にそのように演じられたそれが
人間性を見出していくというのが
とても楽しいと思えたのでありました
それによって、他人とのかかわりも順調になってきたかのような、
実際、本人はそんなに変わっていないのに
なぜだか、本と触れただけで人生が好転していくかのような
もう、本当、いい話だったな、
ああいったことが自分にも起こるのだろうかと
最近の濫読が、何か呼んでくれるだろうかなんて
期待でもないが、夢をみられるような
ステキドラマだったと感じ入ったのでありました

いやー、ほかにも様々にいいところあったし、
先生の色香についてとか
懇々と語りたいくらいの内容だったのでありますが
そういう物語ではないと思い、ぐっとこらえて
とても楽しい時間を過ごせたと思うのであります
本当によかった

【テレビ】ブラタモリ  ものづくり名古屋

2017-11-22 21:33:53 | ドラマ映画テレビ感想
ブラタモリがまたも名古屋へ

正直、前回も強引に二回分にしてもらったような
非常に申し訳ない気分だったのにもかかわらず、
名古屋というか、なんか、ともかく一部の盛り上がりが凄いばっかりに
第三回が行われてしまったという次第でありました
さっきグーグルで「ブラタモリ 名古屋」で調べたら、
NHK名古屋の特設サイトが出てきて
本当にもう、はしゃぎすぎだろうと恥ずかしい気持ちを抱きつつ
それでいいんだ、なんて、よくわからない感情を催した次第でありますが
ともあれ、またもタモリさんが名古屋にやってくると
その回でありました

ものづくりにクローズアップとしつつ、
お堀電車やら、中川運河やらと
ああ、そういう理由でできていたのかと
凄い勉強になりつつ見たのでありました
まぁ、それも含めて、輸出額がハンパないというのが
衝撃的すぎて、自動車が滅びたらどうなるんだろうな名古屋
いや、そのときには、この国自体がなのだろうかしら

余計なことはさておき、
内容は、もりもりというか、わりととりとめなく
ものづくりの根幹というか、機密には触れずに
そのまわりを支えてきたインフラなんかを丁寧に解説して
個人的には凄い納得の一回だったのでありますが
地味だなと感じざるを得なかったのであります
とはいえ、舟乗って楽しそうだったタモリさんが見られたので
とりあえず何よりだったのではないかと
感じた次第なのでありました

見所がどこにあったかと問われると、
中川運河から閘門使って出るシーンだったんじゃないかと
あんなのあるのかと、まったく知らなかった身分では
感激だったのであります
ただ、最近名古屋駅から運河ツアーできるとかいうサービスの話聴いたから
あれ、その宣伝だったんじゃないかと疑ってしまうのだけども
ともあれ、瀬戸まで案内しつつ、
タモリさんといえば地形なんだから、もうちょっと名古屋東のほうの丘陵で
なんかできなかったのかと思ってしまったのでありました

で、3回分の名古屋近辺のブラタモリを見て
記憶に残ったというか、本当にちゃんと学んだところは
川の利用が凄い水都だったということでありましょう
本来は大阪みたいなところが水の都と呼ぶべきなんだろうけども
名古屋もたった2本の運河だけども
それを中心にして発展するというお話でありました
子供の頃から汚い川というイメージしかなかった堀川が
生活基盤というか、産業基盤の相当を培っていたというわけで
ありがたく手を合わせる次第なのでありました

なんの感想だかわからない感じだけども
とりあえず、無事終わってよろしかったと
安心して見終えたというお話であります
でもやっぱり、地味なんだよな、なんでだろう
中途半端に派手だからかしら

【読書】図解雑学 老子

2017-11-21 21:49:26 | 読書感想文とか読み物レビウー
図解雑学 老子  著:蜂屋 邦夫

とうとう老子に踏み込んできたのであります
まずは入門編ということで、図解雑学という
いかにもな入門書で読みました
はたして、どこまでこれが老子を解説してくれているのか
ちょっとそこはわからないのでありますが
いくつかの単語というか、ことわざを知るに至って
なかなか楽しかったのでありました
今回の一番の教訓は、大器晩成が老子に出てくる言葉で、かつ、
実は、大器免成で、大きな器は完成しないという意味なんだそうで、
なんというか衝撃でありました
この大器免成はもっと知られるべきじゃないか
そんな風に思ったんだが、まぁそれはおこう

