CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】魂の退社

2016-09-30 19:38:32 | 読書感想文とか読み物レビウー
魂の退社  著:稲垣 えみ子

50歳独身女性という身で、朝日新聞を退社した著者が、
その経緯や、変化について綴ったエッセーのような本でした
なんだろう、これはブログか?と
思わなくもないくらい、大変軽々しいというか、
新聞記者という身分から想像する文章とは
随分違うものだと感じたのでありました

なぜ会社を辞めるという選択をしたか、
それについてと、それに至ってから、
何かしら人と触れ合って得た感触について
もう、筆がおもむくままといったら聞こえがいいけども、
なんか、読んでいると、これに限らず
会社辞めた!という一種のハイ状態になっているような、
躁といった具合の文面で、さほどのことでもないことに
何かしらの激情と感動を、ちょっと情緒不安定なんじゃないかと
思わなくもないほどに綴っていました

また、在社中も、四国は高松へ転勤となったおりに、
物がなくても生きていけるということに目覚めたと
らんらんと書いていたのでありまして、
実際本人はそう思ってんでありましょうが、
ちょっと、これはもう、馬鹿にしてんじゃないのかと
そういうのと肉薄しているというか
これまた全体的にそうなんだけども、
そうだと思っている人は、なんとも思わないことに
とんでもなく大仰に、そして、今気付いたという具合に陥っていて
微笑ましいをとおり越えて
なんか腹が立つでもない感想を抱いてしまったのでありました

どうも、今まで生きていた世界が違いすぎて
共感ができない感動だなと感じたわけであります

そのテンションのまま、市井について、
自分は一敗地に塗れたので本当がわかると
声高らかに宣言しているような内容で、
ぐるぐると終わっていくのでありますが
終始、どうも苦手だなぁという感じでありまして
しょんぼりの読書であったと
メモっておくのでありました

昔、さる左翼系活動家が、散々暴れまわって10数年経って
身寄りもなく工事現場のアルバイトをしたときに
私は初めて労働を理解した
などと、眠たいことをぬかしたという逸話を思い起こさせる
どうにも、共感しづらいそれでありましたとさ

【読書】伯爵夫人

2016-09-29 20:06:34 | 読書感想文とか読み物レビウー
伯爵夫人  作:蓮實 重彦

ちょっと話題になっていた問題作であります
いや、問題にするのは違うのか、
ともあれ、ありがたい文学賞を抱いた作品で、
読んでみれば、官能小説まがいであったと
そういうものでありました
下品さでいったら、筆がのってるときの村上龍のほうがいかがわしいと
感じたのであります

と、そういう話にどうしてもなってしまうのが、
話題になっているゆえんの一端でもあろうと思うところ
内容は、二次大戦に日本参戦まったなしの前夜に、
伯爵夫人と呼ばれる謎の女と、書生でもないが、うぶな若者が、
どうにかこうにかという、痴情めいた行為と、
それにまつわる軽やかな言葉劇を楽しむといったところで
台詞が切れているといっていいのか、
気風のいい語り口は気味がよくて、なかなか楽しめたというか
癖になってしまいそうだったのであります
どうです、そう思ってようがすか?
いや、こんな感じじゃないな

話は、最終的には己の生まれについてだとか、
戦争突入間際の、なんともいえない居心地の悪い感じだとか、
なによりも、胡散臭い連中がひきもきれずやってくるところだとか
こういうのが描かれていて、面白かったと思うのでありますが
なんだろうか、略してしまうと、
睾丸に、ありがたく名づけられた「おみお玉」なる言葉とともに、
それをもてあそぶ、いつくしむ、懲らしめるといった
猥談めいたところをふんだんに描いた物語であったというか
もう、「おみお玉」の扱いについて書いた本といっても
差し支えがないんじゃないかと思わなくもない
丁寧な描きぶりでありました

粗野で、下卑たといってもかまわぬようでもありながら、
下品とは違う、猥雑な描かれ方が、なにか滑稽な劇のようにも思えて
なんだかんだと楽しく読んだのでありました
でも、思い返すと、やっぱりエロ小説だったのではないかと
思ったりもするんだがどうであろうか

【読書】猫を抱いて象と泳ぐ

2016-09-28 20:20:51 | 読書感想文とか読み物レビウー
猫を抱いて象と泳ぐ  作:小川 洋子

物静かだけども、とても面白い小説でありました
形容しがたい感動があった
どうと、なかなか説明しえない実に不思議な物語でありましたが
ただただ、面白かったと思うのであります
素晴らしい

