障がいのあるなしにかかわらず、共に学ぶ場づくりが、大事だと考えます。
国の審議会でも、関連した議論がなされています。
****議論されている場****
●学校卒業後における障害者の学びの推進に関する有識者会議(第6回) 議事録
1.日時
平成30年6月29日(金曜日) 14時00分~16時00分
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/041/gijiroku/1412612.htm
●【課長コラム】特別支援教育の充実に向けて
〔初等中等教育局 特別支援教育長 八田 和嗣〕
新型コロナウイルス感染症の影響で様々な制約が続く中、各学校等におかれては、感染症対策を講じつつ、子供たち一人一人に応じた教育活動を展開していただいておりますことに、感謝申し上げます。
さて、私自身、特別支援教育を直接担当するのは約20年ぶりであります。
約20年前は、発達障害はまだ「通級による指導」等の対象ではなく、学習障害に関する議論が進んでいる中でした。また、医療的ケアへの対応に関しても議論が始まった段階でした。
それから約20年。再びこの分野に携わり感じるのは、特別支援教育の広がりです。
特別支援教育の対象が拡大し、また対象者数が増えていることはもちろんですが、教育内容や教育手法の充実、就学前から卒後までの切れ目ない支援、教育と保健・医療・福祉・労働等との連携等の取組が進展しています。さらに、それを支える社会全体の、特別支援教育への理解と期待が深まっていることを実感しています。
長年にわたる関係者皆様の御尽力に感謝しつつ、日々の業務を行っています。
このような広がりの中であっても、特別支援教育を巡る環境は引き続き変化しており、新たな課題への対応が求められています。
令和元年9月から、「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」において、今後の特別支援教育の在り方や充実方策等について議論が行われ、その報告が本年1月に取りまとまりました。
(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/154/mext_00644.html)
報告においては、これからの特別支援教育の方向性として、インクルーシブ教育システムの理念の実現に向けて、引き続き、
・障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に教育を受けられる学びの場の整備
・障害のある子供の自立と社会参加を見据え、一人一人の教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できるよう、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった、連続性のある多様な学びの場の一層の充実・整備
を着実に進めていくこととしています。
また、これらを更に推進するため、
・それぞれの学びの場における各教科等の学習の充実
・障害のある子供と障害のない子供が、年間を通じて計画的・継続的に共に学ぶ活動の更なる拡充
・障害のある子供の教育的ニーズの変化に応じ、学びの場を変えられるよう、多様な学びの場の間で教育課程が円滑に接続することによる学びの連続性の実現を図るとしています。
さらに、報告では、この考え方を踏まえ、具体的な充実方策を提言しています。その内容は多岐にわたりますが、以下、いくつかを御紹介します。
・まず、それぞれの学びの場における各教科等の学習の充実を図るため、ICTを活用した指導の充実を図るとともに、国語、算数・数学、音楽以外の教科についても文部科学省著作教科書(知的障害者用)を作成するなどの取組が必要であるとしています。
・また、特別支援教育を担う教師の専門性向上のため、特別支援学校教諭の教職課程の内容の見直しを行うとともに、その内容・水準を全国的に担保するため、コアカリキュラムを策定することが必要であるとしています。併せて、特別支援学級や通級による指導を担当する教師についても、特別支援学校教諭免許状取得に向けた免許法認定講習等を活用し、専門性向上のための取組を進めることが必要であるとしています。
・さらに、円滑な教育を行うための基盤として、学校施設のバリアフリー化や、特別支援学校の教室不足を解消するための集中的な施設整備の取組を進めるとともに、特別支援学校の設置基準を策定することが必要であるとしています。
・次に、障害のある子供と障害のない子供とが、年間を通じて計画的・継続的に共に学ぶ活動の拡充を行うため、小中学校において、特別支援学級の児童生徒が通常の学級の一員としても活動するような取組を充実することが必要であるとしています。
・また、特別支援学校の児童生徒についても、副次的な籍等を活用し、居住する地域の学校との交流及び共同学習を継続的に行っていくことが必要であるとしています。
・さらに、障害のある子供の教育的ニーズの変化に応じ学びの場を変えるなど、子供たち一人一人に応じたきめ細かい教育支援を充実させるため、就学相談や学びの場の検討等の参考となるよう国が作成している教育支援資料の内容の充実を図る必要があるとしています。
・また、個別の教育支援計画や個別の指導計画等を活用し、児童生徒の進学等の際に、受けてきた指導や合理的配慮等の支援の内容が学校間で丁寧に引き継がれるとともに、関係者間での連携が図られるよう環境整備を進めていく必要があるとしています。
文部科学省では、報告を踏まえ、今後、御紹介したような充実方策の具体化に向けて取り組んでまいります。
特別支援教育の充実においては、特別支援教育に関わる皆様はもとより、全ての教育関係者や保健・医療・福祉・労働等の関係者の御協力が不可欠であります。本報告を御一読いただき、学校や関係機関等のそれぞれのお立場で取組を進めていただきますよう、お願い申し上げます。
●新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議 報告
https://www.mext.go.jp/content/20210208-mxt_tokubetu02-000012615_2.pdf

