CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】街とその不確かな壁

2024-12-23 21:08:26 | 読書感想文とか読み物レビウー
街とその不確かな壁  作:村上春樹

久しぶりの村上春樹
多分、またわからないまま、手ごたえを得ずに読み終えてしまうだろうなと
思ったり考えたりしながら読んだのだが
今回は、より一層わけわからんというか、結局なんだったか
さっぱりわからんまま終わったんだが、
あとがき読んで衝撃的だったんだが、旧作のリファインだったそうで、
はたしてもともとはどういう物語だったのだろうか
それすらもわからんし、まぁ、これはこれでいいかと
とりあえず読み終えたというメモだけおいておくのである

ありていに、簡単な話しとしては、
ある種の失恋話しで、それをずっと引きずってる男の話しのようにも思えたんだが
それにしては、入り組んでいるし、もしかしたら
最初はそういう話しのつもりだったけど、それがそんな単純なことではなく
ただただ深く何かがあるために、男子たるもの失恋すると
ああいう感じになるのだという、そんな話しだったりしたんだろうか
それはそれで面白いというか、
ようやく、村上春樹と会話できそうとか思ってしまったけど
多分そんな感じじゃないな
そんなわかりやすく軟弱ではないだろうと思えば、やはりわからんと
思いつつ終えたのである

想像上の街、高い壁に囲われた街という抽象的なお話で、
そこから来た少女と、そこへ行った男と
そんな行き来の話しのようでもあったが、
人間の影とか、本当のとか、そういうともかく実態のない話しばかりで
だけど、それが厳然とあって、そこに囚われるでもなく、
その内にある語られることのない因果みたいなのに縛られているような
そういうお話であって、色々設定は面白いので、
もしかするとそれぞれが何かのメタファーでとか、そういうことかとも思ったけど
それすらも、もはや放棄したんじゃないかと
そういうしゃらくさいことはしないという感じですらあるのか、ないのか、
よくわからんまま、でも、なんかありそうな風だけで話しは進んで
街に入り、街から戻り、また街へ行き本当に帰る
そんな物語になっていたのであった

最初の街から戻るくだりくらいまでだったら、
やっぱり壮大な失恋話しだったで辻褄があいそうというか
そうであってほしいとか思いつつ読んだわけだが
そんなはずもなく、もはやそういうことではないと突き付けられたようでもありながら
さりとて、強く愛した人をもつとそこで燃え尽きる話しとかがあったりして
なんというか、もやっとして読み終えたのであった

結局なんだったか、わかることもなく
また、村上春樹を読んだという事実だけ手に入れた読書であった

【読書】蘇える変態

2024-12-16 21:33:09 | 読書感想文とか読み物レビウー
蘇える変態  著:星野源

正直なところ、星野源という人物は急に出てきた人という感じで
歌手としても俳優としてもまったく知らなかったのだが、
ある時から急に出てくるようになって、どうやら、死の淵から帰ってきた人らしいと
そんな噂しか知らないでいたのだけども
まさに、その渦中を描いたエッセーというか、自身の記録、日記とも異なる読み物として
この本があったようだ

序盤は雑誌で連載していた内容の再録といった感じで、
実に気の抜けたというか、これ女性誌でやってて大丈夫なのかという
かなり下ネタに振った内容で、面白いけど、ノリが完全に深夜ラジオのそれだなと
苦笑い寄りの笑いを携えながら読んでいたわけだけども、
真ん中くらいで突然の暗転、まさに、本の体裁としても暗転して、
その事件とでもいうべきであろう、脳内出血になった前後の日々、
その後の苦しい復活までの日々、そして、復活してきたよといったところまで
その間の様々な葛藤というか、心情の吐露というか、吐瀉といった方がよさそうなものが
なぐりつけるように書かれていて、非常に読み応えあって面白かった
いや、面白かったというのは御幣があるな、
凄く興味深く、かたずをのんで読んだのである

基本的には根暗というか、絵にかいたようなヲタク趣味で、
そのまま生きてきていたけど、運よく音楽をやろうと思って、実際やってみてと
そういう人生だったのだけども、そこに至るルサンチマンといったらいいのか、
まぁ、やっぱりサブカルっぽい何か、ため込んでいるものというのをうまいこと昇華して
ミュージシャンとして活動してたんだなーと思わせる記述が山ほどでてきて
大層共感というか、男子高校生の会話然とした内容に
安心して読み進められていたわけだが、
病気といっていいのか、それを境に死にそうな瞬間が少々と
あとは、それを乗り越えて、当然ひどい裏側があろうけど
そこではなく、より前を向いた内容をなんとしても書こうという気概のもとに書かれているのが
大変よろしくて、読んでいて感動を催したのでありました

まぁ、そんな男も、復活して何かが変わったのであろうか
とても綺麗な嫁さんもらってる現状からすると、違和感というではないが
なんちゃって根暗かよ!と突っ込みたくなるわけだけども、
そんなことより、やっぱり、蘇って良かったな本当にと
そちらの気持ちが熱く湧き上がってくる、そういう気持ちになる本でありました