リトル・アリョーヒンという綽名で呼ばれるようになる
ある少年を追った物語だったのでありますが
アリョーヒンという、チェスの名プレイヤーに憧れて、
また、そこに肉薄するかのように
美しい棋譜を編むことができる少年が、
数奇な運命といえばいいのか、何か不思議なものにとらわれつつ
夢かと思う、幻想的な世界観のなかで
生きていくという姿が、まぁ、なんというか
静かにとつとつつづられているだけなのに
ものすごく面白く読めたのであります
笑ったりというのではなくて、ただただ、なんだろうか
取り付かれるようにというのも違うんだが
ずずいっと、引き込まれて読んだのでありました

感想をあれこれ書くのも
野暮ではないかしらと思うほど
なんとも、心穏やかな読後感を抱えているわけでありまして
ロマンスとも、友情物語とも、成長記とも
いずれとつかない内容に、
いい本を読んだという、ごくシンプルな感想を語るばかりで
名作だったとメモっておく次第なのでありました

チェスを覚えてみようかしら
そう思わされたのでありますが
将棋もままならぬ身で、何をかいわんやと
そういうことも思うのである

【読書】すれ違う背中を

2016-09-26 21:36:41 | 読書感想文とか読み物レビウー
すれ違う背中を  作:乃南 アサ

何の気なしに読み出したのですが、
あれ?このあらすじ知っている気がする…、などと、
前科持ちの女二人が、それでもがんばっていきていくという
キャッチーな設定に既視感を覚えて、
思い返して調べてみれば、以前にNHKドラマでやってた内容の
原作にあたる本だったようであります
ドラマは、この設定を借りただけで、
ほとんど違う話だったということで、読んでいるうちに
この世界にはまりこんで楽しめたので
よかったのでありますが、なかなか、楽しいといっていいのか
明るい小説でありました

設定は前述の通りで、
40間近と、30間近の女二人が、娑婆に帰ってきて
おっかなびっくり、この世間になれていこうと
奮闘するといったところであります
もっとも、ものすごく悪辣なことだとか、重苦しい雰囲気なぞなくて、
そういう設定で、一生懸命生きていて、
それでいて、少し面白い日常を描いているという具合でありまして
心穏やかに読み薦められる良小説だと感じる次第

二人の女性の設定が、確かに暗くて重たいものを背負っているのだけども、
どこか明るく、実際は罪を犯しているので、
こんなに明るくてはならないのであろうか、
でも刑期は済ませているので、これはこれでよいのではないか
なんて、あれこれ考えてしまうのでありますけども
気の置けない二人の会話というのが、会話劇としてなぞっているだけでも
随分楽しく読めてステキでありました
この二人の間柄と、軽妙な台詞回しが見事であります

話としては、前科持ちという隠さなくてはならないそれに
端を発した、何かよからぬ予感めいたものにおびえるけども
実際は、それとは別の話でしたというのが天丼で、
その違う話というのが、くるくる
様々なエピソードとしてまわっていて面白い
個人的に、内偵している男といい感じになりそうだという
なんとも、やきもきした展開がなんとも楽しくて
サスペンスというか、ちょっとしたミステリもありで
楽しく読めたと思うのであります

力を抜いて、明るい気持ちになれる小説というのは
やっぱりいいものだなと、満足した気持ちをしたためておくのであります

真田丸  昌幸

2016-09-25 20:47:31 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「真田丸」
視聴完了であります
えらい時間がさくさく進んでいきましたが
人員整理もかねて、なかなかよい回でありました
こういう落ち着いたのもステキでありますね

戦ではなく、みんなナレーションで死んでいくのが
とてもとても哀しいところでありましたけども
あの死亡ラッシュのなかで、家康だけは死なないというのが
やっぱり凄いことだよななんて思わされたりするのであります
個人的には、大往生にふさわしい感じだった忠勝が
すごいステキというか好きだなと感じた次第
ああいう三河武士然としたそれが楽しいなぁ
言葉のとおり、ああいった手合いはもう要らないのでありますね

驚きの二代目半蔵の活躍でありまして、
もうちょっと清正にはなんかあるんじゃないかと
思わなくもなかったのでありますが
猛将なのに戦してるシーンなしで、さっぱり終わりというのに
なんとも哀しいところでありました
あと市松がでてこないけど、もう改易されてるころだよな
どうだったかしら

きりが久しぶりに切れ味鋭い、きりらしさを発揮していたのが
もうここにくると、和んでしまうぐらいでありましたけども
嫁がメンヘラ化してきたところが新しい笑いどころでありました
悪い意味で同じレベルなんだな

昌幸の赦免に関する酷い天丼と、
そこから死亡までの流れがなかなか物悲しくて
特に何がということもないのに
涙を誘われるようで見事だと感じたのであります
なんだろうな、特に何がという感動シーンでもないのに
おおきな人を失ったような錯覚に陥ってしまった
素晴らしいことこの上ない演技でありました

