CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

NHKスペシャル 天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る

2016-05-31 21:00:36 | ドラマ映画テレビ感想
名人失冠してしまった日に書いてしまうのも
どうもなぁと思ってしまうんだが、
先日の王将戦といい、名人戦といい、
ひょっとすると、この番組のロケのために調子崩したんじゃねぇかと
うがったことを考えてしまったのでありますけども、
大変、面白いNHKスペシャルでありました

AIといえば3月のアルファ碁との対局が、
相当に衝撃的だったわけでありまして
その影で、山崎さんが悪戦苦闘というか、
もう罰ゲームじゃないのかというくらい
電王戦で大変なことになっていた頃なわけで、
ディープラーニングがなんぞという話から、
現実世界への応用までを
わかりやすくというか、幅広くなでるように見せてくれて
面白く見終えたのでありました

羽生さんの声で、人間が思いつかない手をコンピュータが打ったという衝撃、
みたいなことを語られてしまったら、いよいよ
AIも、人間を越えていったのではないかと
恐ろしく思ったりしたわけでありますが、
まぁ、このあたりはSF的な見せ方をしているのかもと
思ったりするような、ちょっとした恐怖というか、
AIを無垢として、悪用する方法とそれを防ぐ手立てみたいなところに
ちょっとだけクローズアップしていたのが
飽きの無い番組でよかったと感じたのでありました
すげぇな、怖いなというのが
こういう番組で味わいたいのであります

できれば共存の方向でなんとかならんかと
思ったりしてしまうわけでありまして、
どっかで聞きかじったところでは、
アルファ碁戦のあと、イセドルさんは負けなしだそうで、
これは、神の世界を覗いてきたんじゃないかと
そうなると、羽生さんにも覗いてほしいなあなんて
思ったりしてしまうわけでありました
とはいえ、羽生さんが予選を勝ちあがれるかどうかは
また別の話というか、ひょっとすると
途中で負けてしまうんじゃないかなと
最近を見ていると不安に思えてならないのでありますが
そこはそれとしつつ、A級で荒らぶる羽生さんも見たいと
なんだ、いつの間にか将棋の話になっていると
どうともならぬ番組感想ながら
メモっておくのでありました

【読書】我が家のヒミツ

2016-05-30 21:00:09 | 読書感想文とか読み物レビウー
我が家のヒミツ  作:奥田 英朗

些細なといってはいけない、
それなりに理由のある秘密を抱えた家族の短編を集めた
なかなか、読後感さわやかな一冊でありました
まるで悪い人が出てこない、世界がこんなに優しかったら
世の中もっとステキであろうに
なんて思わされるほど、心地よい世界観でありました

ヒミツといいつつも、自分だけが知っていることや、
かくしていたつもりもないのだがといったこと、
言いにくいことなんかも、全部ひっくるめてヒミツとすれば
このつながりのない短編それぞれが、
ひとつのテーマに沿ったように見える不思議がありました
なんとも、ほんわかしていて、それぞれ
まったく別の事象を物語っているのに
きっかけになるのは、ヒミツなのであります

家族のことであったり、
隣人のことであったり、
仕事のことであったり、
自分という人間、あるいは、行き方についてだったりと
長生きしてても、してなくても、
なにかしら、周りには言ってないというか
自然、ヒミツになっていることがあるというお話で、
それをヒミツにしているかと思えば、
瑣末なことだったと気付いたり、
心のうちを誰かと共有するというステキさ
こちらの関係について、
様々描かれていて、いいなぁと人間関係のステキな部分だけを
遺憾なく描ききっていたように思うのであります

友情も愛情もといった言葉で伝わるそれこれが、
具体的に、些細な日常として切り取られてと
そういうわけでありまして、
凄いいい話を読んだ気がすると、
何か得るものとか、なんとかなんて、重苦しいものはひとつもいらない
ただただ、読んで、ほわっとしたと
その気持ちを味わえただけで、
十分な一冊であったと、メモっておくのでありました

