CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】「家栽の人」から君への遺言 佐世保高一同級生殺害事件と少年法

2016-10-31 21:49:04 | 読書感想文とか読み物レビウー
「家栽の人」から君への遺言 佐世保高一同級生殺害事件と少年法  
著:毛利 甚八

人に薦められて読みました
そういえば、昔漫画やってたなぁと、
思い出したりしながら読んだのでありますけども、
その連載裏話も含む、少年法について、そして、
佐世保の事件に対する著者のメッセージが残された
まさに遺言の書でありました

正直、知らなかったのでありますが、
著者の毛利さんは、すでにお亡くなりになっているとのことで、
この絶筆といっても相違ない内容とともに
驚きを受けたのでありました
癌てのは、本当に嫌な病気だなぁ

本としては、正直主題がぶれているという感じですが、
編纂の経緯を見ていれば、もっと別のことを書くための本に、
唐突な自身の死期が迫ってきたことと、
表題の事件があって、なんとか形にしようという
四苦八苦といえばいいのか、つらつらと思いを残すように書かれた本だと
読めてしまうと、なかなか、ずっしりと響くようでありました

いかんせん、私が中学、高校くらいのときに連載だよなと
思い出したりするわけですが、正直、そんなに読んでなかったので
打ち切りというか、様々な経緯があって、
作風が変わったり、あれこれあったんだなというのは
なかなか印象的というか、衝撃的な事実でありました
原作者が、違うと思うとは、こういう事象を言うのですね
特にバブル華やかなりし頃だけに、なおさらとも思われる事件であります

当初は、裁判所にさっぱり相手にされなかったから、
自由に優しい家庭裁判の人を描いていたけども、
話題になって、取材ができるようになってくると
現実の裁判官や、担当者にヒアリングできるようになり
そのギャップに悩むという、なんというかな、
世の中知らないほうが、いい話を書けるんだなという典型的なそれだったようで
なんとも哀しいお話でありました

やがて、それに伴って、少年法について考えるようになって、
相当に勉強をされたようで、地方での非行少年の受け入れについてや、
少年院のありかたなどに、あれこれと考えを述べておられて
非常に読み応えがありました
なるほどなぁと思うわけでありますが、
書かれているとおりに、ほとんどの人は知らないし、知ろうともしない、
だけども、地域が、世界が、受け入れるべきものなのだなと
このどうしようもない剥離みたいなのを感じたのでありました

後半、自身に癌が見つかって、死期を悟ったとき
佐世保の事件が起こってしまう
この事件について、著者が逸りながら、想いをぶつけている様が
よくよく伝わるようで、時間がないという想いと
議論がまだ、煮詰まってこないというもどかしさのようなものを
じっと伝えられたように思い
考えさせられたのでありました
考えるための本であります

真田丸  軍議

2016-10-30 21:11:27 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「真田丸」
視聴完了であります
思った以上にオーソドックスな大坂方に、
なんだろうかな、そのままの展開なのにも関わらず
新鮮に見えてしまったから不思議でありました
淀殿が嫌がったから、篭城になったという
この手の軍記でもっともありがちというか、
講談でもかくやというお話なんだけども
この説得力というか、そうなるなという心地よさには
目を見張るものがありました
凄いな、脚本家立派だな(偉そう)

信繁があんなにがんばったのに
結局だめだという感じが、なんといったらいいか、
むしろ、淀殿の力が示されたと、ただそれだけの事象で終わったと思うと
最終的には、打ってでる策を持ち出したのは
下策だったんじゃないかと思わされてしまうところ
あんだけ炊きついたのに、結局できなかったというのは
瓦解が目に見えるといっていいのか
酷い有様であるなと思わされるところ
これなら、その一歩手前の、有楽が言ってたあたりで終わってたら
よしとなったんじゃないかと思うんだけども
そこも含めて、そういうものだよなぁと
思わされるのでありました

場面転換なんてほとんどなくて、
しいていえば、片桐殿が徳川方にいたという話くらいで
あとは、ずっとあの軍議の場をあっちいったり
こっちいったりしているだけという
演劇方式だったのがよろしいというか
むしろ、いい塩梅で、ぴたっとはまった感じで
楽しかったのであります
ドラマとか、映像作品としてどうなんだと
思わされてしまうような
不思議空間だと感じたんだけども
俺だけなのかしら