佐助が特に必要もない恋愛フラグめいたものをきりに抱いたのが
なんとも、不安を重ねる内容でありましたけども
そのどうでもいい伏線も楽しみつつ、次週を待つのであります
中小企業の悲哀みたいな回になりそうで楽しみである

【読書】平気でうそをつく人たち

2016-09-24 22:20:14 | 読書感想文とか読み物レビウー
平気でうそをつく人たち  著:M・スコット・ペック

原著の刊行は1980年代という話だそうで、
30年以上前の著作でありました
いわゆる心理学を取り扱った内容でありまして、
年月を考えると、書かれている内容はすでに陳腐化しているかもしれない
あるいは、何か間違った内容が記されているかもしれないと
そんな不安にもかられたものの、
非常に面白く読み終えたのであります
個人的には、この本は前半と後半、
もっというと、最後の一章とそのほかに分かれていると
感じたのであります
心理学的に、本人が認識しない悪というのを喝破した部分と、
ベトナム戦争というアメリカが行った事件について断罪した部分と、
両者はリンクしているんだけども、
主題はその二つに分断されているような
そういう本でありました
非常に面白いんだが、疲れた

前半の心理学的な話は、
実際に著者が接してきた患者から、
意図しない悪意といっていいのか、他人を思いやることがないため、
その人と触れ合う人が不幸になる、
その存在の中心にいる人物が、悪意という精神の病を患っていると
まぁ、そういうお話なのでありました
このあたりは、やっぱり現代だと、この察しの悪さとかを
ADHDだとか、発達障害だとかいう名前で、
うまいこと分類しているようにも思うのでありますが
こういう人たちをそうだと
はじめに分類した、そういう人なのかもしれないと読んだのでありました
実際はどうだかわからないので調べましょう

この心理学というか、精神療法の手法ともいえる、
患者との対話のシーンが非常に面白くて興味深い内容でありまして、
この語り口はなんというか、そのまま、
実際会話にも使えそうだなと、会話が成立しづらい相手との何かに
役に立たないだろうかと、不穏なことを考えたのでありました

で、ここで最後に出てきた患者が、
かまってほしいために退行のような、我儘のような、
ともかくどうにもならないそれを抱えているとなっていたんだが
この患者の所作、思考が、恐ろしく自分にも当てはまると
読んでいて驚愕というか、この病は俺の症例かと
慄いたわけであります
まぁ、誰にでもあるよなという話といえばそうなんだけども
なかなか、これを悪とするのが本著なんだが、
さすがにこれを悪とするのは、どうなんだ、いや、実際そうなのかと
あれこれ考えさせられたのであります

あとは、この未必というか、意識していない悪意というものが
集団となった際に、無責任と、怠惰と無知によって、
巨大な国家による悪が働かされて、
ベトナム戦争が行われたという論法で終わっていたのであります
これもなかなか面白いところでありますが、
ひとつ気になったのは、ベトナムで虐殺をアメリカ兵が行っていた事件について、
白人はそれ以外の人種に対して殺戮を行うことに躊躇がない、減少するという
今でこそ、ありそうな話だということが載っていたわけなんだが、
この返す刀というか、ひとつの提案として
アジア人もまた、白人を殺すことに躊躇がないのじゃなかろうかと
推論をあてていたのでありますけども、
そこはなんだろう、現代人だからというのは関係なく
アジア人は殺すということは、人種というもので酌量されないんじゃないかと
感じたんだけども、これはまた、個人の感想であろうかなんて
あれこれ思ったりしたりの読書で
いらぬ哲学にはまったようでもあったのであります

【映画】超高速!参勤交代

2016-09-23 21:20:27 | ドラマ映画テレビ感想
先日、リターンズのほうを映画で見て
その前夜祭的にテレビでやってたので
こっちを見たと、まぁそういうわけでありまして
せっかくなので、感想をつまんでおく次第であります

参勤交代を主題にとって、
貧乏藩が、なんとかして、この難題に挑むという
艱難辛苦になんとやらという具合かと思っていたら
なんのことはない、コメディというか喜劇というか
一休さんじゃないかと思うような
頓知ものでありました、でも面白かった

肩の力を抜いて見られるというのが
実にすばらしいと思いつつ
テンポよく、歴史物のようでありながら、
実際は時代劇の下地で、好き放題に映画作ってあると
見事なできばえでありまして、
非常に楽しく、明るい気持ちで見られたのであります

