CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

光る君へ  いけにえの姫

2024-06-30 21:03:11 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「光る君へ」
視聴完了しました
今回はかなり物語というよりは、史実が進んだというか、
いや、進んでいたわけじゃないんだが、仕込まれていったそれらが
よくよくわかるような、そんな回で大変面白かったのであった

道長をはっきりと、正義の官僚として描くことが
決定したかのような印象も受けたのだが
物語としては、それでよいと思うし、さほど道長を悪いと思ってみるほどに
平安時代のこと知らないから、これを軸にさらに楽しませてほしいと
わくわくしているわけだけども、
晴明のうさん臭さというか、あいつ本当にひどいやつだなと思いながら見ていたんだけども
たきつけるだけたきつけて、思った以上の回答に喜んでいたように見えたんだけど
ほぼ同じ表情して、暗そうに喋るだけというのも
凄い演技だなと改めてほれぼれしているのである

そして一条天皇のいたしっぷりのひどさが、
絵面が綺麗だからそう思ってないというか、こういうのも演出次第なんだなと
思い知らされるばかりなわけだが、やってることはたいがい酷いなという具合だし、
結局女にかまけて仕事してなかったというだけの話しが
なにやら、雅めいて見えてしまったり、定子は結局策士女なのかと思わされたり
そのあたり、京雀にならんとわからん機微だなと思いつつ見たのである
まぁ、道長のやりようも、結局は自身の英達のためかどうかは、
本人の言以外はわからないけど、歴史でみたら、そりゃ、やることやって登る人だよなと
思わなくもないのが面白いところであった

そして、どうでもよさそうでそうでもない、
まひろの寵愛騒動が、なんだかんだ大変面白くて
これまで、あんなにかっこよかった叔父様が、急にしょーもない男に見えるというのも
これまた脚本の妙もであり、実際、男女の仲ってあんな彩だよなと思ったりするのである
そして、多分そういったことがいっぱい書かれていたのが
平安文学だよなとも思うと、その正当な作品として
本作は立派だと、改めて思い知ったのでありました

ともあれ、最終的にまた道長と、なんか旅先で再会とか
これは波乱しかなかろうという面白さをふりまいて終わられて
来週がすげぇ楽しみで仕方ないと思いつつ
今週も、すこぶる楽しんで読み終えたのでありました

【読書】ユーチューバー

2024-06-29 21:05:54 | 読書感想文とか読み物レビウー
ユーチューバー  作:村上龍

よくわからん小説だった
登場人物それぞれが主人公の短編が四つといった感じなんだが
舞台装置としてのユーチューブ、ないし、ユーチューバーという単語が現れる
まぁ、実際に動画撮ったりというシーンもあるわけだけども、
それが意味するところというのが、
もしかしたら、本人がユーチューブでやってる有象無象を文章に起こしたらこうじゃないかと
実験的にというか、村上龍的ユーチューブにした
そんな感じのように思うのであった

だらだらと、他愛のないというか、とりとめのない
面白いのか、面白くないのかわからない一人語りがずっと撮影されている
だから、会話劇ですらないという感じで、でも
その語り口に奇妙にとらわれて、なんか引き込まれるでもないが
見てしまうといった感じなわけだが、
これはなるほど、確かに文章にするとそういう感じで、
喋っていると、きっと内容はこういうことじゃなく、
喋り方というものでひきつけたりするんだろうなと思わされる
この小説の場合は、書き方でそれをなしていると
まぁそんなかっこいいことを感じて読み終えたのである
だからといって、なんだといったら、何もわからんのだが
まぁ、ふわっとしながらも、面白かった気がすると思って終わる
このユーチューブでよくわからん動画見た後と同じ感覚を
味わったようにも思うのであった

主人公の一人が、結構年のいった小説家というあたり、
自身のことでもあるのか、そうでもないのか、
わからんのだけども、本人はもうちょっとぎらぎらしてそうだから
こんな感じじゃなかろうなと思うが、
語ってる内容には、自身の何かが混じっているようにも思えて
結局、これは、本人がユーチューブでやろうとしたけど、多分当たらないから
小説という形にしたというだけではないか、
いや、私小説を動画にするという試みを思いついたけど
小説家だし、やっぱり小説で書こうと思った結果なのか

あれこれ、しょーもないことを考えつつ読んで
30代だから、40代だか、50代だかわからない女という単語に引き付けられつつ
読み終えたのである、詐欺というのは適切ではないのだが、
なんか、雰囲気があるようなという気分をずっとくすぐられる読書だった
結局なんもないんだけども