もうひとつ、玄徳という言葉を知る

劉備の字じゃんとか思っていたんだが、衝撃であります
そうか老子の言葉から取られていたのか
しかも、もともとある徳、本当の根幹の徳という意味なんだそうで
たいそうなものでありました
劉備という人が、その通りかというと、
現状のイメージでは違うなと思ってしまうんだが
聖人君子というイメージとはぴったりの名前だったと
そういうことなんだろうか、
そうなると、やはり、彼は伝説上の人物と同じなのかもしれないなんて
思ったりしてしまうのである

さて、それはそうとして老子である
なかなか今の自分の生活には、染み入るような言葉というか、
低くあり、無為であり、自侭であるということが
なんというか、とても肯定されて
心地よいと感じたのであります
ややもすれば、弱者の強がりのようにも取れるというか
どこか、おかしいと思ってしまうところもあるのだけど
ただ、本当に現在の自分にとっては
とても心地よい言葉のようにも思えたのであります
そして、これこそが仙人であり、
神仙の思想なんだと、思いを新たというか
強く思ったのでありました
そうだよな、そう考えれば泰平かもしれんが
それは仙人であり、ある種の逃げなのかもしれないな
と、そんな風に思ったのであります
くしくもといえばいいのか、
老成すれば、この思想に心地よくなるのではないか
そういう感じに思えてならなかったのでありました

よいことなんだが、基本的におとなしいというか
道について考えさせられる内容であったと
思うのでありました
次はもうちょっと難しい老子の本に挑戦しよう

【読書】中国の群雄 9 国をゆるがす女たち

2017-11-20 20:53:33 | 読書感想文とか読み物レビウー
中国の群雄 9 国をゆるがす女たち  著:安西篤子、中野美代子、筧久美子

とりあえず則天武后の勉強をしたいと本を探したのでありますが、
この本が出てきたので読み終えた次第
内容には、漢の呂后、女帝武則天、楊貴妃の三章に分かれて、
それぞれを解説しているというものでありました
個人的に知りたいことを得たといえるかどうか
ちょっと、わかりづらいところでありましたが
中国史における悪女と呼ばれる人たちのことを
知らず学ぶことができたので
よい読書であったと思うのであります

呂后については、劉邦関連の本で
そこそこ聞いていた話なので、わかりやすくまとめてもらえて
悪いといわれるが、それなりに言い分があったんじゃないかと
そう思えるような内容でありました
まぁ、擁護してよいかどうかは怪しいが
威夫人を人豚にするという、凄まじいそれについて
弁解しようもないけど、よっぽど怒ってたんだろうなと
そう思わされたのであります
というか、むしろおびえていたというのが正解っぽい感じで、
嘘かまことか、それを悔いて、神仙に祈ったりもしたそうで
案外人間らしいからこそなのかなと
感じた次第であります、まぁ何千年前の話だよというところなので
いまさら何もいいようがないのでありますけども

そんな賢妻と呼んでよい、正妻であった呂后からうってかわって
唐の時代に皇帝が息子の嫁を寝取ったと
そういうお話で出てきたのが、知りたかった則天武后こと
武照でありました、武という一族の女性だったようでありますが
かなり聡明で、美貌も素晴らしかった様子
その女性が、皇帝に見初められて皇后のような立場となって
そこから、権力を握り、あらゆる権力保持のため、
一族滅亡とかを行いまくり、
唐の宗家であるはずの李氏を根絶やしにするとか
なかなか壮絶極まりない政治力を発揮したそうでありました
彼女をそこまでしたのは、その以前に、
彼女を皇帝の妻としようと画策した男であったり、
なんだかんだ、歴史が繰り返したというか
学び取り、手腕として発揮した武則天の凄まじさであったと
そういうお話でありました

