CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】丸の内魔法少女ミラクリーナ

2022-12-31 21:10:50 | 読書感想文とか読み物レビウー
丸の内魔法少女ミラクリーナ  作:村田沙耶香

面白かった
相変わらず、なんかキメてんのかという設定だけど
不思議と共感というか、感動というか、なんか、動かされるものがある
影響を受けてしまう文章で素敵でありました
表題作なんか、このぎりぎりの際物感というか、
そういう身内のりぽい感じもわかるし、それが発展したかのような、
なんとなしわからない違和感というのも、ものすごくよくわかる
怖いくらいありそうという感じで、最高だった
羞恥で死ぬというのも、よくよくわかってしまうんだが、
魔法とは何か、そういうものだよと思わされるかのようで
すごくいい話だったと思ってしまった
騙されてる気がする

そのほかの短編も、独特の世界観をお出ししてくる感じで、
今回のこの本では、割とエロスに振った部分も多いなと驚いたんだが、
それがエログロとも異なる、不思議な魅力があって、
下世話なそれとは異なるけども、かといって高尚なエロという大上段でもない
素晴らしい描写というか、内容だなと驚いてしまったんだけども
さばさばとは間違ってもいえない、でも、ねちねちしてない
割と少ない描写なのに、はっきりとそれとわかるというか、
それにまつわる色々なものが想起されるのに
不思議と嫌悪感というか、そういうのと違うものに感じるような
不思議感覚があってよかったと思うばかりでありました

単純にねじまがった性癖を書いているという
そういうのとは一線を画しているというか、はっきりと異なる
もっと次元の高いものを書かれているように読めて
すごくいいなと、読み入ってしまったのでありました
でも、多分、もっと単純なものを書いてて
だからこそ、色々と尊いでもないが、純粋みたいな印象になるのかしらと
考えたりしたのでありました

この人の不思議な世界観がすごくいいわと
すっかりはまってしまっているのである

【読書】スクラップ・アンド・ビルド

2022-12-28 20:55:29 | 読書感想文とか読み物レビウー
スクラップ・アンド・ビルド  作:羽田圭介

ずっと前から気になってたんだが、なかなか手に取ることがなかった一作
どんなもんかと読んだわけだが、なかなか面白く読めた
芥川賞なのに、そこまで暗くないというのがよかったと思うのである

7年前の作品とのことで、もっと前だったような気がしたんだが
内容的にはリアルタイムよりちょっと前設定くらいなんだろうか、
ちゃんと読んだら書いてありそうではあるが、
どことなし、暇つぶし描写にスマホががんがん出てこないあたり、
ちょっと前っぽいよなと思いつつ読んだのであるが
タイトルの通り、再生するお話でありました

ものすごく浅い楽しみ方としては、
筋肉がすべてを解決するという話ではと
言いたくなるような感じだが、
この筋肉を作るという作業、それがスクラップアンドビルドでもあるし、
また、精神的にも同じように一度粉々になって、また組みなおしているといえるような
成長とは異なる、組みなおしたというのがしっくりくるような
男の生き方とまでいわない、変化する姿というのが描かれていた
個人的には、結構好きだなというか、なんか当てはまるでもないが
わかる気がするという、妙な共感を刺激される内容だったと思うのだ

じいちゃんの介護というものを通しつつ、
死への接近と恐怖みたいなのも描きながら、
介護が緩慢な殺人かのような描写も、考えすぎではないかという感じでもあるけど
そう考えてしまわざるをえないくらい、自身がまた弱っているというか、
なんか壊れているという感じもして、そこから立ち直るでもないが、
新しいものへと組みなおされていく姿が、
なんとも、てんで普通の毎日でしかないのに、変化した、成長とは異なるが
変わることができたという結果を描いたように見えて
よかったと感じたのでありました

さらっとしてるし、もっと深く読み込んで、
その実を楽しめる内容なのかもと思ったりもするわけだが、
あまり深く考えず、そういうこともあると
さらっと読んでしまうのが、よい読み方だと思える作品だった

【読書】ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ケ谷京介

2022-12-26 21:05:52 | NHK大河ドラマ感想
ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ケ谷京介  作:川瀬七緒

読み終わって、タイトルが副題だったのか?とか思ったんだが、
ヴィンテージガールと、仕立屋探偵が出てくるお話でありました

変わった特技をもつ素人二人が、なんだかんだと、
捜査のプロである警察と異なる視点で事件を解決に導くという
まぁ、説明すると、ありていな感じなんだが
仕立屋と、骨董屋というあたりが面白くて、
あとは、個性強めの登場人物たちが、がちゃがちゃ物語を作っていく感じで
あれよあれよと読み終わってしまった
蘊蓄も豊富で、合ってるのかわからんけど、
なんか楽しく読めてよかったのであります