個人的に、出世に敗れて、その相手とうまくコミュニケーションをとろうとする
なんともいえない憐憫を見せる話が、とても好きでありました

真田丸  戦端

2016-05-29 20:41:29 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「真田丸」
視聴完了であります
鞘当といったらいいのか、序盤という感じで
ゆるゆる、スローなペースでありました
まぁ、毎回毎回、異常に面白いというわけにはいかないだろうと
思ったりもするわけだが、来週がこれまた
楽しそうだと思ったりするのであります
評定というか、裁判ものは、三谷好きだろうから
なかなか楽しいことになりそうでありますな
揚げ足とり合戦でありましょう

と、今回については、まずまず、
憐憫まざまざという具合で、秀次の寿命が削れていく様が
まぁまぁ見事に描かれておりまして
基本的に、いいやつは死んだやつだけだという
それを地で行く展開のようでありまして、
なんとも哀しい限りであります
しかし、きりが、あれで側室になってしまうと
切腹騒動のあおりで殺されてしまうわけだから
なかなか大変でありますな
評判悪かったら、そのまま、側室として殺されるとか
そういうスリリングな展開があったのかもなんて
思ってしまったりでありました
唐突な降板劇みたいで面白そうではあるがなかなか

さておいて、というか、久しぶりにきりっぽい感じで、
一人だけ少女マンガストーリーから
相変わらず抜け出ていない感じが、頭ひとつ抜き出たと
そういう具合にも見えた、なかなか凄い女でありました
茶々が、それを上回っているかと思っていましたが
今週から、ぐっと大人というでもないが、
女としてレベルを上げてきた感じなので、
あの狂言回しというか、トラブルメイキングの役目が
またきりに戻ってきたようで、なんともいえぬところであります

あれこれ困っている三成やら、家康やらも面白かったけども
今回は少々抑えた感じだった北条が残念でありまして
それこそ、氏政、昌幸、家康で口げんか始まったら
すげぇ面白いだろうなと夢のようなことも思ったりしつつ
来週の代理戦争を静かに待つのでありましたとさ

【読書】禿頭礼讃

2016-05-28 20:20:31 | 読書感想文とか読み物レビウー
禿頭礼讃  著:フィリップ エリアキム

私小説めいた、禿に悩む男性を描いたドキュメンタリ本でした
禿を嘲笑ったふさふさだった学生時代、
禿はじめたことに気付いた瞬間、
禿に恐怖する時代、
禿から救われた恋愛、
そしてその破たん
そんな、禿と付き合い続けた葛藤と絶望と
ささやかな幸せをつらつら、くだらない冗談を交えつつ
おどろおどろしく書いた内容でありました

くだらねぇ、と言いながら笑ってしまう内容ながらも、
つと、自分を振り返って、はたして笑うことはできるかと
ちょっとだけ疑問に思わなくもなかったものの
ともかく、楽しい気分で読んだのであります
禿に思い悩むこと、ところどころはさみこまれる
嘘か本当かわからない、禿に関する格言集とかが
まぁ、なんだろう和むというか、面白かった

しかし、本人はいたって真剣というか
この禿によって、人生を大きく前進させていたというか
髪がなくなる前に、モテられるだけモテておこうと
相当数の行きずりの女と、なんとかなったらしい部分とかは
ちょっとしたコントじゃないかと思うようなテンションで
まぁ、なかなかすげぇなと思うのである
そのバイタリティがあったら、頭髪なんぞ
些細なものじゃないかしらと、つっこみをいれたくなるんだが、
人生が絶望にむかっていく様を
とつとつと恨みごとのように連ねていくのも
趣深い感じでありました

ようは、禿ることへの恐怖をつづった
そういうお話だったわけでありまして、
何か世をはかなむというほどでもないし、
人生に大切なイシューをもらったとか
そんなこともあるはずのない一本ながら、
なんとも、涼やかに読み終えた気分なのでありました

ただ、巻末の著者写真がハゲてないのは
なんでなんだろうかと考えてしまうんだが
あれは若いころの写真、あるいは、作中に登場した
いずれかの植毛方法の結果なんだろうかしら

