CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】流れ行く者

2017-07-31 21:00:11 | 読書感想文とか読み物レビウー
流れ行く者  作:上橋 菜穂子

守り人シリーズの短編集であります
バルサが、ジグロと旅をしていたころを描いた作品で、
いかにも守り人シリーズという風格というか
面白さのあった、個人的に好みの読み物でありました

幼いタンダが出てきたり、
まだ若いのにも関わらず、子供っぽさが抜けつつあるバルサが、
それぞれの立場で活躍というか、生きている姿を描いていて
これもまた面白い作品でありました
短編を意識して、わざとそうしたのかわかりませんが、
最後がそんなにすっきりしないというか
ひどくあっさりと過ぎてしまう話ばかりで
ちょっと驚きだったのでありますが
考えてみれば、巨編であった本編も
最後はすんなりという感じだったし
こういう作風なのかしらと思わされたところであります

架空の幻想小説らしくといっていいのか、
個人的に凄く好きだなと思わされたのが
賭場でのやりとりがある部分でありまして、
TRPGじゃないんだが、すごろくに戦術戦略が必要なゲームで
賭け事をするという話があって、
これのやりとり、登場人物、そして主軸の物語が
本当にまぁ、凄い面白くて
息を止めて読み進めてしまうほどでありました

賭場で生きるということと、
そのゲームを楽しむということ、
この二つを天秤にかけるかのような
ある種残酷なラストになるんだけども、
この物悲しさというか、これって
子供が読んでわかるものか?と
結構衝撃を受けてしまったのであります
いや、俺が読んで、実際にわかったかというと
それはまたどうなんだというところだけどもさ

ともかく、ここでの立ち居振る舞いやら、
バルサとジグロのやりとりもかっこよくて
やたら滅法面白かったのであります

このほかにも、いくつかの少し哀しい物語があったわけだが、
これを少しばかり使って、ドラマのほうでは
あのシーンが作られていたのかとか
いまさらに驚いたりして、読んだ甲斐があったと
ひそかに喜んだりしたのであります
もう一冊短編集があるそうなので
そっちも早く読もうと思いつつ
ともあれ、すっかりシリーズのとりことなったかのようなのでありました

おんな城主 直虎  潰されざる者

2017-07-30 21:18:27 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」
視聴完了したんだが、あれこれしていたから
あんまりちゃんと見られていないのである
だったら書くなという話なんだが
ともあれ、見たといえば見
今川のやり口に大ピンチかと思えば、
そこまですると窮鼠猫をかむわけだなと
なるほどと思わされる回でありました
そう、ならなかったけども、その方が魅力的に見えたんだが
なかなかどうしてでありますね

ここで、直虎の治世が実ったと
まぁそういうお話になっていたのではあるけども
むしろ、それが足を引っ張っていたようにもというのが
今回のオチでありましたけども、
あのシーンが、なんというかな、農民騒動というか、
あれはもう、労働争議じゃないのかと
ちょっと違うシーンを思い浮かべるような内容で
なんか、ああいうシーンはああいう風にしか撮れない
ないしは、撮ってはいけないというルールでもあるんだろうかと
かんぐってしまいたい感じでありました
ちょっと酷いと思うんだが、そういうもんなんだろうかしらね

そんな違和感を覚えつつだったわけですが
それはそれとして、悩ましい井伊の生きる道が
しれっと、右往左往している方久とともに面白く描かれていて
なかなか満足だったのであります
あの商人あがり、あの立ち回りだったら殺されても
まったく文句いえんだろうと思うんだが
まぁ、直虎だしねぇで終わってしまうのである

ともあれ、次々と難題というか、今川との亀裂が激しく広がっていくなか
いよいよ、政次の最後が近づいてきているような感じだそうで
はたしてどうなっていくか、楽しみなのであります
いなくなられたら、その後、誰がドラマをひっぱってくれるんだろうかな

【読書】天と地の守り人 第三部

2017-07-29 21:14:31 | 読書感想文とか読み物レビウー
天と地の守り人 第三部  作:上橋 菜穂子

ついに完結
読みきってしまった、もうちょっと大事に読もうと思ったのに
あっという間に読みきらされてしまった、
非常に爽快な気分であります
チャグムの長い旅路がいよいよ終結を迎える
そんな按配で、過去との決別と、新たな始まりが
見事に描かれていたのであります
さらにいうと、これまでとうってかわって
戦争が描かれていたというのも重要なところでありました
バルサがいかに強いと描写されていたにしろ、
そういうのとは、まったく別の戦いとして
戦争が描写されるというのが凄いことだなと
改めて、個人の武力がどうしたこうしたというのとは
枠組みが違うものというのを感じられたように思います
こういうのが、戦争で、集団闘争なんだなと
思い知らされたような一冊でありました

