CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】わたしの体に呪いをかけるな

2023-05-31 20:55:47 | 読書感想文とか読み物レビウー
わたしの体に呪いをかけるな  著:リンディ・ウェスト

アメリカのコメディ評論家でもあり、コメディエンヌでもあり、
そして太っている女性である著者が書いた
エッセーというか、怒りの表明といった感じのものでした

反ルッキズムと、簡単に言ってしまっていいのか、
少々悩むところであるものの、そういう範疇の怒りでもあるんだが、
太っている、女性である、このふたつを起点にした世の中の理不尽についての
あらゆる怒りがぶつけられているようで、
読んでいて、ちょっとそれは行き過ぎではと思うところもあったのだけども、
感情的な怒りもあろうが、理路整然と反感、反攻をしている言動で、
そういう感じ方、考え方があるから、その怒りなのかと
理解できる部分もあって、よいものを読んだと思ったのでありました

基本的にアメリカの話なので、世界の潮流やら、日本やらに、
純粋に落とし込むことはできない思想だなと思ったりもするんだが、
アメリカのこういったことへの暴力といってもよい圧力が
相当にひどいのであろうこと、ツイッター、トランプ大統領といったものをむこうにまわした
その極北が読めるようで興味深かった

怒りのありよう、その根本にあるもの、
理不尽と感じていることもよくわかるなと思いつつも、
その状況を作り出している世界に対して、どうするのが正解なのか、
彼女の表明は、なるほどと思うのだが、
それを押し付けること、受け入れることはまた、他方に許されたことでもあろうという話が、
色々と混同されたりして、まともな議論ができない状況というのも
また、よくわかるなと、どうしようもない現実が書かれていて、苦労を察するのでありました

結局のところ、彼女を悩ませるインターネットトロールと呼ばれるものたちが、
そもそも議論をしたいのではなく、罵倒をしたいだけとか、
また、そういう違う話になってしまうんだろうと感じたりもしたんだが、
色々と意思疎通ができないくらい思想や、考え方が違う人が
これまで思っていたし、口にも出していたけど
それが友達同士とかいうレベルを超えていくことになった悲劇なんだろうとも
彼女の怒りの矛先はどこへ向けるべきか、向けたところで何かあるのか
難しい問題だと思ったのでありました

よい話といっていいのか、そうトロール活動をしていた人が
ある時転向したというか、反省したという事件も起きたのだそうで
はたしてその事実は、彼女を慰めることがあったのか、
それとも、新たな火種を生んだだけだったのか
分かり合えたという事実は個人にしか適応できず
濃度の違う集団になってしまうと、まるで力を得ない、解決しないのではとか
色々考えてしまうんだけども、
彼女はただ、闘い続けていくんだろうと思ったのであった

3か月ぶりの台湾北上旅行 07 高雄関帝廟から台南玉市

2023-05-30 21:09:31 |  3か月ぶりの台湾北上旅行(2023)
三日目の朝、早々に移動して台南を満喫しようと出発開始
まずは前日同様に移動中食べようと朝食を物色



ホテル近くにハンバーガー屋があったので、そこで購入、
チーズバーガーとハムトーストなんだが二つで85元とまずまず
ハムがいかにも台湾という味で、実によい朝食になったと
前日に続いて、あたりを引いた感触でありました

そのまま、少々時間があるからと、高雄関帝廟をぶらり
数年前にも訪れたことがあったんだが、相変わらず立派な建物で楽しかったのでありました




中は豪華な寺院になっていて、上階もあるのでエレベーターで移動して、
あれこれと写真撮りまくって楽しんだのである




いかにもなフォトジェニックさを堪能しつつ、
別に何がという信仰心があるわけでもないので、とりあえず手をあわせるものの
道教の神様はいろいろおるなと思うだけで、とりあえず満足して出てきたのでありました
しかし、朝早くから問題なく入ってこれるのはよいことですね
参拝客誰もいなかったけどもさ


で、あっという間に台南へ移動
前日と違ってゆったり普通電車で移動してきたのでありました
それでも40分くらいだったと思うんだが、もう、すっかり台南高雄間の移動は慣れたもんである
ここからバスに乗って目当ての台南玉市へ




玉市巡りは、なんだかんだやってみるとすごい楽しいので、
今回のも相当期待していったんだが、あいにくの店の揃いぶりで、
どうも日取りが悪かったのか、店が半分くらいしか埋まってなかったので
ちょっと残念でありました
とはいえ、怪しい骨とう品もありーので、なかなか楽しく過ごしたのである
でも、台北のや、せめて、高雄十全の玉市くらいの熱気を期待していたんだが
あんまりだったのである
もっと流行ってる日なり、遅い時間だとさらにお店が出てて楽しかったのかもしれんな