【読書】京都駅0番ホームの危険な乗客たち

2016-05-26 20:30:25 | 読書感想文とか読み物レビウー
京都駅0番ホームの危険な乗客たち  作:西村 京太郎

先日、有栖川有栖を読んだんだから、
これはもう西村京太郎も読むしかなかろうと
ミステリツアーを一人敢行すべく、手にとったのであります
ほどよく、京都の話っぽいから、
土地勘もあって楽しめるだろうと、そんな風に思ったのであります

大間違いであった

恥ずかしながら、西村京太郎サスペンスについて
ドラマをほとんど見たことがないという
不心得もののため、どういったものというか
流れや、お約束なのかを理解していなかったのでありまして、
まさか列車トラベルシリーズで、
しかも今回は、カシオペアでいく、京都から札幌の旅だとは
つゆとも思わず、ちょっとしょんぼりだったのでありました
京都ぜんぜん出てこない
でも、面白かったからいいのである

そんなわけで、初めて読んだこのサスペンスミステリでありますが、
ちょっと度肝を抜かれたというか、てっきり、
殺人事件をおっかけるものだと思ったら、
まさかのアメリカの元大統領を拐かすような、テロ的なもので
しかも政治信条的なものをめぐるとか、
えらい重たい話だなと驚愕だったのでありました
こういうのもあるのか…、でも、犯人を追い詰めるというか
最終的に説得するところは、なんというか
ドラマでよく見るそれだなと
感心しきりだったのでありました

謎の暗号を新聞の通信欄にのせてやりとりなんて、
古典的な手法に感激したのでありますけども
決して深く暗いような話ではなく、
動機の主たる部分は描かれるものの、そこに政治思想なんかも存在するのに
それを押し付けてくるような内容では決してなくて、
ひたすら、列車を使ったトリックがどうなっていくのかを
考えつつ、解きつつという具合で
深く考えずに、読むがまま読める小説でありましたとさ

【読書】「やさしさ」という技術 賢い利己主義者になるための7講

2016-05-25 21:23:56 | 読書感想文とか読み物レビウー
「やさしさ」という技術 賢い利己主義者になるための7講  
著:ステファン・アインホルン

ビジネス書的なものかと思いきや
哲学の本に近い内容でありました
読み終わって満足度が高い、いい気分であります

ガンに関する医学の権威であった著者が、
その過ごし方、生き方のなかで、つと気づいたこと、
「やさしさ」という基準をもって生きると
より大きなやさしさに包まれて、
本当に幸せに生きることができると
こう、書くとちょっと宗教臭いようでもあるのですが、
実際、そういう運命めいたところにも
感じるところがあると書いてあるようでもあり
なかなか恐ろしく読んだのでありました
いつだかの、バシャールをより科学に近づけたような、
あのとき、これなら騙されるかもなんて
失礼なことを思った内容は、これじゃないかなんて
思ったりする

もっとも、といっていいのか、この先生については、
実地での確認も含めつつ、
そもそも「やさしさ」とは何かという定義からはじまり
その効用、仕組みを丁寧に解くように説明、
なんとなし説得力が高いと
そんな具合に思ったら、すっかり、
なるほどなぁと納得させられたのでありました

ただ、高度すぎるといってしまえばいいのか、
あるいはまだ議論の練りが甘い部分なのか、
「偽りのやさしさ」という項目がありまして、
そこでは、かのチェンバレンについて触れていて
それをもって「偽り」と断じていたわけでありまして、
これは結果を見て名づけているのではないか、
そうなると、思想的に実践が難しくないかと
思わなくもないところでありました
深い、面白い

あとは、よくある心理実験の結果が並べられていて、
これらは、割とどこかで聞いた実験内容だったりするので
なるほどなぁという具合でありまして、
優しくされると、人に優しくなれる
これをまさに実験で証明したような例が
いくつか出ていたのであります
まぁ、これも読み方によっては
そういう結果のものを集めたとも思えるから
なんとも言いがたいんだけどもなと
性根の曲がったことを考えてしまうのである