仕立屋の特殊能力が、
着るものについたクセで、その人の体格が見えるという
もはや超能力じゃないかという感じなんだけども、
そこを裏付けるような蘊蓄がなかなか面白くて、
素人が切った髪の毛で、着ているものの繊維が傷むとか、
そんなことあるんだろうかと衝撃的だったわけだが、
そのあってるかどうかわからんところが、怪しいが面白いなんて
騙されて読んでしまうのであった
この調子だと、この人はマッサージ師とかになったら
凄い腕前になるんじゃねぇかと、
まったく違うことを考えてしまったんだが、まぁ、よい主役でありました

そしてバディになるのが骨董屋で、
描写だとどうにも美人ぽいんだが、言動とやってることがまったくそうじゃないというのが
なんというか残念極まりないというわかりやすいキャラクタで
これはこれでいいかと思えば、このキャラが連れてくる助っ人が
だいたいろくなタイプじゃないというところが魅力的でよかった
特に、アルビノで苦労しているんだが、ものすごくコレクターとか
偏執なのに、さらっとしていたり、妙なところで理論的だったりと
破綻が融合して出来上がったみたいな人格像が素敵だと思ったのである
骨董屋もそういう感じで、まだかわいげがありそうなところが始末に負えない

刑事は、いかにも刑事という感じなので
比較的安心して見ていられたし、素人が推理を続けていくうえで、
それはそれとして、その素人当て推量を補完するための地道な捜査をするところは
ちゃんとしているというか、それがあってこそという見せ方になってるのがよくて
さして仲良くないけど、目的に向けて協同が発揮されていくというのが
なかなかよかったと思うのである

結構湿っぽい人情話というか、暗い話なんかもあるのがアクセントになってて
ただの超絶推理披露話ではないのがよかったと思うのであった

【ドラマ】拾われた男

2022-12-25 20:49:58 | ドラマ映画テレビ感想
NHKでやってたんですが、どうやらBSかなんかで先行放送してたそうで、
しかも、なぜかディズニーと共作というよくわからないものだったんだが
そのおかげでか、大変豪華で面白いドラマが見られたのでありました
まさか泣かされるとは思わなかった

前編と後編と、大きくわけてもよいような内容だったんだが
前編の方が身近というか、知っているところの回顧録めいたところがあって
笑いと感動で、笑いの比重が高くすごい面白かったんだが
後編のアメリカ編も、そこでのドラマとしての下積みがあればこそという感じで
かなり深く感動できる話で、ものすごく楽しんだのでありました
というか、NHKにそろ、ディズニーにしろ、
なぜ松尾さんだったのか、いや、これも含めて「拾われた男」の豪運のなせる業というやつか

あれもこれもと語りたいことばっかりだったけども、
役者が全員べらぼうに上手くて、それだけで素晴らしいとすら思えてしまう
実によいドラマでありました
主役の俳優さんをまったく知らなかったんだが、結構売れてきている人なんだそうで、
今回のもすごいを通り越して怖いくらいで、
見た目全然違うはずなのに、あ、松尾さんじゃんと思わされるような
動きというか、なんだろうかな、さして、松尾さんをそもそも見てないんだけど
時折出演する実物と比べた時に、めっちゃ似てるやん、瓜二つやんとか
怖くなるくらいで驚いたのでありました
すげぇ俳優がいたもんだ

そしてその相手役として、こっちはもう何やっても上手いと思ってたが、
伊藤沙莉がうますぎる、あんな彼女ほしすぎると
素で思わされてしまう、すさまじい可愛らしさというか、
あのリアルさ、そばにいそうな女感でありながら
ものすごい可愛らしいというのが図抜けてすごくてビビッてしまった
この二人が前半がっつり引っ張ったのが相当によかったんだが、
それ以外もカナメールはじめ、ビデオ屋の店員全員よかったし、
井川遥役の井川遥も半端なかったしと
まぁあげだしたら切りがないうえに、嘘もまぶされていたという本編の荒唐無稽さというか
そういう人生の転がり方するんだという衝撃と、
演劇についてのあれこれがわかって、無茶苦茶面白かったのであります

そしてアメリカ編、こっちはその積み重ねを経たうえでの
草薙くんの演技がこれまた最高によくて、ギャグが滑ってるとかそういう空気とは異なる
その演じられていることと、実際の姿というか、はかなさとも違うなんかが、
ものすごくキャラクタを作ってて、最高によかったと感動して泣かされたのでありました
ラストシーンで帰国してからの、謝る声とか、もう
あんなん泣くに決まってるやんという感じでもあったし
抑えた演技とギャップが、ちょっと泣かせにきすぎな脚本でも
鼻につかない感じにしてたのが凄いよかったと感動したと思うのである