悪女として名高いわけでありますけども、
才媛であったのは間違いないようで、様々な改革も行い
一部成功したというか、それを実行した力そのものは
否定できないほどの偉業でなかろうかと
そのあたりは、非常に興味深いのでありました
もう少しなんか知りたいと思うのである

なお、そもそも興味を持つにいたった道教との関係は
ほとんど出てこなかったので残念なんだが、
とりあえず唐という時代について調べていこうと
思わされたのであります

で、その唐の最後を飾る女として
楊貴妃が出てきたわけでありますが
彼女については、歴史的な何かということは
この本ではほとんど説明されずに
というか、楊貴妃の話は知っていること前提で
話が組み立てられていたのでちょっと残念だったのですけども、
政治に振り回された、可哀想な女という像については
日本での信仰めいたものなんだそうで
これはこれで興味深い内容だと思われたのでありました
楊貴妃は小説がいくつかあるからいいんだが
さて、則天武后についてもっと知るために
何かしたいと思うのでありましたとさ

おんな城主 直虎   悪女について

2017-11-19 21:12:59 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」
視聴完了であります
意外とあっさりと、そして実にこのドラマらしい
瀬名の決着でありました
直虎の気持ちで見ると悲惨だなぁと
改めて思わされるんだが、
そういうことが繰り返されていたというのが
ありあり伝わってきて、やるせなくていいドラマだった

わかっていたけども、信康は助からないし
しかも徒労のように思われた瀬名の嘆願も
まるで意味がなかったという
何一ついいことがありませんでしたというオチは
どうかというドラマだと思いつつも
それによって、直虎が井伊の家督について
考え直す切欠となるというのは
うまい処理であるなと思うと同時に
戦国というか、織田と徳川の関係が
非常によろしくわかってよい回でありました

しかし、各人の名演が光るなと勝手に感動してしまったんだが
家康、直政、榊原ほか徳川家臣団それぞれが
非常に面白くてよかったと思うのであります
特に数正がこの後、どうしてああなったのかが
なんとなくわかるような引きになっていて
なるほどなと、勝手に納得させられてしまったのであります
本当かどうかしらんが、三河でも二つ派閥があったとすれば
わかる話なのかもしれんと感じ入る次第でありました

瀬名の覚悟もよかったし、最後のシーンの
舟を見て悟るというのが抜群に素晴らしい
きゃんきゃん上昇志向の女としてそれまで生きてきたけども
最後に、その終わりを知りながら生きていったというのが
和尚がいったとおり、命を使い切ったように見えて
実際はそういうことではないし、
そんな教訓を見せようという意図はないだろうけども
よろしく見えてしまったのでありました
ああいう生き方というのに
何かしら憧れるではないが、そうでなくては
生きる甲斐がないだろうかなんて
年老いてくると考えてしまうのでありまして
いい話だったと、感嘆したのでありましたとさ

来週以降も楽しみである

【読書】道教の世界5 神仙幻想 道教的生活

2017-11-18 10:59:59 | 読書感想文とか読み物レビウー
道教の世界5 神仙幻想 道教的生活  著:土屋 昌明

いよいよ、シリーズ最終巻であります
道教における、神仙の物語、ここへ憧れること
仙人にどう近づこうかと、そんな話を
事実というか、実際に記録として残っている話をもとに
解説していくという内容でありました

唐代の話をもとに進んでいき、
道教の話なんだけども、唐という時代、
その時の長安の様子から、道教華やかな時代の生き方が出てきて
非常に興味深く読めたのでありました
当時、日本から遣唐使が使わされたわけだけども、
そこで仏教を持って帰ろうといっていたのに
唐では、道教が全盛であるという事実、
実際に町並みがそうであったというところが
大変に面白いと思えたのでありました
ここで、道教を持って帰らなかったのが日本の凄いところなのかもと
思ったり感じたりもするのでありましたが
ともかく、唐に道教がどれくらい浸透していたかが
わかるというものであります