とはいえ、アフリカで圧倒的な飢餓や絶望の下に生きていると
そういったモラルのようなものが破綻するという実例もあげて、
さりとて、そのさなかで優しかった人が、
たとえばアウシュビッツにいたという話だとかで、
やさしさの強さというか、その威力について語っていたのであります
みんながそうでありたいというのが、
備わったものでないかと、信じたい、そんな風に
内容はまとまっていたのであります

なかなか面白く、同じように考えてみたいと
思うようになるのでした

真田丸  前兆

2016-05-24 21:48:07 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「真田丸」
遅まきながら無事視聴完了であります
非常に面白かった、というか、ここ数回
いい塩梅だと感心しきりであります
脚本家得意の形にもっていったというと
偉そう極まりないですけども、
まさか戦国もので、推理ドラマが見られるなんて
誰が思うというのかしらね

というわけで、推理ドラマのテンプレをなぞりつつと
ちょっと反則くさい内容ではありましたが、
テンポよく、非常に楽しくイベント消化と
そんな具合に見えたのであります
まぁ、解決とか、そういうのが問題のドラマじゃないからと
かなりおざなりというか、これが推理ドラマなら
ちゃぶ台がひっくり返るやつだと思わなくもないけど
なかなか、〆の台詞で強引に終わらせた感じも含めて
楽しかったのでありました

ココにきてというか、いい塩梅で
冶部と刑部のキャラ立ちが見えてきてステキ
見ているだけで和むなというところに
信繁が、ほどよく絡んで素晴らしいところ
片桐さんは相変わらずなんだが、
七本槍の最後の一人が、これまたいい塩梅でぼんくらっぽく
最高に楽しいのでありました
ああいうのいいなぁ、おるよなぁと
まさにそんな具合である

一方で真田の家のほうも楽しく見られて
忠勝があそこまで来るのはなしだろうと思うけど
もう、あの一連のギャグというか
あのシーンだけのために、忠勝がいたかと思うと
凄いなという具合であります
役者でもってったシーンだなと
忠勝、昌幸、嫁さんとの三人の
超高級コントが楽しかったのでありました

お兄ちゃんは今後どうなってしまうのか
まるで大泉洋じゃないかという具合のリアクションでしたが
それも含めて楽しんでいきたいのであります

【読書】鍵の掛かった男

2016-05-23 23:24:31 | 読書感想文とか読み物レビウー
鍵の掛かった男  作:有栖川 有栖

初めて有栖川ミステリを読みました
名前は聞いていたけども、読んでいない大御所の一人でありました
本格ミステリと書いてしまっていいものかわかりませんが、
いかにも、ミステリ小説を読んだという
とてつもない満足感をもらえた、ステキな一冊でありました

寡聞にして様々なことを知らないのでありますが、
どうもシリーズ物のような様相ながら、
進み方は私が知っているミステリ小説のそれ、
もっというと、火曜サスペンスにも似たそれでありました
読んでいて、ものすごく満足度が高い
こういうのを読もうと思ったときに、完璧に合致するわけであります
ひとつのジャンルとして確立してるんじゃないかしら

内容は、個人的にはちょっとだけなじみがある
大阪は中ノ島を舞台にした物語で
そこにあるとあるホテルで死体が見つかった
それは、自殺として処理されつつあるが、どうも合点がいかないと
依頼人から話しを聞いて…なんて具合で始まって、
そもそも被害者というか、自殺者が何者かというところを
掘り下げていく作業から始まって
ゆくゆく、名探偵が出てきてずばっと解決と
まぁそういう具合でありまして
なかなか楽しく読めたのでありました

主人公の有栖川有栖なる小説家が、
設定上20代なんだそうだが、読んでいて、どうしても
もっと年いってんじゃないかとそう思えてならないのは
ご愛嬌という具合なんだろうか
ともあれ、泥臭く事件というか物語を転がしていく様は
非常に面白いのであります
トリックがどうした系ではなく、
自殺か他殺かの判断と、他殺なら犯人は誰だというあたりを
巧みに探っていく具合でありまして
あんまり考えないで読んだおかげもあってか、
なるほどなぁと心地よい、読んだという満足を得て終えたのでありました