と、思いながらも、来週から真田丸を作って
いよいよ始まるという具合のようで
ちょうどあと一ヶ月ずつを使って
冬、夏をやってしまうんだろうなと
先が見えてきた感じを覚えながら
見守るのであります

【読書】書店主フィクリーのものがたり

2016-10-29 13:56:54 | 読書感想文とか読み物レビウー
書店主フィクリーのものがたり  作:ガブリエル・セヴィン

ある書店に、捨て子が置き去りにされる事件が発生した
書店主、子供、そしていくばくかのよき隣人たちの織り成す
波乱というほど激しくはない、それでも、
書店主の一生を軸として、人間模様と交流が描かれた小説だった

これがあらすじになるだろうかと、
あれこれ考えてひねりだしてみたのでありますが、
正直、本当に書かれていたことは、
こういうことではないなと、芯の部分を当てる言葉を
うまく掘り出せない気分であります
じっくりと味わって読める、よい小説でありました

出てくる人たちが、みんな本好きであるというのは
ある種特異的な点だとも思うのでありますが、
その本好きであるというところが、
これみよがしに披露されるというではなく、
あくまでも、キャラクタの個性を語る手段が本であるという
トリックに基づいているだけでありまして、
ところどころ、交流のために、この本をと
その小さな感想を添えて示される部分が、
なかなか面白いというか、この手段によるコミュニケーションは
やったことがないなぁなんて
思ったりなんだったりなのである
つまるでもないが、描かれた事象は読書会のそれに似ているわけであります

とはいえ、とりとめもなくといっても
差支えが無いほど、日常が送られていき
当然のように、ちょっとしたロマンスや出会いなんかも織り交ぜつつ
のんびりと平和な小説を堪能できていたかと思えば、
いまさらその謎が解決されてしまうのかと
突然とも思われる、特に気にも留めていなかった事象が
事件化していくというのがステキでありまして
そこから、より物語の意味というか、
登場人物の身の上が深まっていくので
楽しめたのであります

出てきた本は、わずかにしか読んだことがないので、
真意を楽しめたとはいえないわけですが、
古典を丁寧に読むことの大切さを
覚えたような、最近こういう本増えてんじゃないかと
読書好きのための小説的なものでもあるかと
世界が狭まっているような不安も覚えつつ
楽しめた一冊として、メモっておくのである

台灣縦断旅行記 17 八卦山大佛風景區

2016-10-28 20:30:06 | 台灣縦断旅行記(2016)

大仏の後方にある本殿と呼ぶのか、
建物の中へと入っていきます

かなり大きな楼でありまして、
結局何階建てだったのかわからないんですけども、
大仏をコの字に囲うように建物が建っています
中央というか、ちょうど大仏の背後にあたる部分が、
様々な仏像なんかがいるお寺部分でありました


大仏が大きいのでなんだけども、
この内部の仏像も大きいのであります


かっこいい木魚

講堂が相当に広いというか、天井も高くて
見事なつくりでありました
こんだけ大きいのにほとんどというか、まったく人が見られなかったんだが
普段坊主はどこにいるんだろうかと、
僧侶的なものはいないのかと探してみるものの
出会うはずもなくといった具合であります
なんせ静かなのであります


こういった仏像が、いく先々というか、各階に山ほどおわす


青龍偃月刀
たぶん、関羽の持っていたそれのレプリカだと思われます
京都の清水寺にある、大きな錫杖と同じで、
ものすごい重さでありました、持ち上げられたらよいことがある的な
そういう縁起物だと思うのでありますけども、
当然一人なのでやってみるものの、動かすことすらままならなかった
あかん、腰をいわしてしまう


八卦山大仏と彰化の町並み

背後の楼のかなり上のほうから、大仏さんを眺め見る
この景色が非常にすばらしくて、しばらく見とれてしまったのでありました
いい感じで観光できていると満足なのであります
あれこれぐるぐる回るけども、人と出会うこともないため、
これという旅情的な物語もないのでありますが
左右の楼に移動して、部屋を見てまわっていると
こちらで、書道の展示会をやっていて人を発見、
いや、ただの見張りの人なので声をかけることもないんだけども
安心しつつ、せっかくだからとそれを見てまわる