これまでになく、殺伐とした物語でありながら、
それぞれが、その場所、その機会で
最善と信じた道を進んでいてというのが
どう読んでいても面白くて、
少し身を離して読むと、シュガのやっていたことが、
そうではないにしても、チャグムやバルサを
少なからず困らせていたのだなと思わされたり
その逆もあったりと、つきつめると、
相容れないことが、多々見られるけども
それらを付き合わせることはなく、解決ではない包括が見られたのも
大きな流れの物語だなと
感嘆を見舞う内容だったと思うのでありました

最終的にというか、もう、物語の通り
バルサたちと、チャグムたちは触れ合うことがないのだろうかなと
このあたりが物凄く寂しいというか、
二人の物語でもあったものが、
いつのまにか、また、二つの物語になっていってしまっていた
どこで、そうなっていたのか思い出せないような
大きな流れみたいなのが読めて
物凄く満足感が高いのでありました
生きる世界が違うという平易な言葉であるけども、
それがまさに、物語で綺麗に集散したというのが
脱帽なのであります

トロガイの大活躍もよかったし、
タルシュ帝国の行く末も面白そうな形で終わったしと
もうちょっと、様々な人たちの行く末を
見てみたいと思わせるようなところで
物語が途絶えてしまうのは残念でありますが、
そういう細かなオチなんか、大きな物語ではありえないのだなと思うと
この、平穏を取り戻したかのように
ふっと、終わったお話に、なんとも
寂しさを覚えて、楽しさを貰ったように思うのでありました

非常に面白かった、よい物語を読んだ

【ドラマ】ダウントン・アビー 6

2017-07-28 21:28:54 | ドラマ映画テレビ感想
感動巨編といったら、だいぶ誤解を招いてしまうけども、
長いシーズンにわたって、固唾を呑んで見守ってきた
ダウントン・アビーの最終シーズンが
つい先日、NHKでの放映を終えたのでありました
ああ、面白かった、もっと見ていたかったのになぁと
なんだろうか、いつものシーズン終わりと同じように、
終わったのか、終わってないのか
よくわかんない最終回っぽい感じだったけど
それでも楽しく見終えていたのでありました

思い返してみれば、みんなハッピーになった
大団円だったのでありますけども、
なんだろうか、カタルシスでもないが、
最後に、その後彼らがどうなっていったかの
エピローグっぽいものを見たかったかもと
少しだけ、消化不良のようにも感じてしまったのだけども
決して、明るいばかりではない未来も感じつつ
ただ、その時、それまでの集大成として
大変幸せなときを描いて終わったと
そんな風にも見えて、満足のいくドラマでありました

今シーズンで、急に従者たちの活躍も目覚しくなり、
あんなにうらぶれていた、モールズリーさんがご出世なさり、
嫌われ者だったトーマスが、可哀想な目にもあったけど改心して報われたり、
何よりも、ベイツ夫婦が幸せになったりと
もう、どれもこれも凄くよかったのでありました
カーソン夫妻誕生の話も、すったもんだを含めて
非常に面白く見られて、なんだかんだ
労働階級の話ばっかりだったけども
十二分に楽しめたと思うのであります

とはいえ、前半では、伯爵一家というか
イーディスの気の迷いのせいで
立派な養豚家が、離散しかねないことになったりとか、
農場の行く末が危ないことになって、
デイジーの暴走が、目もあてらないことになってたりとか、
何よりも、メアリーの身の上が不幸にまみれていたりだとか
様々に困難があったのでありましたが、
するっとそれらも解決してというか、
うまくなんとかなっていって、
ちょっとイギリスドラマにしては、毒がなさ過ぎるのではないかと
感じなくもなかったのであります
けどまぁ、凄い面白かったのは間違いないのだが

身につまされるでもないけども、
それぞれに思うところがあり、精一杯に生きている姿、
そして強かに、コミカルにも見える
強い生き方なんかが見てとれて
なんというか、見ているだけで楽しくて仕方ない
特に教訓や、歴史の学びがあるわけでもない話なのに
食い入るように見られた、素晴らしいドラマだと思うのでありました

