北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

港湾は四方を海に囲まれた日本の生命線だ

2012-10-25 23:45:47 | Weblog



 東京出張のいくつかの用務のひとつは『港湾を考える全国集会』への出席だ。

 来年度の概算要求が出されていますが、北海道の港湾整備関係の予算は十年前の4割以下の167億円というもの。

 現政権が公共事業、とりわけ港湾整備に対して厳しい姿勢であったことの一端が伺えるが、予算はただ減らせばよいと言うものではない。

 四方を海に囲まれた我が国にとって、港湾は原材料やエネルギーを海外から調達し、かつ手に入れた原材料に付加価値をつけた製品を世界中に送り出す窓口である。しかも、地域の経済はそれらの移出入に大きく支えられている。


 また東日本大震災の教訓は、陸地が大規模に被災した時に真っ先に救援と復旧に向かい、緊急物資や生活用品を搬出するなど、物資輸送支援拠点としても港湾は重要なインフラだということだった。

 しかし、港が地震や津波でやられていては接岸することができないのであって、一見見えないところで耐震岸壁や防波堤などの港湾インフラの強靭化は、災害時における地域の安全性と被災地復旧のための備えである。

 
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 港湾を取り巻く世界の潮流はますます深度のある大きな港を整備して国際間の資源調達合戦に勝ち抜くという戦略だ。

 中国や韓国などではそうした港湾の重要性に気が付いたところで戦略的な港湾整備を一気に進めたことで、日本の港湾はハブ港湾としての機能を奪われてしまった。

 こうしたことの反省に立って、港湾整備の選択と集中を図ろうと計画されたのが国際バルク戦略港湾の指定であり、釧路がそこで選ばれたということは、飼料穀物の国家的拠点港としてのポテンシャルがあると思われたからだ。

 釧路市長が港湾管理者となっている釧路港は、国の将来を担っているのだ。


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 また、平時におけるクルーズ観光も年々歳々規模が拡大している観光分野である。

 規模が拡大しているために船はどんどん大型化しており、先日入港したレジェンド・オブ・ザ・シーズは過去の釧路港で最大の船だったが、これで約7万トンの船である。

 ところが世界的にはこの倍の14万トン級のクルーズ船があり、最大級では20万トンを超える船も運行を開始している。

 もうこうなるととても現状の釧路港では水深が足りず、寄港先として選んではもらえない。

 日本は海外からのお客さんを呼ぶ、という観光の方針を立ててはいるものの、宣伝が主で、受け皿となる部分のインフラ整備が格段に遅れてしまっているのだ。

 実はこの14万トン級のクルーズ船だと、東京湾のレインボーブリッジも、横浜のベイブリッジもくぐれない。高さが60mを超える船は想定していないのだ。

 そのため横浜港に寄港するときは、ベイブリッジをくぐる前の本牧ふ頭などに接岸するしかなく、工場地帯に観光客が下りるという、なんとも格好のつかない状態になっている。

 インフラが全てというわけではないが、インフラがなくては受けられない部分も多い。

 こうした課題ごとの解決方策をきっちり議論して、明日の日本をよくしたいものだ。

 港湾を取り巻く環境は厳しいが、港湾の堅実な整備と維持管理は日本中の港を持つ自治体の切なる願いであり、質の高い国民生活への貢献だ。
 
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