春の台北で遊ぶ 01 出発

2024-06-27 21:01:14 | 春の台北で遊ぶ(2024)
ちょっと時間が経ってしまったのだが
2024年3月頃に、またも台北へ旅行に行ってきたのである
大層な年寄りになった父親がいよいよ最後の旅行になるということで
死ぬ前に最期の台湾旅行に行きたいと
前回もそんなこと言ってたような気がするが、今回は本当に最後になろうというわけで
ぼつぼつ、中部国際空港から旅立ったのでありました



名鉄に乗って、セントレア入りし、歩いてさほど時間がかかるわけでもないんだが、
せっかくだからと、わざわざシャトルバスに乗ってから第2ターミナルへ
今回も、タイガーエアの安い便なのでこちら側からスタートになるのだが、
とりあえず軽く腹に何か入れておこうと、フライトオブドリームスでうどんを食べて
日本の食べ納めとする




セントレアから桃園空港へ、3時間程度の旅程でありますが
今回は青シートで、予約していなかったけど、まずまずの席だったので満足
乗ってからすぐ寝てしまっていたので、起きたらあれよと台湾到着
薄曇りで、実に素晴らしい、3月だが、すでに25度を超えている
非常に過ごしやすい素晴らしい天候である



そして気合を入れて、今回こそと5000元チャレンジ
見事大外れ!なぜだ!、本当に当たるのかこれ!?
父親とともにがっくりうなだれつつ、仕方なく両替を行ってから気を取り直して移動開始である
レートは2029…まじか、いよいよ5倍計算の時代かと衝撃を受けつつ
円安を呪いながらの旅が始まったのであった



MRTで移動し、まだ日の光が残っていたので、外をなんとなしみやりながら
こんなでかい公園が通り道にあったんだと、眺めながらあっという間に台北到着、
Y区だったかから移動していくんだが、
相変わらずのおもてなし人形が、なんか数増えてない?
キャラクタの統一性なくない?と、気にしても詮のないことを気にしつつも
いよいよ台湾に来たなという妙な興奮を覚えながら移動していくのである



今回は珍しく、ホテルが台北駅の北側
ここのところ西門町ばっかりだったが、なかなかよさげなホテルがリーズナブルに予約できたので
そちらにお世話になったのである、イエシンホテルと発音するようである
なんかメルヘン通りっぽいところがあって、そこが大正の日本ぽい設定のようで
変わった銅像もあったんだが、それとはさして関係はないと思われる
けど、なかなかよさげなホテルでありました

とりあえず到着して、荷物を置き
さっさと初日の飯探しに出かけるのである

つづく
02 寧夏夜市で腹ごしらえ

【読書】死神の棋譜

2024-06-26 09:05:50 | 読書感想文とか読み物レビウー
死神の棋譜  作:奥泉光

将棋を題材にしているので期待して読んだんだが、
SF将棋めいたもの、かつ、実際は普通のミステリ小説だった
実在の棋士の名前は出てくるし、
当時小学3年生の愛知県出身の強い将棋の子供が出てきたり
色々考えさせられるところではあったわけだが、
そういうのはともかくとして、ある奇妙な事件をおいかけて、
その筋が実際は、というのが、もしかしたら将棋強い人ってこういう感じなのかと
思わされたりして、奇妙に納得したのである
面白かった

物語の終わりの方で、将棋にさされているという言葉がでてきて、
それが、物語の中核というか、大きな比喩でもあるのかしらと思っていたんだが
なるほど、世の中そういうものでもあるのかと納得というか
腑に落ちるところもあって、嫌な世界だなと思わなくもなかったのである
だからこそ、この物語が面白いとも思えるわけだが、
半面というか、そういう作りこまれ過ぎた筋というものが、
よくできすぎていて、小説としてなんか、居心地が悪いようにも感じたのであった
何を言っているかさっぱりわからん感想だけども、
あまりにもできているという辻褄あわせに似た感覚といえばいいか
ともかく、論理を組むことが前提にありすぎる
でも、将棋の棋譜というのはそういう風にできているんだろうかと
考えさせられたのでありました
なんか、そういう考え方をすると、ひょっとしたら、将棋強くなれるんじゃないか?
その神髄を書いた小説なんではないかなどと、妄想に取りつかれるのであった