個人的には2022年で一番よかったとすら思うほどだったんだが、
ドラマとしての出自が、いわゆる地上波のそれと異なるので
いちがいにまとめられないけど、すごくよい
いいものを見たとつづっておきたい一作でありました

【読書】悶絶スパイラル

2022-12-24 21:02:08 | 読書感想文とか読み物レビウー
悶絶スパイラル  著:三浦しをん

割とおとなしめだった(ひどい)
もっと、度を越えたしょーもなさを期待してしまったんだが、
なんだかんだ、さらっと読めて、楽しんで終わるという
抱腹絶倒まではいかないまでも、やっぱり面白いという本でありました
何を期待して読んでるんだ俺わ

さて、結構前の本のようなので、まだまだおとなしかったのかもと
考えたりしたのでありますが、作家の三浦しをんさんの
何がという話の筋があるわけでもないエッセーというか、独り言というか、
日記とも異なるつれづれをつづったものでありました

本当に何か脈絡というものは存在せずに、
こんな面白おかしい話がありました、
ただそれを純粋に書き留めているという感じで、
いや、多分本人は面白いと思ってそれらの事象を生み出していなくて、
気づいたらそうなっているというやつなんだろうと思うんだが、
とめどなくあふれているヲタクっぽさとか、
絶妙な怠惰加減なんかが、実にすばらしく
女ヲタの生態を見ることができる貴重な資料とすら思うような内容で
面白かったのでありました
会話が成り立ってないのに、ただただお互いが言いたいことをしゃべり続けて
相手の話を聞いていないというのが、割と日常っぽい描写が好きだ
面白すぎるわ、高度なおしゃべりだなと慄いてしまう

あと、やたらジョジョ好きだということがよくわかって、
なんとなし、話しやすそうな人だなどと、誤解をしたようにも思うんだが
自分に正直に生きていて、本の中にある通り、楽しそうというそれだなと
思ったりして、生暖かく見守る感じで読める本でした
愉快な気分になれる、心地よい本である

【読書】覆面作家

2022-12-21 21:05:44 | 読書感想文とか読み物レビウー
覆面作家  作:大沢在昌

今年は大沢先生の本をよく読んでる気がするな
そんな感じながら、メインの長編ではなく短編集を読んだ
結構出自がばらばらの小説のようだけども、作家先生が様々な話に絡むという
一貫した設定というか、そういうシリーズと思っていい感じのようで
ホラーとも違うんだが、おっかなびっくり、
そして、ミステリとしても、小話としても面白いそれを堪能したのでありました

自身をモチーフにした小説と読んでしまいたくなるんだが、
作中で、その作者が否定しているというつくりがまた、憎いというか
面白いと思いつつ読み進めてしまう、
なんとなくありそうな、素人でも思いつきそうな犯罪とか、闇とかの話に、
作家先生ならではの鋭い切込みと推理、それが実際に近いのか、
そうではないのかといったところが、あやふやなまま、
されど、結構危険なことに知らず内近づいてしまった
そういったお話がいくつもあって、すごくよかった
特に殺し屋について語った話が面白くて、これこそ物語的すぎるけども、
ありそうというか、こういうのがいいなと思える内容で
非常に楽しかったのであります

一方で、逃亡している人が匿われる隠れ里的な話もあって、
これは先日読んだ、悪人しか住んでないマンションの元ネタになったやつなんだろうかと思うようなのもあって、
これもまた、ビターというか、怖い終わりを迎えるのがかなりよかった
住人になったのか、そういうことではないのか
気になる終わり方が、また、短編らしくてすごくいいなと思うのである

ともかく、さっぱりと読めて、それでいて
ミステリと犯罪を実感できるような近さで展開するというのが
読書体験としてかなり面白くてあっという間に読めてしまった
ネタがどうしたというのもあるんだろうけど、
キャラがいいのか、話のもってきかたがうますぎるのか
気づいたら、のめり込んでしまうというか
ふと、やばいところまで連れてこられてしまったと気づくみたいな感じで
なんとも楽しい読書となったのでありました

作家稼業の在り方が、一等古めかしいというのが
自虐めいてもいるんだが、それだからこそ、いい小説だなと思ったりするのである

【読書】演技と演出のレッスン

2022-12-19 21:05:19 | 読書感想文とか読み物レビウー
演技と演出のレッスン  著:鴻上尚史

思うところがあり、演劇技術の本を読んだ
当たり前なんだが、演技ってそういうことを考えて取り組むものなんだと
非常に面白く読めたのだが、やってみるとまったくできないことに
衝撃を受けた面でも、よい経験になる読書だった