そんなわけで、ちょっとテンション下がったけども、続いて台南観光をと思いつつ
とりあえず昼飯を食べようと、玉市出てすぐにみかけた、謎のお店へ




これが、さらっと飛び込んだわりによい店であたりでありました
朝食からさほど時間経ってなかったので、軽めにと鶏肉飯と香菇肉羹、あわせて75元
なんと朝食より安いじゃないかと思いつつも、
香菇肉羹が抜群に美味かった
かぐわしいといって過言ではない濃厚なシイタケの香りと出汁が素晴らしく、実に美味しい
いわゆるシイタケスープなんだが、とろみがかかったスープの香りと味がとにかく素晴らしい
鶏肉飯もあっさりしつつも、食べ応えがあって、この組み合わせで食って正解だったと
快哉でありました
台南では、とりあえず香菇(シャングー・しいたけ)を食べるべきだなと改めて思ったくらい

さて、満足したので続いて観光地めぐりをしようとタクシーを捕まえて
次の目的地へと移動をはじめるのであった


店にいた、たたずむわんこ

つづく
08 億載金城と徳陽艦

前の
06 夜市まわり

【読書】インヴェンション・オブ・サウンド

2023-05-29 21:05:26 | 読書感想文とか読み物レビウー
インヴェンション・オブ・サウンド  作:チャック・パラニューク

正直一回読んだだけでは、全然わからなかった

行方不明になった自分の娘を探す男の話なんだが、
並行して、映画の特殊音響、とりわけ「悲鳴」を扱う女がでてきて、
その二つの話が、だんだんと近づいてきてといった感じなんだが、
途中で、どっか読み飛ばしたのか?というくらい、劇的に場面が変化したり、
薬やってる描写なのか、実際にやってるのか、幻覚なのか、現実なのか
よくわからないシーンの連続で、それが、唐突に切り替わったり、
シーンの語り手が知らないうちに変わっていたりとかして、
ともかく、何がどうなってるのか、
よくわからんという印象で
気づいたら読み終わっていたのでありました

これは映像作品になってもらわないと、
理解できないタイプなのかもしれないと感じたわけで、
作者は、有名なファイトクラブの作者でもあるらしく、
映像化ありきで進んでいるんだろうかしらなどと思ったのである
実際、悲鳴を録音するという仕事が存在するのか、
効果音という面白いジャンルへのアプローチがあるわけだけど、
そこが本筋ではないのが、なんとなくもったいないような、
ただのスプラッタや、猟奇殺人めいたそれに落ち着いてしまっているようにも感じられるんだけど
その異常性みたいなのが悲鳴というのに収斂するのは
妙な納得感があるなと思うのでありました

とはいえ、起きている事件の内容がいまいちよくわからず、
気づいたら、大量に死んでいて、そしてその人たちがどういう関わりで、
どういう内容のために死んだのかもよくわからんと
酔っぱらったり、電車の道々でちょいちょい読むという読書には
まったく向かない本だったとだけ、書いておきたいのである
俺の読解力では、もっと集中しないと無理なやつだったわ

どうする家康  岡崎クーデター

2023-05-28 20:50:51 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「どうする家康」
視聴完了しました
岡崎の内情についてのお話で、まぁ面白かったと思うのである
じわじわと、瀬名に魔の手がと思ってたら、
むしろ瀬名からいくパターンかという感じで
来週のタイトル回収が、まさにそのシーンだろうと思うと
楽しみでたまらんなと思うのでありました

由緒あるものではあるけど、
あんなことしでかしたやつなのに、さらっと取り立てられている井伊に
若干の違和感をおぼえたりもしたんだが、
女装作戦が、今回もさく裂してて、まぁ、女装する必要あったか?と
小平太そのまんまなのに、どこ向けサービスだよと思いつつも
殺陣が鋭くてよかったと思うのでありました
やんちゃ坊主っぽい感じで、あのままでいくんだろうなと思うと
まぁ、それはそれでありだなと思うのでありました
黒田と喧嘩するくだりとかあるんだろうか

瀬名を持ち上げるスタイルなので、
必然的に五徳が悪い感じになってるのが、少々かわいそうに思わなくもないんだが、
あれだけ父親を盾に取るというのは、ありそうなキャラだなと思いつつも
もうちょっとくらい、可愛げがあってもいいんじゃないかと感じたりしているのである
そういうドラマじゃないといわれたらそれまでなんだが、
なんというか、あまりにもキツい嫁という感じじゃないか
実際そうだったのかもしれんが