女流棋士が出てきて、それと尋常ではない関係になるというシーンがあるのだけども、
それが、なんか浮世離れしてみえたと感じたあたり、
自分が女流棋士になんらかのアイドル性を求めているのではないかと
そんなしょーもないことにも気づかされたのだが、
この小説にあるように、将棋が強いというだけで、実際はそこらにいる女性なのであると
だからこそ、この本の登場人物の役割を担うのだなと妙な感心をしたのでありました

【ドラマ】岸辺露伴は動かない 密漁海岸

2024-06-25 21:05:32 | ドラマ映画テレビ感想
いまさら?という感じながら、レビウ書こうかどうしようか
思いながら月日が経ってしまったのである
映画で一区切りと思っていたら、ファンの間でも
これは見たいといわれていたタイトルが無事映像化されて、
内容も、第四部のアレンジを含めてだから
個人的に凄く楽しめたのでよかった一作でありました

いまさらあれこれ語るのもといった感じであるけど、
改めて思い知ったのは、小劇場っぽい作りが
この作品の肝なんだなといったところで、
映画が、思ったほどではなかったという無責任な感想を抱いたのは
たぶん、大げさにするのが根本的にあわないのではないかと
今回の、登場人物をぎりぎりまで削ったかのような、
でも、全くそこに違和感はあるはずもなくて、
狭い中で、少ない人数があれこれとして物語が進む
そこで扱われる不可思議がとても楽しいと、キャラクタの上限人数と
物語との比重が絶妙なバランスでないと成り立たないのかもと
思ったりしながら、今作それがいかんなく発揮されていて
かつ、演者にえらい大変さを強いている物語だと感じつつも
見事に描き切られていて、最高に楽しかったと思ったのでありました

まず、前半のレストランシーンで、第四部でも屈指の面白さだと思っている
トニオのレストランシーンが、まさに秀逸の言葉以外がなく
ドラマ上、露伴と泉くんの二人が、それぞれ億泰をやってるのが最高に楽しくて
それぞれのキャラクタのままでありながら、めっちゃジョジョっぽい感じで
オリジナルなのに原型がわかるといったらいいか、
なんつーか、的なところが最高によかったと思うのである
特に泉くんが、真逆というか、まったく億泰から離れたキャラなのに
違和感なく演じて、かつ、泉くんならそうだし、億泰もそうだったというか、
なんといったらいいか、とてもよかった
それを受けたからでもないが、俺の方がと気概が感じられるほど露伴の演技も抜群で
高橋一生のなみなみならぬ情熱が感じられて、
これもまた、露伴のまま億泰だったのが凄くよかった

ま、そこまで書いておいて、肩から垢が出る話は仗助のほうだったっけ?と
記憶にないのだけども、ともあれ、あのレストランの出来事の再現に
まごう事なきものをみたと感激したのである
一応のつじつま合わせで、怪しげな毒を見事に昇華させて医食同源にするというのは
こじつけも甚だしいけど、そんなところは、まさにこじつけてもらって
ちょっとでも納得できればそれでよしといった気分で見ているから
全く気にならなかったわけだが、そこもよくよく考えられていて
後半の密漁に関しても、倫理上、密漁を成功させてはいけない、
実際は密漁したという事実もどうなんだというところは、不問にしてしまうような展開が
まぁよくできてるなと感心してみたわけだが
いずれにせよ、よくできていて、最高に楽しかったのである

終わりに、イタリアでのロケを示唆するかのようなセリフで終わって
また映画化するつもりなのかとわくわくと、そこまでせんでもと思ったりしたんだが
その後に、主演二人が結婚という報を見て、おめでとうと思うと同時に
これは、もう二人がそろうドラマは作られないということにもなるのか?と
よくわからん慣習(夫婦が一緒に働くのはどうかしら)を思ったり考えたりしながら
とりあえず、今作凄く楽しく見終えていたというお話である

【読書】熱風団地

2024-06-24 21:05:59 | 読書感想文とか読み物レビウー
熱風団地  作:大沢在昌

日本を舞台にしているけども、東南アジアの怪しげな路地裏を舞台にしたような
サスペンス、いや、エンタメ小説でありました
中国にほど近い、架空の小民族国家を扱う内容で、
モチーフがいくつかあって混淆されているのかわからんが、
実際にそういうところがあったら、こんな感じになるんだろうなという
国家間の紛争と、個人の解決の相容れないところなんかが
とてもわかりやすく描かれていて、楽しく読み終えた
まあ、あまりにも架空のそれすぎるので、
あくまでそんな話になるかもなという、国際情勢への批判でもないが、
大義と事なかれ主義が描かれていて、主人公の静かな生活も含めて
面白いエンタメになってて、ずっとひきつけられて読むことになった