トーマスが孤立して自殺を考えるようになったあたりなんかは
本当にもう、他人事と思えないというほど
孤独ではないが、何か、ああいう気持ちや立ち位置というのも
あるかなぁと思わされたりしつつ
それを救ってくれる、気のいい仲間たちというのがまた
なんとも、心穏やかにしてくれたと思ったのであります

まぁ、何よりもやっぱり、バイオレットお婆様が
軒昂というか、ずっと最強のままだったのが一番よかったと思うのだけども
伯爵が血を吐いて死に掛けたりとか
大変なこともあったりしたはずなのに
思い返すと、笑ってばかりいたドラマのように思えて
よい思い出のような印象を覚えるばかりなのでありました

凄いよかった、終わってしまって、とても残念だと
書かざるを得ないほど、本当によかった

【ドラマ】ブシメシ!

2017-07-27 21:52:06 | ドラマ映画テレビ感想
NHKの土曜時代劇枠だったのか、
はてまた土曜ドラマ枠だったのか、
あれこれあった末に、唐突に放映されていた
ちょっと気の毒ではあるドラマでありました

とはいえ、なかなか楽しめたというか
面白く見終えたので、メモっているわけでありますけども
幕末を舞台として、架空の藩で、
食べ物のやりとりを介しながら、
ある種しょーもない話を、いったりきたりと
肩の力を抜いて見られる物語だったと
思うのであります

幕末である意味がどこにあったんだろうかと
見ている最中に、首をかしげていたのでありますが
最終話で、唐突に攘夷の話が出てきたりして
そういう話だったかと
合点するほどでもないけども、なるほどなと
思ったりしたわけでありまして、
とはいえ、なかなか時代考証とかを
うっちゃった内容だったというか、
時代劇風だけど、中身は完全に現代ものだったんじゃないかと
そう思ったりしたのでありました
人によれば、蕎麦屋で、机といすがあるなんていう店は
今でこそ存在するが、あの時代に
あるはずもないと、つっこみが入っていましたが
まぁ、飯もので、それをうまそうに見せようとして
ああいう演出だったとすれば
いた仕方ないとか、もう、擁護するのも
テケトーになってしまうところでありましたが、
その力の入っていなさが、また、
いい塩梅で見られるドラマだったように思うのであります

かなり短期間で撮影したんじゃねぇかしらと
私なりに思ってしまった内容だったんだけども、
別段、すごい旨そうな飯が出てくるでもなく、
話も、まったく難しくない人情ものっぽいところで
短い時間で、一話を片付けていくけど
それはそれで面白い内容だったと
いえてしまうくらいの、ほどよさがあったように思えるところ
そんな中で、草刈さんがやっぱり名優というか
名演技であったなと、感心しきりだったのが
印象深いところでありました

隠し子疑惑の話のところの
コメディにふった演技の自然さというか、
あの感じが、ものすごく好きで
あれは、美の壺と真田丸で培われた新境地じゃないかしらねと
えらそうに書いてしまうわけだが
ともかく、楽しく見られたのでありました

時代劇としては、正直いかがなものかと
そういうドラマだったようにも思いましたが、
飯どきに、力ぬいてみるのには
完璧な作品だったと思ったりしつつ
楽しめたという旨を記しておくのでありました

そうそう、あと、唐突といっていいのか、
吉田沙保里さんが出ていたのに笑ってしまった
ちょこちょこ女優業をやっているのか、やらされているのか
わからんけども、なんか和んでしまう
ちゃんと演技できるようになったら、肉体派でステキとか思ってしまうのである

【読書】天と地の守り人 第二部

2017-07-26 21:20:13 | 読書感想文とか読み物レビウー
天と地の守り人 第二部  作:上橋 菜穂子

読もうか、どうしようかと
迷いながらも、もう先が気になって仕方なかったので
とうとう読んでしまったのであります
ドラマ版よりも先の話で、いよいよカンバル王国へと
バルサとチャグムがやってくるというお話でありました
この二人の冒険は本当に楽しい、
最初期とは、関係性というか、お互いの距離、
特にチャグムの成長が著しいおかげで、
成熟した親子というと、なんかうまく言い当てていないけども
絆と、呼びあらわしたいものが
確かに描かれていて、凄い楽しかったのでありました
本当に素晴らしいな