こまごまとしたギャグはこの際すべてよしとして、
非常によくできているというか、うならされた部分としまして、
時代劇としてのセオリーといっていいのか、
期待される展開をすべて綺麗にまとめてきているというのに
なんというか感動すら覚えたのであります
こういうのでいいんだ、難しいことを考えずに、
ストレートに、悪いものをやっつけて、
弱気がくじかれそうなのをなんとかしてと、
そういうわけで、大変満足であります

あまりにもベタすぎる展開が随所に見られましたが
これもまぁ、そういうものだろうと笑って過ごせるというか
展開も、似た感じで進んでいくのに
うまいこと起伏があって、楽しいという素晴らしさ
そして、もっとも大切であり、
まさかこの映画でと、意表をつかれたのが殺陣の良さであります

正直、リターンズを見てしまうと
そっちの殺陣が、また数段ましていたので
なかなか、褒めづらいところではありますが
思った以上というか、コメディで、こんなにしっかりアクションやるんだと
慄いた次第であります

でてくるキャラクタそれぞれに、ちゃんと得意の得物をつけて、
縦横無尽といっても差し支えない活躍ぶり、
主役の蔵之助さんにいたっては、まさかの居合いという
時代劇すぎちゃって、それはもう、いかんじゃないかと
けしからんできばえでありました、実にいい、
嘘剣法とかそういうのはどうだっていい、
強い殿様が居合いを使うという、そのシチュエーションが素晴らしいのである

感心しきりというか、感動しきりだったのでありました

あとは、いつもの通りの深田恭子に
ある種の安心を覚えたり、なんだろう
演技にやる気出しなさいよと、いい加減にしかりつけたくなるところも含めて
そのままでやってきたのは、潔いと思ったりしたのであります
按摩するのに、あんな腰の入ってない手もみで
いいわけねぇだろうと、流石にあきれてしまったんだが
そこも、一周回って面白いからいいやとか思わされるんだなぁ

と、そんなわけで、ゆるり楽しめる時代劇だったと思うのであります

台灣縦断旅行記 12 廟めぐりと無名豆花

2016-09-22 20:45:04 | 台灣縦断旅行記(2016)
林百貨店をあとにしまして、
あとは台南の廟めぐりでもやろうかしらと
手当たり次第の名所を当たって歩き回りました


鄭成功祖廟

多分、鄭成功

地図を持っていないという状況のため、
林百貨店の近くに孔子廟があったと知らなくて、
反対方向にあります、鄭成功祖廟にやってきました
たまたま、西洋人の観光客がうろうろとこちらへと歩いていきましたので
習っていったというのが正解なんですけども
割とこじんまりした廟ながら、誰かれとなくお参りしていまして
とりあえずありがたやと、こうべを垂れてきたのであります


天壇

ちゃんと扁額に天壇の文字

関西人にとっては、ああ、焼肉のね、
なんていわれかねない「天壇」であります
正式には天壇天公廟というのだそうで、
なんで焼肉屋の名前になったのかは謎ですが、
何かしら祀られているお寺さんであります
割と人気というか、結構な人出でありまして
おっかなびっくり、中を拝見しつつ線香をあげてまいりました


ちょっと小道を入ったようなところにあったのですが、
かなり立派でありまして、門前には、
龍山寺と同じように、花売りやなんやかんやの露天が並び
なかなか壮観な場所、写真は内部でありますが
非常に立派なのであります


多分天壇で見た、関羽が曹仁の毒矢傷を治療しながら碁を打つの巻
相変わらず、台灣人センスというか、
このシーンをなぜ選んだのかというところが
よくわからないのでありますけども
三国志の名シーンの一つであります華陀とかかわりがあるんだろうか天壇


北極殿

さらに、小道を進み北上してみますと
北極殿というこれまた有名なお寺を発見します
いや、実際は、道道に看板というか案内が出ていまして
それに伝って歩いてきたのでありますけども
なんだかんだ、5kmくらい歩き通したんじゃなかろうか
玄天上帝という神様を祀っていまして
次の日、これのもっと凄いやつを高雄で見るのでありますが
とりあえずは観光地めぐりの一環として
ありがたやとこうべを垂れるのであります

なんだかんだ、これでぐるりと回ったと
また関帝廟のほうへと足を向けるというか
ちょうど帰り道になると歩いて戻りますれば


無名豆花
無名というあたりがかっこいいじゃないか、
せっかくだから甘いものでも食べようと
今まで食べたことなかった、豆花を食べるため寄ってみます


珍珠豆花(ゼンズードウホァ) 30元
ずっと「ちんずーちんずー」と発音してて、
まったく通じなくて恥ずかしかったんですけども
どうやら、ゼンズーと発音するんだそうで、それよそれと
喜び頼んで一人待ったのであります

