CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】それでも猫は出かけていく

2014-10-30 22:11:56 | 読書感想文とか読み物レビウー
それでも猫は出かけていく  著:ハルノ宵子

猫エッセーというか、猫放牧日記というか、
そういう猫とともに生きる生活を書いた
読み本でありました
結構面白くて、そんなに分厚くないにも関わらず
しっかりと内容が詰まっていたというか、
読むのに結構時間と体力を使ったように思います
ぎっしりだった

内容は、結構驚きというか、
ただの猫日記ではなくて、猫を介護しているといっても過言でない
そういう内容でありました、
病気や怪我の猫が多くて、そういうのを
家で飼ったり、外猫としたりと、付き合いに七転八倒、
そんな具合で書かれていたわけであります
猫好きなんだろうなと思うものの
ちょっと、なんというか、度が過ぎるようにも思える部分が
散見できまして、これはこれで、
ひとつの考え方、そういう人となりというものがあるなと
しみじみ考えさせられたのであります
猫好きだけど、ここまではできないし、
これを許せない人の気持ちもわからんでもないな

そんなわけで、奇特といったらいいのか、
障害だの、病気だのをもった猫を
ボランティアといったらいいのか、
ともかく病院へつれていったり、介護したりと
そなことが繰り返されているお話でありまして
猫って、長生きしそうなものだけども、
割とあっさり、そして、さっぱりと死ぬんだなと
思い知らされたのであります
我が家にいたのは、だいぶ長生きだったが、
あれは半家猫だったからなんだろうかしら
あれこれ思わされるのであります

と、まぁ、そんなわけで、
猫分は十分に補給できたと思えるほどでありまして、
可愛らしいイラストも、なかなか読みやすく楽しく
ほのぼのと読めたのでありましたとさ
ただ、あんまりエサやって、増えてくると、
とがめる人が出るのは、仕方ないんじゃないかなと
やっぱりそこだけは思ってしまうのでありました

【読書】百フランのための殺人犯

2014-10-28 20:29:25 | 読書感想文とか読み物レビウー
百フランのための殺人犯  著:ジャン・ポーラン

三面記事がどうしたという副題がありまして、
これは、世界の面白事件を集めた、
そういう本ではないかしらと
期待して読み始めてみたら、
なんのことはない、哲学書でありました
しかも、対話形式のそれで、
私も寡聞にして知らずといったところ、
哲学ではこれが、常道なんだとか
そういうことを学んだりしながら、
なかなか、面白い思索だと
ついつい、短いながらもしっかりと読み込まされたのであります

と、まぁ、そんなわけだったのでありますが
まさにこの、勘違いの元にある部分、
みなしといいますか、
勝手に判断したその基準めいた何か、
そういうものを哲学的に解き明かそうという
試みでありまして、なかなか楽しかった
なるほどなぁと、思わされるところもあり、
だからといって、何が得られるというわけでもないと
まさに哲学めいていると感嘆というほどでもないが
楽しんだのであります

示唆というか、指摘されたのは、
よくある勘違いの話でありまして、
フランス人を知らない人が、
初めてフランスで出会った、赤毛の女性を見て、
フランス人は赤毛なのだと判断する
そういったお話が、いたくお気に入りであります
こういう、一部を見て、全体だと判断してしまう
これは本当、よくある話というか
もう、それしかないんじゃないかと
自分で思い当たるところが多くて
大変でありました

そのほかにも、事象だけを並び替えて、
読み込んでみたら、題名のとおり、
「百フランのための殺人」だったけども、
よく話を聞いてみたら、
殺すときには、その人が何フラン持っているかわからず、
殺してみたら百フランだったという感じで
そうなってくると、この表題からも
確かにそうともいえるけど、そうじゃないともいえると
なんというかな、どちらともとれるような
そういう不可思議なことが、
どうも言葉には多いんじゃありませんかと
まぁ、よくある言葉遊びも楽しいのでありました

