阿寒湖の世界自然遺産登録へ向けた動きが変化を見せています。
6月1日には私と担当部長が、かつて一緒に阿寒国立公園の世界自然遺産登録に向けて活動をしてくださった弟子屈町へ赴いて、副町長さんに現状の状況報告をしました。
現在の状況とは、
①国が世界自然遺産登録に向けた新たなリストの検討を始めようとしていること、
②そこで前回落選した候補地などを対象としてこれまでの調査研究成果を集めようとしていること、
③阿寒湖については、前回「阿寒・屈斜路・摩周」地区で世界最大のカルデラ地形として登録を模索したが、これでは世界に唯一無二とは言えないということで候補から落選したこと、
④今回の新たな検討においては前回と同じ内容では登録は難しいこと、
⑤その一方で、その後の研究成果によってマリモが群生する阿寒湖には世界に唯一無二性をプレゼンできる可能性があるのではないか、という非公式ながら環境省の感触が得られたこと、などです。
こうした状況から、今後の世界自然遺産登録は当面「マリモが群生する阿寒湖」として進めたいと考えている、とお伝えをしたものです。
同時に環境省からは、学術的な希少性を訴えるしっかりとした論文を早く作成した方が良い、というアドバイスも受けているところです。
マリモというのは基本的に植物の藻で、植物自体は世界的にも国内的にもいくつかの湖で見られるものです。
しかしながら、これが水質や湖底の状態、そこと風や波によって転がる力を得ることなどの多くの偶然が重なることで単なる藻が球状のマリモとして姿を現します。
かつてはヨーロッパの湖でも群落を形成するところがいくつかあったようなのですが、産業革命による水質悪化などによって多くが絶滅し、今マリモの群落がみられるのはアイスランドのミーバトン湖だけになっています。
しかも近年のマリモの遺伝子研究によって、ミーバトン湖のマリモは阿寒湖のものが渡り鳥によって運ばれたものらしいということもわかってきて、世界の球状マリモの起源は阿寒湖のようなのです。
こうした希少性を説明することで貴重な自然として世界遺産に相応しいといえるような資料を作ることがこれからは重要になってきます。
※ ※ ※ ※ ※
こうした登録に向けた動きについては、地元である阿寒湖畔の皆さんの理解がなくては始まりませんが、既に地元はNPO阿寒湖観光協会などを中心に登録に向けた意思を固めており、熱意も高まっています。
実際は世界遺産としての価値があるかどうかは地元の熱意は評価の対象とはならないのですが、いざ登録されたときに地元が反対をするようなことがないという合意は必要なので、そういう意味で地元が理解してくださっていることはありがたいことです。
これまで一緒に登録に向けて協力し合った弟子屈町さんにはこれからも情報提供をしながら連携の形を模索してゆきたいと考えています。
【道新6月3日の記事】
※ ※ ※ ※ ※
マリモはタンチョウと同じく今年が特別天然記念物指定60周年となりますが、タンチョウと違って鳴かないし、湖面が保護されているためにおいそれと現物を見ることができません。
さらに写真にとっても絵になるような動きがないので、保護をしすぎたあまり世間の興味を失ってしまったきらいがあります。
世界自然遺産登録に向けては息の長い運動が必要となりますが、こうしが動きがあることでマリモと阿寒湖が人々に興味を引き、観光目的地として選ばれることを期待したいと思います。
多くの皆さんのご支援をお願いします。
6月1日には私と担当部長が、かつて一緒に阿寒国立公園の世界自然遺産登録に向けて活動をしてくださった弟子屈町へ赴いて、副町長さんに現状の状況報告をしました。
現在の状況とは、
①国が世界自然遺産登録に向けた新たなリストの検討を始めようとしていること、
②そこで前回落選した候補地などを対象としてこれまでの調査研究成果を集めようとしていること、
③阿寒湖については、前回「阿寒・屈斜路・摩周」地区で世界最大のカルデラ地形として登録を模索したが、これでは世界に唯一無二とは言えないということで候補から落選したこと、
④今回の新たな検討においては前回と同じ内容では登録は難しいこと、
⑤その一方で、その後の研究成果によってマリモが群生する阿寒湖には世界に唯一無二性をプレゼンできる可能性があるのではないか、という非公式ながら環境省の感触が得られたこと、などです。
こうした状況から、今後の世界自然遺産登録は当面「マリモが群生する阿寒湖」として進めたいと考えている、とお伝えをしたものです。
同時に環境省からは、学術的な希少性を訴えるしっかりとした論文を早く作成した方が良い、というアドバイスも受けているところです。
マリモというのは基本的に植物の藻で、植物自体は世界的にも国内的にもいくつかの湖で見られるものです。
しかしながら、これが水質や湖底の状態、そこと風や波によって転がる力を得ることなどの多くの偶然が重なることで単なる藻が球状のマリモとして姿を現します。
かつてはヨーロッパの湖でも群落を形成するところがいくつかあったようなのですが、産業革命による水質悪化などによって多くが絶滅し、今マリモの群落がみられるのはアイスランドのミーバトン湖だけになっています。
しかも近年のマリモの遺伝子研究によって、ミーバトン湖のマリモは阿寒湖のものが渡り鳥によって運ばれたものらしいということもわかってきて、世界の球状マリモの起源は阿寒湖のようなのです。
こうした希少性を説明することで貴重な自然として世界遺産に相応しいといえるような資料を作ることがこれからは重要になってきます。
※ ※ ※ ※ ※
こうした登録に向けた動きについては、地元である阿寒湖畔の皆さんの理解がなくては始まりませんが、既に地元はNPO阿寒湖観光協会などを中心に登録に向けた意思を固めており、熱意も高まっています。
実際は世界遺産としての価値があるかどうかは地元の熱意は評価の対象とはならないのですが、いざ登録されたときに地元が反対をするようなことがないという合意は必要なので、そういう意味で地元が理解してくださっていることはありがたいことです。
これまで一緒に登録に向けて協力し合った弟子屈町さんにはこれからも情報提供をしながら連携の形を模索してゆきたいと考えています。
【道新6月3日の記事】
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マリモはタンチョウと同じく今年が特別天然記念物指定60周年となりますが、タンチョウと違って鳴かないし、湖面が保護されているためにおいそれと現物を見ることができません。
さらに写真にとっても絵になるような動きがないので、保護をしすぎたあまり世間の興味を失ってしまったきらいがあります。
世界自然遺産登録に向けては息の長い運動が必要となりますが、こうしが動きがあることでマリモと阿寒湖が人々に興味を引き、観光目的地として選ばれることを期待したいと思います。
多くの皆さんのご支援をお願いします。