東京は、雲ひとつない青空。
穏やかな元日です。
クリニックから見上げる青空。13:50。
青空を見上げながら、2階と3階の非常階段を往復しています。
ご挨拶 ~今春のこども家庭庁設置を契機に、子ども施策の前進を!~
コロナ対応実施のお正月が三度目となりました。今までと異なり今年は、インフルエンザとの同時流行への警戒も加味。対コロナでは、2020年4月に発熱外来実施の契約を都と締結し、コロナ最前線での診療をほぼ連日継続、昨年12月27日現在で計1628名にコロナの診断をするとともに、診断後は電話でのフォローを実施し自宅療養の安全を見守って参りました。二類相当から五類へと感染症法上の位置づけが変えられる議論がなされ、ようやく出口が見えてきました。医療がやるべきことは、次の新興感染症へ備えるための『新型インフルエンザ等対策行動計画』の抜本的な見直し。同じことの繰り返しで経済を止めるわけにはいきません。
月島三丁目では巨大再開発が同時に二事業進行中です。月島らしさを残したまちの更新がなぜできなかったのか、自問自答の日々です。月島第一小学校の将来的な教室数不足につながらないかとたいへん懸念しています。そんな中、若者たちが、月島の再開発問題を映画化し『探す未来』という短編作品に結実。映画祭に出品中のため未公開ですが、アジアでは大きな大会にノミネート候補として残っています。公開できる時が来ればあらためてお知らせします。『探す未来』予告編:https://www.youtube.com/watch?v=chMVxXcay4k
さて、中央区政は2017(平成29)年『新基本構想』策定から始まり、様々な計画の策定がなされています(下表参照)。一昨年2月に改訂された『情報化基本方針』に則り、同年10月には押印廃止、本年2月には中央区ホームページの全面リニューアルなど進められています。デジタル化の更なる推進、例えば「来庁しなくても済む区役所」に期待を致します。
『基本計画2023』を皮切りに、本年3月策定に向け、『男女共同参画行動計画』、『環境行動計画』『第四次子ども読書活動推進計画』の三つの重要な計画について、現在パブリックコメントが実施されています(〆切1月6日)。多くのご意見を中央区へお届け願います。
下記に、子ども関連施策の前進すべき最重要課題を中心に列記いたしました。子どもに優しい区政は、すべての方にとりましても優しい区政となると考えています。
本年も、区民福祉の向上を目指しつつ、
一、子ども達が、一生懸命に勉強できること
一、子育て・介護・病気があったとしても、学びや仕事との両立ができること
一、住み慣れたご自宅で、安心して生を全うすることが望めばできること
これらのことが、たとえコロナ禍でも、当たり前にかなう環境整備を政策の中心軸に私は据えて参ります。これからも、どのような小さなことでも、お気軽に区政相談をお持ち下さい。どうか、ひとりで抱え込まないで下さい。
本年は、統一地方選挙の年でもあります。「無所属」で立つことをお考えの方がおられましたら、ご質問ご相談などお気軽にお声がけ下さい。ぜひ、連携をしましょう。
本年も、すべての区民の皆様が健康で充実した一年となりますことを、心からお祈り申し上げます。
2023年新春
中央区議会議員
小坂こども元気クリニック・病児保育室
小児科医師 小坂和輝
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2023年 前進すべき子どもに関わる12の最重要課題(順不同)
●1、教育、企画:子どもの意見表明権(子どもの権利条約第12条、こども基本法第3条第3号及び第11条)
今般成立したこども基本法により、子どもの意見表明権が法律上も位置づけられました。学校の方針・教育施策はもちろん政策作りや公園・水辺整備等まちづくりにおいて子どもの意見を聞き実施するなど子どもの意見表明が尊重される中央区を目指したいものです。町会・自治会役員やマンション管理組合運営に中学生が参画している例も聞きます。ぜひ、「子ども議会」も開催し、子どもの声を受け止める流れを作って行きたいです。新しく開校する晴海西小中学校の校章・校歌作りは、実践の場のひとつのよい機会。
●2、教育、福祉:地域全体、まち全体子どもの放課後の居場所構想
学童クラブの待機児童数が増加しています(昨年9月1日現在236人)。「民間学童クラブの誘致」とともに、「学校図書館でのプレディ活動(第四次『中央区子ども読書活動推進計画』新規事業)」、「高齢者施設・通いの広場における多世代交流」、「居場所を作ろうとするかたがたへの区民館などの無料貸出し」、「保育園・幼稚園などにおける多世代交流」、「商店街や校庭・公園で居場所を作ろうとするかたがたへの支援」など様々な手法を検討して、学童待機児を解消していきましょう。今後、区は「区立小学校への学童クラブ設置」、「学童クラブ・プレディの一体的実施」を行う方針です。地域のひとが、放課後の子ども達を支えることが、プレディ独特のよさでした。これら変革があったとしても、地域のひとによる「サポーター」制度は存続していくべきと考えます。
●3、教育、福祉:「食は、あらゆる学びの基本。」物価高騰の今こそ、学校給食費無償化を!