こういうのは、いくつか知っておくと
暇つぶしにもってこいだねと
思うものの、他人とはこれで語り合いたくはないなと
まだ、世俗に未練が残るようでありました

【読書】麒麟の舌を持つ男

2014-10-27 20:33:50 | 読書感想文とか読み物レビウー
麒麟の舌を持つ男  作:田中経一

料理をめぐる面白わくわくミステリーでありました
楽しく遊ぶように読めました、
これはなかなか、よかったという満足感が
ひしひしでありますところ

舞台は現代ながらも、
事件は第二次世界大戦の終戦をむかえるころ、
満州で起きたある秘密作戦のお話で、
このあたり、本当にあったのかもしれないと
そんな風に思えるようなステキさで
人死にもあるもののほとんどが、
料理の、それもレシピにまつわるあれこれで、
だからといって、料理描写ばっかりではなく、
というか、ほとんどそれもなく、
だけど、なんかな何かがでてくると
非常に楽しいものでありました

主人公が、狂言回しもかねてというか、
真実に近づいていく感じが、
オーソドックスなんだけども、なかなか楽しくて
途中、そこは気づきすぎだろうと
思わなくもないものの、
さくさくと、スリリングなところも少々ありつつで
楽しく読み明かしたのであります
結構な分量だったけど、あっさり読みきれてしまった

最終的には、そこまで解決してしまうの?と
ちょっと、大団円にすぎるだろうと
思わなくもなかったのでありますけど
なかなか楽しく、エンターテイメントだったと
満足しきりなのでありました

いまさらながらに、なんというか、
戦後のごたごたのときに生まれた何かというのは、
今もって思うと、不思議なことが多いけど
その時はそれが当たり前だったんだろうなと
なんか、昭和もはじめの頃というのに
なんとなし、思いをはせてしまうのでありました
まぁ、あと20年もしたら、
俺の若いころも、だいぶいい加減だったぜなんて
いえているかもしれませんが、
いや、そんなに長生きするだろうかしらとか
どうでもよいことも連ねつつ
楽しく読んだのでありました

軍師官兵衛  如水誕生

2014-10-26 20:44:48 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」
視聴完了であります
今回はもう、主演がジャニーズなのに頭丸めたと
その一点で十分じゃなかろうか
そう思うほど、見事でありました
男前は、どんな頭してても男前なんだな

しかし、全編を通して、見事なまでに
三成が小面憎いというか、まぁ、よくもあそこまで
憎たらしい顔ができるものだと
見事に演じきられておりまして天晴れであります
あれが、関が原であっという間にやられるかと思うと
なんだろうかな、官兵衛にしてみると、それはそれで
腹立たしくてかなわない感じなんだろうか
ちょっと楽しみであります
もっとも、その前に、三成暗殺未遂のフラグが
ちゃくちゃくと集まっているようで
楽しいわけでありました
次回くらいで、黒田節の話がありそうだし
もうだいたい、見たいイベントが済むかしら
そんな風にも思います、なんだかんだ、もう
一ヶ月ちょっとだものね

さて、あっという間に現れて、
あっという間に死んでいく秀次が
まぁ、それなりに作られているようでありまして
なかなか楽しいかぎりであります
しかし、ああいうところに常々、
官兵衛が係わり合いになるというのは
なんだろうかな、頭いいキャラなのに
救えないのばっかりで残念な気がしてくると
少々不満というか、残念至極なのでありますところ
ここまで続いてしまうと、官兵衛よりも三成のほうが
策士として上なんじゃないかしらと
そう思ってしまいそうであります
まあ、これについては、何年かしたら
カウンターで、三成の大河でもやるときに
悪者の官兵衛という図が見られるのか
そういう楽しみかたをとっておきたいとも
思ったりするのでありました

そろそろ秀吉も死ぬようなので
いよいよクライマックス、楽しく見続けていきたいと
こっから、急に年月の経過が早くなるのに
気をつけてみようと思うのでありました
関が原終わったら、すぐ死ぬしなぁ

【読書】皇后 美智子さまのうた

2014-10-25 19:04:29 | 読書感想文とか読み物レビウー
皇后 美智子さまのうた  著:安野光雅

歌集なのかしらと思って手に取りましたが、
そうではなく、美智子さまのほか、陛下の御製も含まれて
かなり豪華といったらいいのか、
私の語彙ではどう表現したらいいかわからない
珠玉の歌が収められていました