【読書】恋愛未満

2024-12-14 21:05:09 | 読書感想文とか読み物レビウー
恋愛未満  作:篠田節子

なんともいえない気持ちになる小説だった
けっこういい年齢になってしまった独身男性を扱っているので
まるで自分のようでもあるし、まるで違うしというのが
なんとももやもやとするといえばいいか、いやはや

町の楽団内でちょっとした恋愛のようなことが発生したと
まぁそんなお話なんだが、それの対象がよろしくなくて、
いい年齢になったおっさんが、若い子に懸想したと
まぁ平たくいえばそういう話しで、それはまずかろうと、やや若くない女性陣が心配したり
憤慨したり、それはそれとしておっさんも悪気がなさそうなのが気持ち悪いとか
まぁそんなことで、おっしゃる通りだなとも思うのだが、
そのおっさんが、本当に悪気なく、でも、もしかしたらとでも思っているという態度で
あれこれしているという様を可哀そうといっていいのか、
女性陣なりに気を使って、そういうことじゃないと遠回しから直接からと
ともかく伝えては、なんだかんだというお話だったのだが
そのおっさんも、そんな事件がなければ、
独身でちょっとかわいそうだな、わりといい感じなのになと思わせていたから
また、そのギャップでもないが、若い子にどうのこうのというのが
酷いありさまでというのが、いたたまれない

そういう空気を描きつつ、そして、結局それはそれとして
まさにそういう男にこそといったらいいのか、
よくわからんが、最終的にはそれとなりの出来事と出会いが用意されていて
まぁ、それでおさまるならいいんじゃないと女性陣がわいわいしていると
いかにも、そこらにありそうなお話がまとまっていて
大変読みやすく、まるで近所のよもやま話しで聞いたみたいな感触で読めて
面白かったのでありました

また、それとは異なるのだが、年の差と性差を扱ったといってしまっていいか、
何かしら、そういうせいにしたくなるような、ある種のコミュニティの違いみたいなのも扱っていたり、
そうかと思えば、年老いた母との別れを描いたりという
まるで違う短編も編まれていたのだが
いずれも、やはり身近にありそうな、そこらにいそうな人の物語というのが
とてもさらっと描かれていて、それでいて読まされるという
いつもながらに凄い文章力だよなと感心しつつ
気づいたら読み終えてしまっていたのであった

面白かったと余韻は残っているが
結構なこってり感があったようなのに、終わってみるとさらっと済んでいる
こういう読書になりがちな作者だと
驚いていつも読み終えるのである

【読書】ムーンシャイン

2024-12-09 21:05:21 | 読書感想文とか読み物レビウー
ムーンシャイン  作:円城塔

久しぶりに著者の本を読んだのだが
過去作の短編集だった
個人的に、受賞作の道化師の蝶と文字渦が好きすぎるので、
その頃の雰囲気が残っているような、どうなのかと
そういう感じの短編で、なかなか楽しかったのでありました
と、まぁ、読んだ後に、そういうそれぞれの小説のなりたちというか
生い立ちをあとがきとして追記しているので
大変助かったというか、そういうことかと合点したのであった

そのあいの子というでもないが、個人的には「遍歴」が一番面白く、
宗教というものを一種のオープンソースに見立てるという内容で
このあたりのハチャメチャなところが大変楽しいと
まさにソースコードが書き換えられていった遍歴が
それこそ、宗教のなりたち、その哲学の変遷を見せるというのが楽しい
というか、改めて再定義されてというか、
ソースコードの管理というか、ああいうものって、
つまりは、こういうことだったみたいな感じで
知ってた人からすれば当たり前なんだろうけど、なんというか、
無知蒙昧からすると、大変楽しい体験であったと思うばかりである

もっとも、内容として、人の生の円環なるものがというあたりは
本当に哲学の領域というか、やはり、著者が好む言葉遊びのそれじゃないかと思って
それよりは、事実というか、もう少しベース部分の、
記載記述、そういった方法の楽しさというものが、
つらつら、書き連ねられるだけの文章で楽しく読めてしまうのが
著者の真骨頂よなと、しみじみ思ったのである

表題作については、それこそ言葉遊びの極致めいた
素数をはじめとした数学っぽいものを下地にして、
なんかとても楽しそうというのが、わずかにロマンスめいたというには遠い、
どことなくSFにある、人間の物語が織り込まれているという感じが
これまた楽しいのだが、私の事前知識というか、下地の知能が足らないので
もうちょっと楽しめなかったのであった

あとは、SF夢十夜的なパリンプセストやらも面白いけど
ここに見られる着想とかは、最近のSF作家みんなが思ってそうなもので
これをどう展開するかというのが、作家の腕なんだろうなと思いつつ
なんぞかんぞと読んだのでありました