金文
まさかのだよと、慄いてしまったのでありますが
このあたりは、流石に中華圏というか、漢字の国であるなと惚れ惚れ
特に台湾は繁体字なので、前々から字がかっこいいと思ってたんだが
書道も盛んなようで、古文字の探求も見受けられる


個人的に大好きな隷書

数あるフォントの中でもとりわけ大好きな隷書体であります
故宮はさておき、近所の書道教室の発表会みたいなのでも
隷書だけはついつい見てしまうというか、見たくなる
この魅力ある文字が大好きであります
また、この中に私に非常にゆかりの深い文字があったのもあいまって
ステキと思うのである、眼福眼福

と、まぁ、なんか仏教と書道という
非常に趣味的な体験に満足しつつ、珍しく観光が当たっていると
鼻息荒くここをあとにするのでありました
あれやこれやと語り、写真載せてきたのですが
ここでは1時間ほどの滞在でありまして、相当に駆け足というか
よくその時間で、上り下りしたなというほど歩き通したのですけども
満足して、下山するのであります


遠景より正面、左右の椰子がまたよい

これくらいの時間になって、ようやっとというか
ぱらぱらと参拝者が増えてきたので、好き勝手に見られたのは
ある意味幸運だったのかもしれないと思いつつ
次へと足を進めていくのであります

【読書】プリズン・ブック・クラブ コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年

2016-10-27 21:41:41 | 読書感想文とか読み物レビウー
プリズン・ブック・クラブ コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年  
著:アン・ウォームズリー

海外のノンフィクション本であります
刑務所で催される読書会プログラムに参加した話で、
淡々と、それでも、新たな出会いと呼べるような
発見や、考えに彩られた本でありました

まず、この本を語る前に
読書会というそれについて、考えなくてはならないと思われる

正直、話に聞いただけで、参加したことも見たこともないのだが、
ある決められた本を読み、それについて、感想を言い合う
あるいは、議論を深めるという会合があるんだそうで
なるほど、そう聞くと面白そうなんて
思ったりするんだが、参加しているイメージでは、
どうも恥ずかしいと思って、ろくなことにならなそうと
二の足を踏んでしまいそうなところであります

しかし、こういうのはやはりといっていいのか、
イギリスやアメリカ、カナダといったところでは
大変メジャーなんだそうでありまして
これを刑務所の中で、囚人に対して機会を設けるという
なかなかステキな試みに参加した記録なのであります

そのため、刑務所であるという特殊な空間の面白さも
様々に見られるのでありますが、
読書会素人の自分からすると、この本によって
読書会というイベントについて知識が増えるというか
本の読み方について、新しい視点を与えられるようで
なかなか面白かったのでありました
語りで描かれている、各人の感想を読むというのが
なんというか斬新に感じたのであります
さらにいうと、本の読み方、触れ合い方みたいなのを
示してもらえたようでもあって、
感想に対するモチベーションというか、
自分が練る感想というものの質が変わったように感じるわけである
と、その結果が、今回のこの書き方なわけで、
今までの、つらつら感想文とは、
かなり違うと自分で思ってんだが、どうだろうかしらなんて
メモっておくのである

さておき、

刑務所としての面白さについても、描写が興味深く、
その身の上各種についてはさておいて、様々な人物が出てきて、
切れ味の鋭い寸評が出てくるのがステキでありました
読書というカテゴリについて偏見があるのだと
自分でも感じているわけでありますが、
刑務所で、わざわざ本を読んであれこれ語るという
この趣味は、ある種独特の人が集まるものでなかろうか
知的水準といっていいのか、何か、違う感じじゃないかと
思ってしまうので、
ここで描かれた囚人たちが、囚人そのものの何かではないなと
思ってしまったりと、しょーもないことも考えたのでありますけども
本によって、考え方が変わる、
改心や、社会復帰に近づいていくという
やや、このイベントで一番見たかった事象に
クローズアップしすぎな感もあるのだけども
いいことだと思わされたのであります

特にというか、個人的にステキと思ったのは
小説を読むことで、他人の心に寄り添う力が養われるというところで、
これは、今まさに自分に足りない部分ではないか
本当に得られるのかと思ったりなんだったり
本というか、読書について考えさせられるいい一冊でありました
この本は、読書を続けていくうえで、必要な一冊だったと
そのうち思うような気がする