選者の趣味趣向といったらいいか、
言いたくないが、どうも思想的な偏りが見られるというか
短歌をえりすぐって、それでいて、
自分の思いを語っているかのような感じで
解説はありがたいんだけども、もうちょっとこう、
そういうのとは離れたものにして欲しかったなと
重ね重ね残念に感じたといいますか、
まぁ、中身読まずに選んだから悪いんですが、
ともかく、ややそんなところも覗かれるような
ものであります

しかし、おさめられた歌の詠まれた背景などは
非常に目を見張るといっていいのか、
情景が浮かぶようで、はらはら感動したのは確かで、
いわゆる文語で、こんなに今もって
書き綴られているものなんだなと
改めて、この業界といいますか
短歌、俳句といったものに目を見張ったのであります
そして、とても素晴らしいのでありました
本当に情景が浮かぶようだというか、
情感やら、感動やら、美しいと思えるそれが
また、心配や、親心みたいな
機微みたいなのも見えるようでありまして
凄い、上手い、こんなの書けない、思いつきもしないと
感動したのであります

陛下がお読みになられたものを
どうやら御製とお呼びするのだと
これで学んだわけでありますが、
その御製も含めて、家族といいますか、
そういった思いを詠まれたそれこれが
ちょっと感動的すぎて、凄くよかったのであります

忖度で、これは素晴らしいと思えた分もありまして、
陛下が、美智子さまを慮ったお話なんかは
ちょっと、本気で涙が止まらないというくらい
感動してしまったのでありますけども
なかなか、素晴らしいものを読めたと
感激ひとしお、綴っておくのであります

第37回大須大道町人祭

2014-10-22 20:56:31 | 陶磁器を探す旅と名物
先日実家に帰りがてら、ぶらっと見てきました
名古屋は大須で大道芸人があれこれ見せる
そんなお祭りがあったなぁと、
若かりし頃、具体的には高校生の頃、もう20年前か…、
その頃に一度見に行った覚えがありまして、
まあ、その頃は大須の辻辻で、大道芸が見られると
そんな感じだったのでありますけども、
20年ぶりにいったら、ずいぶん進化していて驚いた
そんなお話であります

タイムスケジュールまで用意されておりまして、
そして知った人は相当にのぼるようすで、
立ち見というか、すわり待ちをする人々でごったがえして
とんでもない賑わいでありました
凄いな、こんなだったっけかな

そんなわけで、飛びぬけて凄いというか、
おそらくは目玉であったろう演目をいくつか見てきたので
つらっと、感想を並べておく次第であります

金粉ショー 大駱駝艦

全身金粉を塗った、男女が日本舞踏というか、暗黒舞踏のあれみたいに、
うずらうずらと、音楽に合わせてのたうちまわる、
そういう印象でありました、
これはもう凄すぎる、ちょっと、気圧されたというか、
あまりの迫力というか、そのすさまじさにおののいたのでありました
全身金色というか、金粉で彩られた人たちが、
なんだろうかな、夕闇くらいの時間で見たんでありますが、
おどろおどろしくといっていいのかどうか、
高い芸術性も感じるような具合なんだが、
ぱっと見ると、ひたすら恐ろしい、そう思うような躍動感で
さまざまに踊るのでありました、のた打ち回ると書いたけど
正式には踊っているのであります
さらに、火を使ってのパフォーマンスまであって圧巻
こんな凄いものをおひねりで見せてもらっていいんだろうかと
恐ろしいほどでありました
見所は、満面の笑顔でひらひら舞うところでありました
本当に怖い、超怖い、でも見たい、そういうのであります

中国雑技芸術団

これもまた見事でありました
二人の女性、というか、女性と女の子
その二人が見事な雑技団的な余興を見せてくれる
そういうものでありました
一番の見所は、椅子を組み立てて、大須観音の屋根よりも高いところまで上り
そこで逆立ちするというとんでもないものであります
生で見るとというか、もう、途中でもういいから、そこらで十分だからと、
声をかけたくなるというか、目をそむけたくなるほどの高さまで
するりするり、緊張を保ったまま上っていくのが
まぁ心臓に悪い、凄いんだけども、何度もやらせたくない
いつか大変なことが起きそうだと、ひやひやしたものでありました
また、大須観音の前でやってたんだが、時間によっては
凄い風が吹いたりするので、本当、頭が下がるのでありました
凄いものみた