李世民から、則天武后、その娘、そして楊貴妃と玄宗皇帝と、
唐の時代を経巡って、仏教と道教がいったりきたりする
趨勢を調べながら、その都度、どのような道士が活躍して
仙人への憧れがあったか、長生への期待や、
李白をはじめとした、神仙に近い人間の行き方への賞賛なんかがありまして
唐がやがて滅びていくとき、またその人たちが
どう生きていったかも書かれて
仙人という政治を嫌い、世間を捨てていくという姿が
なんというか、この頃に神聖化していったと
そういうことが、実際に今とつらなりなんて
感じたりして本を楽しんだのでありました

李白が仙人であるというのが、
形容なんじゃないかと思っていたけども、
実際に仙人であったというか、そのあり方が仙人を定義したみたいで
これもまた、面白いことだなとなんか
ちゃんと勉強したような気分になれたのであります

これを機会に、唐の歴史関係書を読むか、
あるいは、老子をしっかり勉強するか
読書が読書を呼ぶような心持になったのであります
感想というよりも、全部余談であるな

【テレビ】追跡 パラダイスペーパー疑惑の資産隠しを暴け

2017-11-16 21:46:50 | ドラマ映画テレビ感想
久しぶりにNHKスペシャルの話題であります
話題のパラダイスペーパーについて、
その内容を少しだけ紹介してくれるという
なかなかステキな番組でありまして
前回というではないけども、同じ系列では、
パナマ文書の話でありまして、
まぁ、内容としては似たり寄ったりというか
正直、素人にはさほどに違いがなかったと
そういう印象を持たされてしまったわけでありますが
ちょっと思ったところがいくつかあったので
メモがてら、書いておこうと思うのであります

今回の発見によって、またも、様々な利権が暴かれたのと
租税回避という手法をとった人が
あれこれ発見されたなんていうところが
スクープでもあり、下世話な話でもありといったところかと思うのである
鳩山先生が名前だけ貸してた話とか、
日本人の名前もいくつか出てきて、政治家が知らないでそうなってたとか
こういうのは山ほどあるだろうし、しかも、
知らないでやってたなんてのは8割ぐらいは本当にそうじゃないかと
思ったりもするのであります
悪いとかどうこうというのは、考え方が難しいのでよくわからんが、
投資先の内容をそこまで把握して資産管理を
別職業がある人間がちゃんとやるとも思えないので
或る意味言い分は正しいと思えるのであります

だが、政治家先生であれば、そういう怪しげなところに投資しているのが
そもそも問題だという言い方もできるわけだし、なんというかな
有名税ではないが、そういう人は、ああいったものに
手を出したら駄目じゃないかねと、よくわからん
紳士ルールを適用したくなる話でありました

と、まぁ、このあたりはさほどのこともないのです、
ちょっと驚いてしまったのは、ルイス・ハミルトンの話で、
ジェット機をリース購入していたから、
正統に払わなくてはならない税金を逃れているというのを
大々的に放映していたところであります
いや、なんというか、そんな言うほどのことかといってしまうとアレかもだけど、
あれは額が大きいから確かになぁと、思ってもしまうわけだが、
そこらの商店とかで、店舗の車という名目で、
あれこれの自動車買ってるなんて人、近所でも山ほどおるではないかと
それの豪華版だろう?なんて思ってしまい、
あんまりそれをどうこういうのは可哀想じゃないかしらとかまで
思ってしまったところでありました
前に坊主がブラバス乗ってる話とか、旅館でクラウンの凄いやつが中古に出されていくスキームとか
そういうのでよく聞いたと思うんだが、どうだろうね

これは、私がそもそも反社会分子的な思考ということなんだろうか

なんて、ちょっと今回の発見で、トランプとロシアとか、
エリザベス女王がとか、面白い話ではあったんだけども
そう叩きつけて、弾劾なんていうほどの内容なのかどうか
ちょっと考えさせられてしまったのでありました
これが、税金というものがどうなるべきかに
私の知恵が廻っていないから生まれてくる感想なのかもとも感じたりしつつ