相棒が元女子プロレスラーというのも面白くて、
だからといって、その相棒が大暴れするかといえば、そうでもなく、
意外と小回りが利く、知恵を働かせる展開ばかりなのがよくて、
腕力をうまく使っている感じ、格闘のプロの矜持みたいなものが、
実にうまく、色々なことをセーブしているような展開になっているのも
ある種のリアリティが感じられて楽しい
ご都合でそうなったというでもないし、実際そのあたりだろうなというのが
どの事象をとっても、ことごとくとられているのが
変なひっかかりを覚えないゆえんなのかと思ったりする

架空の小国家について、
いかにもそこに詳しい教授というのもいそうだし、
その珍しい言語についての会話、それをしゃべられるということが、
どの程度安心や、親近感をわかせるかというのも
別に説明的でなく、なんとなく、それくらいになりそうだなと
一つも確定要素がないけど、すんなり信じられてしまうようになってるのもよいのが
なんとも楽しいのであった

舞台設定が、日本国内にある、アジア人の集合住宅になっていて、
まるで東南アジアみたいな夜市が展開されていたり、
自治区の独特の慣習だとか、そういった異文化が
まさにごたまぜになってて、東南アジアというひとくくりにしたあり得ない国家的なものが
見事に形成されているのも魅力的だったわけだけど
そんなところがこのご時世あったならば、Youtuberやらの
格好の餌食になるだろうなと、夢のないことも思ってしまうんだけど
有って欲しいというでもないけど、遠くなりし昭和や平成のころには
ドヤ街が実はこんな感じだったんじゃないかと思ったりすると
これもまた楽しかったのである

主人公がおとなしいけどよく切れるというのも気持ちがいいし、
相棒も腕力という武器があるけど、その行使がほとんどないというのが
物語を荒唐無稽なアクションものにしないのがよかったと
満足して読み終えたのでありました

光る君へ  決意

2024-06-23 21:13:16 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「光る君へ」
視聴完了しました
意外とあっさり都に帰ってきてしまったまひろ、
そうか、父上はおいてくるという選択になるのかと
越前編がちょっと寂しく終わってしまったなと感じたのだが
また、周明やらも出てくるんだろうかしら
さておき、相変わらず旦那様である、佐々木蔵之介がひょうひょうとしながらも
やることちゃんとやる男で、かっこいいなと感心してしまった
抜け目がないといったらいいか、愛嬌のようなものをまといつつも
着実に仕事をこなす男といった感じで、大変すばらしい
あれでなかなか、道長へのアテは、相当な胆力というか、
後々を考えて、さらっとやってしまったところが
年の功というべきか、俳優が若いから、あんまり年食って見えないけど
実際は結構年よりなんだろうから、まぁ、あんなもんよな
そもそも、まひろも、当世でいえば、大年増もいいところというか
もはや行き遅れとも形容できないくらいのそれだろうから
ある意味、めでたしではあるが、現代劇的な解釈だと、
なんというか、生臭いもんだなと笑ってしまったのである

さておき、仕事をしまくる道長といった感じで、
優秀な官僚長が、お上に困らされるの図といってもおかしくないそれだが
しれっと、晴明が悪いことの予兆だけをおいていくという
あいつ、腕は確かだろうけど、役に立つか立たないかの以前に迷惑なやつだなと
思ったりさせられつつ、それはそれとして、凶事が続き
それに伴っての諫言が、なかなか辛辣でよかった
静かに怒りを伝えるというそれが、やりとりの空虚さもあいまって
なかなか大変なそれだなと、道長の苦労がしのばれたように思うのである
実際に3回も辞表出したのだろうけども、それで直るものでもないというのは
はたして、下々からどうととられたか、両者ともに頭の痛いことだと偲ばれる

まだまだこの混乱が続くようで、
宮廷劇とはまた別のそれだが、一条天皇の始末がどうつくか、
そして、ここからの道長の覚醒がどうなるのかが
かなり楽しみな感じで、次回予告が煽ってくるので
また、凄くいいなと思うばかりであった

