今日は朝から美瑛町へ移動して調査ものの委員会に出席をしました。
今日は
■美瑛町創発調査でインフラを考える です。
【美瑛町創発調査でインフラを考える】
上越市から今日は北海道の美瑛まで向かわなくてはなりません。朝6時の直江津駅発の電車に乗って越後湯沢駅で上越新幹線に乗り換え東京へ向かいます。
なんとか羽田空港へたどり着いて旭川空港へと向かいます。旭川上空で着陸待ちの飛行機のため旋回を繰り返し、10分ほど遅れて空港へ着陸。一時前にやっとのことで美瑛に到着しました。地方同士の移動というのはなかなかに手間のかかるものですね。
美瑛町の創発調査は、地震で被災した長岡市などを中心に「山の暮らし再生」を中心テーマとしてその方向性を探ろうというものです。
美瑛町は中山間地の暮らし再生という切り口で連携調査として関わっているものです。ここでは「日本で最も美しい村連合」という自治体間連携事業を行っていて、世に問うた時には反響も大きかったそうです。
今はこの連合に加盟する場合の基準作りなどを進めているそうで、うねりが大きくなるような予感がします。「美しい村」というのがいいですね
私としては地元の住民はもちろんですが、いかにここに住んでいない外部の人がこの町に関わってくれるかということに興味があります。
住んでいてもいなくても関わって支えることはできますし、それにはIT技術を上手に使うということが考えられるでしょう。
そのためにはブログや掲示板のような共通に語り合える場の提供と多くの人達の参加が求められますが、そのような連携は今日どんどん当たり前になりつつあるように思います。気張らずに楽チンに情報を発信する姿勢と実践が大事になるのです。
そんな話をしたところ、地元の方からは「そうなるとネット環境がまだ立ち後れていることが課題になりますね」という話になった。まだまだ美瑛町のような小さな町ではブロードバンド化が進んでいないのだそうです。
委員の一人で参加して下さっていたあるネイチャークラブの代表の方は、「うちではまだISDNですからね」と苦笑い。通信環境やインターネットで住んでいるところによらずに情報が平等になると思われたのは昔のことで、今はまた逆に情報格差が進みつつあるのです。
これもまた中山間地の現実的な悩みでもあるのです。通信事業を民間にして効率化したのはよいのですが、結果として儲からないところへはサービスは行き届かないというのが現実なのです。
道路はタダなのに通信は有料です。生活に欠かせないインフラとは何なのでしょうか。
※ ※ ※ ※
ちょうど今塩野七生さんの「ローマ人の物語 第10巻」を読み始めていますが、この10巻は9巻までと全く異なり、ローマ人が整備してきたインフラに焦点を当てて、彼らのインフラに対する考え方を塩野さんなりの解説を加えながら説明するという趣向で作られています。
手に汗握る人間ドラマはほとんどないのですが、塩野さんは「全十五巻を予定している『ローマ人の物語』中の一巻をローマ人が築きあげたインフラストラクチャーのみに捧げたいという思いは第1巻の『ローマは一日にしてならず』を書いていた当時から私の頭の中にあった」と書いています。
「ローマ人はインフラの重要性への認識ならば共有していると言っても良い現代人から、『インフラの父』とさえ呼ばれている民族なのだ」とも書いています。
しかし面白いことにローマ人の言語であるラテン語には「インフラ・ストゥルクトゥーラ」という言葉そのものがなかったのだそうで、それゆえ「下部、基盤」を意味する「インフラ」と、構造とか建造とかを意味する「ストゥルクトゥーラ」を現代になって合成した単語として作らざるを得なかったのだそうです。
著者の塩野さん自身が「あれほどの質と量のインフラをつくっておいて、それを表現する言葉がないというのはおかしい」と不思議に思うくらいなのです。
そこで、(ではローマ人達は現代のインフラに該当するものとしてどういう単語を使っていたのか)と思い探してみたところ、どうやら「モーレス・ネチェサーリエ(moles necessarie)」という言葉を見つけたのだそうです。
それは日本語訳では「必要な大事業」とでもなるような単語ですが、しかもこの言葉を用いた文章の一つには「必要な大事業」の前に「人間が人間らしい生活をおくるためには」という一句があったのだそうです。
これを見て著者は「ローマ人はインフラを『人間が人間らしい生活をおくるために必要な大事業』と考えていたのではないか」という思いに至ったのだそうです。
まだこの10巻は最初のほうしか読んでいないのですが、インフラ整備に携わるものにとっては必読の書であることは疑いがありません。
この巻だけは時代を追った作りではなくて、古代から現代まで、ヨーロッパから中国までを股にかけた一冊になっており、しかも写真と図が満載というそれまでとは性質の違う一冊になっています。
これを改めて読みながら、現代日本にとってのインフラとは何かを考えてみることにしましょう。
いや、本当に面白い、すばらしいシリーズです。この巻のご紹介はいずれまた。