昨年12月7日開催の中央区議会区民文教委員会の場で、小中学校の学校給食費の完全無償化を、その重要性および物価高騰の緊急性から、直ちに実施するべきことを請願紹介議員の一人として意見しました。
また、飼料・肥料の値上がりにより、無農薬、有機野菜が取引上有利な状況にもなりうると考えます。国も2050年までに25%を有機農法にする計画ですが、その流れを作り、農業から環境負荷軽減や地域振興をなすべく、本区の学校・保育園の給食を無農薬、有機野菜の食材へと転換を図って行きましょう。
●4、教育:先生が教えることに最大限注力できる学校環境整備
最近、小児科外来を訪れる小学生で、少なからずあるケースは、腹痛・体調不良や不登校で、その原因がクラスにおいて同級生にいじめられることにあるというものです。その同級生に感化され複数人がクラスを成り立たなくさせる場合もあります。先生の指導力がないというわけでもなくて、先生も一生懸命に対応下さっているのですが、心労がたたり、病気になって担任の先生ご自身も学校に来られなくなることも中には起こっています。いじめにくるその同級生のほうも、ご家庭の環境含め多要因から行動してしまっており、すぐに改善することもできません。複数の先生や補助が入ることや、先生がご病気になられてしまった場合は、あまり時間をおかずに補充ができるような余裕をもった人員配置が必要であると考えます。
先生が教えることに最大限力がさける教育となりますように、事務の効率化や人員配置を厚くすること、外部人材活用によるクラブ活動サポートなど、教育委員会には、これからもよろしくお願いしたい点です。
●5、教育、福祉:保育園・幼稚園からソーシャル・インクルージョン、共に育ち学ぶ
保健所等複合施設再編整備で施設内の区立明石保育園では、医療的ケア児の受け入れが可能な整備をします。このように医療的ケア等必要であったとしても共に育ち・学べる環境を保育園・幼稚園から整えていかねばならないと考えます。「医療的ケア児就学コーディネーター」を中心に医療的ケア児(18歳未満34人)の保育・就学に向けた調整が行われます。たとえ特別支援学校へ通うとしても「副籍制度」を用い、地域の子ども達と交流の機会を作って行きましょう。「副籍制度」の交流を支える人材も育成を。
発達障害等、育ちに支援を必要とする子ども達が、安心して学び、持てる力を存分に発揮できるよう、横の連携を区も強化しています。子どもの発達の特性に対し子どもに関わる多機関が、適切な支援方法や課題を共有し、幼稚園・保育園から小学校、小学校から中学校など通園・通学先が替わる、成長の節目をきちんと繋ぐことで、蓄積してきた支援が引き継がれます。その繋ぐツールとして中央区には「育ちのサポートカルテ」があり昨年9月1日現在181人が使っています。しかし、昨年実施された『中央区障害者(児)実態調査』の結果で、児童のアンケート回答393のうち、「活用している」が92(23.4%)、「知らなかったが今後活用を検討したい」が129(32.8%)、「知っているが活用していない」が73(18.6%)、「知らなかったし今後も活用しない」が97(24.7%)、無回答2(0.5%)でした。「知らなかったが今後活用を検討したい」が約1/3もおられます。「育ちのサポートカルテ」は、たいへん有効なツールであり、なお一層の周知活動を行う必要性を感じます。ご関心のあるかたは、かかりつけの小児科医にもご相談を。
昨年12月に第6回中央区自立支援協議会が開催され、月島三丁目北地区再開発で整備される障害者グループホームの報告がありました。委員からは、「どのような施設整備をするか説明を受けたい」との意見が出されていました。令和5(2023)年に事業者を募集し、令和6(2024)年に開設準備をするとのことですが、当事者・家族のご意見を十分に反映しながら、医療的ケア児・者など含めた幅広い受け入れ態勢となるように進めて参りましょう。
●6、教育、保健:スクリーンタイム曝露の悪影響、命の安全教育など健康教育を