しかし、公任がつくところ、悉く不吉のように見えるんだが
あいつ、なんかに取りつかれているんじゃなかろうか

【読書】氷菓

2024-06-22 20:55:25 | 読書感想文とか読み物レビウー
氷菓  作:米澤穂信

今更といった感じでもあるのだが、
アニメ未見なので、純粋に米澤先生の小説として堪能したのである
まぁ、シリーズの他のを読んでいたので、この原点である一冊をようやっと読んだわけだが
改めて、大人びたというよりは、ずいぶんと枯れた高校生だよな
おまけに、まだ15歳とか、どうかしてるだろうと
思ったりしながら、寂しい事件の結末を追ったのでありました

省エネ高校生たるホータロウが、姉の強引な勧誘というか指令によって
古典部なる部活に関わることとなり、そこからバラ色の高校生活が始まると
まぁそういうお話だったなと、この一遍だけで完成度が高いなと
ちょっと驚いて読み終えたのでありました
シリーズにするつもりはなかったのだろうと思うのだが、
一人の青年の心の変遷がしっかりと描かれていて
ちょっと気障ではあるけども、わかりやすくうつろうといった感じが
凄く丁寧で、とてもよかった
他の学友たちも、あれこれと出てくるけども物語を回すそれだけであり
キャラクタものというではなく、
あくまで氷菓という冊子が主役といえばいいのか、
ある高校生の過去とでもいいような事件を解明することで
彩りにあふれた世界が見えるといえばいいか、
姉の真意が何であったか、そのあたりも含めて、非常に面白い物語だった

千反田の影響というのが、恋愛ではない熱量として
若者の青春として描かれていた
そういう物語と思うと、非常に楽しいというか
いい物語だったと、感動して読み終えたのでありました

【読書】越境

2024-06-19 21:04:56 | 読書感想文とか読み物レビウー
越境  著:東山彰良

いくつかの連載エッセーをまとめた読み物でした
著者の作品は2つ、3つくらい読んだと思うのだが
青春物、それも、男がただモテたいという欲望のまま、七転八倒している
そういう面白い小説を書く人というイメージで、
なんとなし、年齢近いところかなと思っていたんだが、
どうも10歳も年上だったようで、エッセーの文体が若いそれとは異なるなと
読んでいて吃驚したのでありました
実年齢よりも、作品が大変若いと感じたのである

ま、それはさておき、台湾にルーツを持ちつつも
日本での生活も長く、何人という縛りから抜け出ているようなところがあると
その心持と、実際の境遇とを書いているし、
そうかと思うと、やっぱり、隙あらばモテようとしているという
小説の中の青年たちと同じ心を持ち続けているようで、
いい歳して…と思わなくもないくらいはつらつとしているのが、大変羨ましいとすら思うのであった

台湾ルーツでも、外省人系のようで、そのあたりも複雑なところがあったり、
かといって、大学で大陸にいったときには、いわゆる差別のような
複雑な扱いを感じたというあたりは、凄く興味深いところであった
これは、台湾でも、日本でも、どこにいてもそうなんだろうと思うと
寄る辺ない寂しさのようなものがあるんじゃないか、
そのあたりは、家族という自身のそれがあれば大丈夫というところに帰結しているようだが
そういう生き方もあるんだなと感じ入ったのでありました
国の最小単位が家であることを考えれば、当たり前なのかもしれない

大学で教鞭もとっているようで、
だからなのか、突然例えが高度というか、文学的知識がないとでてこないものが
あれこれとふるまわれるのに驚いたのであるけども、
別にひけらかすとか、そういうのではなく、
本人いわくの、文章を粘着質にひっかきまわしているからこそのそれなのか
書くということについての覚悟を見たようにも思うのである

越境というタイトルの通り、様々な境界を越えていく
超えている存在であるというのが、
意識的かどうかは関係なく、そうであり、
そこで生きているということが、一つの作品のようなものだと思うのであった

【ドラマ】6人の女 ワケアリなわたしたち

2024-06-18 20:49:52 | ドラマ映画テレビ感想
NHK海外ドラマ枠でありました
のっけから人跳ね飛ばしたりして、これはサスペンスかミステリなのかと
こわごわ見ていたんだが、結局のところそれすらも笑い話しで、
癌を抱えた女性6人が山へ登るというお話だったわけで、
そこに6人それぞれの事情が絡んでいてと
最終的にはビターエンドっぽくもありながら、割と幸せな情景で終わって
なんか、いい話しだったんじゃない?と
思ったりしたのでありました
色々と夢見すぎというか、ご都合な感じだけども、
それが気持ちよく終わるので、まぁいいかと
楽しめるドラマだったと思うのである