家康はただ寝てるだけだったし、
勝頼が案外強いというそれだけがよくわかった回ではあったわけだが、
主題のクーデーターを講談チックに描いたところが
まずまず面白かったかなと思うんだが、
あの大仕掛けに、立派な武将使いすぎだろうと、ちょっとつっこみたくなるのは
まぁ仕方ないことと思いつつ
とりあえず次回が楽しみでならない現在でありましたとさ

luv eimy

2023-05-26 21:15:15 | 雑感
タイトルが恥ずかしすぎるなと思うんだが、大学の時に思いついて、
かっこいいと思って、使っていたHNではないんだが、自分だけの合言葉的なものとしてた
それくらい、山田詠美さんの小説にはまっていた時期があったと
エッセー集を読んで思い出したというか、
唐突に認知したという方が適切な体験をしたので
感想文の感想文的にメモっておこうと思うのである
正直、自分はそこまで山田詠美を好きだと思っていなかったのであった、どの口がいうか

初めての山田詠美作品は、高校時代に教科書に載っていた「ひよこの瞳」で、
今思うと、タイトルまではっきりと覚えているくらい読み込んだこと自体が初めての経験で、
凄い強烈だったのでありました
ひよこの瞳は、短編で少女の軽い恋心というか、情動を描いたものなんだが、
相手は事情のある男子で、陰があるところに惹かれたみたいにも読めるのだが
その男子がその事情によっていなくなる、
そのあれこれはあまり描かれていないんだが、多分、暗いことがあったんだろうと伺わせる
ある種のバットエンドのようでもあったけど、その恋心を抱いたかのような経験、体験が、少女の心に強く何かを残した、
そして少年の眼が、いつかに見た屋台で売られているひよこの瞳と同じだったと気づいてしまう

この描写によって、あれこれと暗いことが分かるように思えた
ただ書かれていることと、そこから想像させられる内容がまるで違うという読書体験をして
一気に引き込まれたのでありました
エッセーを読んで、芥川賞を目指していたという話に、今更納得したというか
これが比喩というやつで、それを駆使している作家なんだなと思わされたのが痛烈な体験で
そこから文庫を漁って読むようになったのでありました

結局文庫本で読んでいたので、単行本で発表当時がどうであったか、
そんな文壇とか、ある種のゴシップみたいな話とかも、まったく知らないまま
そもそも、直木賞とってたことすら知らずに読んだのが、よかったと思うんだが
ジェシーの背骨、ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー、ぼくはビート、
放課後の音符、チューイングガム、ぼくは勉強ができない、
多分これくらいだったと思うが、高校から大学にかけて読み漁った文庫本である
特に「放課後の音符」が好きすぎて、アホみたいに繰り返し読んだのであった

と、まぁ、読んだだけならそういうわけで、山田詠美作品好きだったんですねで終わるんだが
こともあろうに、文学かぶれたのと、インターネット黎明期が重なるという大殺界にかまけて、
個人ホームページに短編を何本か書くというわけのわからないことをしだしたのでありました
その時、どう書いたらよいものかという手本というか、もう、それしか読んでなかったからそうなるのは当たり前に、
「短編で、シーンを描く」というそればっかりで、肝心の比喩がまるでないものになったわけだが
何かしら書くということへの扉を開くきっかけになったのが、
山田詠美の小説だったんだと、そこまで思い至って、自身に激震が走ったのでありましたとさ
なんなら、俺の青春は山田詠美に支配されていたのではないか
何一つ為せたものがあったわけでもないのに、そう思うくらい読んで書いたと
そういうことを、エッセーを読んで改めて思い知らされたと
まぁそんなことを書いておくのである

あれからいくつか読んできたけども、最初に強い印象を持った本が山田詠美でよかったと
今更ながらに思うのであった、最初から司馬遼太郎や池波正太郎だったら、
今ほどあれこれ読むような人間になっていなかった気がすると
文章を人生に組み込まれた経験を語っておくのであった

【読書】笑犬楼 VS. 偽伯爵

2023-05-24 21:05:13 | 読書感想文とか読み物レビウー
笑犬楼 VS. 偽伯爵  著:筒井康隆、蓮實重彦

対談集のようだけども、往復書簡の様式をもって記していて
非常に面白いやりとりから紡がれる、映画論というか、
物語や、文章に関する論説が読めて大変面白かった
内容のどれほどを理解できたかといえば、
さっぱりわからなかったというのが正解だろうという読み方だったけども、
この二人の人物の生い立ち、その時代と才覚、そして映画、
これらを編み合わせていく感じが、
よくわからんが、読んでいて面白いと思えたので
よい読書になったとメモっておくのでありました