それにしても、はじめに書いた、あとがき部分に戻ってしまうが
作家になろうと思ったあたりの動機と動向が
頭いいのに変わってる人だなという感じがせんでもないが
作家としてというあたりに、ひとつあたりがあった、
そしてそれをどう落としていくかという絵の描き方が
普通の作家が書かない感じの来歴だなと思えて、
実際はそう動いている作家が多いとしても、あけすけと書いてしまうところが
いいなと思えたのであった

【読書】データ分析失敗事例集

2024-12-04 21:07:35 | 読書感想文とか読み物レビウー
データ分析失敗事例集  著:尾花山和哉

タイトルの通り、流行のデータ分析について、
とりあえずやってみたけど大失敗で終わったという事例を
山のように集めてきて、その反省を試みるといった本でありました
まぁ、そうだよなということのオンパレードで、
いかにもありそうと思いつつ、そして、
その要点も理解できるが、じゃぁ避けられるかというとどうかなと
こういう事例というか、事象にありがちな感想で終わってしまった

こういった失敗事例も、いくつかに類型化できるというのも
もはや手あかにまみれた話しでもあるわけだが、
いかにも身近に転がっていそうな、社内政治利用だったり、
結果ありきのデータを欲しがったり、よくわからない期待で突っ走ったり、
最初と目的が変わったりと、データ分析に限らず
あらゆる仕事で出てくる失敗と本質は変わらないなと思わされるところ
とりわけ、新技術だからと、とりあえず関係しそうな人を放り込んでおいて
あとはそこに口をだしたい素人がいっぱい集まるという
極めてよろしくないチームができあがると
あっという間にデスマーチという感じで、本当、
見たことある話しばっかりだなと思ったりしたのである

と、まぁ、偉そうな高みからの感想を書いてしまうわけだけど
実際自分もそうなったし、これからもなるであろうと思いつつ
とりあえず、AIときいて、ビッグデータだと踊らないように
本当に何が、どうして、どのように必要か、そのためにどれくらい考えるか
結局は運用する人間次第だということを
頭に叩き込んで、せめて、そういうヤバイ状態になったなと思ったら
すぐ撤退できるような、そういう心構えで行きたいものだなどと
思うままに書いておくのである

得るという感じではないが、読んで、いたたまれない気持ちといえばいいか
ともかく、何か残るものはあった、残滓とでも呼ぶものか

【読書】日本精神史

2024-12-02 21:05:16 | 読書感想文とか読み物レビウー
日本精神史  著:長谷川宏

とんでもなく難しい本を読んでしまった
上下巻だったのだけども、はたしてちゃんと読み切れたかどうか
思いつつ、とりあえず読んだ証拠を残しておく次第

上巻にて、縄文時代から始まり、奈良、平安、鎌倉くらいまでといったところで
日本人の精神がどう変遷したか、その事象や証拠といえるような美意識、
哲学といったものを挙げて推察していく
土器のありかた、とりわけ、火焔型土器というものが、
一種の芸術作品として登場したことが、その精神性の向上の結果であると
まぁそういう感じの論調で、様々な歴史的なものを紐解いていくというわけで、
この先史といってもいいような時代においても、
そこに日本人というものがあったという考え方はかっこよくて
ステキだと読み進めたのであるが、
ちょうど、今の大河ドラマとリンクする平安時代の精神性において、
枕草子と源氏物語を取り上げたところがまたまた、大変よろしく
この本をこのタイミングで読めたのは僥倖であったと思うばかりであった

古事記や万葉集といったものの成り立ち、
そこに描かれているものが、日本の歴史でもあり、物語でもあり、
ある種のプロパガンダめいたものでもあるわけだが、
それに美意識と知性が強く押し出されていく様が、
精神の向上を示しているとみえて、万葉集における、万の文学、歌が
市井の声でもあり、歴史でもあり、地域性なども考慮されて
広く日本そのものであるというのは納得できるところ、
また、この歌というものについての芸術性の高さが
やがて、貴族の嗜みとして定着し、文学としての表現を一段高くして、
枕草子と源氏物語が現れるというのがとてもよかった

その途中、当然奈良時代のそれこれにおいて、
何よりも仏教の到着が大きな役目をはたしていて、
その教義理解と、そこに関わった僧のすごみというのが
半ば伝説的に記されているのもよいわけだが、
地獄極楽といった思想が根付いて、国家鎮護としての仏教というものが
天平文化をこしらえていく様というのがまたよろしく、
こういったものが、ゆくゆく、仏教美術という世界を作っていくのかと
骨董好きの端っこにいる身分としては感激して読んだのでありました

下巻では、鎌倉時代中期から江戸時代にかけて、
だんだんと広がりをみせていく日本の美術史をおいかけていくように話しが展開
平家物語を端緒に、寂しさを顕すものが日本史において
精神性とリンクした何かとして重宝というか、よく取り上げられるようになり、
これらが、能やわびさびの成立に繋がっていくようでもあり、
その途中、武士の生きざま、性格を定義づけたともいえる御成敗式目などによって
貴族文化の情緒から、武士による質実理知が含まれるようになったというのが
大変興味深いところでありました