とりあえず6人の女それぞれが、それぞれに大変面倒な女で
さらに、姦しいとはよくいったというくらいやかましいし、
喧嘩するわ、すぐ仲直りするわ、情緒不安定すぎるだろうと
思ったりもするんだが、癌を患っているからこそというでもなく、
いや、それもやっぱり影響あるんだけど、
そのことによって、様々に心内に抱えてしまっているものとの対峙とか
そこに至るまでの経緯が少しずつわかってくると
なんというか、別の感情が沸いてくるようでよかった

それぞれが抱えているものは、結局、人間関係なんだけど
それが癌にかかったということで、ぐらついている、
そこを出発点にして悩みが膨らんでいくという姿が
すごくよくわかって、なんともつらいのだけど
その辛さと、体の辛さもあわせて、乗り越えるために象徴的な登山
そしてハプニングというのが、まぁ楽しいドラマだったと思うのである

最終的には、白昼夢のようにして終わるというのが
非常によかったというか、あれは誰が見た夢だったのだろうか、
もしくは、癌を患ったみんなはあの瞬間に出会っていなかったんだろうかとか
ビターなことも思ってしまうのだが
映像として、ただ幸せなそれとなっているのが
なんとも救われるような気分になって、とてもよかったと感心したドラマでありました

とはいえ、旦那が浮気してたからって跳ね飛ばして無視というのは
アメリカらしいというんだろうかと、ちょっと考えさせられたのである
アングロサクソンは頑丈だからあれくらいどうってことないのかもとか
見当違いなことも思ったりしたのであった

【読書】おはようおかえり

2024-06-17 21:05:43 | 読書感想文とか読み物レビウー
おはようおかえり  作:近藤史恵

ちょっと不思議な物語だった
なんてことのない姉妹の話しなんだが、
妹があるとき、ひいばあちゃんに憑依されるようになったという感じで、
そのひいばあちゃんがある目的を果たしたいがために
あの世から戻ってきたと解釈したくなる感じだが
実際は、何がどうであるか、語られることもなく
さりとて、その思念のようなものに導かれて
自分たちの不思議なルーツにたどり着いてしまう
なんて感じに読んだんだが、まぁ、それはそれとして、
時代を超えるという面白さと、人間の不可解さというのが混然となってて
かなり面白かったのであります

快活に見える妹にどこか嫉妬でもないが、
ちょっと思うところがある姉が主人公なんだが、その心のとげみたいなものが
若さゆえであったり、時代であったり、自身の内面であったりによって
あれこれ思い悩まされることになっているわけだが、
このあたりの機微はとても理解できるというか、
大半の人はこういう感じだよなとも思ってしまう
だからといって、妹が見えるままに快活かといえば
そういうわけでもなく、それはそれでやはり、どこか悩んでいるというか
人間らしさというものがとてもふんだんにあって、
その差異みたいなものをどう飲み込むか、その過程で成長とまではいわないけども
考えや、思い至る何かが変化する様が、はっきりと描かれることなく
緩やかに変わっていっているのが見事でとても面白かった

憑依して唐突にあらわれるひいばあちゃんも、
別に人生訓を語ったりするわけでもなく、正直迷惑というか戸惑いだけを置いていくんだが
それにかかわることで、その変化のきっかけとなっているのも確かだが、
そうとはまったく書かれていないし、終わってみると、成長の物語だったようなと
思い至る感じのさりげなさで、また、ひいばあちゃんの人生観みたいなものが
時代でもありそうだが、その人そのものの深みと悩みであったと
読んでいて、なんとなく思い至らせる力があってよかった

タイトル回収も見事で、
ああなるほどと思わず膝を打って読み終えたんだが、
最初「おはよう、おかえり」という挨拶二連続だと思って読んでたんだが、
「お早やくおかえりなさい」という意味の音だったと気づいて
なんというか、とてもほっこりしたのであった

光る君へ  忘れえぬ人

2024-06-16 21:33:43 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「光る君へ」
視聴完了しました
面白かった、宋人たちの狙いもわかりやすくなって
父上も、うまいことやっているように見えて、結局政治向きは見えてなく
困ったなという出来の悪い中間管理職みたいな地位で四苦八苦していたという
実に期待通りの展開で、とてもよかった
そうだ、父上はそういう感じで、娘に驚かされてぎっくり腰している
そういうキャラでいいんだよ、素晴らしい