時間としては17時くらいでありまして、
こんな時間から甘いものを食べる男性一人というのは
なんとも奇態でありましたが、店員さんは気にした風もなく
ささっと運んできてくれました

味はといえば、非常にあっさり、
蜜入りの豆腐というほかないといった具合であります
タピオカ(珍珠)が黒糖とあいまって、非常によろしく染み渡り
歩きつかれた身体に、ほどよく浸透していくようでありました
もっと、日本でいう杏仁豆腐みたいなものかと思ってましたが
思ったよりも、豆というか、いわゆる豆腐の味がしまして
甘さ控えめで美味しいと喜んでいたのであります

甘味もとって、すっかり気力を回復し
そろそろ台南駅へと戻る時間かとうろうろ移動を始めるのであります

【読書】社員をバーベキューに行かせよう! ―結束と成果はこうすれば生まれる

2016-09-21 20:55:43 | 読書感想文とか読み物レビウー
社員をバーベキューに行かせよう! ―結束と成果はこうすれば生まれる  
著:蓬台 浩明

とある住宅屋さんの仕事ぶりというか、
その経営哲学を記した本でありました
ひとつのマネジメントであり、チームビルドでありと
結果を出している
著者の信念が描き出されていて、なるほどなぁと
読み終えた次第でありました

根性論ではないのだけども、
顧客への感謝というキーワードを全社員に浸透させることで、
強烈な一体感と、強い推進力を生み出すというお話で、
非常にいいことを言っているし、なるほどと思うのだが
これに感化されて、一体化していくという一連に
何か、拒絶を覚える人もいるだろうな
というか、俺が、
などと思ってしまったりしたのですが
それはそれ、強い組織を作るために、想いや気持ちを共有することの
大切さと難しさ、そこに対する
著者が出した答えであり、挑戦なんかが
読みとれたわけでありました
面白かったんだが、ちょっと上の人というか
やはりマネジメントをする人向けの本でありますね

人並みに、誰かと組んで仕事をするという
そんなことになった場合、
短期間でチームにしていくという作業が
少なからずあるわけで、
その時に、この方法論はひとつの力になるような
そう感じたりもするわけだけども、
まぁ、使うことないなぁ、そういう機会がねぇしなぁ

実際のところ、書かれていたことは
よくあるといっては失礼ながら
ある意味普遍的なんであろう手法で、
物を言うのは情熱であるというところでありましたが
それはそれとしつつ、こういうことも
マニュアル化することができるというのがひとつ
新しい視点だったと思うのでありますが
いずれにせよ、人間を率いるというのは途方も無いと感じるわけであります

【読書】貧困のない世界を創る

2016-09-20 20:27:53 | 読書感想文とか読み物レビウー
貧困のない世界を創る  著:ムハマド・ユヌス

難しそうというか、ちゃんと読み込まないといけないなと
なんとなし、遠ざかっていた一冊であります
今回三連休だし、ちゃんと読めるだろうと
手にとって読み終えたわけでありますが
いい本を読んだ、心のそこから満足というか
納得している現在であります

世界から貧困をなくす
この取り組みのため、マイクロクレジットとソーシャルビジネスを提唱した著者の
その方法論と、内容とを丁寧に解説した本でありました
読み始めてからしばらくは、夢物語だなというか、
随分よいことしか描いてない、いわゆるお花畑的なものではないかと
斜に構えていたのでありますけども
読み続けて、いや、そもそも読み続けられるほど
非常に丁寧な文章というか、説明が魅力的でありまして
読み進めるにしたがって、そうかもしれないと思わされる
なんとも魅力的な内容だったのであります

本当にわずかなお金によって、貧困から数名のバングラデシュの女性を救った、
この嚆矢が見事で、これならば、実学、実行をすれば
もっとよりよくなれるのではないかと
経済の教授という身分から、マイクロクレジットのバンカーになって、
やがては、大きなうねりの中心を織り成していくというのが
なかなかステキすぎて驚いたのでありました

提唱されていた内容については、
いちいち納得のそれだったのでありますが
一番よいなぁと思われたのは、貧乏な女性は貸した金をちゃんと返すという
この前提が約束されているという部分でありましょう
これは、バングラデシュ人が素晴らしいのではないかと
勝手に思ったりしていたのですけども、
やはりアプローチがよい、借りたものを返す、
返せる内容で貸す、そして、その貸したものを元手にして
何か始めることができるよう促すというのが見事
はっきりいって、日本においても、
社会福祉というか、生活保護なんかにまつわるものは
この方式によるべきじゃないかしらと
真剣に考えさせられたのでありました
借りたものを返すというフローを根付かせるというか
なんというかな、大切なことである