【読書】外道クライマー

2016-10-26 21:49:07 | 読書感想文とか読み物レビウー
外道クライマー  著:宮城 公博

まさに外道、人道から外れたと、
まぁ、倫理的にも、物理的にも外れている感じのお話で
沢ヤという、独特のジャンルの人たちというか
著者を含めた、冒険家の体験談というか、
旅日記というか、ともかく、壮絶な内容でありました

凄いなと素直に感心するところもあるんだけども、
やっぱり、初っ端にお断りのように入れられていた
那智の瀧事件を見るかぎり、手放しに賞賛はできないと
思ってしまったりするのだが、
なんというか、凄い人というか、行き方というか
趣味があるものだなと、感心したのでありましたとさ

さておき、はたして、「沢ヤ」なる単語が、
どういうものなのか、これは、あれか、
「沢ヤクザ」を穏便にするための略語なんだろうかと
思ったりしていんただが、
先日、知り合いの山登りをする人に聞くと
「沢ヤ」「岩ヤ」というジャンルがどうも存在するようで
「ヤ」をカタカナであてるものなのかはさておき、
業界ではメジャーな言葉の様子
沢登りを主とする、山登りというか、登攀の鬼を指し示す言葉でありました

この言葉にふさわしいというか、
こういうのを沢ヤと言うんだよと、説明するかのような
凄まじい沢登り風景というか描写が続いていまして、
ここに、冒険という著者の哲学が語られたりしながら、
未踏であるところに挑む興奮について
あれこれと書かれているのであります

出てくる仲間たちというか、その中でも飛び切り頭がおかしい人が
何人もいる様子でありまして、その死を恐れないというと
割かし簡単な言葉っぽいですが、
本当に、文字通り死と隣り合わせというか、
「あ、死んだ」
なんてことが、軽々とやってくる沢での危険行動というか
いや、自然そのものの脅威になすすべもなくさらわれていくところだとか、
それを傍観する様子なんかも含めて、
これは形容しがたい、見てみたいけども、絶対に当事者になりたくないと
相反するようなことを思わされることてんこ盛りでありました
凄いんだけども、なんだろうな、これはもう
本当に人種というか、文化が違いすぎて
没交渉だなと思ってしまう

やってることが、完全に人から外れてしまっているので、
正直、それを楽しむのはいいんだけども、
そのままで、街中を歩いたらだめなんじゃないかと、
思わされるほどの奇特な生き様に
なんとも、考えさせられたというか、
凄いと思うんだが、でも、そういう大自然の奥深くにいって
結構そのあたりを、荒らしているというか
まぁ、ハーケン刺したり、ごみ捨てたりしてんだろうなと
勝手に考えてしまって、なんか
面白かったと、素直に賞賛できない気分なんだけども

とてつもない冒険というものを
見せてもらえたような気分になれたのでありました
あと、はしばしから下品な感じが見え隠れというか
隠しきれていないところがにじみでてきていて
これはこれで、面白いと思うのであります

NHKスペシャル 神の領域を走る~パタゴニア極限レース141km~

2016-10-25 14:00:02 | ドラマ映画テレビ感想
少し前になりますが、
色々あって延期されていたNHKスペシャルであります
ようやっと見られて、大変満足だったので
メモっておこうと思うのである

いわゆるウルトラマラソンみたいな内容なのでありますが、
本当に極限の土地を走り抜けていくという
もう、何がどうしたんだという、
なんでこんなことをしようと思うのか、
これは参加した人にしかわからない何かの
典型例のようなレースについてでありまして、
とてつもない過酷な道のりを
延々走り続ける人をおいかけた
人間ドキュメンタリーでもありました

この業界で、日本人の中でも相当なアスリートである方を主役にしつつ、
極限に挑んでいく人間の姿をおっかけたという内容でありまして
まぁ、なんだろうかな、凄いなとしかいいようがない
やってみたいような気がせんでもないけども、
絶対やれないなという、このあたりからして
この競技に向いていないことを自覚するわけですけども
2日、3日とぶっ通しで、寝ることもなく140km走りぬけるという
とんでもない荒行であります
それも、平坦な道のはずもなく、高山地帯を走り抜けていき
途中、ジャングルみたいなところから、極寒の稜線を走り、
何も無いただまっすぐの道をかけて
ようやくゴールするというものなんだけども
途中途中の難所というか、
くたびれて、気絶するというか、リタイアしていく人々の姿、
立ったまま眠る人だとか、崖を滑り落ちていく人だとか
衝撃的すぎてどうしようもない