と、唐突でもないけど、ちゃんとホームドラマっぽさを披露されつつも
相変わらず調停はでろでろしているという感じが
たまらなくて、道長もさすがに阿呆ではないというか、
なんかおかしいなと思いつつ、姉だけでなく、自分の女房もどうもそういう人かと
思いつつもあるが、抗えないという情けない流される主人公のままだが
なんというか、そういうのも含めて大層楽しいのでありました

しょっぱなから、まひろが叔父上に口説かれていたわけだが、
ちょっと叔父上がかっこよすぎて、もはや、ラオウじゃないかと思うほどのカッコよさで
実にすばらしかった、あんなんずるいは、本ドラマで一番男らしいというか
古臭い男らしさのようでもあるが、セリフも、顔立ちも、いでたちも
すべてが良すぎてすばらしすぎると
また、それを受けての、ちょっとすねた感じの子供扱いされるまひろも見事で、
いい歳こいてという感じではあるのを、まるで悟らせないというか
見事すぎてびっくりだわと、あのシーンだけで、
なんというか、とてもすごいよいものを見たと思ったりしたのであった
典型的少女漫画展開といっていいのか、いや、ある種少女の夢ともいうべき展開だったのではないか
壮大なドラマ、まさに、ドラマだとあっけにとられるほど見事でありました

宋人のほうも、詰めが甘いというか
その男らしい叔父上を見てからのとなったら、
どうにも、化けの皮がといった感じもあって、そこで悪くもなり切れずが
なかなかいい男であるなとも思ったりして、いきなり殺されるんじゃないかというのは
どうやら回避されたようで、とりあえずはよかったなと思ったわけだけども
そろそろまひろが都に帰る展開にもなるようで
宋とのそれがどういう決着になるか、次週がまたまた
楽しみで仕方ないと思いつつ
大変満足して見終えたとメモっておくのである

【読書】クローゼットファイル

2024-06-15 20:55:59 | 読書感想文とか読み物レビウー
クローゼットファイル  作:川瀬七緒

仕立屋探偵シリーズ第二弾
相変わらずエキセントリックな能力である、着るもののクセから
様々なことを言い当てる推理小説
前作ですっかり刑事に気に入られたので、未解決事件を掘り返す専門部署に
外部顧問的な扱いでかかわるようになって、
その能力をいかんなく発揮しながら、いくつかの過去の事件をほどいていく物語でありました

小春のキャラクタがこんな感じだったかなと
ちょっと、昆虫先生の影を感じるほどの強かさを感じて
面白いけど、強すぎると若干引きながら読んでしまったんだが
大変楽しく、事件というか、物語を明るくしてくれるので
いいキャラだなと思ったりして読んだのである
前作に出てきた、ファンでもないが、偏屈な女の人の再登場を切望したいのだが
今回は、仕立屋桐ケ谷とアンティーク小春の二人で、
あれやこれやを解決していて、着物とアンティーク蘊蓄も織り交ぜて
非常に楽しかったのでありました

まぁ、トリックというか、ちょっとどうかしてんじゃないかという
かなり強引に解決というか、推理が的中してしまうんだが
そういうのを楽しむものなので、今更何をといったところながら、
DVに悩まされる女子中学生をストーキングしているところは、
事情が事情とはいえ、完全にアウト案件だよなと思いつつも、
涙もろいという性格づけだけで、なんか、そういう誤解もどうなんだと同情してしまうというか
ともかく、色々と要素が渋滞してて、普通おかしいだろうということが
多々でてくるけど、あんまりそこを気にしてもなぁという気分になりつつ
読んでしまい、そして、楽しいのでありました
なんだかんだ、可哀そうな事件が多いんだけど
なんとか解決しようという、桐ケ谷の人の良さが滲み出てて
少しだけ救われたように思えるのがよいところでもある

事件の真相が、だいたい嫌な感じなのは仕方ないのだけども
それに負けず、そして解決することが助けになると信じている桐ケ谷の生き方がいいなと
推理小説であり、桐ケ谷の物語なんだと思えてとても好きだと感じるのであった

しかし、南雲さんののらりくらりっぷりが
あまりに堂に入った感じすぎて笑ってしまう
これもまた、いいキャラだ

【ドラマ】パーセント

2024-06-14 21:05:31 | ドラマ映画テレビ感想
NHK土曜ドラマでした
個人的にははずれだった、正直に書いておくと
大阪局のドラマで、こういう感じのやつは当たったためしがないなと思ってしまうんだが
狙いはわかるんだが、あまりにもあけすけすぎて
鼻白むというか、どうも自分には合わないなと思いながら
でも、ちゃんと最後まで見たのであります