東海プロレス

そして、プロレスであります
もはや大道芸とは関係ない、けど面白かった
スケジュールの関係で、メインイベントしか見られなかったのですが、
次回見る機会があれば、ういろないろのコンビを見たい
そんなわけでありますが、メインのタイガーマスクも見事であります
ちゃんとプロレスしているというか、この会場ならではというか、
濃い、ものすごくプロレスを見たいという人たちではない
そんな観衆のなかで、どっかのんびりしているプロレスが見られる
これはなかなか、ほかでは味わえない醍醐味でありました
空中戦といいますか、ドロップキックが出るだけで
会場が、やんやの喝采(まさにこんな感じ)で、
非常にあったかい印象で楽しかったのでありました
タイガーマスクのムーブが、ちゃんと本家をなぞられていたので
なんというか、見ていてにやにやさせられたわけですが、
ちゃんと決めるところは決める、最後にトップロープからのムーンサルトが出たときは
会場が、わっと、割れるような歓声に包まれて
非常に楽しかったのでありました

なんとも、楽しいことをやってるじゃないかと
おいらん道中やら、骨董市やら、ファイヤーダンスやら見ながらも
えらい楽しんできたのでありましたとさ
いいお祭りだと思うのであります

【読書】山女日記

2014-10-21 20:53:09 | 読書感想文とか読み物レビウー
山女日記  作:湊かなえ

初の湊かなえさんであります
どうにも、暗いというか、陰惨な小説を書くらしいなどと
評判をどっかで仕入れていたために、
手にとっていなかったのでありますが、
今回のは、いつものと違うと、これまた
どっかで仕入れてきたので、手に取った次第
ああ、面白かった、こういう女もの好きだなぁ
改めて、自分の愚かさを思いつつも、
非常にうまい文章に、あっという間に読まされてしまったのであります

短編集といったらいいか、
短編連作でありました
山女日記なる、山ガール御用達のホームページがある
でも、それは全然重要じゃないというか、
本当、小道具程度の扱いでありまして、
やっぱり、山女たちの生き様というか、考えだとかなんだとか
そういうのを主軸にしながら、
非常に、山に行きたくなるような描写が見事な
上手い文章に読まされてしまう小説でありました
とても楽しかった、何度か山を登ったようでもある

日本の山だけではなく、果てはニュージーランドまで出てきて
なんとも、トレッキングなりしたくなる
ステキすぎる内容も魅力でありましたが、
そこに至る女性それぞれの考え方だとか
抱えた問題だとかが、まぁ丁寧に書かれていて
男の身ながらなんとなし、そういう感じなんだろうと
思い至らされるというか、とても読みやすく
面白い小説であったのでした

陰鬱ではないけども、考えさせられる
人生というやつなんだろうかしらなんて、
思ったり思わされたり、なんとも
楽しく読めて、深く浸れた
そういうステキ小説でありました
大当たりでありました

【読書】無印良品は仕組みが9割

2014-10-20 20:56:59 | 読書感想文とか読み物レビウー
無印良品は仕組みが9割  著:松井忠三

今でこそ、いけいけどんどんの
無印良品の栄光と挫折を書いた本でありました
なかなか面白かった、
ほとんどが、当たり前のことのようでありますが、
こういうのが、素直に面白いと思えるようになった
自分を褒めてやりたい(なんだかなぁ)

そんなわけで、経営者でもないけども、
そのいわんとするところに
憧れめいた、感動を覚えたりしながら読んだわけですが、
日経だったかでも有名になっておりました、
MUJIGRAMについてやら、その取組について、
あれこれと書かれていて、大変興味深い内容でありました
個人的に、こうやって仕組みを作る、
そして仕組みが生きてくるという話は、
どんなものであれ、楽しく感じてしまうわけであります
失敗から学ぶ系がすきで仕方ないのだ