ちょっと前に本で読んだ、トレイルランのハードな奴だろうと
思ったりはするのでありますけども、
みんなどういう根性というか、気持ち、心持で走っているのか
何に追い立てられるというか、
その情熱はどこからくるのか、
走って、終えた人たちの朗らかというか、
うれしそうな顔を見るにつけて、わからないけども
羨ましいとはまた違う、人間の、人体の凄さみたいなのを
はしばしから感じて見守った
そんなテレビでありました

最近、個人的に山道というか、山をうろうろしているけども
そんなの目じゃないというか、あれをやっていて、
このハードさは尋常ではないと
恐怖を覚えたんだけども
なぜだか、あの過酷さに身をおくことへの憧憬というか、
畏敬を覚えてならないので不思議なんだけども
凄いレースをやっていて、
これに参加する物好きが、世界にたくさんいるのだなと
しみじみ思い知ったのでありました
面白かったんだけども、伝えられない何かがあるなぁ

【読書】落陽

2016-10-24 20:54:11 | 読書感想文とか読み物レビウー
落陽  作:朝井 まかて

明治という時代、とりわけ、明治天皇を描いた小説でした
いわゆる歴史ジャンルの小説なんだけども、
今まで読んだことないというか、歴史小説というでもなく、
ドキュメンタリのごとく、明治天皇と明治神宮について
その精神性に迫ろうとした意欲作であります
かなり面白かったというか、うなった
考えさせられるというではないけども、
この小説で描き出された明治というものが
なんとも、ぐっと心に刺さったように感じたのであります

時代は明治も後半から、大正の初めにかけてでありまして
主役というか、主題となるのは
明治神宮についてであります
明治神宮の神宮の森をどう作るか、そもそも、神宮を東京に造るかどうかと
そのあたりからの活動といえばいいのか、
東京に神宮があるということに重要な部分があると
このあたりは、まったく語られなかったのだけども
明治天皇の、明治神宮が初めて、京都ではないところに
ゆかりの神社として建立されるという
とんでもない事業について、新聞記者が肉薄していくという
そんなお話であります

勝手に読み取ったといっては、なんでありますけども、
明治という時代を描きだそうという苦心が
とても伝わってくるようで、この苦心が、
この小説の著者なのか、あるいは、描かれている主人公たち
新聞記者たちなのかが、わからなくなるような
不思議な熱量みたいなのがあって
なんだかわくわく読めたのであります

正直なところ、さほどに派手な事件を扱っているわけでもなく
サスペンスや、ミステリーなどは現れないで、
ただただ、明治神宮を作るにあたり
その森をどうしていくかという部分を
これも、そんなに詳しいというか、大変な部分の緻密な描写などなく
記事として現れる、その時代のその新聞、記事を読んでいるという
そんな読書体験をしているだけなのに
なんだか、気になって仕方ないという
不思議な気分になったのでありました

万人に受けるのではないのだろうかなと
思ったりもするのでありますが、
非常に興味深い、明治のありかた、明治天皇の姿、
そして、明治神宮について
様々、知るというでもなく、わかったような
不思議な気分にひたれる、よい小説でありました

真田丸  味方

2016-10-23 20:44:09 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「真田丸」
視聴完了であります
烏合の衆という大坂方の顔見世が終わったと
そういう回でありました

改めて、何度も思うのでありますが
大坂には人がおらんという
その一点でありました
しかし、まさかの織田有楽が出張ってくるとは
なかなか衝撃でありました
大河で、ちゃんと役割というか、描かれるのは
初めてなんじゃなかろうか、京童の仕事が捗る内容であります

江戸方のほうでも、
なんというか、気が抜けたというか
大阪の陣独特の違和感といったらいいか、
関が原までの武将は知ってるけど
それらが、ほとんどいなくて、
次の世代が出てきているというのがありありで
徳川方の誰というのが描かれていないのが
気になるところであります
正宗くらいは出てくるんだろうかと思うのでありますが
ドラマとしては、ここまでに描いた人がいないという
一種異様な状態なので
どうオチるのか、楽しみにしていきたいのでありました