そんなわけで、現在の日本における貧困とも照らし合わせると
間違いなく、この本にある貧困はより悲惨であるのに
わずかな元手を使って、なんとかしていく力がある、
また、教育はそれからついてくるという状況なのに
なぜ、こんなにうまくいくのだろうか、
ひるがえって、日本ではいかないんだろうかと
考えさせられてしまったのでありました
政治批判は、蜜でありますのでこれくらいにしておきますが
ともかく、深く刺さったのでありました

これとは別に、日本からのODAを利用した方法が
しれっと書かれていて、衝撃を受けたというか
いまさらながらに、ODAという仕組みが理解できたのであります
ODAで貸し付けつつ、それを使う先は日本企業へインフラ整備発注と
そういうお話だったのでありますね
この本の趣旨から外れてしまうので書かないけども
これで潤う仕組みというか、ODAをやめられない事情みたいなのも
日本の側としてわかったような気がしてしまったのである

それはそれとして、ともかく貧困をなくすためにと
様々な取り組みが実っていく、そして、当然のように営利に
血道をあげているそれらとの戦いがこれから始まるというのが
なかなか楽しみでもあり、どうなってしまうのかと
心配しつつ読み終えたのでありました

一歩さがってみると、これは色々とリファインした社会主義なのかなとも
思わなくもないんだが、これがうまくまわると
いいことがあるのか、あるいは、これもまた、いくらかの貧困があるからこそ
まわる仕組みなのかもとも思わされたり
なかなか難しくいっぱい考えたのでありました
面白かった

【読書】やきものの見方・楽しみ方―全国有名産地の特色・技法と名工の作品鑑賞のポイント

2016-09-19 17:08:22 | 読書感想文とか読み物レビウー
やきものの見方・楽しみ方―全国有名産地の特色・技法と名工の作品鑑賞のポイント  
著:北浦 牧夫

読書というか、眺めたというか、
そんな按配で、見て楽しんだというのが
しっくりくる本を読みました
物凄い立派な本とか、とてもレアな情報がという
貴重性の存在するものではなく、
まさに題名のとおり、やきものの楽しみ方を各産地の
特色とともに説明してくれている本でありました
実家に転がっていたので、
だらりんと読んできたのだが、思いのほか面白かったのであります

そんなわけで、年寄りの趣味と
切って捨てられてしまいそうな
「やきもの鑑賞」でありますけども、
こう見えて、すでに10数年、あれこれと現代作家を
おっかけたりしている私には、
なんとも、いい加減ちゃんと勉強というか、
基礎を築くための、知識を補完するに
ほどよい内容でありました

この本の一番よいところといえば、
出てくる写真と作家の説明が、
全て、近現代の作家とその作品であるところでありましょう
やきものが、戦国時代よりつらなる茶器にからめて
歴史と一緒に語るものは、結構多いのでありますが
そういう、いわゆる骨董めいた楽しみ方ではなく
陶芸、陶器そのものの楽しみ方に
クローズアップしているため、
現代作家さんの名手を紹介して、その作品とともに
各産地の特徴が記されると
これまた、非常にわかりやすくてステキと感じる一冊でありました

近現代といっても、渋いセレクションといったらいいか、
魯山人とかも出てくるけども、それだけではなく
様々な焼き物で伝統工芸士ないし、人間国宝を獲得した人を
順にクローズアップしていて
大変興味深い、まさに基本、基礎の知識であるなと
感嘆でありました

個人的には、青磁の清水卯一、塚本快示、
美濃の鈴木藏、加藤鈴木藏なんてところを紹介しているのが
とてもステキだと感じたのであります
もっと若い作家さんの作品も紹介して、
なにより白眉なのは、それぞれのいわゆる価格があるところでありました
皿が1万5000円だとか、名品なら100万円超えているだとか
このあたりが、いわゆる相場で記されているのが
大変重要というか、個人的にすごい本だなと
感心した部分でありました

無論、荒川豊蔵や、民芸の旗手たちを
十二分に紹介しているのもよろしかったのでありますが
なかなか楽しく読めた、よい本であったと感じるのであります
残念なところといえば、誤植が散見されたところでありましょうか
常滑のとこにゃんが、とこちゃんと紹介されていたのは
こればっかりは赦せないなんて思ってしまったんだが
もっと酷い間違いもあったりしたので
それはそれとして含めておき、勉強するのにうってつけの一冊だったと
記しておくのであります

真田丸  信之

2016-09-18 20:48:09 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「真田丸」
視聴完了でありました
なかなか楽しかった、いい一回でありましたね
勝ったのに負けたとはどういうことだろうと
それを思い知るいい機会だったようにも思うのであります