話しとしては、絵画や浮世絵浄瑠璃といったものにも広がるのだが
やはり、わびさび茶の湯の話しが、個人的に興味深いところもあって
大変楽しく、利休のみならず、紹鴎と珠光からの成立を見るのも非常によかった
このあたりで、日本人の通底にある歪みやひずみといった
非対称を愛する文化の成熟がみてとれるわけだが、
それが、唐物思想への反目であったのかもしれないというのも
なんとなし腑に落ちるところで楽しかったのである
日本史をなぞるという意味でも
大変有意義な二冊だったわけだけども、
これらが続いている、関連性があると説明されての内容がまたまた面白くて、
日本人という精神性が構築されていく歴史を
文化文物によって解明、推測していくというのが非常に楽しい
とてもよい本であった

はたしてどこまで理解できたかといえば、さっぱりだし
読んだはたから忘れてしまうのだけども、
この年齢までに触れてきた、様々な日本史の物語ともリンクして
なんか、壮大な時代の蠢きを見たような
とても面白い体験となる読書であった
読んだ価値があったと、思うのである

【読書】戦略の要諦

2024-11-21 21:32:29 | 読書感想文とか読み物レビウー
戦略の要諦  著:リチャード・P・ルメルト

戦略策定のイロハについて、事細かに記した本だった
著者が、相当著名な研究者のようで、実際の経験から導いたものや、シーンの話しが面白くて、
戦略を練るとはどういうことかをかなり詳しく説明していて大変楽しい本だった
とはいえ、読み終わって、面白かったしか残ってないので
自分の頭がどうかしてると思うのだけども、
何かを成し遂げるための道筋を立てるということ、
それは目標を立てるだけとか、取捨選択の意思決定をするだけとかではなく、
どうやって物事を進めていくか、その本質を突き詰めて考え、
そして解決していくという作業すべてを指示していて、
なるほど、凄いなと感心しきりだったのでありました

人が陥りがちな誤謬を避けつつ、想いのバイアスにかからぬように、
本当に必要なことにフォーカスして、そこへ集中するということの大切さが
なるほど、とてもわかりやすく説明されていて、
実際に、あれこれやってるとき、様々なことに気をとられているというか
気づいたら、誰かの想いの代弁になっていたりとか、そういうことが往々にしてあるなと
反省させられることが多々あったわけだけども、
達成までの道筋をどう立てていくか、一見無理そうなものを掲げても
深く掘り下げるという作業をしていけば、きっと解決するというのが
非常によいところであるのだけど、最終章で書かれていたラムズフェルド長官との対話にあったように、
どうしなければよかったかはわかっても、どうしたらいいかはわからない
解決策としては、とても賢い人を集めて小さな部屋で討論させて
なんか浮かぶのに賭けるしかない、というのが
多分真実であろうし、戦略の難しさを物語るエピソードだなと感じたのでありました
とはいえ、素人や能力が低いものがあきらめてよいという話しではないから
頑張って、考えるということだけはやめないようにしよう、
テケトーなところで、思慮を打ち切るのをやめようなんて
思ったり考えたりしたのであった

すごくいい本だったと思うが、
自分にはあまりにも高度すぎるというか、
そういう身分ではないと怯んでしまう内容だったけど
読んでよかったと思うのである

【読書】戦略ごっこ マーケティング以前の問題

2024-11-18 20:58:28 | 読書感想文とか読み物レビウー
戦略ごっこ マーケティング以前の問題  著:芹澤連

読むだけは読んだ
そんな感じで、さっぱり内容理解してないというか
情報量が多いので消化しきれないといった感じで、
論文の査読でもないのだが、マーケティングにまつわる様々な研究をまとめた
ある種のまとめ動画的な内容なんだが、正直論文引用があるだけで、
その内容がさっぱりわからないので、専門用語も多すぎて
ほぼ理解できないで終わったのである
そもそも、マーケティングに対して、ちゃんと勉強しようというつもりもないのに
読むべきではないなという、自身への反省ばかりが募る読書となった

内容というは、手法についてといった方が正しそうなんだが、
マーケティングにまつわる、よくある通説みたいなのが
本当かどうか、それはちゃんとエビデンスをあたるなり、
テストをした結果を見て判断すべきという
大変ごもっともな内容に終始していて、
昔からよくある、二八の法則とか、千三つとか、
そういうのは実際のところどうなんだとみると、
傾向として見られるけど、言われているほど悪くないという結果のようで、
むしろそういう傾向があるという通説の方に判断がひっぱられて、
諸々の現状変更が行われて、そちらに収れんしているのではというのは
面白い指摘だと感心したのでありました
案外、そういう、こうじゃないかという通説に惑わされるというか
判断がひっぱられるというのは、これに限らず
世の中山ほどあると考えると、エビデンスをあたるということの大切さが
よくよく伝わると思ったのでありました