ちゃんと、税金とはどうしたということを
真剣に考えてみようかしらと思う契機になったように思うのであります
年末調整も近いしね

【読書】道教の世界4 飛翔天界 道士の技法

2017-11-15 20:27:07 | 読書感想文とか読み物レビウー
道教の世界4 飛翔天界 道士の技法  著:浅野 春二

道教の実践というべきか、
儀式、儀礼の様相を解説する本でありました
実際に台湾で行われた、犬の霊を慰める儀式に密着して
その技法、儀式の数々を非常に細かく記していて、
面白いけども、字面だけだと全然わかんないと
ちょっと、臆してしまいながらも読み終えたのであります
面白かったし、道教儀式がどういうものなのか
なんとなくわかったような気分でうれしいのであります

まず、そもそもなぜ犬の霊を慰めるかというと、
別に飼っていた犬とかではなくて、
謎の病気にかかった息子さんを救おうとタンキーという
道士ではないが、道教的な神おろしを行う人の占いによって
以前に食べた犬が、食用の犬じゃなくて、番犬だったのが問題で
番犬なのに喰われたということに立腹して祟っていると
まぁ、そういうことなので、それを救ってあげなさいと
お告げがあった次第だそう
これに伴って、犬を供養というか、慰めるために
道教的な儀礼が行われたのでありました

道教では、祟っているものを救うのには、
それが救われるだけの功徳を積む必要があって
功徳は、こちら、生者側から送り込むことができるのだそうで
ようは、祟っている犬の功徳を代わりに積んであげることで
その犬が極楽というか、道教的天界へと召されるように
地獄から解き放ってあげようと
まぁそんなお話なのでありました

儀式は2,3日にわたって行われることがざらなんだそうで、
なかなか大変な様子でありました、朝から晩まで
様々な儀式が行われて、歌う、舞う、唱える、なんだかんだと
歩き方から、お参りというか、神への拝謁なんかが
事細かに繰り広げられていくのでありました
何度も、地獄に滞っている霊のようなものを集めてくるという儀式があって
それをまとめて救うところへと持ち込むというか、
神様の面前に連れていくのが
儀式の肝要なんだそうで、その方法や手法、
成り立ちなんかが詳細に記録されていました

歴史的に、重要視された儀式もあれば
省略されて今は残っていないものもあるんだそうで、
この実例の時でも、いくつかを一緒に行っていたり
簡略化したりというのがあるようで、
現在と、成立時とでおそらく、儀式そのものも違うのであろうと
うかがえる内容なのでありますが
大変興味深いというか、信心のなんたるかを
考えさせられたのでありました

とはいえ、これによって、道士の振る舞いやら
道観の参り方がわかったので、次回台湾いったら
試してみようなどと、罰当たりという仏教的なことを思ったりするのである

【読書】死神の精度

2017-11-14 21:25:27 | 読書感想文とか読み物レビウー
死神の精度  作:伊坂幸太郎

久しぶりに伊坂作品を読みました
それも、有名作品であります
と、初めて読んだような口ぶりで書いているのだけども
多分一度読んだんじゃないか
そう思えてならない、とりあえず自分のブログで記録を探したけども
どうやら読んだことはあるけど、感想書いてないっぽいなと
そんな按配でありまして、
驚いたことに、面白い小説なのに覚えていないのかと
自分の記憶力の無さにがっかりしたのでありました
余談であります

さておき、内容は死神がターゲットが死ぬことを
許可するかしないかという調査をするというお話で、
人間離れというか、どっかずれている死神が、
仕事をまっとうするために、ターゲットの人間と少しだけ触れ合って
その人となりを見て、だからといって、
その運命をどうするでもないというお話でありました
非常に面白かったというか、
私がこの数年の読書で鍛えられてきていたのか、
読んでいて、ほどよくこういう話だなと読めたりして
なかなか楽しく進められたのであります