内容は、どん底にあった、無印良品を
V字回復させた経緯というか、
その時に何をしたか、どう考えたかといったことを
解りやすく、若干自慢も交えつつと
あれこれ書かれていたわけでして、
なかなかためになったように感じるのであります

あまり気にしていなかったのでありますが、
確かに、私が高校生くらいのときに
ばばっと、無印良品が脚光を浴びたけども
その後、しばらくぱっとしなくなってたな、
今となったら、また違う地位を築いているようだと
そんなことを思ったりしたわけですが、
そのコンセプトとかはステキだなと
改めて思い知った次第

ただ、無印良品の、無印たらしめているというか、
そのこだわり部分とかの説明はまったくなくて、
本当に、企業本ではなく、経営本という体裁で、
中身、仕組みについて詳しく書いているという
組織作りをはじめとした、経営者目線本でありまして、
実務としても、利用できないことはないが、
なんとも、居心地がと思わなくもない
さりとて、それが原動力となっている
現状を知らされた、そういう感想であります

軍師官兵衛  太閤の野望

2014-10-19 20:43:57 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」
視聴完了であります
第一回明出兵の起こりから終了まで
なかなか、時間間隔のわからない感じでしたが
とりあえず、三成が悪いという
ただ、それが伝わったのであります
そういう物語だから、これでいいと思いつつも、
もうちょっとなんだろうかな、
こう、官兵衛が知略で負けてちゃ駄目だろうと
思わなくもないのであります

割とあっさりかと思っていましたが、
ちゃんとセットもしっかりして、
あれこれと戦風景が作られていたのが意外で、
ここで予算は潰えたのだろうかしらと
関が原が不安になってしまうところでしたが、
なかなか凄惨な状況でありました
もうちょっと、兵糧の件については深堀して欲しかったけど、
ソレやると、三成の手柄が増えてしまうから
いけなかったんだろうかしら
わかりませんが、とりあえず、
小西が、どうにもいいやつなのか悪いやつなのか
どっち衝かずの小物っぷりで、
なんとももやっとするのでありました

何度も官兵衛が行き来できてしまう時点で、
割と簡単に兵糧運べてしまいそうじゃないかと
思わなくもないのですが、
そのあたり、せっかく使った島津勢で、
あれこれ見せてもよかったんじゃないかしらと
思わなくもないところ
いや、それは次の戦いのときなんだろうか
ともかく、このあたりをもう少し細かく
しっかり描いて欲しいと
次回にも期待であります

【読書】ナイスディール

2014-10-18 21:29:20 | 読書感想文とか読み物レビウー
ナイスディール  作:町田哲也

なんか、さらさらっと読めてしまった
結構面白く、予想と違ったという感想であります
ネタバレになっちゃうから、あれこれ
語りにくいタイプの小説だと感じた次第であります

内容はディーラーのお話でありまして、
ある大きなディールに関して、
その経過と顛末が書かれていたわけですが
そこが、なかなか生々しいとは違うんだけども、
刻々とタイムスケジュールがこなされていくようで
なんとも楽しく読めたのであります
実際ディールやってる人は
そんな風に思わないんだろうと愚痴ってしまいますが、
ともかく、そんな気分に浸れる、
そういう小説でありました
これはこれで新しいというか、面白かった

あるディールに関する経験といった内容とも読み取れまして
そこであくせくというか、様々な悲喜こもごもがあり、
何百億というお金が動かされ、
そこにうごめく人たちの思想なんかも少しだけあって、
信念とか、結局、心の問題のようにも思える
そういう感触がたまらんなという具合であります
読んでいて、なんとなく、勝負している様が
伝染ってくるような感じで、
こっちも、ここでどうするんだ、そうするのかよ
なんて思ったり考えたりしてしまう
そういう楽しい小説だったのであります

こっから、個人投資家が得るものなんてのは
まったくないというか、そういう人からすると
こんな経験山ほどあるわいと、
そういう感じかもしれないなと思いつつも、
マーケットを作って、閉じるまでの姿というのは
なかなか面白いものだなと
感心して読みきったと
まあ、そんな感想でメモっておくのでありました
こんな経験するなら、
絶対やりたくないなぁとも
思うのであります
心が持たないし、持つやつが勝つんだろう