読み進めて、カンバルでの政治ごとと、
バルサを中心にした、道行の危なさ、その冒険とが
どちらも楽しめるというバランスが素晴らしくて
あっという間に読みきってしまったと
そんな感動があったわけですけども
生き方と交渉、正しい道とは何か、
自分が守ろうとするものはどれなのか、
案外、捨てられないものがあるんじゃないかとかとか
チャグムが、若いながらに、
はつらつとしていた部分に、少なからず陰というでもないが、
人間らしさと言い換えてもよいような、
小さな欠点みたいなのも見えたりして、非常によかったのであります
そこに悩んでいるところに
バルサが、さらっといいこと言って、こともなげに終わるというか
親子のやりとりっぽいよなぁと
感心しきりなのでありました

どうも、バルサの世代に自分を置いてしまうせいもあって、
そういう読み方になっているのでありまして、
感想も、チャグムを見ていたとしても、
バルサからの視線というか、子供を見守る的な感想になってしまいがちだけど、
親を超えるでもないが、成長した頼もしい子供としてのチャグムと
そんな姿の見えて、なんとも微笑ましいといっていいのか、
頼もしいと思う反面、ここというところで、
バルサが役に立っているというのもまた
いい話だなぁと、心の底から感心してしまったのでありました

激しい殺陣と、いい加減に怪我しすぎだろうというバルサを
物凄く心配したりもあるんだけど、
まぁ、大丈夫だよなと、タンダがいなくても
なんとかなってしまうところに、若干の違和感でもないが、
もうバルサ一人で大丈夫じゃんという
気持ちがなくもない感じだったりするけど
ともあれ、楽しめているのでよいとするのでありました

そして、いよいよ完結編へ
もうここまで来ると、一気に読んでしまいたいと
そんな気持ちにかられるのでありました

【読書】天と地の守り人 第一部

2017-07-25 21:02:40 | 読書感想文とか読み物レビウー
天と地の守り人  第一部  作:上橋 菜穂子

ここまでが、ドラマの第二部までで描かれた内容だなと
確認しながらの読書となりました
二つの道をゆきすごしていた、バルサとチャグムが合流する
そこまでなのだけども、お互いがどう動いて
どうしていたかという物語が
かなりはらはらする内容で描かれていて
大変ステキでありました、やっぱりバルサが絡むと面白いなぁ

バルサが、きな臭くなってきた新ヨゴ界隈から、
一路、ロタ王国へと足を定めて
冒険が始まるというあたりの話なんだが、
殺陣と駆け引きのやりとりが多くて
非常に面白い内容でありました
海賊やら、盗賊やらとの丁々発止のやりとりがあれば、
タルシュの密偵との危険な駆け引きだとか
様々に出てくるわけで、ドラマで先は知っているものの
なかなか読まされてしまったというか
どうなるんだと、わくわくしたのであります

相変わらず鬼のように強いバルサながらも、
かなりピンチに陥る場面も多くて、
年齢を少しずつ意識はじめるところなんかも
わずかながらに描写されていて、
この稼業に身をおく人生について、考えさせられたりするのであります
そんな生き方してないけども、人間は老いていくのだなと
改めて思い知るのである

派手な立ち回りのあとに、敵か味方かわからない輩との
出会いと別れがあって、これまで紡がれてきた物語で
それぞれであった人たちとの再会や、
運命なんかがでてきて、集大成という印象が強くなってくるのであります

バルサとチャグムの再会シーンについては
わりとあっさりだったなと思わなくもないのでありますが、
それでもやっぱり、二人の奇妙な愛情が
素晴らしい形となって現れていたようで
感動したのでありました

随分離れていた間に、すっかりチャグムが大人になっていたというか
大きくなっていたのだという、肉体的な描写が
なんというか、親になったこともないのに
感慨というものを覚えさせるのでありました
さらに、厳しい旅が続いていくわけだが
早く先を読みたくてしかたない
けど、ドラマ前に読んでもよいだろうかと
悩んでしまうのである

【読書】片倉佳史の台湾新幹線で行く台南・高雄の旅

2017-07-24 21:10:24 | 読書感想文とか読み物レビウー
片倉佳史の台湾新幹線で行く台南・高雄の旅  著:片倉 佳史

発刊が少し前なので、情報が若干古いと感じるものの
台中から、台南、高雄に向けての様々な都市について
あれこれレポートされている
なかなかステキな一冊でありました

基本は台灣新幹線を利用して、各駅で降りてから
台灣鉄道、ないしは、バスを利用して巡るという形になっていて
ちょっと地図の説明がないので、わかりづらいと思うところもあるけど
あまり知らない地方もクローズアップしてくれているので
今度いってみようかしらと思わされる魅力にあふれているのでした