実際こういう高い次元というか、
そこまで考えたり、知っていないといけないのかと、
読んだというのが怖くなるくらいのそれなわけだけども、
そういう知識と異なる、どう読み込んだかというところでの決闘ではないが、
論じるということの力強さ、殺人的強さみたいなのが見えて
おっかなびっくりだけど、すごく刺激的でよかったのである
本当、何をいっているかわからないところが多いんだけども、
わからないの?と思われたら、どんだけ恥ずかしいというか、
もう怖いわと思うような迫力があって、
わかったようなふりをしてしまいがちな読書になったわけだが、
ともあれ、目が離せないというか、難しいことを語り合っているのに楽しそうに見えて
よかったと、読書というよりも、何かのライブを見たみたいな感覚に陥ったのでありました

筒井先生の繰り返しが、ある種の技法でありというあたりは、
そうだったんだと、今更ながらに思い知らされたりして、
また、いくつか知ったような文章の話があれば、そう読むべきだったのかと
これまた衝撃を受けて、こういう二人が見た映画、
そこに含まれるものが何かというのが、怖くなるんだが、
いかに面白いものかと思い知らされたようでありました

また、大江健三郎という仁についての論調も面白くて、
それぞれの立場と思想から語られる氏というのが魅力的な文章で彩られて、
一冊も読んだことないけど、読んで理解できるとは思えない内容なんだなと
そんなことを漠然と思わされたりしたのでありました
頭のいいひとというのは怖いと
そういう思いをするための読書とでもいうような体験になったのでした

3か月ぶりの台湾北上旅行 06 夜市まわり

2023-05-23 21:05:30 |  3か月ぶりの台湾北上旅行(2023)
さて、台南から高雄へ戻って夕飯がてら、
夜市物色をしようと移動を重ねます
地下鉄から、ライトレールに乗り換えて、前回空振りに終わった凱旋夜市へ




またやってねぇよ…
日曜日だったんだが、前回より若干店舗は多いものの本領発揮していることはなく、
がっかりしたのでありました
ホームページ見たら、土日やってるって書いてあったのに
どうやら、現在は土曜から日曜の昼くらいまでらしい
情報摂取をどこでするか、大変重要だと思い知らされたのであった

というわけで、結局いつもの通り六合の観光夜市へ戻ることに


相変わらずの装飾とプロジェクションマッピングショーをちょっと見てから

夜市入口へ

おお、人が多い!
今回はかなりにぎわっていて、これだよこれこれとテンションがあがる
流石に観光夜市で日曜の夜ということもあってか、
前回と打って変わって、なかなか盛況で楽しくなってきたのでありました



そんなわけで、うろうろと物見遊山をしながら
マンゴーあるよーという声かけにつられて、情人果という青いマンゴーと、
南部の粽が食べたいと思ったので、肉粽を買って
テキトーに店前のテーブルに座って喫食



情人果というのが、若い青マンゴーに妙な粉をふりかけたものなんだが
この粉、だいぶ前にグアバを龍虎塔のあたりで食べたのと同じやつだなと
名前はわからんが、かけると酸味が増すそれで、コリコリして面白いんだが
酸っぱい不思議な食べ物でありました、マンゴー感一切なし
多分、マンゴーではあるんだろうが、別物なんだろう
そして、肉粽の方は南部ならではの甘いタレとピーナッツ粉がふんだんにかかったやつでありました
こいつは旨い、なによりでかいと満足したのである




帰り際にはいつものように、パパイヤミルクを買って飲み
あいかわらず手際がよすぎるなと、ばさばさ裁いて、ガンガンジューサーにかけていく様を眺めながら
美味しくいただいてきたのである
前回よりもだいぶ甘味が強かったので、大変美味しかったと思うところ
やっぱりフルーツは旬に食べないといけないねと思い知らされるのでありました

この他にも、同行の父親が買い物をというわけで
茶店で、お茶買ったりとか、それなりに楽しんだのだけども
とりあえず、人出が戻っている夜市は実によいものだなと
混雑は嫌いだが、台湾語に囲まれる混雑は気にならないと、自身の性癖でもないが
想いを抱きつつ、この日を終えたのでありました

つづく
07 高雄関帝廟から台南玉市

前の
05 台南孔子廟商圏

【読書】地図と拳

2023-05-22 21:05:18 | 読書感想文とか読み物レビウー
地図と拳  作:小川哲

直木賞受賞作であります
すげぇ分厚い、レンガかてめぇ
とか思いつつ、通勤時間読書人にはつらい単行本でありましたが
大型連休を費やして無事読み切ることができました
大正から昭和にかけての物語で、地図というトピックスを描きつつも、
国や土地、建物といったものがどういう意味を持つのか、
人の生きる姿と、そこにある様々な物語とクロスオーバーさせて、
歴史を描く力強い作品でありました