障害者を扱った内容で、ある意味、このドラマのメタ的なというか
入れ子的なドラマになっていたわけだけども
そういう作りとか、狙いとか、やってることとか、
そういうのの計算みたいなのはよくわかるんだけど
それだけ、そういう組み立てだけという感じに見えてしまって
どうもはまれないのでありました
要素があまりにも組み合わせを考えられすぎているような気分で、
なんか、ご用意しましたと見せられているような気分になってしまうのであった

まぁ、そんな文句たらたらなのはよくないと思いつつも
何かこれはというのがあったかと考えたりするのであるが
障害者の人が出ている、それだけといってしまうのも気が引けるんだが
それこそ、そういう人を使ってそういう主張をするという
ごく当たり前のことをしているだけなわけで、
なんか、もうちょっとひねりというか、違う形で見たかったようなと
思ったりしたのである

ドラマの現場というの、そして現場をまわすということの大変さというのは
ちょっと面白いところだなと、脚本が逃げたり、怪しげなえらい人が
とんでもない脚本家を連れてきてみたり
そのブレストが、結構トレンディな感じだったりと
描かれているそれこれが、若干古いんじゃないかと思ったりしたんだが
案外今でもあんなもんなのか、テレビを作るという側の話しは
面白いなと観ていたのでありました
大変な仕事だなとつくづく思い知らされる、絶対やりたくないな

しかし、わざわざドラマにして、そういう人を出すということは
やっぱり、そういうことに何かしら意味がないとと
ドラマだからこその枠にとらわれてしまうんだろうなとちょっと感じた
そういう意味では考えるきっかけとなる物語だったと思うのである
実際、働いていてそういう人たちが結構そばにいるわけだけども、
それは別にそういう人として普通にいるので、特に気にしないんだが
いざドラマとなったら、やっぱりそこに意味がとなると
妙なことになるというのが難しいところなんだろうなと
いわゆるモブとして存在するのか、そうではないキャラクタとして存在するにしても、
その個性をどうするか、そうじゃなくてもいいけど、たまたまそうである
そんな風になるのが一番なんだろうけど
だいぶ難しいことだなと、見る側も作る側も、色々考える余地のある題材だと
思ったのでありました

【読書】旅する台湾屏東

2024-06-12 20:57:20 | 読書感想文とか読み物レビウー
旅する台湾屏東  著:一青妙、山脇りこ、大洞敦史

台湾南部、屏東についての本
書かれている通り、あんまりメジャーじゃないので
知らないことばかりだったのだが、いわゆる田舎でとてもよいところだと
読んだ後しみじみかみしめたのである
様々な原住民族がいることでも有名だそうで、多様性社会なのも
魅力なんだろうと思わされたのでありました

三人の語り手がそれぞれの知る屏東について語っていて
非常にわかりやすいし面白かった
どうも、台湾新幹線が延伸したらここまでくるのだそうで
その前に在来線で行っておくべきだなと思ったりしたのである
三人の著者がそれぞれ、街歩きのこと、産物のこと、原住民のことを語り分けていて、
いずれもそれにまつわる人から話しができているので
今の屏東が知られるよい本だと思うのであった
行く頃にはお店とかは変わっている可能性があるけども
そういう人たちがいるという雰囲気が素敵だわなと思うばかりである

幾人か、当然のように日本に何かしら縁のある人もいるようで
向こうで活躍というか、根を下ろしている人というのも興味深く
そういう生き方で、ちゃんと生活を営めているのは大したものだなと
尊敬を抱くわけだけども、一種の憧れにも近いものを抱くのである

屏東にも文化園区があるようだし、
基本はどうやらバス移動になりそうなのが難しそうではあるが、
台湾でも完全に熱帯にあたる地域だからこそか、
フルーツがかなり豊富なようで、コーヒーまでとれるというのは面白いところ
飲みつけないので、味の違いがわかるかは微妙だが
是非飲んでみたいと思ったりしたのである
また、原住民の方では、今の台湾の言葉よりも日本語の方が残っているというのも
大変興味をそそられたところであるのだが、
そういったものも、緩やかに変わっていくだろうしなと
名残のあるうちに、何事も経験しておきたいかもと思うのでありました

ともあれ、ほどよい田舎という紹介なわけだが、
のほほんとして緩やかに過ごせる台湾らしさが
しっかりとありそうなので、なんとも行ってみたいと思わされる一冊でありました
先日退任された、蔡総統の故郷にもあたるそうで興味深い