内容には、補足的に台灣好きな人のコメントも入っていて、
ある種、ブログ的な楽しみ方もできるようで、
しっかりした本なんだけども、ガイドブックの側面も
かっちりしているという印象でありました
結構な数の都市を紹介しているので
それぞれが、けっこうざっくりなのでありますけども
この一冊分を楽しもうと思うと、半月くらいは滞在しないと
全部まわれないといった感じでもあり
なかなか楽しめるのであります

史跡の紹介のほか、町の成り立ちや現在なんかが
簡単にまとめられているので、興味があるところにいき
それを確かめるような楽しみ方ができそうで素敵であります
やや鉄道好き向けになっているのか、
駅舎や、鉄道そのもののよさみたいなのに
文面が割かれているのも特徴的でありましたが
そういうジャンルの人は、旅の目的が別にあって
ちょっと羨ましくもあるなと感じるのである

食べ物の紹介もいくつかあるものの、
そんなに押し付けがましいわけでもないし、
お店紹介のガイドブックとしては物足りない量ではあるものの
おおむね満足というか、とりあえず
その土地にいったら、何を食べないといけないかと
そういう点には満足できる内容だったので
なかなか勉強になったと思うのでありました

バス旅も視野にいれるなら
読んでおいて損はない一冊であったと
そこまでやろうとしていない身分ながらに
思い知ったのであります
面白かった、本当にもう、また行きたいなぁ

おんな城主 直虎  女たちの挽歌

2017-07-23 20:55:29 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」
視聴完了であります
いよいよ歴史が動いてきたというか、
そこに井伊が関わってきたという感じで
楽しさが増してきたと思うところ
大河ドラマにつきものの、子別れの儀式が
無事済まされたと、そんな按配でもありましたが
いつのまにやら、しのさんが、あんなにできた女になっていたなんてと
感慨深い思いにとらわれるのでありました
あのヒス女はどこへ行ってしまったんだろうかというくらい
見事ではないか

家康とのやりとりに加えて、
上杉、武田を絡めての何かという感じになって
まぁ、実際そうだから仕方ないとはいえ、
あまりにもあっさり今川を切っているというところが
戦国ならではだなとも思うんだが、
これまでの流れからするとどうなんだと
感じたりも…、いや、割と酷い目にあってきたから
仕方ないという感じもするかな、どうかな
ともかく、このあたりが、結構あっさり流されているように感じて
ちょっと考えさせられるのであります

着々と、戦国っぽいやりとりが続いていき
武田から、実にわかりやすい喧嘩の売られ方をする今川と、
その陰で、暗躍する井伊みたいな国衆というのは
もうひとつ、二つくらい、ほかの国衆がどうしているか
ちょっと見てみたかったと思わなくもないのでありますけども
しばらく、武田と右往左往することになるかと思うと
そっちが楽しみなのでありました
武田の誰と絡むんだか知らないが、井伊が徳川の与力になり
ちゃっかり、赤備えをついでいくさまが
今から楽しみなのでありました

そうかと思うと、ぽっくり信玄坊主が死んだりするというのが
この時代の面白いところだよなと
改めて思い知るのでありました
よく知る戦国時代より、ちょっと前の時代だからか
なかなか面白いと思うのであります

【読書】蒼路の旅人

2017-07-22 21:03:16 | 読書感想文とか読み物レビウー
蒼路の旅人  作:上橋 菜穂子

守り人シリーズ外伝、旅人シリーズであります
チャグムの冒険を主軸にした物語で、
国を背負う責任、複雑な立場と思いなんかが
切なくといっていいのか、葛藤とともに描かれて
成長譚として面白い小説シリーズであります

ちょっと大人すぎるといっては、
失礼になるというか、むしろ、これくらい考えないと
いけないよなぁとも反省を促されるようで
まぶしくて仕方ないチャグムの成長っぷりでありますが、
立場の複雑さに、まだ若さから父との対立があり、
国を左右するようなことに巻き込まれていくという
まぁ、大変でしかたないことこのうえないところ
一人でどうしていくか、考えて、実行しと、
歩んでいく姿が感動的なわけでありました

最終的にはというか、この物語はきっかけとなっただけで
何も解決しない物語だったわけでありますが
それでも、チャグムの覚悟と成長が
見て取れて面白いのでありました

とはいえ、やっぱりバルサがいないとこのシリーズは
面白みにかけてしまうななどと、感じてしまうわけだけども
そういった庇護者というものに頼らず
なんとか自分で考えてどうにかしていこうと、
支えてくれた人たちの思いや、気持ち、
そしてその人たちへの影響なんかに挟まれて
苦しむ姿が、まぁなんだろうかな、
がんばれなどといえるようなこともないんだが、
積まされるようでありました、何をといわれると
とらえがたいが、ともかく、ぎゅっと苦しいのである