主役というか、ずっと通して出てくる人物はいるんだが、
小説全体としては、主人公が入れ替わり立ち代わりしていくといった感じが面白くて、
それぞれの生き方、思想なんかと、そんな個人の悩みなど蹂躙してしまう国や時代が
酷いとも、なんともいえぬ描かれ方をしつつ、
その中で変遷していく人の心みたいなのも描いていて、
ある種の千里眼を追体験できる感じになってて面白かった

未来を見通すという、一種宗教じみたそれなんだが、
科学的というか、地政学なんかを駆使して、そういったことが可能かもと
思わせぶりに進み、実際そうであったりするさまを、
そうじゃない主人公たちから見せて、どうしても受け入れがたいというか、
決められているかのような、予測できてしまうかのような超然とした姿に
異議というか、どう反論するかを一大テーマとして扱っていた
そういう印象を持ったのでありました
人間というものの勝利というと仰仰しいわけだが、
机上論とか、推論だけで到達しえない、人間の妙みたいなのと、
もっと突き詰めて、最後に導き出した答えの在り方というのが
凄くしっくりときて、そういうことかもなぁと、
生きることへの意味みたいなのを考えさせられる面白い物語でありました

結構人の死があっさり描かれたりしている
ドライな部分も印象的だが、それはそれで人の人生が死によって報われたかのようにも見えるというのもまた
考え方として、許容する一つなのかもと思わされたり
地図に落とし込まれた想い、それらが、誰のため、あるいは、
人間全体のためともいえるような営みの結晶だという感じがして
凄くよかったと感動したのでありました

どうする家康  お手付きしてどうする!

2023-05-21 20:43:13 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「どうする家康」
視聴完了しました
なかなか面白かった
先週までが嘘みたいな軽い流れで、安心して見られたのでありましたとさ
しかし、それはそれとして、SKEの人も妖艶になったなと驚いたのである
演出のせいなのか、朝ドラではそんなことつゆとも思わなかったが、
女優として成長しているということなのか、わからんが、感心したのである
ただ、結局したたかな女という描き方だったのか、瀬名をだましたでもないが、
あのあたりがなんとなくしっくりこなかったので、
演技はまだまだこれからを楽しみにしたいなと、偉そうなことをのたまわっておく

ま、そのお手付きをやたらねっとり描いていたのは
ちょっと面白かったんだけども、
その裏でというか、さらっと、将軍と織田の決着とか、
秀吉が名乗り変えてたりとか、
このあたりの殺伐としたシーンがダイジェストで流れるのがまたよろしく
より、数正の怒りが笑いレベルもあげつつ、説得力も抜群になってて
素晴らしいと感心したのである
いやー、あのくだり、ベタだけどすごくよかったわ
みんな生き生き演じてる感じがしてとても好きなシーンだ

しかし、秀吉がだいぶ黒くなってきたというか、
ある種の成長が見てとれるようになってきたのが面白いところで、
このあたり、本能寺でどう転換させるのかが、がぜん楽しみになってきたのである
そして、光秀の変わり身もあまりに見事で、軽薄さが素晴らしいと感心しきり、
将軍も案外肝が据わっている感じに描かれていて、坊主あがりのしれとは違うキャラできたのも
なかなか楽しいなと
全部家康と関係ないところが、ヤクザ映画みたいな絵面になってるのがよいなと思うのであった
まぁ、数正だけで、十分ヤクザ映画なんだけどもさ、いや、大森南朋もそうか

武田戦の後をうまく引き受けて、瀬名との別れという前半クライマックスを作るというのが
今日でとてもはっきりしたのがよいところで、
勝頼に手を伸ばされたという事実をもって、織田に迫られるという
なかなかな「どうする」案件がこれから積み上げられていくかと思うと
なかなか楽しみの多いドラマになってきたと思うのでありました

しかし、今回のは、!つけてるだけあって、
言葉の意味が異なっているサブタイなのが、個人的に好きだなと思ったのであった
あと、雑に銭取とクソ漏らしの話も回収してて仕事してるなと感じるのである

【ドラマ】レジデント・エイリアン

2023-05-19 20:55:57 | ドラマ映画テレビ感想
NHK海外ドラマ枠でした
コメディSFといっていいんだろう、ちょっと見て子供向け?とか思ったんだが、
ジョークがだいぶ下ネタよりなので、やっぱりちゃんと大人に向けたドラマなんだろうと
思いながら見たのでありますが、なんだかんだ、楽しんでしまった
無茶苦茶な設定を勢いで押し切られるというのは
個人的に大好きなストーリーテリングなので、
真面目にミステリしてるのか、莫迦にしてるのかもわからない感じが
凄くよかったと思ったのである