こういうミステリもいいなぁと
読み終えてごちるのである

NHKスペシャル「若冲 天才絵師の謎に迫る」

2016-05-20 07:58:19 | ドラマ映画テレビ感想
そういえば見ていたという具合でありますけども
2億画素のカメラという単語におののいたので
メモっておく次第であります
NHKなんでも持ってんな

そんなわけで、NHK単独なわけではないですが、
最近流行の若冲に関して、その作品、しかも今になって、
新作が発見とかいう衝撃的な事件のさなか、
様々な作品群を高精度カメラで撮影して
その実像というか技術に迫ったという
なかなかステキな内容でありました

最近はすっかり大人気という具合で
随分前に、細見美術館でやってたときは
そこまで人手がなかったように思うんだけども
今じゃ、大混雑を呼び込むキラーコンテンツとなっております
かくいう、実際見てみると
なんというかモダンというか、今見てもすげぇなと
そのデザイン的なセンスに驚愕するわけですけども
これがまた、画壇にいなかったから
勝手にやってうまいこといったと
そういうお話だと聞いて納得なのでありました

独学で、あそこまで何かきわまったというあたりが
当時の評判どおり、際物という扱いなのは
間違いないところでありますし、
執拗といってもいいくらい、絵の具に凝っていたというのが
今回の調査でわかって衝撃でありました
これはやっぱり、いつか読んだ小説のとおり、
金持ちの道楽だったのかもしれんな
そうでないと説明がつかない

と、そんな具合で考えていると
やっぱり、ひとつ大きく、芸術やら、なんやらの分野で立ち上がるには
お金持ちという素養というか、地は馬鹿にならんなと
思ったりするわけでありました
誰でも思うことを、これ見よがしに書いてしまう

と、まぁ、全体的に技術分野や、若冲の生き様みたいなのが
かいつまんで理解できたのでステキと満足したのでありますけども
方々で言われているとおり、ちょっとナレーションがいただけなかったなと
これは、自分だけじゃなかったのかと思うほどでありました
ああいうのを聞くと、ナレーションて難しいんだなと
誰でもできそうなのに、なんで有名俳優さんを使うのか
疑問に思っていたのも氷解したというか、
喋り方の上手い下手というのを理解したのが
一番収穫だったようにも思ってしまうのでありました

【読書】片手の郵便配達人

2016-05-19 22:49:02 | 読書感想文とか読み物レビウー
片手の郵便配達人  作:グードルン・パウゼヴァング

とても読みやすく、それでいて
ずっと物悲しい雰囲気で進む小説でありました
第二次大戦時のドイツのある寒村を描いたもので、
ドイツの負けが込みだして、寒村に哀しい便りがやってくる
それを届ける仕事を続ける
傷痍軍人でもある主人公を追って行くわけなんだが
いよいよドイツが負けるという独特の空気、
そして、露助がやってくるという恐怖とその混乱
劇的なラストシーンと
ちょっと、読み終えて、これは堪えたと
思わずうめいてしまうような重たさでありました

面白かったとおいそれといえないというか、
とても読みやすくてよかったんだが、
このラストの衝撃が、心をへし折ったというかなんというか
ああ、全体にたゆたっていた印象はここに帰結するかと
あっけにとられたようでもありました
辛い読書であった

そんなわけで、手放しに絶賛して他人に薦めるようなタイプではなく、
面白かったし、いい文章と物語だけども、
腹をすえて読みなさい、読むならばとめない、
なんてことを思わず言ってしまいたくなるような
骨が太いというか、なかなか強硬な内容でありました
こわもて、手ごわいといったらいいんだろうかしらね

衝撃のラストにいたるまでも、
なんというか非常に物悲しいエピソードが進み、
いわゆる敗戦ものというジャンルといえるのだろうか、
日本の戦争末期を描いた物語は
数多く読んだり見たりしたわけでありまして、
それとどことなく似た雰囲気でありながら
何か、決定的に違う部分があるというか
より、敗戦というイメージが強いといえばいいのか
空虚さではなく、恐怖を植えつけられたようにも
感じた次第でありました