導くものがどうあるべきかと
その王道を一人踏みしめていく過程が描かれていて、
魅力と大器を感じさせるなか、この苦難を
はたしてどう乗り越えていくのかと
先を楽しみにさせる一冊でありました

平穏は続かないというか、常に苦難が満ちているものだなと
改めて思い知らされるわけでありますけども、
これらの苦難によって、優秀な帝となるのか
はたして、別の未来がまっているのか
チャグムを見守る読書が続いていくのでありました

【映画】KANO 1931海の向こうの甲子園

2017-07-21 22:05:35 | ドラマ映画テレビ感想
先日、テレビ放送されていたのを見たというわけで
たぶんにカットされていたと思われるから
大々的に見たといえない感じなんですが、
思った以上に吸い込まれるように見入ってしまい、
感動したので、メモっておこうと書くのでありました

台灣から甲子園を目指したというお話であります

かつて、台灣が日本であったときのことで、
台灣代表として、嘉義農林学校野球部が、
台灣予選を勝ち抜いて、甲子園で大活躍するという
青春スポーツものでありました
映画が封切りされていたとき
もしかして、政治臭いのでないかと敬遠してしまったんだが
純粋な高校球児のドラマでありました
映画館で見ておけばよかった

物凄く弱かった学校が、練習と指導によって
めきめき強くなっていくというお話なのでありますが、
野球そのものもさることながら、主題には諦めない魂ともいうべき、
この野球で培われた、最期まで諦めないプレーのそれこれが
人を感動させたというところにあって、
これがまぁ、非常に感動させられるのでありました
がんばろうという気持ちを奮い立たせるものがある

制作は台灣なんだけども、
全編ほとんど日本語という映画なのが凄いところで、
役者さんも、日本語をしいられているのが、
リアルっぽいなどと思ったんだが、
考えてみると当時の学生はみんな日本語喋ってるから
あんなに片言なわけではないのかなと
思ったりもするが、それはそれ、
その言葉のたどたどしさが、甲子園で活躍するときにまた
なんとも感動を催してくれるのでありました

台灣としても、八田先生によるダム工事がちょうど終わるところだったり
台灣が日本治世下で、様々にかわりつつあり、
そこでまた、不遇でもあったときに希望の光とすらいえる
素晴らしい活躍をした嘉義農林がよかったと
そういうお話でありまして
少々強引かなと思うものの、他民族があわさった不思議なチームが
旋風をまきおこしたというドラマが
非常に面白かったと思えるのでありました

身内贔屓は当然あるのだが、それを超えての感動を
当時も感じさせる活躍があったのかもしれないと
なんとも、清清しい気分で見終えられた
よい映画でありました、面白かった

【読書】青年のための読書クラブ

2017-07-20 21:10:40 | 読書感想文とか読み物レビウー
青年のための読書クラブ  作:桜庭 一樹

不思議な女子高を舞台にした、
100年代記といったらいいのか、ファンタジーとは違うけども、
漫画のような、ある種幻想的なお話でありました
結構面白かったんだが、どう形容したらいいか
なかなか難しいと思う小説でした

ある修道女が作ったという由緒正しい女子高にて、
その女の園ならではの面白さというか、
なんだろう、物語でしか見たことないが
女子高とはこうあってほしいものだと
ミッション系なるものについての
幻想がてんこもりに詰まっていたように思う世界観であります

そんな芳しい園に、その幻想から落ちぶれるというか
異形である、と形容される、
平たくいうと、不細工なのか、おしとやかさがないのかと
そういうはみだし女たちが集まって、
もくもくと本を読む場所、読書クラブが、
この学園の暗部でもないが、裏や、秘密や、事件を
起こしたり、巻き込まれたり、操ったりと
楽しそうな学園風景が描かれるのでありました

それぞれのエピソードは、歴代の読書クラブ員が、
目にした、あるいは、操った事件を綴った形で進んでいき
この物語が、紡がれていくことを祈るような
記すことが面白いと笑うような
なんだろうな、やはり不思議な魅力にあふれていて
形容しがたい物語なのでありました