著者がどういう人が情報を入れないまま読んだので、
はたしてどうかというのはさておいて、どうやら海外でも活動をしている人らしく、
本場といっていいのか、イギリスの演劇レッスンの様子だとか、
そこで用いられていた、スタニスラフスキーの演劇技術論なんかが面白くて
なるほどなぁと、ものすごく納得しながら読んだのである

演技というのは、感情を行動で示すということなんだそうで、
セリフや状況を与えられたとき、自分なりにその瞬間の感覚を呼び起こして、
そこから想起される自然な行動をするというのが重要というのには
なるほどと、うなりあがるほど納得したんだが、
実際やってみようと思うと、
・台本を覚える
・台本に沿った感情を呼び起こすことを考える
・感情を出しつつ台本を行う
と、一つの動作というか、流れにおいて、常に二つから三つくらい考えていないといけないので
正直無理だわこれと思ったりしていたんだが、
役者って人は本当にすげぇなと感心したのでありました

台本に感情移入しやすければ、そもそも、二つも三つもと考えなくてよいんだが、
そうではないことを演出や脚本が求めてくることの方が多いそうで
それを頭で考えてやっていると、いかにもやっている感じになってしまう
このあたりが、物まねみたいになるのとはまるで違うというところが
新鮮で驚いたのでありました
正直、普通の人の動作というのをやろうとしたとき、
普通っぽい人を街中で観察してればできると思ってたんだが
それは違うんだなと、なんというか奥深い、面白すぎる

こういうことを考えてというか、知ったうえで、ドラマなり観劇を続けていくと
さらに面白さがわかるんだろうかと、なんだかんだ
すごく趣味のために勉強して、趣味にいきる何かを得たと
やたらに満足なのでありました

鎌倉殿の13人  報いの時

2022-12-18 21:24:16 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
無事今年もすべて見ることができました
最終回も通常放映だと思ってたら、ちゃんと1時間枠でしたな
まったくチェックできてなかったから、嬉しかった誤算であります

さておいて、最終回にしてバランスのよいというか、
むしろ笑い多めという感じで驚いたのでありますが
まぁ、色々あったけど、一番よかったのは平六との関係だったなぁと
終わって改めて思ったのでありました
いつからそうだったのか、よく考えてみると最初からそうだったのかもしれない、
ガキの頃からの関係がずっと続いていて、
気づいたら、どこかのタイミングで平六が思うようなことになっていて
でも、義時からするとそれはもともとそうだったという感じで
だからでもないんだろうが、今回ので怒りもしないし、まだ北条を頼むしというあたりが
すごくよかったなぁと思ったのであります
まぁ、それを象徴的にするでもないけど、
さらっと京都攻めの時に、平六を爺呼ばわりさせたりして、
一気に時代が彼らのそれではなくなっていることを
ありあり知らせてくれるようで、これもまたよかったのでありました

あとは、流石最終回というか、色々なキャラが唐突に出てきて
りくさんの憐憫甚だしい表情は見事だったけども、
文覚が出てくるとは思ってもみなかったから、完全に動きが妖怪のそれだったけど
面白いけど怖いという、あの当時の隠岐の不気味さがよくよく出てたんじゃなかろうか
頭噛むとか、どういう判断だというところがよかった
そういう懐かしいそれをそうざらいするみたいに、美衣ちゃんが全成のお経をトレースしてたり
いや、あれがあるから文覚という判断だったのか?
なんか考えすぎてわけわからなくなったが、
ともあれあれこれと片付いていく感じでよかったのでありました

最終的には、嫁による毒殺説がとられたわけで、
割と普通というか、あれだけの悪徳を重ねた男の最期としては
まぁ、こんなもんかといった感じではあったけども
本当の最期が悲しい感じでもあり、また13人殺しという言葉遊びからの
姉への釈明、その流れからの最期というのが
見事ということなくて、
結局北条のというか、この姉弟の物語だったんだなぁと思えて
すごくよかったのでありました

時代としては未来に通じていく太郎の輝かしさやら、
なんか眼力回復していた大江殿とかもあって
大丈夫そうだと思ったりしてしまうわけだが、
伊豆の片田舎の次男坊がよくよく出世した物語で
それがまた、わずかな身内の間で家族の風景として描かれていたんだなと
なんとも感動したと思うのである
総じてよかった、楽しめた一年でありました

【読書】あひる

2022-12-17 20:51:52 | 読書感想文とか読み物レビウー
あひる  作:今村夏子

物悲しい短編だった
結構前の作品だと知らずに読んでしまったんだが、
読んでみると、「むらさきのスカートの女」を彷彿とさせるというか、
そういう感触のある内容なんだけども、あれほど狂ってないというか、
不条理が面白さに化けてない感じで、
ちょっと気持ち悪いでもないが、悲しさが先立つ物語だったと思うのである