あとは、大坂の陣篇に入ってから、
予告というか、CMに入りまくっている真田丸の件が、
本当に構築してロケやってるということに
やっと気付いたわけでありまして、
ここまで予算をけちってきた甲斐が
いよいよ発揮されるんだなと、楽しみになってきたのでありました
予告だけ見てると映画みたいだなと
まぁ、それを意識して、予告作ってんだろうから
見てから、詐欺になる可能性も
なきにしもあらずながらも
わくわくしてきたので、楽しみに待ちたいのであります

でも、真田丸作っても冬の陣でお役ごめんだから
なんというか、夏はやらない?いや、突撃は夏だから
その二点だけに絞って描いていくのかと
講談の見せ場みたいなのを思い描きつつ
待つのでありました

【ドラマ】夏目漱石の妻

2016-10-22 19:00:40 | ドラマ映画テレビ感想
NHK土曜ドラマでありました
かなり面白かった、俳優さんの演技が
どれもこれも実に素晴らしかった
もちろん、脚本も加えてのことだろうと
ドラマ全体を絶賛したい気分なのであります

ものによっては、クサンチッペと並び評される鏡子さんについて、
現代解釈を交えつつ見せるという試みだったのか、
漱石が、いかにも漱石たるという様相が
ああ、DVと呼ぶべきそれだったのかと
改めて思い知らされたりしながらも、
その苦悩を病気として、献身的に支えたという解釈が
まぁ、実に素晴らしかった
何よりも、この役を演じたオノマチが素晴らしすぎた
本当、幸せじゃない状況の女をやらせたら
こんなに上手い女優はほかにいないんじゃないだろうか(褒めている)

全体的には、大変暗い話なのに、
どうしてか、見ていると救われるというのか、
話の重さほどに、心が暗くならないという
本当、素晴らしいできばえのお話にほれぼれしたのであります
どのシーンもというか、
鏡子さんのお父様の舘ひろし、漱石の養父の竹中直人、
どっちも衝撃的にうまいというか、
この二人とのやりとり、シーンすべてが
印象的すぎてもう、垂涎でありましたな
何がどうとか必要ない、ずっと画面にひきずりこまれるみたいで
目が離せなかったのであります

そうかといえば、漱石の縁遠い兄の役の人が
これまた、見事な江戸弁で気風のいい語り口調に
驚いたというか、いや、かっこいいなぁと
なんかやられてしまったのでありました

全体的に、台詞調子が漱石の小説そのものといっていいのか、
私のなかにある、あの時代の人たちの喋り方に
綺麗にはまっていて、これがまた
演劇臭くならないというか、本当、新しい漱石の小説読んでんじゃないかと
そう思うほどだったのであります

漱石の役作りも、生半なことではなく
狂気なんだけども、破綻というか、破滅的なそれではなくて
漱石たるための狂気なんていう
かっこいいそれが纏われていたようにも思えて
この先生でこそだよなぁと
序盤のDV、後半の病床いずれも
子供に好かれないけども、そうあるという姿に
感動したのでありました

まぁ、何よりも、ああいう夫をもった女というのが、
どう強かにというか、生活に折り合っていくのかが
ありありと演じられていて、これがもう
素晴らしい姿であるな
ああやって夫を操っていくというのが
ある種正しい姿なのではないかしらなんて
憧れめいたものも抱きつつ
回顧とよぶではない、何か、懐かしむような気持ちを抱いた次第でありました

いいドラマだったと、大変満足したメモを
書き記しておくのであります

【読書】税金亡命

2016-10-21 21:11:28 | 読書感想文とか読み物レビウー
税金亡命  作:佐藤 弘幸

脱税を扱った小説でありました
マネーロンダリングではなく、
他国を介在することで、税金を納めないで済むようにというか、
いわゆる節税なる手法について、
あれこれと書いたものでありました

なるほどなぁと思いつつ、
正直なところ、オチが納得いかないというか
これは続編ありきで書いたんだろうかと
思ったりしてしまうような
随分消化不良な印象を受けたのであります
なんとも、ネタバレになってしまいそうだからいかんが、
どうもなぁ、カタルシスがあんまりだなぁと
そういう感じなのである

トージツなる、マルサよりも上のといっていいのか、
なんとも恐ろしい税金の鬼が住んでいる場所があるようで
税金亡命というスキームについて、
肉薄して追い詰めていくというお話なわけなんだが、
なんというかな、スキームの説明がさらっとしてるのと
いかにも、小悪党みたいな描かれ方やらなんやらで、
なんか、はらはらするといった
サスペンス感が物足りないと、そんな印象だったのでありました