しかし、なぜあんなに平八郎は信之が好きなんだろうか
そこだけよくわからんなと思ったのですが、
そういうのはどうでもいいという
あの演技力というか、目力というか、
圧倒されてしまったのであります
それにしても、家康が最高にいやな奴感を発揮してて
これもグッドジョブでありました
素敵すぎるわい

そして、荒ぶる心を持て余す昌幸の描き方がありありで、
素晴らしいことでありました、哀惜というのかしらんが
なんとも、胸に迫るものがあった
あわせて、薫殿の描き方も胸にくる
これはひょっとすると、事件のことも関係してのシーンだろうかと
変に勘ぐってしまったのでありますが、
一人さみしさにくれるシーンは、
なんか、すごくいいシーンに見えたんだが
どうなんだろうかな、あれでフェードアウトのようにも
思えてならんなぁ

もう少し、関ヶ原のフォローアップがあるかなと思いきや
まったく触れないに等しい内容で、
ちょっと残念でありました、
特に金吾については、刑部にかかるシーンくらい見たかったなぁと
冶部、刑部の最期のシーンも含めて
なんともおしいと思ってしまったのであります
特に石田については、セリフなしだとは思いもしなかった
まぁ、関係ないんだからいいんだけどもさ

と、そういうわけで、とりあえずひとつ終わったという具合で
来週からちょっと小競り合いしつつ
大阪攻防にみっちりとりかかるのを楽しみにしつつ
真田紐作りに精を出すのか、それともなんかあるのか
待ちながら過ごすところであります

【読書】ユリゴコロ

2016-09-17 17:34:53 | 読書感想文とか読み物レビウー
ユリゴコロ  作:沼田 まほかる

題名から、てっきり、女の子同士の淡い恋だのなんだのを描いた
プラトニックでピュアピュアなそれかしらと
胸を高鳴らせて読んだのでありますが、
知らないとは恐ろしいもので、
いわゆるイヤミスと呼ばれるジャンルだったと
読み終わって衝撃を受けたのであります
いや、イヤといわれるほどそうではなくて、
むしろ、ミステリとしてすごく面白い一冊だったと
満足したというか、一気読みしたのであります

「ユリゴコロ」という謎の心持を抱く、
ある殺人狂めいた人物の日記を読み進めていく
そんなお話なのでありますけども、
なかなか推理がスリリングといっていいのか、
主人公が狂言回しであり、読者と同じく、
その日記を読む人というギミックがよくて、
ずいずい引き込まれて読んだのであります

読み手の主人公に感情移入するでもないけども、
彼が混乱しつづけることで、その日記についての謎解きに
集中できなくなるというか、
ともかく、落ち着いて読んだら、このラストは
わかったはずだというくらい
見事に決まっていたのが印象的で、
話のつじつまというか、様々なつじつまというか、
倫理や、道徳とかに照らす、
なんとなし、それで終わったらどうなのだろうかという気持ちや考えを
吹っ飛ばしてくれるように、このラストでピタっと決まったと
思わされて、うなったのでありました
なるほどなぁ、そりゃそうかなあなんて感じたあたり
すっかりやられたというか、
人情に甘いなぁと自分でも感じるところでありました

考え含めると、なかなか興味深い最後なのでありまして、
結局、ユリゴコロは最後またも、満たされたのではないかしらと
思えば、これはこれでめでたしなのか?
いや、もっといろいろ償いとか、贖いとか、
あったんじゃないかしらと思わされてしまったのだが
そういうことじゃないかしらと
考えつつ、満足の一冊と
メモっておくのであります

台灣縦断旅行記 11 度小月と林百貨店

2016-09-16 23:39:01 | 台灣縦断旅行記(2016)
三国志三昧もすっかり堪能して、そろそろ小腹が空いてきたというわけで
台南といえばの名店・度小月へと向かいます


度小月の旗艦店

台南坦子麺の名店というか、まずここだよと
お勧めされる、非常にポピュラーなお店であります
ちゃんとしたものも食べないといけないと
張り込んだというほどでもないけど、
先だっての食事が失敗だった仇をとろうと
意気込んだのであります

さすが旗艦店、たぶん本店という意味なんでありましょうが、
なんか豪華なつくりの店内で、中国趣味のよい雰囲気でありました
テーブルに座ると、日本語解説のはいったメニューも出てきて
いや、そもそも、店員さんが日本語しゃべるしなぁと
そんな按配で、安心して注文できたのであります