表題作の家族のありようというか、
欠けているものを何かで埋めているという
知らず知らずの状況というのが、ものすごくありそうというか、
こう書かれると、人生そんなこと多そうだよなと気づかされるみたいで
居心地が悪いというか、怖いなぁと思って読んだりしてしまうんだが
なんとなし、語られないけども、声が聞こえてきそうな、
期待と、それを用意する残酷さみたいなのが見え隠れしてて
興味深い内容でありました

あひるを飼うという状況が、そんな朗らかなものを運んでくるとは思いもしなかったと
読み手も思うんだが、登場人物たちもそうで、
やがて、それが不穏なことから目を背けさせるでもないが、
オチで、その事実を突きつけられるのが、
またタイミングとしても、完全に遅きに失したところでという感じが
鋭くズドンときいててよかったと思うのである
あひるかわいそう

書下ろし二編がさらについてて、こちらは
どちらかというと連作に近い内容になってて、
ああ、そういう話もありそうだなと思って読んでたんだが
クジャクとキジを間違えるというか、勘違いするということが
子供時分には、わりとある話といった感じでエピソードになってたんだが
言われてみるとそうかもと思いつつも、
前にもどっかで書いた通り、野生状態のキジを一回も見たことないので
ちょっとわからないと思ってしまったのである
そういう問題ではない表現なんだけどもな

無邪気を装った悪意でもないけど、
全体的に、隠しているでもないけど、言われてないし、語られていない、
後ろ暗いところを匂わせるでもないが、そういうものとして描きながら
それをつっつくのは、無責任というか、無邪気なそれだというのが
共通している内容だったわけだけども、
世の中、あるいは、人生そういうもんで、
みんないろいろなことから目をそらして生きてんだよなと思ってしまったのだった

【読書】ピープルアナリティクスの教科書

2022-12-14 20:49:32 | 読書感想文とか読み物レビウー
ピープルアナリティクスの教科書  著:北崎茂

課題図書めいたものとして読んだんだが
あんまりおもしろくなかった
AIやビッグデータを使って、それらを人事に生かしてみようという話なんだが
まぁ、そういうこともあろうし、取組としてこれからなんだろうなという
そんなふわっとした感じのことで、
導入して劇的な効果がどうしたとなるはずもないという、
ある意味地に足の着いた本ではあるんだけども、
そうなると、途方もない労力を割いてデータを集めてクレンジングしてと
そのコストに見合うだけの対価はなんぞとか思ってしまって、
なんか、斜め読みになってしまった
ビジネス本は、どうもダメだな、読み方が斜に構えすぎてしまう

さておいて、人事データといっても、
その人の経歴特技に加えて、日ごろの仕事、業務ルーチン、
そういったもののパターンを集めていって、
ある特定ルーチンが見えてきたら、退職なりなんなりとなるだろうから
その前に手を打とうとか、まぁそういうお話でありました
個人的に、辞めそうな人間の動きがわかるというのを
PCの操作ログだけで見破ったみたいな話をどっかで見掛けて
それみたいなもんだろうと思ったんだけども、
流石に、もうちょっと人によりそうというか、そういう傾向が出てきたら危ないからフォローしようと
平和的な感じで書かれていた

すでに導入した会社の話なんかもいくつかあるんだが、
どれも、たまたまといってはなんだけども、
これだけで何かしたというよりは、
本にも書いてあった通り、副次的というか、サポートのための基礎研究とでもいうべき、
定点観測データの在り方という話になってしまい
まぁ、冒頭の通り、そりゃ見てたらなんか出てきそうだけども、
それが、なんとなくこうかなと思っていたことの補完でしかないと
よほどの大企業はいいかもしれんが、あんまり手近なところで使えるようには思えないなと
そんなことを考えてしまったのである

こういうのは、いっそのこと、もっと大きい、国とかいう範囲でやったらいいのではと
1984的世界を考えてしまったんだが
そういうお話ではなく、真面目にデータを使って人事をよりよく、
働く人の状況を好転させようという本でありましたとさ

【読書】母の待つ里

2022-12-12 21:10:45 | 読書感想文とか読み物レビウー
母の待つ里  作:浅田次郎

いい人情話を読んだ
相変わらずこういう感想しか出てこないのが
自分の残念なところであるのだけども、
物語の導入で思いっきり引き込まれて、そっからは
あっという間に読み終えてしまった

ずっと離れていた母親に会いに行くお話と、
そういう設定で、喪失の体験というものを共有するお話だったというか、
読んでいて、こっちまで悲しく、それでも優しくなる
そんな物語が堪能できた
最初星新一的SFなのかと思っていたけども、
そういう感じとも異なるような、いや、広義では一緒なのかもと
思ったりするんだけど、そのあたりの舞台装置にはさしたる意味もなくて、
物語後半に出てきたAIのお話なんかもあわせて、
実態がないそれこれよりも、
そこに現出して、経験したもの、その時の情動に価値があるというのが
すごく、現代というよりも、今の流行というのか、
売りとなるもの、時代が求めるものをとらえているようで驚いてしまった