2021年度から一人一台タブレットが配備され文房具が一つ増えました。有効活用に期待する一方で、デジタル機器の長時間の使用が脳や体へ与える悪影響を注意深くフォローする必要性があると考えます。国際的な疾患分類ICD-11では、「ゲーム行動症」なる疾患名も新しく採用されています。電子スクリーン症候群(ESS)という疾患名も出てきています。スマホ、タブレット、テレビなどのスクリーンタイムの増加は、発達への影響が懸念されており、実際に長時間のスクリーンタイムに曝露した1歳半の幼児は、3歳時点において自閉傾向が見られたという国内の論文も出ました。スマホに一時的に子守りをさせねばならないやむを得ない状況が日常生活で多々あることは理解するものの、小児科医らは日本小児科医会を中心に、2歳までテレビ・ビデオ視聴は控えること、スクリーンタイムを2時間以内、ゲームは30分までにすることを2000年半ばより発信してきました。乳幼児期から、電子スクリーン症候群(ESS)の影響を考え、スクリーンタイムを減らす努力をすることを、母子保健活動で、情報提供されていくべきと考えます。教育現場においても、スマホ・ゲーム依存への啓発活動や、電子スクリーン症候群(ESS)を予防する取り組みもまた重要です。教育現場において、スマホ・ゲーム依存などが原因となり、実際に脳や体への悪影響が出てきているような事例はないか、注意深く健康を観察していく必要もあると考えます。
埼玉医科大学産婦人科高橋幸子先生が積極的に情報発信をされていますが、SRHR(わたしのからだはわたしのもの)含め包括的性教育の重要性も高くあり、性教育は運次第という状況から脱しましょう。性の多様性への配慮、教育も進めていくよう『男女共同参画行動計画2023』での位置づけに期待します。
●7、教育・福祉:「本の森ちゅうおう」昨年オープン。契機に『生涯教育推進計画』策定を
中央図書館の位置づけであった京橋図書館が移転整備され、八丁堀に「本の森ちゅうおう」が昨年12月にオープンしました。区民らで構成する「図書館協議会」(図書館法第14条)を設置し、図書館運営に区民の声を反映しやすくする仕組みも導入できればよいと考えます。この機に、『生涯教育推進計画』を新規策定し、生涯教育の方向性を示し、「本の森ちゅうおう」の運営方針にも生かすべきであると考えます。学びこそ、大きな生きる喜びの一つではないでしょうか。
また、京橋図書館の地域資料・郷土資料も生涯教育の重要な素材です。「指定管理者制度」(株式会社図書館流通センター)が導入されましたが、地域資料・郷土資料は区が責任を持って管理・保管する約束です。郷土資料はすべてデジタル化できているとのことですが、目録をきちんと整備し管理することを求めます。地域資料室では、中央区の関連情報が掲載された新聞記事を手作業で切り抜きし保管しています。重要な財産ですが、区は保管を中止するとしています。きちんと管理・保管するとともに、作業継続を。
図書館が地域包括ケアで重要な役割を担っていることが、昨年10月山梨県で開催された日本公衆衛生学会においてもシンポジウムとして取り上げられています。例えば、「本の森ちゅうおう」の事前内覧会の際に、すでに「認知症コーナー」を図書館司書の皆様の手によって出来上がっていました。そのような情報発信をはじめ、様々なかたが訪れる施設の特性ゆえ、図書館への来館者のご様子から「気づき」を得て、適切な支援者へ「つなぐ」ことに期待します。地域の担い手が地域包括ケアの学びや「気づき」そして交流の場として「本の森ちゅうおう」が役立てられることを強く望みます。
●8、教育:不登校・在宅学習の子ども達ひとりひとりの充実した時間。
コロナ禍、子ども達の心に与えた影響は深刻でした。不登校も大幅に伸びたことが、報道されています。中央区でも、小学生の1.0%の81人、中学生の6.3%の101人と、全国平均は小学生1.3%、中学生5.0%で、中央区では中学生が全国平均より1.3ポイント高い割合です。不登校の対応の強化が求められています。不登校対応として、国は、「教育機会確保法」を平成29(2017)年に施行し、令和元(2019)年「不登校児童生徒への支援の在り方について」という通知を出し、取り組みの方向性を示しました。本通知には、「児童生徒理解・支援シート」を活用した組織的・計画的支援をすることが謳われ本区でもアセスメントがなされています。また、いじめ対応と同じく不登校においても本通知にあるように、担任だけにまかせるのではなく、組織的な対応がなされるべきことが記載され、本区でも「中央区立学校における不登校児童・生徒の出席の取扱いガイドライン」(在宅学習支援にICTも用いることで出席扱いとなります。)等作成し組織的に対応が進められています。特別支援教室に通われている子が、不登校になった場合、適応教室「わくわく21」が使えます。その逆に、「わくわく21」に通っている子が、その原因に発達や学びの偏りがあるとした場合、特別支援教室を使えるような柔軟な対応をお願いします。