今日は
■美瑛町創発調査でインフラを考える です。
【美瑛町創発調査でインフラを考える】
上越市から今日は北海道の美瑛まで向かわなくてはなりません。朝6時の直江津駅発の電車に乗って越後湯沢駅で上越新幹線に乗り換え東京へ向かいます。
なんとか羽田空港へたどり着いて旭川空港へと向かいます。旭川上空で着陸待ちの飛行機のため旋回を繰り返し、10分ほど遅れて空港へ着陸。一時前にやっとのことで美瑛に到着しました。地方同士の移動というのはなかなかに手間のかかるものですね。
美瑛町の創発調査は、地震で被災した長岡市などを中心に「山の暮らし再生」を中心テーマとしてその方向性を探ろうというものです。
美瑛町は中山間地の暮らし再生という切り口で連携調査として関わっているものです。ここでは「日本で最も美しい村連合」という自治体間連携事業を行っていて、世に問うた時には反響も大きかったそうです。
今はこの連合に加盟する場合の基準作りなどを進めているそうで、うねりが大きくなるような予感がします。「美しい村」というのがいいですね
私としては地元の住民はもちろんですが、いかにここに住んでいない外部の人がこの町に関わってくれるかということに興味があります。
住んでいてもいなくても関わって支えることはできますし、それにはIT技術を上手に使うということが考えられるでしょう。
そのためにはブログや掲示板のような共通に語り合える場の提供と多くの人達の参加が求められますが、そのような連携は今日どんどん当たり前になりつつあるように思います。気張らずに楽チンに情報を発信する姿勢と実践が大事になるのです。
そんな話をしたところ、地元の方からは「そうなるとネット環境がまだ立ち後れていることが課題になりますね」という話になった。まだまだ美瑛町のような小さな町ではブロードバンド化が進んでいないのだそうです。
委員の一人で参加して下さっていたあるネイチャークラブの代表の方は、「うちではまだISDNですからね」と苦笑い。通信環境やインターネットで住んでいるところによらずに情報が平等になると思われたのは昔のことで、今はまた逆に情報格差が進みつつあるのです。
これもまた中山間地の現実的な悩みでもあるのです。通信事業を民間にして効率化したのはよいのですが、結果として儲からないところへはサービスは行き届かないというのが現実なのです。
道路はタダなのに通信は有料です。生活に欠かせないインフラとは何なのでしょうか。
※ ※ ※ ※
ちょうど今塩野七生さんの「ローマ人の物語 第10巻」を読み始めていますが、この10巻は9巻までと全く異なり、ローマ人が整備してきたインフラに焦点を当てて、彼らのインフラに対する考え方を塩野さんなりの解説を加えながら説明するという趣向で作られています。
手に汗握る人間ドラマはほとんどないのですが、塩野さんは「全十五巻を予定している『ローマ人の物語』中の一巻をローマ人が築きあげたインフラストラクチャーのみに捧げたいという思いは第1巻の『ローマは一日にしてならず』を書いていた当時から私の頭の中にあった」と書いています。
「ローマ人はインフラの重要性への認識ならば共有していると言っても良い現代人から、『インフラの父』とさえ呼ばれている民族なのだ」とも書いています。
しかし面白いことにローマ人の言語であるラテン語には「インフラ・ストゥルクトゥーラ」という言葉そのものがなかったのだそうで、それゆえ「下部、基盤」を意味する「インフラ」と、構造とか建造とかを意味する「ストゥルクトゥーラ」を現代になって合成した単語として作らざるを得なかったのだそうです。
著者の塩野さん自身が「あれほどの質と量のインフラをつくっておいて、それを表現する言葉がないというのはおかしい」と不思議に思うくらいなのです。
そこで、(ではローマ人達は現代のインフラに該当するものとしてどういう単語を使っていたのか)と思い探してみたところ、どうやら「モーレス・ネチェサーリエ(moles necessarie)」という言葉を見つけたのだそうです。
それは日本語訳では「必要な大事業」とでもなるような単語ですが、しかもこの言葉を用いた文章の一つには「必要な大事業」の前に「人間が人間らしい生活をおくるためには」という一句があったのだそうです。
これを見て著者は「ローマ人はインフラを『人間が人間らしい生活をおくるために必要な大事業』と考えていたのではないか」という思いに至ったのだそうです。
まだこの10巻は最初のほうしか読んでいないのですが、インフラ整備に携わるものにとっては必読の書であることは疑いがありません。
この巻だけは時代を追った作りではなくて、古代から現代まで、ヨーロッパから中国までを股にかけた一冊になっており、しかも写真と図が満載というそれまでとは性質の違う一冊になっています。
これを改めて読みながら、現代日本にとってのインフラとは何かを考えてみることにしましょう。
いや、本当に面白い、すばらしいシリーズです。この巻のご紹介はいずれまた。