うまくいい得ることができないのだけども、
よくある人情話というものではあるんだが、
それをどう受け止めるか、どう提供されるかみたいな感じにとらえると
この小説で味わったもの、描かれていたものの二つの体験が
すごく有意義というか、新しく感じたのでありました
実際は、昔から、ずっとこういうことを小説から受け取っていたと思うんだが
それが、ただの郷愁というではなく、
その郷愁とは何かを提示されたみたいな感じでよかったと思うのでありました

NHKがドラマで作りそうだなと思うような
いい塩梅での虚構感というか、すごく不思議で、
よくよく考えると、色々と抜け穴でもないけど、
ほころびのようなものがありそうなと考えてしまうんだが、
これもまた、ダブルミーニングよろしく、小説内で登場人物たちが味わったそれこれ、
そして、忖度でもないが配慮して、乗っかったそれぞれの行動というのにつながるというか
あれこれつまらないことを言い当てるのではなく、
乗っかって楽しむ、それでも、わいてくる感動が本物なのかもという
錯覚なのか、真実なのか
わからんけども、心地よい感動を得る小説だったと思ったのでありました

ふわっとした、何言ってるか全然わからん感想だが
だいぶ、自分なりによく書けた感想文だと思っているとメモる

鎌倉殿の13人  ある朝敵、ある演説

2022-12-11 20:53:38 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
視聴完了しました
今日で終わると思ったら、来週まで引っ張るのか
いや、承久の乱がクライマックスという話なのかと
驚いてしまったんだが、じゃぁ来週、すごくさらっと義時死ぬんだなと
思ったんだけども、来週序盤でナレーションだけで承久の乱が終わるという可能性も
なきにしもあらずだなと、まぁ、なんにせよ来週が楽しみであります
しかし、延長なしなんだな
このあたりは脚本先生のこだわりなのか、どうなんだろうか

のっけから、ラストなのかわからんが、
平六が脱いでるシーンから始まったけども、
最後にふさわしく、かなりパンプアップしてて、凄いなと
話しが全然頭に入ってこなかったんだけど、
そうでありながら、昔の小四郎とその対比、常に反対のことを言う三浦というのが
いい仲なんだなと思わされたりしたのでありました
まぁ、今は、いや、もともとそんなに小四郎の味方ではないのかもしれない
彼は枯れの流儀で生きてるだけなんだなと
なんか思い知らされたようでもあった

案外というか、ここにきて、急に小四郎が可愛らしいというか、
妹殺しの汚名を避けようとしたり、
話しの通り、やたら格好をつけてみたりと
そんな感じかと思いきやというあたりがよかった
本心から、今がいい感じで終われるならと思ってそうなところが、
最高に憎らしいけど、わからんでもないという
この難しい感じが、よくよく出ててすげぇなと感心してしまったんだが
その後は、政子様様というか、小池栄子すごいなと
感嘆を見舞う演説に聞き入ったのでありました

まぁ、あの演説が見たいからこれを見ていたというか、
鎌倉といえば、アレだよなという感じでもあったので
感慨深い一幕だったわけだけども、
くだけながらもアジテーションであり、現代劇っぽいそれだけど
ぎりぎり時代ドラマの内容だったと思えるところで
素晴らしいなと感動したわけであります

結局嘗められたから殺すという話でもあるし、
鎌倉の脅威よりもさらに、坂東武者の誇りに話をすり替えたのが素晴らしいと
カウンターとはこういうのをいうんだなと
しみじみかみしめるよい演説でありました

かなり感動的な感じで、来週勝ち確定じゃんみたいな雰囲気で
さて、どうなって、そして、どう終わるのか、
泣いてた小四郎の嫁の表情は何を意味してるのか
わからんが、なんか綺麗になろうとして
それは許さないという力が働くんであろうと思うけど、
オチがそれかよみたいなのだけは避けてほしいと願いつつ
来週をこわごわ待つのみであります

【読書】世界のスノードーム図鑑

2022-12-10 21:05:36 | 読書感想文とか読み物レビウー
世界のスノードーム図鑑  著:カルロス矢吹

世界のという冠に嘘はないけども、著者が方々で土産物として買ってきた
スノードームコレクションの一言解説集といった感じであります
正直そんなに興味ないしなーと思いつつ読んだというか、見たというか、
実際はコメントをいちいち拾っていくと結構時間がかかる代物で
何を楽しんでいるのか、よくわからなくなっていたんだが
水が入っていないスノードームとかも存在するんだそうで、
なるほどなぁとムダ知識を得て楽しんだのでありました