さらに同通知では、教育支援センターを中核とした福祉・保健・医療等と支援ネットワークの整備も謳われています。医療現場においても、不登校を主訴に来院されます。学校内の集団の中での様子も踏まえ、指導方針を見出す必要がありますが、親御さんにご承諾をいただいたうえで、担任の先生やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、養護教諭ら学校側と情報共有を図ることが有効です。これらスムーズな医療連携のためには、日頃からの顔の見える関係を築くことができればよいと考えますが、そのきっかけ作りとして、教育委員会と医師会等共同で、教師と医師の合同勉強会など開催して参りましょう。
フリースクールに通う場合、かなり学費がかかる場合があります。その学費の補助制度ができないかの研究も必要です。教室に通えない子が学校でいることができる「居場所」を作ったり、その「居場所」からオンラインで授業に参加可能にしたり、それぞれの学校で工夫をいただいていることに感謝申し上げます。
●9、福祉:親御さんに寄り添った形で、子育て支援を使いやすく
コロナ禍、区内の児童虐待の件数も2019年の203件が、2020年に315件、2021年288件コロナ前から1.5倍の約100件増に急増しました。虐待までもいかなくても、親御さんにかなりの精神的な負担がかかり、「できれば、一晩だけでも子どもと離れ、リフレッシュしたい」と、医師に相談するケースが散見されました。区では、子どもの養育が困難になった場合に短期的に子どもをお預かりする「子どもショートステイ」という事業を有しています。その利用の条件は、①「入院」、②「身体的または精神的な理由で体調が不良」などですが、現場では、診断書が必要な運用になっています。うつ病など精神疾患の診断に至らなくとも、子育ての限界に達することはままあり、また、診断書が必要になる前に手を打てれば病気の発症自体を防げたり、また、虐待などへ至ることの未然防止にもなると考えます。江東区や杉並区では、利用条件に、「育児疲れ、育児不安等により児童の養育が困難となった場合」が入り、診断書がなくても利用可能な運用がなされています。「子どもショートステイ」の利用条件を緩和し、「育児疲れ」を追加し、診断書を不要にする運用に変更することはできないか、区民に、もう一歩寄り添った運用に期待をします。
●10、教育、福祉:令和6年保健所等複合施設内に総合的な子育て支援ネットワーク整備。
郷土天文館が「本の森ちゅうおう」へ移転することでできた空きスペースを利用することで、子ども家庭支援センターの相談機能が保健所等複合施設に移動し、再編整備が行われます。同センターを中心に、一人の子どもを支えるネットワークが強化されます。母子保健部門と医療福祉部門が密に連携し、「成育基本法」にも謳われる「子育て世代包括支援センター」として機能することに大いに期待を致します。
子どもを虐待から守るためには、予防、早期発見・早期対応と、各機関とのスムーズな連携体制を構築すること、それらの核となる「児童相談所」設置に関する目途もきちんと示していかねばなりません。「人口50万人に児童相談所1か所」との考え方に沿うなら他区と合同での設置も視野に検討をする必要あり。
●11、保健、福祉:AYA世代含め「がんに罹患しても子育てや就労を継続できる支援体制の構築」「がんなどによる終末期医療も住み慣れたご自宅で生を全うできる支援体制の構築」
一生涯で約1/2のひとががんに罹患し、死因のトップ約3割はがんです。がんのり患後の不安は大変大きいものがあります。り患しても子育てや仕事等社会参加を継続できる支援体制や、終末期においても住み慣れたご自宅で生を全うできる支援体制を構築することが急務と考えます。がんや難病の方の就労支援する「両立支援コーディネーター」の配置や相談支援拠点の開設が必要であると考えています。
●12、保健、福祉:ICT,AI/IoTを積極的活用し住まい、移動等スマートインクルージョン
電動車いす、スマート白杖、分身ロボット等AI/IoTを駆使し、安全な住まい、移動、就労等を可能に。
●2023年引き続きのまちづくりの課題:
①健康・医療・福祉のまちづくりの推進、②開催日を事前告知する開かれたまちづくり協議会運営、③各地域ごとのエリアマネジメント組織の立ち上げ、④再開発では温室効果ガス排出量の環境アセスを必須に、⑤精度の高い人口推計の毎年の実施、⑥KK線緑化時や空地への農園確保、⑦交流が生まれるわたし児童遊園整備、⑧晴海線の環状線接続の交通量予測、⑨防災面からも再開発で安易に区道を廃止しない、⑩超高層の次の建替えの手法と問題点の検討、⑪独立した自転車道整備、⑫残飯のたい肥化事業、⑬築地再開発で緑の広場確保と勝鬨橋開橋、⑭晴海客船ターミナル存続、⑮晴海西小学校分校と同本校の間は安全な連絡路を整備すること、⑯江戸バス障害者・高齢者割引、⑰東京湾大華火祭再開、
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