様々な年代の、様々な世相と
そのときの女子高生たちを主役としつつ、
輝かしい青春といっても過言ではない日々が綴られて、
読んで楽しいという読書を
じわじわ味わえたのでありました
面白かったのに、どう伝えたらいいか難しい物語だ
いや、まったく難しいところはないんだけども
なんだろう、魅力を言葉にできない

NHKスペシャル シリーズ ディープ・オーシャン 南極 深海に巨大生物を見た

2017-07-19 21:18:57 | ドラマ映画テレビ感想
久しぶりといっていいのか、NHKスペシャルのネイチャー番組であります
ダイオウイカからもう、数年の時を経ているというのが
まず衝撃的だったのでありますが、
今回は、南極の深海というマニアック極まりない部分での
調査について報告がありました
すごい面白かったというか、南極というものが何か
一つ勉強になった、よい番組であったように思うのであります

そもそも、なぜ南極が寒いのかという部分が
かなり衝撃的というか、そういうことだったのかと
感心しきりだったわけでありますが、
自転によって、南極周辺に海流ができたことで
暖流が入り込む余地がなくなったというのが
真相なんだそうで、それによって冷えた大地が
氷に覆われて、さらに重いから沈み込むとか
壮大な地球の営みが見てとれて大興奮であります

そして、メインである、この深海に住む生き物たちの生態が
これまた非常に面白かったのでありました

なぜ、冷たい水に酸素がいっぱい溶け込むのかはよくわかりませんでしたが、
ともかく、そういうことによって、局地的に巨大生物がはぐくまれていると
その説明と、実際がなかなか衝撃的でありました
やっぱり海は怖いなぁと、ありていなことを言ってしまうわけだけども
巨大クラゲと、巨大オキアミや、横エビなる生き物は
怖くて仕方なかったのであります
あんなのにとびかかられたら、ショックで死んでしまう

メインの一つであった、巨大イカの存在も
無事確かめられたというのが素晴らしいところで、
その直前の、クジラの死骸が、ある種墓標のようになっているのが
小説か漫画かのようで、どきどきしたわけでありますが
あのイカが、ダイオウイカと違って、美味しそうに見えたのが
南極のすごいところだなと感じるのであります
あれは、刺身にしたらなんだかうまそうだった
でもやっぱり、大味なんだろうか気になるなぁ

今回は、やたら女性研究者が多かったというのに
不思議な気持ちを抱いたのでありますが、
深海という分野に何か
女性が惹かれるものがあるんだろうかと思ったりしつつ
興味深い、そして、ものすごく神秘と美しさに彩られた
南極の面白さを堪能できた
良い番組だったと思うのであります

最終的には、温暖化によって、カニの侵略が始まっているというのが
衝撃でもあったんだが、それはそれとして
今、あの状態の深海を見られたというのは僥倖であろうと
思うのであります

【読書】名匠と名品の陶芸史

2017-07-18 21:30:28 | 読書感想文とか読み物レビウー
名匠と名品の陶芸史  著:黒田 草臣

珍しく興味のある分野をちゃんと勉強するかのように、
その筋の本を、もちもち読んでいる昨今であります
これもまた、そのひとつでありまして
個人的に大好きな陶磁器に関する部分の
近現代にスポットをあてた非常に面白い一冊でありました

荒川豊蔵から、北大路魯山人まで、
ほぼ同時代の陶芸家たちの紹介が主の内容でありまして
明治、大正、昭和の初めにいたる日本陶芸の動きというか、
その歩みがわかるようで、大変楽しい読書となったのであります

話には少しずつ知っていたわけで、
永仁の壷事件に関わる数人も、当然のように紹介されているわけでありますが、
そのそれぞれが、どういう人であったか、どのような陶芸家であったかと
そのあたりの補完というか、勉強ができてよかったのでありました
読んでみるほどに、やっぱり、加藤唐九郎という人は
よくわからんなと思わされたのであります
紳士として記憶されている、半泥子が袂をわかったそうなので、
人間的には、どうにもという感じだったのかもやもと
考えさせられたのでありました

とはいえ、この美濃に関するところは、結構な闇でもないが
何かある様子でもありまして、加藤土師萌さんなんかも描かれていて
この謎に軽く触れられていたのも興味深いところでありました
物凄く気になるというか、あのあたりの加藤さんは
やっぱり全部繋がっているというか、なんかあるんじゃねぇかなと
思ったりしてしまうのであります