マーケティング理論の根幹はまったくわからないが、
なんだかんだ、シェアをとりにいくことは間違いなく正義で、
新しい顧客を常に開拓し続けるということは悪いわけがない、
もちろんそれだけではないけないけど、これは結構な必要条件じゃないかと
このあたりもまた、考えさせられるところでありましたとさ

ブランディングの考え方とかも、研究と実際との乖離みたいなのは面白く、
本当の消費者は、割とブランディングを意識しないし、できないというのも
なるほどと思ってしまうのだが、こういう本にありがちな
この言説もまた、本当に正しいか、何かエビデンスがあるのかと疑うのだが、
実際著者が、いくつかの論文をあげているけど
それを読むことがないので、結局あってるかどうかわからないと
そこから脱却できないで終わるのであった

ともあれ、何事もちゃんと考えよう、
そして、何かしらのストーリーがあると信じ込みやすいけど
それが正しいわけではないという意識はもとうと
このあたり、行動経済学的なそれとも一致しそうなことを
考えたというか、感じたのでありましたとさ

というか、多分、本として面白くないのだと率直に書いておく
海外のこの手の本はもうちょっと、読ませる内容になっているところが
多分、立ち位置が違うのだろうけど、興味があって読むわけではない
そんな読書には向かないと思った

【読書】運動しても痩せないのはなぜか

2024-11-13 21:05:21 | 読書感想文とか読み物レビウー
運動しても痩せないのはなぜか  著:ハーマン・ポンツァー

けっこうがっつり学術分野もでてくる面白い本だった
人間が生きていく上での消費カロリーについての研究成果というか、
その内容披露といったもので、直接的にダイエットとか健康とかではなく
純粋に人類のカロリー消費はどうなっているかを解いていく内容になってて
大変面白かった
当然ながらというか、その紐解きの中で、考古学にも触れていくようになって
人類の道程をめぐる内容ももりだくさんで、なんというか
壮大でとても楽しかった

カロリー消費量が、哺乳類それぞれによってかなり差がある
そんな研究成果が出て、そこからさらに推論や考古学的な発見を結び付けていくと
人間がどのあたりで、カロリー消費をどのように変えてきたかがわかると
そんなお話だったわけだが、内容の途中で衝撃的発見とされているのが、
運動してもあんまりカロリー消費量に影響がないという部分で
それがタイトルの答えになっているわけだが、
本当にそうなのか、読んだ後にも関わらずまだ疑ってしまう

一日の消費カロリーというのがおおよそ決まっているらしく
それにあわせて、他のことで何か消費していると
そうではない部分で、カロリー消費を抑えるように体が反応するから
結局一日トータルでは、あんまり変わらないとなるという説明で
にわかには信じがたいのだが、実際にそうらしく、
どうやっても、体にエネルギーを蓄えておこうという人類がこれまでの進化で手に入れてきたそれが
おなかに脂肪を蓄えるそれに直結しているのかと思うと
もはや、太るということを避けて通ることができなそうとか思ってしまうところ
結局のところ、摂取カロリーを減らすというのが
何よりも確かな方法であるというのが、本書の答えであった

個人的にも、凄く効果があったと思っていた
ローカーボ、いわゆる炭水化物減らすダイエットについても、
炭水化物の摂取量を減らすことで、体内に蓄えていた別のものを燃やすようになり
ケトン代謝だとかいうのに切り替わって、水がどんどん抜けていくので
めかたが減るというお話が、なるほどなとも思ったりしたわけだが
これもまた、どれほど食べても大丈夫とは相いれないのだと
まぁ、当たり前といえば当たり前のことを
冷徹に突き付けてきたような内容で、とてもよかった
楽して痩せることはないんだ、楽というか、食べるという部分において

痩せるには摂取カロリーを下げるほかない
逆にいうと、それさえすれば、運動量はさほど少なくても痩せるということになるようだが、
それはそれで危険で、運動をすることで明らかに健康という見方では
大変有益なことが多いので、逆に同じエネルギー量で過ごすなら
健康になる運動を取り入れるべきだというのが正しいところ
まぁ、これもまた、そりゃそうだなと納得感はあるものの
こういった研究結果もまた、少し経ったら変わったりするんだろうかと
あやしみつつも、食べる量を減らす努力を考えるのであった

【読書】なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか バーンアウト文化を終わらせるためにできること

2024-11-11 20:58:17 | 読書感想文とか読み物レビウー
なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか バーンアウト文化を終わらせるためにできること  
著:ジョナサン・マレシック

アメリカにおける燃え尽き症候群についての本
著者も実際に燃え尽きてしまった経験があり、
どうしてそうなるか、どうすればそうならないかを探求した
ルポのようでもある本でした