【読書】海洋堂創世記

2014-10-17 21:55:58 | 読書感想文とか読み物レビウー
海洋堂創世記  著:樫原辰郎

あまり詳しくないジャンルでありますが、
ガレージキットだとか、フィギュアだとか、
いわゆるヲタク管轄の雄ともいうべき、
海洋堂について、その成り立ちを描いた
非常に面白い本でありました
これはもう、小説といっても相違ないものであります

くしくもというべきなのか、
最近ちょっと話題になっておりました、
アオイホノオで描かれていた時代の話でもありまして、
ゼネプロと呼ばれる、あのDAICON3で一世を風靡した
オタキングが率いた集団との確執なんかも描いていて
非常に面白いものでありました
なんだろうかな、これは時代なんだろうと
そう思わせる、悲喜こもごもを描いた
秀逸な近代昭和史とでもいえるような
サブカル界隈の史跡であります

正直、特撮だとか、怪獣ものだとかに
さっぱり興味がないので、ここで書かれている
それらを模型にしたということが、
どれほど凄いことだったのかは、私には解りかねるものの
そこに身を置いた人たちは、これは凄いと
この職人集団に羨望を向けたというのは
想像に難くなく、大変面白い、興味深い、楽しい
そういう感想を抱くにいたるわけであります

原型師と呼ばれる人たちがこのときに醸成され、
ガレージキットというひとつのムーブメントを起こしと
まぁ、この文化が躍動する様というのは
見ていて羨ましくもアリ、そして、面白くて仕方ない
そういった印象でありました
なんだろうかな、とても楽しそうだ
もっと苦しいこともあっただろうに、
それすらも楽しそうに見えるというのが、羨ましい
そんな感じでありました

そんなわけで、この界隈に興味がある人にとっては、
原型師の姿みたいなのがありありと描かれているので、
私にはわからないビッグネームの人の伝説なんかも
ここからうかがい知れるのだろうと思うと
貴重な体験本であるなと思いつつ
そうでないにしても、このヲタク文化の変遷みたいなのが
ひしひし伝わって楽しいと
そういうことを思い知る本でありましたとさ

〆のところに、今思えば天才ばかりのようではあったけど、
実際はそうではなかった、たまたまそういうことが興ったから、
それに引き寄せられて、天才ではないものも、
まるで天才のように見えた、そういう時代だった
なんていうところが、なるほどと思わされるようで
そして、この印象的な、伝説ともいえる部分が
決して、奇跡のそれではないような、
それこそが奇跡であったような
そんな読後で終わるという、秀逸なできばえだと
読んで納得したのであります

【読書】米国人一家、おいしい東京を食べ尽くす

2014-10-15 20:37:52 | 読書感想文とか読み物レビウー
米国人一家、おいしい東京を食べ尽くす
 著:マシュー・アムスター・バートン

先だって、英国人一家ものを読みましたが、
今回は米国人、そして、東京オンリーという
そんなフードレポートでありました
結構面白かった、実際知っている店舗だったら
なお楽しめるのかもしれません

そんなわけで、東京に一ヶ月ステイして、
あれこれと食べ歩いた外人さんのお話でありまして、
妙な東京紀行というではなく、
ひたすら食べ物にクローズアップされているのが
ステキでありました

個人的に、とても感銘というか、共感を覚えたのが
美味しんぼを参考書と用いているところでありましょう
どうやら、かの本は海外版も編纂されているようで、
料理の参考として紹介されつつも、
この本について、端的な感想というか、
割とつくりが薄っぺらいという、身も蓋もないというか、
実によく表した感想が散見されてステキでありました
そうなんだ、そう、肩肘張った漫画じゃないんだよ
これはありがたがるんじゃなくて、
なんだかんだ、人情ものみたいな
そういう読み方するべきなんだよな
あんたアメリカ人なのによくわかってる