さくさく進むんだけども、
やっぱりなんだろうかな、物足りないと
そういうことをつぶやいてしまう一冊でありました

台灣縦断旅行記 16 八卦山 彰化大佛

2016-10-20 17:46:06 | 台灣縦断旅行記(2016)
八卦山(パークァサン)の大佛にいよいよお目見えであります


写真でわかりづらいけども、手前のおししも大きかった
3mくらいあったんじゃなかろうか


凛々しいご尊顔

お約束の角度から

大仏というと個人的には、
奈良の大仏、東海市の聚楽園と
この二つになってしまうのですが、
それと比べてもかなりの大きさでありました
聚楽園のでも相当大きいと思っていたが、
ここのはもっと大きい、まさに大仏の名にふさわしい
ともかくありがたい
そして、顔立ちがシャープでかっこいいのである

台灣における仏教がどういう位置づけというか
どんな信仰になっているのか、よく見る廟がはたして
仏教とかかわりがあるのか、このあたりは
まったくもってわからないというか、
ちょっと考えたら、関係あるわけないなと気づいたんですけども
ともあれ、これだけ立派な大仏が建立されていて感激、
なかなか荘厳であります、素晴らしい

そして何よりも、この大仏の凄いところは
胎内めぐりができるところであります
台座の脇のところから、大仏内に入ることができまして
ここがまた素晴らしい


胎内のご本尊?玉彫のようにも見える輪王坐像
精巧な仏像に思わず目をみはったのでありますが、
信心深い人たちによる灯火がまわりにちりばめられていて
なかなかステキな雰囲気、仏花が蘭というのもステキ
素晴らしいことに、この大仏内が
5階建てになっていまして、
残念ながら5階は閉鎖されているので入れませんけども
途中途中に、仏陀の絵解きというか、ともあれ写真をご覧じろ


天上天下唯我独尊

お釈迦様が生まれたその時の人形であります
これが大仏の胎内にありまして、階を登るにつれて
シーンが進んでいくというステキ仕様


魔女に誘惑される仏陀
実際に立て看板に「魔女誘惑」と書いてあったので
間違いないと思われます、
こんなシーンあったっけなと思わなくもないけど
この反対側にも女性像があって、腰をくねらせて
誘っているシーンで、なんとなく微笑ましく思ったのであります
インド映画っぽい


弟子を諭すシーン
多分、弟子のアーナンダじゃないかと思われるんだが、
このほかにも、出家を行うシーンだとか、
悟りを開くシーンだとかもあって、非常に面白いというか
興味深い内容でありました
何よりも、解説の文を読まなくても(読めない)、
物語がわかるというのが秀逸だと
この人形に敬意を覚えた次第でありました

なんともあり難いというか、特別敬虔な仏教徒でもない私ですが
随分わかりやすいそれこれに触れて、
遺憾なく楽しんだ次第でありました
この大仏の背後に大きなお寺というか寺廟があるため
そちらに今度は向かうのであります
なんて大きな仏教寺院なんだろうかと
東大寺とは違う驚きを覚えたのでありました

しかし、人が居ない、朝早いとはいえ私しか居ない

【読書】希望荘

2016-10-19 21:00:37 | 読書感想文とか読み物レビウー
希望荘  作:宮部みゆき

久しぶりに呼んだ正統派の推理小説でありました
凄い面白かった、ものすごく満足率が高い
4つの事件を扱っていたのでありますけども、
どれも、なるほどなぁという感じで、
私なんかには、ほどよい展開で、読めるラインと読めないラインの
本当にちょうどいいところを狙われたようで
満足なのであります、面白い読書だった

そういうわけで、謎解きも楽しめつつ、
物語も、事件も非常に興味深くて面白いと
いいことづくめの印象を覚えたわけであります

内容は、なぜだか私立探偵をすることとなった主人公のもとに
あれやこれやとやってくる依頼にこたえていくという
本当にオーソドックスな事件ものでありました
現代設定だし、妙な力だとか、オカルト的な解決なんかも
まったく出てこない、濃密な身近な事件という感じであります
とはいえ、殺人は起きていたり、
なんとも、陰惨というほどではないが、
いたたまれない気持ちになる事件の蓋をあけてしまうだったりと
サスペンスにつきものの感情が
存分に味わえるつくりに、もうメロメロというか
たまらんわいと、堪能しつくした感があるのです