バーンアウトという言葉が
ある種の流行になっているようで、
日本でも、うつ病の概念というか範囲というか、何か大きくなったと思った
それと同じようなものではないかと思いつつ読んだのだが
根本原因は「期待に裏切られることで疲弊が蓄積すること」のようで、
これは人間というものが社会で活動していくと
どうしても受けるそれではないかなとも思ったりするのだが
それが、より先鋭化というか、ひどく人間を苦しめるようになっていると
まずはその最初のあたりから解説が始まり、
症状の進行と、社会情勢の関係なんかが説かれていて
興味深いものでありました

示唆といっていいのか、労働をどうとらえるかという問題が
アメリカには相当に根強いのだそうで、
労働の尊厳というものが、一種の脅迫を生んでいるというのがミソのようで
働くことが良い、勤勉であることがよいという
約束めいたものに人間が縛られてしまっている、
そのために、働くということがとても息苦しくなっているというお話だったんだが
著者の場合は、学校で教授をやっていたけど、学生がまったくやる気をださないということに
幻滅して、次第に心が疲弊したというところで、
これもまた、自分が頑張ってやっていることが報われないということが
物凄いダメージになるということで、労働尊厳の棄損にあたると
まぁそんなところでありました

解消でもないが、そういう状況からどうしたら逃れられるかということで、
様々な労働環境や、コミュニティをあたっていくあたりが結構面白くて
この本の主題とは異なるのだが、ベネディクト会の修道士の生活というのが、
物凄くよくできていると感激している下りが結構衝撃的で、
祈りの時間のために、労働はしっかりと切り離されていて、
それでいて勤勉であり、さりとて、誰に追い立てられることもないという状況、
そして、皆から尊敬というほどでもないが、敬られるというのが
精神衛生にものすごくよいというお話になっていた
彼らが、それをなし得ているのは、子供もおらず家族がないから、と
そんなことを修道士が語っているわけなんだけども、
まさに、修道士でもないのにそういう状態の俺は、どうしたらいいんだろうかと
目を見張ったのでありました
バーンアウトしないということなのか、どうなんだ

ともあれ、アメリカにおける社会圧みたいなものは
相当に大きい様子で、そこで苦しんでいるという状況は
個人の心に必ずあるんだろうなと思わされるばかりで
みんながみんな、そういう幻想に苦しめられているというのも
なんだか不思議だと思いつつ
それが社会を形作っているというのがまた、繁栄にもつながっているようでもあるし
そのために犠牲となっているようでもあるし、
エデンはどこにあるかと思わされるばかりでありました

【読書】サド侯爵の呪い 伝説の手稿「ソドムの百二十日」がたどった数奇な運命

2024-11-06 21:01:47 | 読書感想文とか読み物レビウー
サド侯爵の呪い 伝説の手稿「ソドムの百二十日」がたどった数奇な運命  
著:ジョエル・ウォーナー

小説のようでもあるけど、ドキュメンタリとしてよいと思う
サド侯爵とその禁書ソドムの百二十日の歴史をたどったお話で、
侯爵がこの本を書いたところから始まり、
その本がどのように伝わったかという話しと、サド侯爵の半生が描かれて、
壮大といっていいのか、ある種の思想史のようでもあり、
一介の犯罪者というべきか、変態の一生を描いたという本でもある
そんなものでありました

名前は聞いたことあるけど、
実際に、この禁書も含め、ひとつも知らないため、
「サディズム」の語源の人だということしか知らないまま読んだので、
書かれていることの半分くらいしか理解できなかったと思うのだが、
それでも相当に面白くて、そして、まったくその著作や思想に触れていないのに、
なんとなし、ヤバイこと考えて、物語なりに落とし込んでいて、
なんなら自分でもやってた人物なんだなというのが伝わってきて
とてつもなく好奇心をくすぐられる内容だった

サド侯爵の人生といえばいいか、ともかく、
腐れ貴族といっても差し支えなさそうな傲岸さと、
一種の狂人的発想と行動、その思想めいたものが、
月日が経つにつれて革新と呼ばれるようになってというあたりが
なかなかドラマチックというか、面白いところであるわけだが、
フランス革命とも、ある意味密接に関係があるというのも面白いところで
その自由な発想思想というのは、嗜虐凌辱の部分はおいといて、
自身の精神の発露、何物にも束縛されないという自由の渇望という点においては
まぎれもなく革命家っぽくもあったようでもあり、
また、そう装っていたようでもありというのが面白いところ
実際がどうであったかといえば、やっぱり、ただの変態だったんだろうと思うのだが
それでも、何かしら突き抜けたものがあった、
一種の芸術家というか、芸術作品めいた人物だったんじゃないかと思わされたのでありました