とりあえず、ほっとくと水が濁ってくるというのが一番衝撃的だったんだけども、
水も抜けてくるし、まぁ、あんまりよいものではないわなと
改めて思い知ったのであります
割と粗悪品も多いような気がするし、書かれていた通り、
だいたいが中国製なんだろうから、その内自壊しそうだよなと
眺めてしまうのでありますが、
この本をして、中国では案外見つからなかったというのが
世の中の面白いところだなと思わされたのであります
いっぱい作ってるから、自分ところのをと誰も考えないというのが
中国という国の何かを色濃く表しているエピソードのようでよかった
実際は、いっぱい売ってそうな気もするんだがな

日本のものも、外国人向けに作られたものが大半で、
そりゃそうだというか、世界的にもお土産の定番なんだなと
その割に持ち運びが大変というか、よく割れるという弱点を抱えているので、
その内滅びそうな分野じゃないのかと考えてしまうんだが、
もう200年近く売られているようなので、
これからも、細々続くのでありましょう
コレクションするにしても、全体像がわからない世界というか、
日々新しいのが作られそうだよなと思ってしまうと
集める対象としてどうなんだろうと思ってしまったんだが、
多分そういうことではなくて、
土産物というその役割を担うことができる、貴重なアイコンという意味で
スノードームは存在しているのかしらとか思いながら見たのでありました

写真がだいたい同じ大きさだったので、あんまりピントきてなかったが
人差し指サイズみたいなのもあるらしく、
スノードームといっても、色々だよなと改めて思い知ったのでありました
奥が深いといえば深いけども、
不思議なジャンルの物体だよなと思うのである

【読書】薬草ハンター、世界をゆく

2022-12-07 20:58:55 | 読書感想文とか読み物レビウー
薬草ハンター、世界をゆく  著:カサンドラ・リア・クウェイヴ

副題にある「義足の女性民族植物学者、新たな薬を求めて」が、すべてをあらわしている
そんな自伝的な本でありました
凄い面白かったというか、ものすごいバイタリティで研究を、生きることをと
精一杯にかけているといった印象なんだけども、
ものすごくハレバレとしていて、でも、とてもとても苦難が多くてと
冒険譚にも近い人生のあれこれを読める本だった

なかなか驚いたというか、わざとなのかわからんが、
伴侶と出会った話、そして連れ合う話のあたりの妙な距離感というか、
ちょっと他人行儀っぽいような言い回しが多くて、
これは翻訳のそれなのか、本当にそう書かれていたのかわからんが、
読んでいて、この人と結ばれないんじゃないか、
あるいは、死んでしまうんじゃないかと、なんか、ハラハラしながら読んでしまったんだが
まったくそういうこともなく、むしろ、彼女を支える理想的すぎる夫といった感じで
この人すごい、いい男だなとほれぼれするような感じだったのが印象的だった
でも、すごいいい旦那だなんて書いてしまうと
ただの惚気話になるから、やめたんだろうか、
わからんが、そもそも主題じゃないからどうでもよいのかもしれない

科学者という生き方の難しさというか、
大変さというのが様々な場面や、ジェンダー、年齢等々の問題で
いかにも前時代的な壁や悪意に立ち会ったりしてしまうのが悲しいけど、
それをなんとか乗り越えていくという素晴らしさがあるんだけど、
本当に大変だったろうと考えるだけで恐ろしい
そして、何よりも、研究費用がないという絶望的な問題への言及が
割と頻繁にというか、後半はほぼその話しかないんじゃないか
すべての問題は、お金がないにつきてしまうんじゃないかと
それくらいあれこれと書かれていて、考えさせられるところであった

学問として異端ととらえられるというのも、よくわかる、
民俗学的なそれと医療という組み合わせが、
どことなくうさん臭さみたいなのにカテゴライズされてしまうという不幸も
なんとなしわからんでもないが、どうしようもないとも言い切れない
夢はあるが、実績が伴うかということに答えられないというか、
そういうことじゃないみたいな、平行線になってしまう主義主張だなと
これまた、この分野が研究費や援助を得るのは
きわめて難しいだろうと推測しやすい環境なのは、
すごく理解できた

書かれていたことは面白かったし、あれもこれもといった感じだったので
一本強い主張はどれだったのかと、判断つきかねるというか、
全部だよと言われてしまう感じなのかと思ったりしつつ読んだわけだが
一言では言い表せない、多方面のあれこれが詰め合わされた一冊だったと思うのである