名著だと、言われたらうなづいてしまうけども
非常に重く暗い物語であったように思うのでありました

【読書】スクープ

2016-05-18 21:17:48 | 読書感想文とか読み物レビウー
スクープ  作:イーヴリン・ウォー

どうやら、現代の古典と呼ばれるほど
非常に評価の高い小説だったようでありまして、
正直私には理解できなかったというか
一回読んだだけでは、よくわかんないと
そんな按配で読み終えたのであります
面白かったかといわれると面白かったんだけども、
その、いかにも英国人らしいブラックユーモアみたいな
そういう部分が、ちょっとよくわかんなかったと
残念な地頭を披露した読書となったのであります

内容は、苗字が同じというだけで、
勘違いで南アフリカまで内戦のスクープ取材に行かされる
田舎に引きこもってた貴族崩れのコラム書きが、
なんだかんだともまれながら
気づいたら実際に凄いスクープを手に入れてきたと
そういうドタバタコメディでありました

当時の世相がわかると
より一層面白いのだそうでありますが、
残念ながら、この当時のことは
ダウントンアビーでしか知らない身分でありますため、
なかなか、ぴんとこなかったのですけども
上流階級や、新聞記者という職業について
おそらく、その部分が皮肉であったのだろうと
思ったのでありますところが小説の肝でありました
わかりづらい文章を書くな

難しいというか、比喩の部分が何を暗示しているのか
理解できなかったので真の面白さに到達してないわけですけども、
当時のスクープ合戦が、新聞記者の取材というやつが、
まぁなかなかいい加減で、テケトーなものであったと
そういうことがつらつら書かれていたのでありました
個人的に傑作とまでいわないまでも、
新聞記者がそれらしいことを書いたら、
事実が後からついてくるようになっているみたいな
世論を作ったことで、物事がそのようになってしまうという
集団心理の恐ろしさめいたところが
軽々しく、実に軽薄に描かれていたところがステキと
思ったりしたところであります
このあたりは、今まさにといえるほど、
報道、広報に思いをきたすところでありました
捏造と何が違うのか、
それが世の中を動かしたという部分をもって
大儀などというやからの話なんて
そういうところを揶揄ってたように思えば
胸がすくわけであります

と、まぁ、そんなわけでコメディしつつ、
ロマンスもあり、なんかすったもんだするわりには
誰も死なないというのが素晴らしいと感じつつ
面白く読み終えたのでありましたとさ
もう一回読んだら、もうちょっと理解できる気がするなぁ

【読書】猫はなぜ二次元に対抗できる唯一の三次元なのか

2016-05-16 21:13:24 | 読書感想文とか読み物レビウー
猫はなぜ二次元に対抗できる唯一の三次元なのか  著:斎藤 環

タイトル詐欺でした

ちょっと、流石に裏切られすぎたという気持ちが強すぎて
レビウが辛くなってしまうという
よろしくない読書だったわけであります
あとがきで、タイトル詐欺ではないよと本人が語っていましたが、
読んだ私が思うんだから、こればっかりはどうもねぇと
そういうわけで、猫ほとんどというか、まったく関係ない
いわゆるサブカルチャーを扱った本でありました

こういった、サブカルチャー本というのを
そういえば読んだことがなかったと
そのあたりは新鮮だったわけでありまして、
内容としては、マンガやアニメ、なんやかんやのおニューな文化について、
様々な論陣をはって、持論を展開するというもので、
読んだことないだけあって、そこは驚きをもって
読み終えたのであります
よくまぁ、ここまで、考え付くなぁ

というわけで、正直サブカルというそれこれに
詳しくないという私では、本の実力を測れていないのでありますけども
宮崎駿さんがロリコンであるという持論から、
ピカソもどうやらロリコン、もっというと
ペドフィリアだったんじゃないかしらみたいな
トンデモといっていいようなことが書かれていて、
そこにつながるまでの膨大な無駄知識というか、
理論武装が、なんとも、凄いなと
あっけにとられたわけでありましたとさ

