北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

そして誰もいなくなって

2011-10-21 23:45:30 | Weblog
 あちらこちらへ動き回った一週間が終わった。

 少しゆっくり休養をしようと、若い友人に阿寒湖へ釣りに行かないか、と誘ったところ、「すみません、娘が入院してしまいまして…」とのこと。

「それはいけないね。お大事に」と、次は年上のAさんへ声をかけたところ、「すみません、腰が痛くて今日は整体へ行こうかと思っていまして…」という返事。

 結局今週末は誰も釣りへ連れて行ってくれる人がおらず、【そして誰もいなくなった】状態。

 (なるほどこれは、『体を動かすばかりが釣りではないぞ』という天の声に違いない)と気づいて、長い間借りっぱなしになっていたフライボックスを知人のMさんに返しにゆくことにしました。

 MさんとはFプリントの社長でありつつ、同時に名うての釣り師。研究熱心さと、釣り関係の本も数多く出版されているのです。

 電話で事前に連絡して、私のフライの師匠とともにFプリントの会社を訪ねるとMさんは、「いやあ、いつでもよかったのに」と言いながら笑顔で私たちを迎えてくれました。

 ひとしきり釣談義に花を咲かせた後に、Mさんは、「そうだ、これをお貸ししますよ。是非ご一読ください」と三冊の本を貸してくれました。



   【これがその三冊】


    ※     ※     ※     ※     ※


 一冊目は「Fly fishing trip #1 ~ 18人の釣りの旅」という、18人の釣り好きが釣りと魚に関して書いたエッセイ集。

 著者の最初に登場するのは、阿寒町のドリフトウッドロッジのご主人。知人だけに本そのものに親近感がわきます。釣りは立派に文学のネタになるという見本のような本で、この休日にじっくり読んでみたい一冊です。

 二冊目と三冊目は、地元釧路出身の画家にして釣り師の佐々木榮松さんが書かれた「道東の釣り」と「きたの釣り」でした。

 この二冊はもう数十年も前に書かれたものを、Mさんの情熱で佐々木画伯の心を動かし復刻版として再び世に帰ってきた名著なのだそう。

 Mさんも、「これが私の釣りのバイブルですよ」と言ってはばかりません。

 数十年も前に釧路周辺のあらゆる釣りのポイントを歩き、多くの魚と格闘した体験記そのものは、現代の私たちにもプリミティブな闘争心や純粋な好奇心を教えてくれるに違いありません。

 佐々木画伯は「道東の釣り」の中で、「『なぜ釣りが好きなのか』と自問するが、その答えは、『素朴な自然が好きだから』ということだ」と書かれていますが、釣りが好きな理由は人それぞれ。

 釣りにはそれぞれに好きになった理由があるのが良くて、それを考え始めれば文学になるのでしょうね。


    ※     ※     ※     ※     ※


 Mさんと別れた後は、その勢いをかって師匠とともに釣道具屋へ走り、ついにフライタイイング(フライを作るため)の道具といくつかの素材を買ってしまいました。これでいよいよ寝る暇がなくなるかもしれません。





「まずは今一番使うであろう、エッグのフライを作ってみましょう」と、買った道具で早速まずはイクラににた疑似餌の作り方を教わりました。こんな簡単なものからまずは始めてみて、だんだん虫に似たものを作れるようになりたいものです。




 人生には良い意味で、気が狂ったように何かに打ち込む時期がある方が充実した人生になると思います。

 今それにのめりこまなければ、きっと後で後悔しそうなことってありませんか。振り返って馬鹿だったなあ、と笑えるネタを作ることが生きるということなのかもしれない、とさえ思います。

 この週末は少しだけおとなしくしています。



   【全部が箱に収まってしまいます】
コメント
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