北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

0202の二話目 ゆきみらいシンポジウムにて

2006-02-02 23:42:57 | Weblog
 今日の二話目はゆきみらいシンポジウムです。


【ゆきみらいシンポジウム】
 午後1時から上越市内のホテルで始まった「利雪・克雪シンポジウム」では、基調講演として小千谷の関広一市長から「中越地震~私たちが問われたのは何か~」という題で基調講演が行われた。

 一昨年秋に長岡市周辺を襲った中越地震では、小千谷市は全壊家屋220戸、家屋の半壊465戸、死亡者5名の被害を被ったという。

 冒頭で「自助、公助で『自分の命は自分で守りなさい』と良く言っていたのですが、自分が助かって余裕があるのなら地域を助けるということも考えて下さい。市内では地震の時に干し柿を剥いていた男の人が思わず家から飛び出して助かったと思っていたら、家から奥さんが老いた母親を負ぶって脱出してきて、それ以来すっかり信用を落としたという笑い話がありました」と聴衆を笑わせてくれました。

 しかしそこから先は地震の実態をスライドで説明してくれたのですが、橋はそのものは壊れなくとも橋と道路をつなぐ部分の橋台が陥没してやはり渡ることが不可能になってしまったといいます。どの一部が欠けても機能を果たせなくなってしまうということに、インフラ関係者は頭を巡らすべきでしょう、と語ってくれました。

 また「棚田が修復されない写真を見て『予算はたくさんつけているのになかなか修復しないのはなぜか?』とお叱りの電話もいただきました。しかし国道が復旧を果たしたのが昨年末の12月でした。棚田へ行くには国道の次に県道が来て、市道、農道が修復されてやっと機械が入れるんです」という地域の説明の後、「しかも雪国では雪の降る間は工事ができないということを東京の方はおわかりにならないようです」と続くのです。

 「阪神淡路大震災はやはり真冬の1月に発生しましたが、雪が降らない地方であれば復旧もある程度進んで行くに違いありません。しかし雪の降るこの地方では12月から4月の実質5ヶ月間工事ができません。秋につけていただいた予算は年度内に消化できずに明許繰り越し、しかし繰り越しした予算も翌年使えずに事故繰り越しでさらに翌年に回さないと行けないのです。そのために随分と理由を説明することになりました。予算制度はそのようなときにスムーズな運用が出来ないものか。やはり積雪地の事情は分かっていただけないのです」という悲痛な声でした。

 最後に関市長は「どんなに寒い冬でも花咲く春は必ず来る、しかし小千谷の春は待っていては来ない。市民みんなの力で春を一日も早く引き寄せよう、と言っているのです。皆さんご支援をよろしくお願いします」と締めくくられました。

 雪国に生活するものならば常識であることも、雪の降らない地方にとっては全く想像がつかないものです。


    ※    ※    ※    ※

 後半はパネルディスカッションで、かつてNHKで防災関係の解説委員をしていた伊藤和明氏をコーディネーターに迎えて各界の有識者のお話を聞きました。

 合併前の安塚町長矢野さんがこちらにも登場していて、「雪国の暮らしは雪下ろしと道路除雪が出来れば楽になります。だから私は町の補助で各戸に機械化を進めました。その結果安塚区ではほぼ全戸が除雪機を有しています。そうしないと暮らしていけないと思いましたが正しかったと思っています」と述べられたのが印象的だった。

 雪の暮らしを卑屈に思うことはありません。しかし雪国の暮らしは、エネルギーも手間もお金も掛かる生活で、そのかわり春には豊かな水と美味しいお米が取れるのだということをもっと世の中に伝えたいものです。
 

 雪国の声をもっともっと発信して行かなくてはなりますまい。
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これが雪ビジネス

2006-02-02 23:40:25 | Weblog
 連続出張のために更新がままならずすみません。今日は出張で参加してきたゆきみらい2006の様子を二話お届けします。

 第一話は
■ゆきみらい2006オプショナルツアー 雪利用ビジネス です。

【ゆきみらい2006オプショナルツアー 雪利用ビジネス】
 今日は午前中が雪を利用している施設を見学するというオプショナルツアーで午後がゆきみらいシンポジウムという日程です。

 そもそも「ゆきみらい」というのは、雪を克服したり利用する技術の課題や研究、雪に強い街づくり、雪国の自然環境・歴史・文化の継承などの様々な取り組みについて意見交換や情報交換をしようというイベントです。

 そして、それら雪国の情報発信を行うことで雪国の未来を展望し、雪降る町の活性化を図ることを目的として年に一度、北海道や東北、北陸を舞台にして開催されていて、今年は新潟県上越市で開催されているのです。 

 日本の雪の現状はと言えば、豪雪地帯が24道府県の962市町村にわたり、国土面積の51%を占め、総人口の16%が居住しています。特に北陸地方(新潟県・富山県・石川県・福井県)は世界有数の豪雪地帯で、全ての市町村が豪雪地帯に指定されています。

 これまでも雪国では雪を克服するための、道路の除排雪、消雪施設や流雪溝の整備などが行われ、地域づくりに雪国の豊かな自然を活かしたり利用したりする試みが展開されています。

 また、「21世紀の国土のグランドデザイン」では、豪雪地帯においては、克雪対策を充実し、雪や文化を活用した産業振興と地域活性化等を図りながら雪国の特性を活かして広く海外までも含めた交流と連携を進めすることを提唱しています。

 東京を始めとする太平洋側に住む人たちには実感が全くないと思うのですが、日本の半分は雪国であるというこのことは、雪国に住む人間が発信していかないと行けない事なのですから。

    *   *   *   * 

 さてオプショナルツアーですが、まず全館雪冷房を取り入れている安塚中学校を視察。ここでは大きな雪室を作り春先にここに雪を入れて溶けた冷気を冷たい水の形で取り出して熱交換器で全館に循環させているのです。

 おまけに雪室の屋根にはソーラーパネルをとりつけて、水循環のためのポンプの電力も発電させてしまっているというのです。その結果、子供達には「冷房はマメに止めないと雪がなくなってしまう」という省エネ感覚が身に付いているのだそうです。

 まさに雪のエネルギーと密着した学習が出来ているのですね。

 続いては日本のワイン発祥の地と言っても良い、岩の原ワインを訪問しました。ワインはブドウを搾ってから一年間を樽で熟成させ、その後はビンに詰めてビン熟成をします。ここではそのビン熟成のときに雪室による低温熟成を行ったものを商品化しています。

 その意味をお尋ねすると、「一つには味がまろやかになるという低温熟成の味わいの差を差別化してお出しするという事です。そしてもう一つは創始者で『日本のワイン葡萄の父』と呼ばれる川上善兵衛がワインの発酵温度調節に雪室から切り出した氷を活用した低温発酵技術を確立したという雪との関わりというブランドを再認識するということです」とのこと。

 雪がエネルギービジネスだけでなく、ワインとそれにまつわる物語としての価値を上手に活かしている事例と言えます。
 ただでさえ美味しいものに物語が加われば魅力は倍加することでしょう。

 北海道でも純粋な美味しさに加えて、物語のドラマ性を上手に使いたいものです。

 ガンバレ雪ビジネス!
 
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