論理構築というよりは、
知識武装なんていう言い方がよいような、
ともかく、あっちこっちから、それっぽい表現や知識を寄せ集めて、
ごりごりと、文章を積んでいくという具合で
それだけ書かれているのに、なんだろうか
凄く目が滑ってしまって、あっという間に終わったと
なんともよくわからない読書体験をしたのでありますけども

もう少し、冒頭に書かれていたような
猫の展開をしてほしかったと、残念きわまりないメモを
おいておくのであります

真田丸  恋路

2016-05-15 20:49:19 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「真田丸」
視聴完了であります
茶々をどうするかというお話でありまして
秀吉が出てくるわりには、珍しくおねが
前に出てこないと思っていたら、
よくある、物分りのよい嫁という描き方ではないのかと
その嚆矢を見たようで
なかなか楽しみになってきたのであります

とはいえ、やっぱり今回の主役は茶々でありまして、
もう、なんと言おうと思うも
怖い女の一言で足りるんじゃないかと
そんな描かれ方でありました、怖い、超怖い
奔放とサイコパスと、生い立ちからくる狂気みたいなのを
割とライトにないまぜとした感じは
非常にドラマっぽくていいなぁと
ちょっと属性盛りすぎじゃないかとも思わない具合が
いい塩梅でまわっていたように思うところ
死への執着の話は、なかなか面白くて
あれが複線となり、やがてなのかどうか
楽しみで仕方ないところでありました

まぁ、わかっちゃいるという具合だけども
最後に呪いをかけるように、死の宣告をするあたりは
流石にドラマ過ぎるだろうと思ってしまったんだが
ああいうお約束は嫌いではありません
とてもよかった、これで来週くらいに滅ぶとかだと
なお生き生きしていいんだが、流石にそんなことはない

で、一方の徳川方のどたばたも
愉快な感じで進んでなにより
てっきり、病弱な嫁さんが病気で死んでからかと思ってたら
里に返すという手になるとは夢にも思わず
なかなか驚いたわけでありますけども
真田最強の人間と誉れ高い稲の今後には
とてつもなく期待したいところであります

楽しみである

【読書】誰がネロとパトラッシュを殺すのか―日本人が知らないフランダースの犬

2016-05-14 17:38:21 | 読書感想文とか読み物レビウー
誰がネロとパトラッシュを殺すのか―日本人が知らないフランダースの犬  
著:アン・ヴァン・ディーンデレン

フランダース人が書いた
フランダースの犬という作品についての派生と考察をした本でありました
あんまり期待してなかったのに、読んだら結構面白かった

もともとの原作が、フランダースとあんまり関係の無い土地、
作家によって書かれたものだということも衝撃ながら、
アジアでしか成功していないということが
なかなか面白いところでありまして、
よくある、他人のほうが詳しい地元の名物みたいな
そういう状況であることが、わかりやすく網羅されています

まず原作については、さほどの知名度がないようで
西欧でもほとんど知られていない短編作品だというお話、
それでも作品としては、アメリカで5回も映画になっていて、
いずれも凡作で終わっているというのが
なかなか興味深いところであります
それが、何の因果か日本にわたってアニメーションになって
アジア方面だけでは、空前の大ブームを繰り広げる
本の中では、アメリカの映画のほか、
一番有名だと思われる日本のアニメについて
各話ごとの細かい注釈が載っていて、なかなか面白かったのであります
ここを読んで気付いたんだが、
私はフランダースの犬をたぶん見たことがない(なんだかな)

作品としての歴史や、内容の考察が終わると
このブームにのって、フランダース地方に、
フランダースの犬的なものを探しに来る日本人という
厄介なそれが生まれたようで、せっかくだからそれを
観光資源にしようかどうかという論争が
フランダース地方で持ち上がって、なんだかんだと失敗したというか
ブームが去ってしまったという
きわめて残念なことになっていたというのが
なかなか興味深いところでありました
このあたり、地方行政と観光商業のあり方が見られて面白い