結構迷走しながら作ってたんじゃないかというくらい、
最初と終わりで話が変わったというか、
主人公のエイリアンが変わったなぁと思ったんだけども、
もともと原作はアメコミなんだそうで、
それっぽいかなと思いつつも、エイリアンが人間に感化されていく
それが成長のようにも見えるというのは、
ありがちな設定だけど、笑いながら見ているとよいものだと
改めて思い知ったのでありました

世間を知らないエイリアンのテレビから手に入れた知識によるジョークという、
どこ向けの何をどうした皮肉なのかもわからない感じが、
最高に面白くて、子供と意地を張りあったりとか、
頭いいのに、頭悪いという絶妙な掛け合いが素晴らしくて、
ほのぼのしていたように騙されたのでありました

まぁ、実際のところ、殺人は起きているし、
ミステリがSFと並走しているという珍妙なつくりが、
違和感というか、ミステリは結構ちゃんと考えさせるのかよと、
ギャップがまた面白いなと思いつつ見入ってしまったわけで、
こういう荒唐無稽がドラマとして成立してしまうくらいというのが、
洋ドラのいいところだなと思うのである、
なんか、洋ドラだとこういうのを許してしまうというのは、
そういうものだと、演劇を見ているのに近い感覚なんだろうかと
自分でもよくわからんのだが、面白いという感想に嘘はないのである

つづきはやらなそうだけど、綺麗にまとまってるし
別に見なくてもいいかと思ったりもするんだが
ミステリが、結局解き明かされるというより、ただ事実がバレるだけというのが
肩透かしで残念だったかなと思いつつも、
まずまず楽しんだ記録をメモしておく

【読書】WILDERNESS AND RISK 荒ぶる自然と人間をめぐる10のエピソード

2023-05-17 20:59:22 | ドラマ映画テレビ感想
WILDERNESS AND RISK 荒ぶる自然と人間をめぐる10のエピソード  
著:ジョン・クラカワー

タイトルの通りではあるんだが、なかなか興味深い読み物を集めた内容でした
大自然の中で起きた不幸な事故や、社会問題なんかを書いた短編ルポ集で、
サーフィンで危険を求める話、登山と登山道具と訴訟、人格強制キャンプの実態とか、
ドキュメンタリとしてもかなり読み応えのある内容ながら、
アメリカという国の問題を結構大胆に描いているようにも読めて
かなり面白かったのであります
アメリカ人ですら、訴訟を簡単にやって、しょーもないことになってると思ってるのか、
思ってるのに、それでも続いているのかと
当たり前の事実にショックを受けた

自然に関する業界の話というのが基本といっていいのか、
結構ジャンルが幅広いという印象だったけども、
登山関係がやや多かった印象で、アメリカの伝説的なアルピニストの話が面白くて
こういう性格に難のある人というのは、えてして伝説になりがちだよなと
それでもある種の魅力があって、そして、絶望的にそれしかないという
人となりについては、身近ではないが興味深いと思って読んだ
でも、そういう人だからこそ、誰かが手を差し伸べなくてはとなるのもよいし、
結局、のたれ死にそうな感じだったのに90歳を超えるまで生きていたとか
もはやなんだよという感じなのもまた、伝説を彩る挿話としてよかった

自然環境の過酷さと、それに対するアメリカ人の感想、接し方、
そういうものを通して、アメリカという国に内包されている問題点なんか、
社会派読み物のようなジャンルかと思うようなテーマまで書いていて
非常に読みやすいし、含蓄あって面白いと思ったのでありました
なんだかんだ、問題の多い国であることを
また、そういう人種であることを詳細に記して、問題提起をしているという点で
優れた文章なんじゃないかと、素人ながらに感じたのであった

アメリカ人とアメリカという国を描いた本とも読めたと思うのは
格好をつけすぎた読み方だろうかしら

3か月ぶりの台湾北上旅行 05 台南孔子廟商圏

2023-05-16 20:55:41 |  3か月ぶりの台湾北上旅行(2023)
長らくバスを待ってから無事次の目的地へと移動ができたのでありますが、
時間短縮でもないが、バスから鉄道、鉄道からバスと、急いで乗り継ぎをしていたせいで
写真がほとんどないまま、白河→新営→台南→鄭成功廟と移動したのでありました
てなわけで、鄭成功廟の写真からスタート




多分立ち寄るのは三回目くらいのような気がするんだが、
日本にもゆかりがある国姓爺鄭成功を祀った廟であります
台南の林百貨店からちょっと移動したところにある廟で、
割とこじんまりしているけども、台湾随一の英雄を祀っているから、なかなか立派なのであります
廟の前には、幼き頃の鄭成功と日本人の母像、そして若き日の鄭成功像などがあります
結構新しいものだなと観ていて思ったんだが、
未だ台湾で人気あるということなんだろう