と、思ったりしながら読んでいたわけですが、
ラーメンだとか、焼き鳥だとか、鮨だとかと
日本食をあれこれ食べ歩いていくのでありまして、
見ている限り、結構な量を食べている
そして、英国人一家と一番違ったというか、
この本で驚いたのは、
日本の庶民料理は安い、などという記述が見られたことであります
この人がお金持ちなだけじゃないかしら
そう思ってしまうくらい、日本人からして、
食い物高いよなと思っているのに
さらっと、安いと言い切られてしまって
なんだろうかな、驚きでありました
東京は安くて旨い店が多いということなんだろうか
いってみたい

そんなことを感じながら、
たこ焼きの話なんか読んでいると
物凄くおなか空いてしまうというか、
夜中に読む本じゃねぇよなと
改めて思い知らされるほど、
食の本として最高だと感じたのでありました
おなかすいた

【映画】蜩の記

2014-10-14 21:10:43 | ドラマ映画テレビ感想
最近邦画づいてるなと、近年ない精力的な
視聴状況であります
今回こそと、時代劇殺陣に期待して見てまいりました
あの岡田さんが出演とのことで、もう
殺陣必至であろうともりもりの期待をもって見たのであります

静かな映画だった

よくよく考えてみれば、当たり前でありまして、
そんなチャンバラというわけもあるはずがなく、
主演の役所広司さんと、神妙なというか、静謐な、
そういう映画であったのであります

原作を読んでいないうえに、読むこともなかろうと
思ったりなんだったりなので、
その違いというのはまったくわかりませんが、
藩のために命を張った男が、
その命の使い道について記すというか、
示したといった様相でありました

ただ、アクションがまったくないなんてこともなく、
ちゃんと、岡田さんの運動神経をそこそこ見せるように、
また古武術的な動きを見せるかのごとく、
話の本筋と関係のない動きが
あったのは、もらい物でありました
そして、今回気づいたんだが、
いわゆるチャンバラにおいては、やっぱり殺陣であってしかるべきで、
本格の動きは、またちょっと違うんだなという話であります

私の個人的な感想に違いないのですが、
岡田さんの殺陣というか、動きにつきまして、
初手と半ばで見せた、取っ組み合いといいますか
体術のほうは、別段そのままというか、
むしろかっこよく映るのでステキと惚れ惚れしたのですが
刀を使ったそれが、ちょっと違った
ひょっとすると、違うことがわかったからか、
チャンバラしなかったのであります

稽古といったらいいか、一人で早朝に刀を振るう
そういったシーンがありまして、
ここで上段から中段刺突、この動きを何度も見せて
まぁかっこいいことこの上なかったのであります、
正面から見ると、上段は肩に担いでいるように見えるというのが
大発見だったと個人的に思うのですが、
あれは流派によるんだろうかしら、
肩口から、まさに振り下ろされるという姿で刀が下りるんだが
体はそんな風にはまるで見えないという
これがまぁ、かっこよかった
けども、これは一人だけあまりにも剣法が違いすぎて
きっと、剣戟になったら浮いてしまうんだろうかな
そんな風に感じたのでありました
でも、よかった、凄くよかった

と、そんな殺陣ばっかり書くような映画ではなかったわけですが、
話については、本当にもう、凄い静かで、
正直なところちょっとわかりにくい、
主人公というか、登場人物への感情の入れ方が難しい
その考え方、思想みたいなのが、どうにも
淡いといったらいいのか、うやむやしたまま進むというか
もうちょっと落ち着いた気持ちで見ると
また違ったのかもしれないと
見方を間違えている自分ではどうにもならぬことを
感じたりしながら、楽しく見終わったのであります

【読書】やまいだれの歌

2014-10-13 18:21:54 | 読書感想文とか読み物レビウー
やまいだれの歌  作:西村 賢太

久しぶりの西村作品であります
今回は長編ということで、ちょっと身構えてしまいましたが、
なんのことはない、いつもの調子で安心でした
ただ、ずいぶんと読みやすくなったなと
そんな印象も受けたりしたのであります

内容は、中卒で家を出て、ろくでなしな生き方をしつつ、
ようやっと、一息つく20歳ころの話というのでありまして
おそらくは私小説、本人の体験談というか、
歴史というほどでもない、その生き様を
ありあり写したのであろう描写が
ステキ極まりない作品でありました
ただ、正直、読みなれたとも思ってしまう
でもいいのだ、この露骨さ
そいでもって、音のいい語の並びが
ずずいっと沁みてくるようでありました