そして、待ちに待った坦子麺+煮玉子 65元

頼んで、出てきて思ったのは
小さい
という感想でありました
玉子が大きいのではなく、器が小さいのであります
ボリュームがあればいいというものではないと
早速食べてみますと、これがまぁ、すごい美味しい
これは日本人好みきわまった感じだと感嘆
ニンニクがよく効いてて、
ぷりぷりの海老と肉のそぼろがうまいうまい
思わずお代わりを所望したくなるところでありました
すばらしい、これは本当に食べておいて損じゃないというか
食べておくべきだなと、大満足


続いて、睡蓮の茎炒め 90元

これを食べたかったんだと、わくわくして食べたのであります
名前のとおり、睡蓮の茎というか、若い芽を
これまたたっぷりのニンニクで炒めたものであります
しゃきしゃき、というか、ぬぎぬぎというか、歯ごたえが見事ですごいうまい
こいつも大当たりでありました
台南を堪能したなどと、一人悦に入りつつ
緩やかにすごして、お会計のときに、サービス料を取られていることに気づき
レストランは違うなと、ちょっと慄いたのはよい思い出でありました

さて、腹ごなしというでもないけども
観光地をめぐって歩こうと、近くにあるという林百貨店へと向かいます


林百貨店(はやしひゃっかてん)
昭和の遺構でありまして、林(はやし)さんという方が経営していた百貨店で、
建物をリノベして、今また、林百貨店(はやしひゃっかてん)の名前で営業中との由


店名の入った帆布袋

レトロこのうえないエレベーター

何階建てだったか忘れてしまいましたが、
一階一階、あれやこれやと見て回って
なかなか楽しんだのであります、
百貨店といっても、現代のデパートのように広くなくて、
ほどよい空間で、さまざま、おしゃれ小物や、洋服なんぞが売られていました

さらに屋上に出てみますと、食堂というか
ちょっと食べられるお店なんかもあり、さらには


昭和のビルといえば、屋上に鳥居

というわけで、空襲で焼けたというか、崩れてしまったそうですが
石造りの鳥居もありまして、なかなか趣深いのでありました


鳥居の奥にあったお賽銭

お賽銭に日本の小銭も混じっているあたり
面白いなぁなんて思ったのでありますけども
お稲荷さんが祭ってあったことはわかっているようで
林百貨店のお稲荷さんグッズみたいなのも売られていて
なかなか楽しげだったのであります

と、まぁ、非常に台南を観光しているという気分を
たっぷりと味わいつつ、台南市内を経巡り歩いていきます

【読書】ふがいない僕は空を見た

2016-09-14 20:46:48 | 読書感想文とか読み物レビウー
ふがいない僕は空を見た  作:窪 美澄

うつうつとした、青春小説といっていいのか、
すかっとしたような、しないような、
どうにも後ろ暗い印象のお話でありました

いわゆる底辺と呼ばれる層を描いたといっていいのか、
貧困とは違う、貧乏によってもたらされる底辺について
そこに生きる少年少女の悲喜こもごもが描かれていたんだが、
まぁ、なんだろうかな、
どうにも重いというか、やだなぁと思わされる内容でありました

先に余談を書いてしまうのですが、
舞台というか背景に団地というものがあり、
そこに住んでいるのが、やっぱりどうにも下層、下流であると
そういう前提なのでありまして、
そこからたちのぼるかのような貧しさと、いいようのない醜さというか
なんだろう、やるかたないものがあって、
そしてこの話が成り立つかのようで、
ろくでもない親と、そのせいか、自分のせいか
それも区別がつかない、底辺をたゆたう子供たちというのが
いや、居るのだろうか、違うんじゃないかと
思わなくもないようなと
本当に団地というところは、そんなところなんだろうか
よくわからんが、ともあれ、そういうことが
こんこんと描かれていたように思うのであります

と、それはそれとして
連作短編のようなつくりで、
読んでいると、どうも一話読みきりのつもりが
続いてしまったかのような、
初題と、描かれる内容が異なっているようにも読めてしまう
なんともいいようのない一冊でありました

一番最初は、そういう底辺ぽさとは関係がなく、
団地妻と不倫というか、春を買われる男子高校生という
なんともいえぬ話でありまして、
これはこれで、なんだろう、いいえぬものがあるなと
読んでいて思い知らされたのでありますが、
続く話で、この団地妻の話となって、
こっから話がどうも胡散臭いというか、なんとも
暗いそれこれになっていき
話が進むに従い、上述のようなところが出てきて
にんともかんともという具合でありました

ちょっと前に読んだ、赤と白もそうだけど、
最近の高校生の間ではこういうのが流行ってんだろうかと
首をかしげたくなるような内容だったのでありますが
わずかながらに、それでも生きていくという気持ちで
終わったような、そうでもないようなというのが
若干救われたようにも思えて
あっという間に読めたんだが、どうも
ふつふつ、よろしくない気がたまったような気分で
終わったのであります