中には故郷の一つといわれている佐賀の石も祀られていて
本尊といっていいのか、鄭成功木像がにらみをきかせているのでありました
この像を見るたびに、そっくりな知人を思い出してしまうんだが
アジア人にありがちな顔立ちなんだろうと思うのである
だからといって、変な顔ではなくむしろ端正だと思うのだ
愛嬌あるのに凛々しいというか、結構好きな像である

と、まぁ、どっぷり鄭成功を堪能したので、ようやっと食事に
時間的にもはやおやつ時といった感じだったんだが、昼飯を移動途中に
コンビニで台湾おにぎり買って食べたりしただけなので、おなかに何か入れようと移動である
鄭成功廟の近くといえば、当然ここ




日本人が大好きな度小月であります
確か本店にあたると思うんだが、ここで食べるのもそれこそ三度目か
何度食べても旨いと感激するばかりなわけで、
目当ての擔仔麵を麺と冬粉でもらい、エビ巻きもつけて堪能したのである
やはりここのは本当に旨い、量の割りには高いとか思ってしまうんだが、
それも台湾の他の店と比べたらというだけで、この味ならと満足してしまうのであった
これで確か360元くらいだったと思う、高いが旨いのである
店内の写真撮るの忘れていたけども、初めて二階に案内されたんだが、
ゆったりとできて、落ち着いて食べられたのでよかったのである
前は狭いカウンターで食べた気がするので、そこから比べるとずいぶんよかった




続いて、そのあたりをうろうろするということで孔子廟商圏の方へと移動
ここにどでかいブーゲンビリアの花があるというのでそれを見てきたのである
写真の通りなんだが、この他にも数本大木があって見ごたえたっぷりでありました
お店の方は、休日しかやっていない台湾おでん屋さんなんだが、
食べたばっかりだったこともあって注文はせず、ちらっと横目に見ただけで素通りしたのである
食べてみてもよかったんだが、いまいち勝手がわからなかった
安いが、旨いとはいわないという内容らしいので、なかなかどうして



そして腹ごなしにぐるっと孔子廟公園のあたりをまわって、
もう一軒目当てにしていた莉莉水果店に入る
まだ3月ということもあって、割と涼しいこともあってかき氷はやめて、
豆花と水盤を頼む、季節のフルーツということなんだが、これまた時期が悪いのか、
これというのがないのが残念だったけども、レンブとかグワバとか、
いかにも台湾という感じの果物を食べたのでありました
あっちではリンゴが高級フルーツなわけだが、リンゴはリンゴだなあと
身もふたもないことを感じたのであった
春先は甘いのが少ないのが残念である、できれば、マンゴー華やかなりし頃に来たい店である



と、まぁあわただしく台南の孔子廟界隈をめぐって、ほどよく日が暮れてきたから
夜景スポットといっても過言ではない、林百貨店と国立台湾文学館を見てきたのでありました
こういう建物があるのが、台南の魅力の一つだなと改めて思いつつ
割と満足して高雄へと戻るのであった

つづく
06 夜市まわり

前の
04 白河林初埤木棉花道

【読書】私のことだま漂流記

2023-05-15 20:55:16 | 読書感想文とか読み物レビウー
私のことだま漂流記  著:山田詠美

久しぶりに山田詠美さんの本を読んだ
そして、唐突に、自分がこの人の文章にものすごい影響を受けていたんだと
気づかされた一冊になったのでした
山田詠美語りについては、この勢いに乗じて、またどっかで別にやろうと思うのだが
この本の初出は、どこかの連載エッセーというかコラムだったようで、
ご本人の過去語りのような内容を軽やかに書いてて
いいなぁと、読みやすくて、それでいて転がるような言葉と戯れたのである

正直、ちゃんと知らなかったので、
デビューから苦難というか、非難が多かったというのが、
時代でもあるなぁと思いつつも、その大変さは、
軽く書いてるけど、半端なかったろうと思わされるところ
とはいえ、文壇というのが怪しいというか、いかにもな時期の最後の頃と
書かれている通りであろうことから、それもまた、
あだ花ではないが、武勇伝の一つとしてうまく昇華できた
そういう文学界というのではなかったろうかと思わされた
案外、最近あれこれ炎上という騒ぎになるのは、
こういった一種の権威コミュニティが存在しないせいというか、
そういうのに所属していないからなのかしら、
いや、所属していると、また、もっと燃えるだろうから
なんか違うのかなとも思ったんだが、
往年の文筆家たちの無茶や酷い話なんかも面白くて
そのあたりの素養があると、さらに楽しめる本だったと思わされる