あとは、恥ずかしながら勉強不足で知らなかった人も
ひとつ、ふたつとエピソードとともに覚えることもできまして、
特に、石黒宗麿さんという方が破格の凄さであったと
興味がわいた次第であります
木の葉天目をついに復活させたという人なんだそうだが、
それでいて孤高、官や大きな流れを忌み嫌って
民藝運動だとかとも戦ったりしてて、この反骨っぷりは
目をみはるようだなと思わされたり

それはそれとしながら、民藝派と呼んでいいのか、
よく一緒にされそうな人たちも、実は細かいところで
主張が違ったり、あれこれ分かれたりしてたんだと
そういう歴史も理解できて、非常に面白かったのでありました
これらのパラダイムというか、大きなうねりみたいなのが
日本の近現代陶芸史に繋がっている何かだと思うと
心がわくわくするのであります

そして何よりも、半泥子のその生き様というか
陶芸家としての凄さについて、さらっと書き連ねつつ
そうではない、実業家としての凄さも説明されていて
尊敬の念をさらに深めたとか、そういうことも起きたりして
個人的には、大変勉強になった一冊なのでありましたとさ

ただ、読み終わって、今は覚えているんだが
正直、この貴重な情報を半年もたたないうちに
失ってしまいそうだなと、自分のもの覚えの悪さを呪いつつ
わかりやすい本の弱点だと思ったりもして
読みやすいばかりに、覚えておられないと嘆いたりの
メモを置いておくのでありました
何冊か読まないと駄目だなぁ

【読書】後藤さんのこと

2017-07-17 09:45:04 | 読書感想文とか読み物レビウー
後藤さんのこと  作:円城 塔

図書館で、えらい勢いで借りられ続けていたのが
ようやく回ってきたのであります
好きな人が多いなと、驚きをもってしまうのだけども
自分も好きだしなぁと、なんというか
面はゆいという単語があってんだか知らないが、
わかりもしないのに、愛でているのであります

そんなわけで、相も変わらず、
何度読んでも意味不明な小説でありますが、
SFと呼べばいいのか、前衛的な小説であります
円城作品をまたも読んだのでありました

今回も、哲学的迷走でもないが、言葉遊びのあれこれを
十二分に堪能できるところでありまして、
表題作の「後藤さん」についての、ちょっとした論文めいた
遊び文章が非常に面白くて、それでいて、
小説なのにむやみに数色の色分けが必要という
印刷屋泣かせではないかという試みに
衝撃を受けたりしたのであります
「後藤さん」という人物、ないし、現象について、
それを並行で存在する何かと定義した場合に
とりあえず、文字色や装飾を変えることで
複数の「後藤さん」が存在しているかのように読ませて、
かつ、それぞれの関わりや、それぞれがいわんとすることから
時間軸について、あれこれ楽しませてくれるという
もう、やっぱり、書いているうちから意味不明なできばえだったのであります
すごい面白かった

今回は、いくつもの作品で時間概念への挑戦といっていいのか、
時間とは何か、それと存在とのかかわりはどうだろうかと
文字で書き連ねるものが多かったと
印象を受けたのでありますけども
瞬間の連続と定義した場合に、
過去と未来の自分が地続きだとすれば、
未来から過去へと地続きの存在もいたりするんじゃないかしらと
そういうお話じゃなかったのかもしれませんが、
なるほどなと、複数の存在と入れ替わりたちかわりして
なにやら絡まっていくような様子が
大変面白かったのでありました
認識が、存在を証明しているといっていたのだか、
だれかがそれを見たということが発生してこそ
その人はそこにいたのだそうなのだが、
なかなかどうして、一人で生きている場合は
生きていないという、哲学命題でそんなのあったなぁと
それを茶化すかのような物語も遊べて
なんというか、満足なのであります

つらつら、あれこれ書き連ねることはできるけども
結局、本当にちゃんとこの小説と響きあったかといえば
はてなと言わざるを得ないわけでありますけども
今回のは、かなり読みやすい部類だったんじゃないかと
自分のなかで納得しつつ、本を置いたのでありました
面白かったけども、やっぱり
なんなのかよくわからん魅力がいっぱいであった

あと、書き忘れていた
「後藤さんのこと」で、第一章というか一つ目の大枠内で、
赤字で書かれている文章だけを選り抜いていくと、
なんとなし、後藤さんとの会話文だけになったように思えたんだが、
そういう読み方でよかったんだろうか
その逆は、もう一つ意味が通らなかったんだが、これは
なんか、新しい試みであったかどうか、どっかにこたえがないか知りたいところである