そして、その人物が書いた本が、バスティーユの牢獄から運び出されて、
まさに数奇としかいいようのない流れで、焼かれることもなく、喪失されることもなく、
書狂の人に愛されたというか、その希少奇妙があわさった本というのが
不気味な価値をもって、副題の通り呪いのごとく
持ち主の間を行きつわたりつしていくというのが面白かったのである
この昔からの文書というものが投資対象になるという
なかなかスキャンダラスでありながら、骨董ともまた異なるそれが
ヨーロッパの狭いマーケットで詐欺のように横行していたという話しもかなり面白くて
大変よろしい本でありました
結局骨董というところの不条理というか一種の不寛容および秩序による不正めいたものが
顕現したみたいな感じが、たまらなく面白いと思えたのである
この部分だけでも相当に面白くて、
現代社会におけるマニアのこだわりというものに通底する何か、
このカルマめいたものを描いているようにも見えて面白かったのでありました

これをかわぎりに、妙なマーケットの歴史みたいな本とか
そういうの凄い読みたいなと思わされたわけだが
ある種の歴史本であったと思いつつ、楽しく読んだとメモっておくのである

【読書】関心領域

2024-11-04 21:02:11 | 読書感想文とか読み物レビウー
関心領域  作:マーティン・エイミス

重いと思った
書かれていることが、でもあるし、そのモチーフの事実もあるし、
なんとも、夢でうなされそうな不安を抱える読書になった

ナチのホロコーストを題材とした小説で
ドイツ軍がソ連に侵攻したあたりから、反転敗退するあたり
その間に、ユダヤ人をどのように扱ってきたか
そういう将校たちの姿を描いていて、生々しいといったらいいのか、
ユダヤ人捕虜の女性とうまくやろうとする男や、
そもそもホロコーストの仕事そのものをどう遂行するかを考える男、
ドイツの勝利を信じてやまない男たちの声などなど、
結末を知っている状態なのは当たり前だが、
その時、その当時は、きっとこんなことがあったのだろうなと
思うにたやすいというか、
あまりにも、ある意味での人間ぽさがある物語で、
それでいて、非人道的なそれがまかり通っていた空気といえばいいか、
狂騒というほどではない、その感覚みたいなのが
読んでいて、少しわかりそうになるのが怖い
そんな気分になって読んだのである

ホロコーストを題材にとっているが、
そこへの断罪という使い方ではなく、その状況下の人間というものを描いているのが秀逸で、
賛歌するはずもないのだが、どこか理解できてしまいそうな、
その憐憫や理解すらも、断ってきたであろう今までと、
それを少しばかり深く、人間の方へと掘ったというのか
時代が変わりつつあるようにも感じる内容であった
多分このあたりは、ヨーロッパと距離のある身分だからこそ
より思うのかもしれない、
この本が示唆しているものの重さは、ヨーロッパではより強い反発というか
反応を呼んだのではないかと思ったりするのである

戦争下、そこで犯された罪は確かにあり、誰かが断罪されるべきであろうが、
その細かなところに関わった、あるいは、そこにいたという者は、
やはり人間で、その営みがあったということが
生々しく恐ろしいと思うばかりである
よい小説だった、そして、やはり、大変重かった

【読書】迷子手帳

2024-10-30 20:55:10 | 読書感想文とか読み物レビウー
迷子手帳  著:穂村弘

新聞連載をまとめたエッセー集
まったく知らないで読み始めてしまったのだが、
著者が短歌の人のようで、その割にエッセーの中でそこまで短歌が出てこないのが
不思議といえば不思議だったんだが、逆にいうと短歌の本ではないけど
そのニュアンスや、雰囲気を知ることができる本で
とてもよかったのでありました

日常のあれこれを切り取ったエッセーで、
何か気になった話しとか、誰にでもありそうな、物忘れだとか、
勘違いだとか、早起きできるとかできないとか、そういう感じのことで
自身の考え方というべきか、スタイルを表現してて
結構ずぼらそうな人だけど、それでいて神経質なのかもなと思っていたところに
ぽんと、短歌がでてきて、その説明が情景とか人情描写のそれでもあるけど、
こういう気分の時に、詠みたいそれとして紹介しているから
また、凄く身近な感じがしてよかった
最小限というか、短歌でどうしても色々まとめたという感じでないのが
不思議といえば不思議なんだけど、それでも、凄くいいなと思える内容でありました

これだけ読んでいると、ある短歌にまつわるエッセーみたいな
そういう感じでまとめたものも読みたいなと思えるほどだったわけだけど、
これもまた、この一冊におさめられている、それ以外の言葉が、
その表現を支えているだろうし、なかなか、
やっぱりこの形が正解なのかしらとも思ったりしつつ
文章表現というのは、読み手を育てるという側面もあるべき、
または、そういう使い方、表現方法もあるんだなと思わされたように
感じ入って読んだのでありました