大相撲 2022年九州場所

2022-12-06 21:10:38 | スポーツ
今更ながら、先場所のことを少々書いておきたい気分

私見でしかないのは承知の上だが、
昨今の大相撲は群雄割拠といえばいいけど、
割と、誰が勝ってもおかしくないという感じの状態で
絶対的な王者がいないというのも、なかなか歯がゆいけど、
あれやこれやとみている分には、なんだか楽しいことが続いていると
そんなことを考えてしまうのである
九州場所については、照ノ富士がお休みということになったので、
これまた混沌とするなと楽しみに見たのでありました

予想通りといっていいのか、上位陣が容赦なく崩れ、
特に、御嶽海と正代については、もうちょっとなんかあるだろうと
苦言を呈したくなる感じだったんだが、
その代わりでもないけど、順調に伸びてきている、若隆景、豊真将、翔猿あたりが元気よくて
なかなか楽しいと思っていたんだが、これらもまた、
途中でプレッシャーがあったのか、はたまた、そういうものなのか
ばたばたと倒れていって、
結局上意で残ったのが、割と安定している貴景勝に、ずっと雌伏の時間を過ごしている高安でありました
個人的には、高安に一回くらいは優勝してほしいと思っているんだが、
ここ数場所の間に何回かチャンスがあって、でも、後半というか
最後の最期でどうしても勝てないというのがかわいそうで仕方ないと思ってしまっているんだが
今場所は、いい位置で、いい状態で千秋楽まで来たし
よいのではないかとすごい期待して見ていたのであります

対戦相手が阿炎、これまた、お前なんで九枚目とかずるい位置にいるんだと
ちょっと首をかしげたくなる感じなんだが、ちゃっかり優勝争いに残る星勘定になってて、
美味しいというか、この時点で、かなり目がありそうだなとも思ったりしていたのである
個人的には名古屋場所の時に実物の朝稽古を見に行ったという
きわめてミーハーな理由で応援してしまうわけなんだけども、
今場所に限っては、やはり高安を応援したい
阿炎はまだチャンスあるだろうし、そもそもちゃんとした位置で闘った末で決定戦にやってこい
そんな風に思っていたのでありました

そして本割、正直、ここで決まっていたといっても過言ではなく、
はたして、高安も踏ん張ったけど、懐深く落ちない阿炎がうまくいなして勝ち
高安自身も思っていたと思うけど、やはり、ここで勝ちきれないのがという話なんだろう
ぎちぎちに〆たまわしが、むしろ長期戦できない体にしてんじゃないかとか
ちょっと考えてしまうんだけども、高安もかなり頑張ったけど、
のらりくらりに勝てないというのが残念極まりなかったと思うのである
というか、立ち合いのあたりからして、高安が様々な警戒をしているのがありありわかって、
突進力というか、いいところが全然出てないから、肝心の引き技も今一つになるしと、
これは相性の問題もあろうけど、阿炎が精神面でも相当有利に戦っていたように思ったのでありました
凄いかわいそうな高安

そして、えらい久しぶりらしい巴戦になって、まぁあんな感じだったわけだが、
これまた驚いたことに、巴戦て、結構見たことある気がと思ってたんだが、
それこそ、過去6回しかなかったというのに衝撃を受けたんだが
よくよく見てみると、その内の2回はリアルタイムで見ていたので、
なんとなくよくあることのように思ってしまっても、仕方ないなと自身で反省したというか、
もう相撲見ている身分としても、老害というか、年寄り枠に入りつつあるんだな俺と
そっちの方が悲しかったのでありました
曙強かったよなぁ

さておいて、その巴戦の方はもうひどいありさまというか、
結局阿炎が変化したのか、してないのか、
個人的にはしたように見えたんだけども、その事故みたいな感じになりつつ、
かつ、貴景勝が相撲できる感じじゃないという、やる前から結果が見えていたかのような内容で
なんというか、始まるまでが一番楽しいというのの見本みたいな相撲になってて
すごく残念だったのでありますが、ともあれ、阿炎おめでとうとも思ったのでありました

高安にはなんとか、これにめげず、今度こそと頑張ってほしいと思ったりしながら、
この件というか、本割が始まる前に、北の富士が、舞の海かアナウンサーか
どっちかに話振られても「縁起の悪い話はしない」と強く言っていたのが、
何よりも心配しているというか、高安の気持ちを汲み、応援していたんだろうということを語るようで
すごくよいやりとりだったと思ったのでありました
解説だから、肩入れしてはだめなのはわかるが、人情としての理解がそれを超える
こういうのが大相撲だよななんて、年寄りくさいことを思ったのであったとさ

横綱もボロボロだし、大関も危ういしと、それ意外が元気だからよいようにも思うが、
やっぱり地位の人間がいてこその大相撲興行だと思うので、
若手はさっさと上がってくるべきだと感じるのでありました
というか、今、世代が交代していく最中という感じもするから
生きのよい若手が楽しみでもある大相撲でありました
初場所がまた、楽しみである