よくある雪山の山荘での殺人事件なんかが、
このアプローチで読むと、喜劇めいて見えたりするのも
なんだか面白いなと感心しきりでありまして、
どれもこれも、現代劇といえばいいか、事件とか関係なさそうな小説なのに、
読んでみるとどこか推理めいているというのが
なかなか癖になる感じで楽しいのでありました

結局どうなるんだろうかなと、
先を進めたくなるような物語のじらしかたの秀逸さと、
相変わらず気持ちのいい、伏線の張り方と回収の仕方が
なんとも心地よくて、死神のキャラクタもあいまって
好きな物語だなと思いながら読んだのでありました

死神はミュージックが好きなんだ

そういうキャラ付けでありまして、このあたりが
なんというか、好きな設定だなぁと感心しきりだったのでありますけども
今、この時代に読むと、死神が暇つぶしに訪れるCD屋という存在が
もうなくなっているのだというのに、割と衝撃を受けるというか
若々しい読み方をすれば、今は死神の仕事も
より雑になってるのかもななんて、思わされたりするのでありました
音楽聴けないなら人間界にいる意味がなさそうだから、
さくさく人の死をジャッジしてそうだなと
考えたりすると、これまた楽しいのであります
まぁ、あれだけ好きだから、何かしら聞いてんだろうし
ラジオはずっと続いているから、それはそれでいいのかもだけどなぁ

と、物語本筋と関係のない感想を抱いてしまったのだけども、
短編のそれぞれも少しずつ繋がっていて、オチが明確でないのに
なんとも楽しいというか、暗い話も
少しくらいはいいことがあったのかもと、思えたりできる内容で
安心して読み進めたのでありました

【読書】ヤギより上、猿より下

2017-11-13 21:17:39 | 読書感想文とか読み物レビウー
ヤギより上、猿より下  作:平山夢明

相変わらずの酷い小説でありました
この酷いというのが秀逸で、よい意味で使ってしまうのでありますけども、
人殺しと知恵足らずと悪人がわんさか出てきて、
どたばた生きて、死んでいくというお話が
まぁ、なかなかどうして、読んでいて面白いのだから
読み手の私も業が深いのかもしれないと
反省させられるようでありました

ド底辺という言葉が何回か出てくるわけで、
実際にそうだといわざるをえないような
大変酷い家庭や、環境なんかが描かれて
そこでじたばたしている人間が、
生きることというか、何か、自分に忠実に過ごしている
そういう様を見ているようで
グロテスクで、同情の余地はないのに
どっか滑稽で楽しいという不可解な感想を
抱かされてしまうのでありました

いくつかの短編が集められていた小説でありましたけども
表題作が、なんとなく読み終えてすっきりしたというか
気持ちよく、清清しさを覚えるようでよかったと
思えた一作でありました
よく考えると、えらいチープな人情劇を
特殊な空間と設定で見せられただけのようにも思えるんだが
淫売を生業とする、女というのも難しくなってきているような
妙齢のそれこれが、じたばたしている様が、
まぁ、薄汚いではないけども、そこに通う人間ともども
なんとも楽しく読めてしまえて
名目上は、めでたしめでたしな感じで終わって
読後感が、爽やかといっていいか、よかったなと思えてしまったりできる
秀逸なできばえでありました

そうかと思えば、どこか薄暗くて、
よい話のように思えて、でもやっぱり救いがない
踏み越えていくことや、汚れていくことへの
戸惑いではないけども、覚悟ともつかないままに
境界を侵していくかのような物語に
こっちはまた、かきむしるではないが、
心重たくさせられるのでありました
こういう話も面白いというか、読み応えがあるなと感心させられるのであります

と、まぁなんか最近読みすぎかもしれないなと
作家に固執しつつあるので、平山夢明さんのは
ちょっと距離を置こうかとも考えたりしつつ
中毒ではないけども、不思議な魅力に取り付かれて
読んでしまうというメモを置いておくのである