愛も変わらずといっていいのでしょう、
卑屈、猥雑、小心といったものが
ありありと浮かぶようなその生き様が
まぁ、見事なまでに、クズと呼ぶにふさわしいようであり、
さりとて、その自意識の高さや、
そこから発せられる、いや、突き動かされた
心や、体の動きなんかは、
胸をつかまれるというか、見に覚えがあるかのような
物凄く苦い、すっぱい何かを思い出させるに十分で
相当な破壊力だと感じ入りました

もう見てられないような自惚れというか、
その痛々しい生き様が、今回も炸裂しておりまして
これはもう伝統芸であります

ただ、今回の小説に関しては、その部分よりも、
その部分の影で、彼が文学少年であるという事実、
というか、古本屋を好きな作家をめぐって練り歩く、
そして研究所まで手を出すなんていう
その風変わりな趣味についても書かれていて、
これがまた、さりげないのに面白かったのであります

別にこのことが何かというわけではなく、
物語というか、この人生の本筋は
相変わらずの自意識により破綻していく
滑稽とも思える生き様でありますけども
それとは全く別に、小説が好きで仕方ない
そしてそれを読むことで救われているかのような
そういう錯覚を覚えるような姿が
なんとも、息を呑んで見守ってしまったのであります

とりあえずは20歳くらいで終わってしまったこれですので
またぞろ、その続きめいたものも出てくるのでしょう
かの、藤澤清造に出会ったというか、
それを見出した衝撃について書かれるのかと
期待できるような内容でありまして
今後も、出たら読んでしまいそうだと
思わされたのであります
よくない読み方だけども、気になって仕方ないな

軍師官兵衛  男たちの覚悟

2014-10-12 21:08:48 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」
視聴完了いたしました
なんか、北条の件がうやむやで終わったような
そういう印象でありましたけども、
そんなのはどうでもよい過去のことだと
あっさり切り捨てて、さくさくと次の展開へ
今後どうするか気になっておりました
朝鮮出兵のお話がどどんと前に進み
そして、なんといっても利休の扱い方が
すごいよかったのであります

いつだったか、スタジオパークかなんかで、
伊武さんが、真面目な普通の利休ですと言っていたのを
嘘つけこの、なんて思っていましたが、
今回のこの真摯でまっすぐ過ぎる利休像というのは
最近、くたびれたというか、うらびれたそればっかり見ていた身には
一週回って新鮮という、あれでありまして
とても頼もしくよかった
すごい、この人は本当に真面目に苦言を呈する人だと
感心しきりでありました、おかげで、
割を食ったように、官兵衛の存在感がなかった
そんな風にも見えてしまいましたところ

でも、割と綺麗に利休退陣が片付いたと
実のない言い方になってしまいますが、
短時間で死んだ人として、ずっと出ていたのに
いまいちというか、ひょっとすると、
テレビの前でこの人だれだろうなんて思われたんじゃないか、
そんな秀長に比べて、
ネームバリューがあるとはいえ、相当に見せ場があった
利休の扱いと、演技の見事さには
脱帽でありました、すごかったなぁ

秀長については、もっと出番の作り方があったろうにと
残念で仕方なかったのでありますけども、
なんだろうか、小六が出てきてしまうと、
どうしても役割的にかぶってしまうのか、
というか、秀長の仕事の半分以上を官兵衛にふったから
ああなったのか、なんというか残念至極でありました

さて、利休ひいきとまでもいわないまでも
そういうお話になってしまいますが、
まさか、これまた唐突に宗二が出てきたのが驚き
というか、あれ、キャスティングからして
へうげものを意識しすぎだろう、なんだあのそっくりな俳優さん
本当、こういうところはすごいなNHK
改めて感激してしまったのであります
ただ、宗二が三島出をどう扱ってたかは
よくわからんなと思わなくもないのであります
いや、名物大好きだったから、あれでいいんだろうか

そんなことを思ったりしながら、
次回、その次と、展開が気になっていくのでありました