そんなに難しくないというか、本当、そこらにありそうな話しばっかりだけど
いい気持ちで、嫌味なく読めるというのがいいのだわ

【読書】ユニクロ

2024-10-28 21:05:01 | 読書感想文とか読み物レビウー
ユニクロ  著:杉本貴司

タイトルの通り、ユニクロの半生記というか、
始まりから今までを柳井正をはじまりにして、発展に携わった人たちの
栄光と挫折を描いたものでした
世代的に、ユニクロとともに年を食ってきたといった感じなんだが、
ファッションに疎かったので、こんなことがあったり、
そんなこんなだったのかと知らないことも多くて
大変面白かった

ユニクロのなりたちも面白いのだけども、
柳井正という人の経営哲学や、ユニクロが成功した事例、失敗した事例それぞれの紹介が
なかなかに読み応えがあってとてもよかった
ここに書かれていない失敗がもっとたくさんありそうなので
そのあたりも興味深いと思わされたのだが、
特に、野菜販売事業失敗のくだりとか、服を売る以外の部分のことが
結構気になったというか、知りたいなと思ったのだが
服を売るということだけでも、相当に失敗と成功を繰り返していて
大したもんだなと感心しきりであった

学生時代は、わりと、のらりくらりというか、
そんなすごみの在る人ではなかったようだけども、
ユニクロを形作っていく途中で、柳井正という人もまた形作られていくというのが
いささか、物語にすぎると思いつつも、非常に面白くて
成功は結局のところ、ユニクロという概念をちゃんと発揮した時で、
それを上っ面だけで動かしたときが、だいたい失敗という
わかりやすいといえばわかりやすいんだが、
これもまた、観念的な話しだから、もっと現実的というか
理論に落とし込んで理解しないと、商売というものはわからんのだろうなと
読みながら、頭を使ったのでありました

世界戦略も、まだまだ一進一退のようだし、
凄いメジャー企業というイメージかと思っていたけど、
未だに危ない橋を渡るでもないが、結構危なっかしい戦いをアメリカで続けていたり
大変なんだなと、それをまだまだ率いている柳井正の凄さと
そこに見いだされてきた男たちのすごみが感じられたのでありました

少し前に読んだ本で、これからは何社も転社してこそという話しがあったけど、
ユニクロを支えている人たちが、まさにそんな感じで、
自身の仕事というものを理解して、それをしにきている、
していくというのが重要なんだなと思い知らされるのであった
また、その対比のように、かつての苦しい時代を支えてきた人たちが、
立ち去っていく姿というのも、必然であり、悲壮もあるのだけど
そういうものだよなと思わされて、非常によい本だったと思うのである

【読書】「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?

2024-10-26 20:55:35 | 読書感想文とか読み物レビウー
「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?  著:今井むつみ

とてもいい本だった
認知科学という見地によって、コミュニケーションのキモの部分が
とてもわかりやすく書かれていて
伝えること、伝わること、その仕組みが理解できた
そんな気分になってしまう、危うい本だ
なんせこの本によって、わかりやすいというのが
認知を歪めている可能性を指摘しているのだから、もう入れ子だとか
わけわからないことはさておき、
本当に、とてもわかりやすい本で、感激したのである

前提であるスキーマの存在とか、
そうだろうなと思うところも多いのだが、
様々なバイアスが、どのように働くか、
どのタイミングでやってくるかも解説されているから
誤解を招く瞬間や、起こる要因というのがわかりやすくてよい
読んでいて、思い当たるところばかりなので、
これもまた、ある種のバイアスがかかった状態かと思いつつも読むのだが
誰かに説明する際のポイントが難しい言葉ではなく説明されていて
本当にもう、とてもよい

相関の誤解や、バックボーンの違いによって理解できないことがある
その認識を持つことの重要さと、
結局のところ、要件定義時の単語のすり合わせに似たことが
コミュニケーションというか、伝えることにとても大切であるのだが
細かくすればよいというわけでもなく、
記憶に負担をかけない程度に抽象化することとか
まぁ、ポイントはいっぱい並んでいるんだが
じゃぁどうしたらいいのかというと、当然のごとく正解はないんだなと思わされて
うなってしまうのである
が、なんか、伝えられる気がしてきたから頑張ろうと、そんな気分になった本であった

誰かを理解する、理解してもらうという
コミュニケーションのそもそもの目的を達成するためのスキルというのは
学んで損なわけがないとも思うのだけど
こういうのをうまいこと理解できたら、外国語習得が楽になったりしないかしらとか
考えたり思ったりするのである

人間の直観がおおよそ正しいというのが、
それまでのコミュニケーションで培ってきたある種の練習が、
なんとなくまずいという形を覚えているという
まさに、将棋のそれと同じということが書かれていて
本書としても、棋士へのインタビューでそのあたりの裏付けをとっていて
まさにまさにと、頷いてしまったわけだけども
その直感を鍛えるために、よく考えるも繰り返していき
より、直観を鋭くしていくことが、理解への近道だというのが
なんとも頼もしいというか、たゆまぬ努力をと思わせる内容で
とてもよかった