そんなわけで、そもそも、フランダースという地方が存在するということが
私のような無知な人間には衝撃的で、あれはお話だから
実在なんてしないんじゃないのかと、そう思っていたわけなんだけども
このあたりが、著者であるフランダース人と誤解が続く遠因でないかしらなんて
思ったりなんだったりなのであります

秀逸というか、なるほどと手を打ったところでは
日本でなぜ、あそこまで哀しい結末が受け入れられるのかという話が、
当時の日本における自己犠牲というか、正しく生きて報われないという
そのなんともいえない部分が、凄く好きなメンタリティに響いたと
まぁなんだろう、最近そんな人減ってるなと
つくづく思い知りつつも、そのメンタルに自分はまだ属しているなんて
考えたりなんだったりして、楽しく読み終えたのでありましたとさ

大アマゾン 第2集 ガリンペイロ 黄金を求める男たち

2016-05-12 21:41:28 | ドラマ映画テレビ感想
NHKスペシャルであります
第1集のレビウもしていないのに、いきなり2集であります
が、これはもう、仕方ないという具合でありました
1集の様々な生き物の話もなかなか興味深いというか
楽しめたのでありますけども
このあいだの、ガリンペイロのドキュメンタリが秀逸すぎるというか
なんだろう、久しぶりに凄いの見たと
あっけに取られてしまったので
レビウっておく次第であります

アマゾンの奥地で、人知れず金鉱を掘り返している男たちガリンペイロ
彼らの生き方を追ったドキュメンタリだったわけでして、
のっけから、いわゆる重い方のNHKスペシャルという雰囲気で
モザイクかけての取材だわ、犯罪者が出てくるわ、取材拒否は発生するわと
これはなかなか、大変なのをやらかしたと
テレビに持っていかれたのであります

実際のところ、どこまでどうなのか、
ひょっとしたら、川口探検隊的なフィクションじゃないのかとも
思わなくもないのですけども、そういうのをうっちゃるというか
もう、金にまつわる危なさといったらいいか、
これ、万が一日本で同様の何かを取材したとしたら
ちょっとテレビに映せないんじゃないかしらと
取材費がマフィアの資金源になったんじゃないかと
心配になってしまうような恐怖に彩られておりました
見ていて怖いと思ったのは久しぶりであります

その番外地といっていいのか、アウトローがごろごろしている
そこの人間を取材していて、元人殺しが出てきたり、
夢を追いかけて、途中で逃げだす若者がいたりと
いかにもドキュメンタリな事件が起こるわけだが
ちょっと真剣にこれはもう、あかんと感じたのが
ガリンペイロの集落で生まれ育ったという男と、
ゴミ箱に捨てられていた男が出てきたところでありました

この二人が、なんというか、年齢が今の自分と同じくらいなわけで、
あの世界でずっと生きてきて、生かされてきたというのが
なんだこれは、昭和の初めの頃に、
ああいった手合いがいたという話は聴くけど
現代にも、やっぱり存在するのかと
存在、そして境遇と悲哀が、ちょっと直視できないほどで
心を揺さぶられた、まさに感動を催したのでありました
泣くとかじゃないんだ、強く感情が揺れた感じになったわけだ

あの集団のなかで、子供のままでといっていいのか、
なにか、あのどうしようもない現実にのたうつでもない、
絶望の淵という表現を見たような映像が、表情が、
ああ、あれはひょっとかすると俺なのではないかなんて、
一人暮らしがきわまってくると感じたりしたのでありました
本当、なんだろうこの感情は、怖い

と、まぁそういうわけでありまして
アマゾン凄いとかいうそれこれよりも、
あの世界観、道徳、倫理、そして恐怖と暴力めいた世界が
まったく描かれないのに、露骨に臭うといった
恐ろしい絵面に感動したのでありましたとさ

どっかのレビウで見たんだけども、
もっとやばいものを撮ってたけども放送できるのが
あのレベルだけだったんじゃないかなんて
そういうことも含めて、凄い番組を見たと
メモっておく次第でありましたとさ