私立探偵氏が、要領よく、それでいて
天才風を吹かせるわけもなく、真面目にこつこつ
事件に取り組んでいくというのがステキでありまして
気負わないで、読んでいられるというのも
すばらしいところでありました
力を抜いて読んでいけるんだけども、
ずいずい引き込まれて、長いのに疲れたと思わされない
これはもう、文章の力だろうと思わざるをえない
上手すぎるのでありますね

そういわけで、大変満足した一冊で
べた褒めをメモっておきつつ
久しぶりにヒットの余韻にひたるのであります

【読書】夜空はいつでも最高密度の青色だ

2016-10-18 19:09:31 | 読書感想文とか読み物レビウー
夜空はいつでも最高密度の青色だ  作:最果 タヒ

詩集を初めて読んだ気がする
そんなわけで、現代詩の詩集を読みました
言葉がかぶってる気がするけども
あまり気にしないでおこう

愛と死を歌ったものが非常に多くて、
というか、全部それだった気がするわけだけども
存在理由を問いつつ、そこに関するあきらめというか
投げやりなものが見え隠れする散文が、
はらはらとつづられていました
正直こういうのは、批評とともに読まないと理解できんなと
自分の詩に関する理解の低さを恨むわけですが、
短いものなのに、じっくり、とっくりと
読み込んでみたのであります
というか、普通の小説や本のように
さらさらと進んでいかないのが不思議でありますね

読みにくいというのとはまた違うような、
語順や、言葉選び、文脈というのが
ずいぶんばっさりと切れている印象でありまして、
一文、一文の関係性みたいなのが
よくよく読まないとわからないというか
そこに、いわんとするところが隠れているような
そういう気がしたんだけども
はたして、どこまでそれをくみ取れたかは
自信がないところであります

表題の一文はかなりステキでありまして、
詩の題名ではなく、その中の一行というものでありますが
強烈なメッセージというか、
いい文章だなぁと、素直に感心というか、感激したのでありました
暗いとかなんとかで語るのではなく、
密度が高いのだというのは、いいえて妙であると感じたのであります

愛することだとか、生きることだとか、
死ぬことだとかを見つめるというか
刹那的に触れている様みたいなのが見えてきて、
多感な頃に読んだら、もっと芳醇なものを味わえたのかもと思いつつ
珍しい読書を一つやったと
メモっておくのでありました

【読書】めんどうな女のトリセツ

2016-10-17 20:49:55 | 読書感想文とか読み物レビウー
めんどうな女のトリセツ  著:トキオ・ナレッジ

35種類に分類された、「面倒くさい女」について、
その生態と対処方法、NGアクションについてまとめた
面白読み本でした
今でもこういう、企画物本というのはあるんだななどと
思ったり感じたりしたんだが、なかなかの力作と
流し読みしたのであります

女性向けに書かれているせいか、
男性である自分が読んでも、もうひとつぴんとこなかったのは
仕方の無いところでありますけども、
書かれている「めんどう」な感じは
なるほど、あれやこれやと、思い当たる人物が浮かぶという秀逸さ
さほどに厚みはないけども、みっちりと小さい文字で解説されていて、
意外と読むのに骨が折れるというのが
驚きでありましたが、投げやりなイラストとともに
笑いながら読める一冊でありました

いい加減ネタが尽きていたんじゃないかと、
ちょっと心配になる分類もいくつか見られたり、
変り種というか、衝撃的だったのが
「完璧すぎる女」がノミネートされていたりするのが
なんというか業が深いなと感じたところ、
あまりにも完璧すぎる女と一緒にいると、めんどくさくなるというか
自分が大変なことになってしまうという
なんだこの、善良なものに勝てない悪魔的な話わと
思わなくもないところがツボといえばツボでありました
オチに、この本を読んでいる女とか
出てくるんじゃないかと思ってたんだが、そうではなかった

まぁ、そんなわけで、読んでいるだけで
これは近くにいると大変だなという女性像が
いくつも出てきたのでありますけども、
根本的に、上から目線でくるやつが気に入らないと、
大きく体系化できそうな風でもあり
共通点のあるものがいたり、相反していたり
つっこみどころは多いけども
総じて笑える内容だったので、なかなか
楽しめたと思うのでありました