ことり 作:小川 洋子
また切ない小説を読んでしまった
この作者の小説はいつだってそうだとわかっているのに
読んでしまったのであります
今回は、いつにもましてしっとりとしていて、
箱庭的な趣がきわめて強い
外から見ると孤独でしかない状況を
とても魅力的に、豊かに描いている
そんな小説でありました
ある一人の男の一生といえばいいか、
兄と過ごした、そして小鳥を愛していた
そういう姿をこくこく描いて、
その都度、何か、ささやかな人生のイベントがあり
彩りを覚えるような気持ちの高揚があり、
ほのかな優しさ、喜びがありといった内容から
やがて、苦難というほどでもないが、
平穏、静かだった世界が少しずつうるさくなっていく
そんなことへの戸惑いと、逃げるように生きる様が
なんというか、胸に迫るといったらいいか
ぐっとこらえるような気持ちになるのでありました
平穏に生きていくことの喜び、
その平穏は自身が作るものだと
はたから見ていると、そうは思えない何かを
とても大切にして、自分だけがわかる世界を優しく慈しみ
それが冒されていくように、外界とのかかわりが
煩わしく、とても悲しいことのように思えて
それとはまったく別に
小鳥との生活がある、小鳥の成長がある
なんていう感じで
詩のような世界観だと思ったりしたのでありますが
ともかく、全体的にほのぐらいような
清清しいというのとは違う
とても繊細で、壊れやすい世界があったような
そういう気分になる小説でありました
また切ない小説を読んでしまった
この作者の小説はいつだってそうだとわかっているのに
読んでしまったのであります
今回は、いつにもましてしっとりとしていて、
箱庭的な趣がきわめて強い
外から見ると孤独でしかない状況を
とても魅力的に、豊かに描いている
そんな小説でありました
ある一人の男の一生といえばいいか、
兄と過ごした、そして小鳥を愛していた
そういう姿をこくこく描いて、
その都度、何か、ささやかな人生のイベントがあり
彩りを覚えるような気持ちの高揚があり、
ほのかな優しさ、喜びがありといった内容から
やがて、苦難というほどでもないが、
平穏、静かだった世界が少しずつうるさくなっていく
そんなことへの戸惑いと、逃げるように生きる様が
なんというか、胸に迫るといったらいいか
ぐっとこらえるような気持ちになるのでありました
平穏に生きていくことの喜び、
その平穏は自身が作るものだと
はたから見ていると、そうは思えない何かを
とても大切にして、自分だけがわかる世界を優しく慈しみ
それが冒されていくように、外界とのかかわりが
煩わしく、とても悲しいことのように思えて
それとはまったく別に
小鳥との生活がある、小鳥の成長がある
なんていう感じで
詩のような世界観だと思ったりしたのでありますが
ともかく、全体的にほのぐらいような
清清しいというのとは違う
とても繊細で、壊れやすい世界があったような
そういう気分になる小説でありました