自身の結婚と離婚についてと、小説を書くこと
書いた小説のことについて細やかに書かれている部分が面白くて
読んだあの短編書いた頃は、そんな感じだったのかとか
文庫で読んだ身分としては、その最初の空気を知ることができるのが
なかなかに楽しくて、今だからこそ書かれたものだなと
感動というか、感激して読んだのである

とまぁ、読むほどに、自分が山田詠美ファンだったんだと
当たり前のことにやっと気づかされたような感じがして
こういう、時代を築いてきた人の文章を読むというのが
楽しい読書になるんだと、改めて思い知った一冊になったのでありました
別段凄いこととか書いてあるわけじゃないんだが、
自分にはとてもよい本だった

どうする家康  真・三方ヶ原合戦

2023-05-14 20:53:13 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「どうする家康」
視聴完了しました
今更ながら、このドラマの方針はオチを先に見せてから、
掘り下げで巻き戻るを大小あわせてやっていくから、
途中から入っても、案外みられるとか
そういう作りなんだろうかと思ったりするところ
最近はこういうのが流行りなんだろうか、まとめ動画っぽくはあるなと思うのである

さておいて、いい話だったのは間違いなく
まぁ、どうやっても家康死ぬわけないしなぁと、でもでも、物語としては
死んだかどうか怪しいとしないといけないところなので、
こういう展開なのは、納得でもあるんだが
想像以上に、夏目のクローズアップがすごくて驚いてしまった
そんな鬼滅の鬼の最後みたいなシーンまで挟んで、ものすごく好待遇じゃないか
そのせいかわからんが、すっかりシリアスで通ってしまったので、
しかみ面とか、銭取とかの話がなくて、ちょっと残念ではあったんだが
押しつけがましいとも感じつつも、いい話だったと思うのである

しかし、見事な負けっぷりだったんだなというのが
よくよくわかって、大変楽しかったわけであるけども、
武田の急転、その直前の織田の対応というのは、
非常に興味深いところであったし、家康の生死不明を聞く信長、秀吉というのは
ドラマとして、こういうシーン見たかったかもなぁと思わされて
いい感じだと、史実とかうっちゃって楽しいと思ってみたのであります

将軍付きとしての明智という立場なんだと、
今回明らかになったのはなかなか興味深いところで、
どのタイミングで明智が見限るような感じになるか、
そこの酷薄さによって、このドラマの明智が完成するんだなと
ちょっと楽しみが増えたと思うのである
徹底的に悪役でいかず、ちょっと、明智なりの理を出してきそうだなと思うんだが、
いっそ清々しいまでに嫌な奴でもいいなぁと
楽しみなのであった

本多の叔父貴も見事な死に花火をあげたし
まぁ、おおむね満足という感じで見終えたのであった

【読書】土竜

2023-05-13 21:15:37 | 読書感想文とか読み物レビウー
土竜  作:高知東生

読み終わってから、どっかで聞いた名前だなと思ったら
俳優の人だった、いや、俳優としては正直知らないんだが、
紆余曲折のあった人の様子で、そして、この物語で書かれていたことは
半生でもありといったところ、つまり、私小説というジャンルになるのではと思ったのである

バブルの少し前くらいに高知県で育った不良少年の一代記といった感じなんだが、
子供の頃のイメージと、東京に出てからのイメージがずいぶんと違うので、
同じ人物とは思えんななどと思ってたんだが、
だいたい本人がこんな感じだったと思われると、なるほどなと
その葛藤のあった生き方について、考えさせられたのでありました

そういう事実関係を意識しないままで読んでいたので、
高知の不良少年記ものとしては、かなり面白いというか
ああ、こういう時代で、こういう少年がいたんだろうなと
しみじみ懐古的な気分に浸っていたわけだけども
ヤクザの子供だが、本当の父親が誰なんだとか、
おばあちゃんとどうだったとかいうところが、もっといい話になりそうだったんだが、
事実はそうでなかったという部分もあるのだろうか、
もっと楽しい、面白い小説になったんじゃないかなと
惜しいと思ったりしたのであった
多分、小説よりも凄い人生を歩んだということでもあるんだろうなと
不思議な気分で読んだのである、凄いことだし大変だったんだろうな

子供時代といっていいのか、高知を出るまでの話が結構面白いし、
ブルセラ道中記というか、不可思議な終わり方もあわせて楽しい章もあったり、
読みどころ多かったから、もうちょっと東京出てからの話を深くというか
多く読んでみたかったなと思ったのでありました
続編というものは出ないんだろうが、もっと読んでみたいと思ったのであった