世界指折りのクルーズ会社であるロイヤル・カリビアン・インターナショナルから旅造成のアジア担当責任者が二人、釧路へ来てくれた。
北海道運輸局による北海道観光推進事業の一環で、北海道の各港を活用した大型客船による国際クルーズ観光の可能性について宣伝をするとともに、様々なアドバイスをいただこうという趣旨だ。
来釧してくださった二人は、シンガポールからケルビン・タンさんと、上海からはジャンフェン・トンさん。
二人とも中国系でまだ40歳前後と若いが、英語もペラペラでアジア圏域でのクルーズ旅行を造成しているのだ。
釧路空港で歓迎の出迎えをした後に、一行には市内視察をしてもらい、昼食会でさらに意見交換をした。
二人は9月20日に同社のレジェンド・オブ・ザ・シーズが釧路に寄港したことは当然知っていて、おまけにキャプテンやクルーズからは大好評だったという報告も受けていますよ、というリップサービスぶり。
実際に船が接岸したMOOの前の耐震岸壁を視察してみて、「実に釧路は魅力的です」と感慨深げだった。
その訳は、「ダウンタウン(市内中心部)の近くに接岸できて都市的魅力を存分に感じられるから」だそうで、「釧路はとてもヨーロッパ的に見える」とも。
そう、釧路は他の日本の都市とはちょっと違うのだ。
◆ ◆ ◆
釧路が他の日本の都市と違ってヨーロッパ的なのは、市街地のど真ん中を流れる釧路川に堤防らしい堤防がないためだ、と思っている。
ヨーロッパの川は高低差の少ない大陸を流れていて、雨による増水がほとんどなく、そのためドイツにしてもフランスにしても川の水面と河畔を歩く人の距離がとても近い。
それに対して日本の場合は一たび雨が降ると一気に水位が上がるために川の断面を大きく取る必要があり、いきおい土地の少ない都市では深く掘ってお城の堀のような様相にならざるをえないのだ。
釧路川は上流の岩保木水門で増水分を新釧路川に切り替えて放流しているので旧の釧路川にはほとんど影響が少なく、そのため水面に対する視点が低くヨーロッパ的に見えるのである。
川一つとっても、釧路は恵まれた景観を有していると言えるだろう。
◆ ◆ ◆
今後のクルーズに関していうと、前回来たレジェンド・オブ・ザ・シーズは7万トン級の船だが、ロイヤル…社が所有している22隻の船の中では最も小さい船であり、現在はアジア航路から離れてヨーロッパで用いられている。
東アジアは経済発展も顕著なために最も魅力的な市場であり、そのためにもっと大きな船を使うという旅を造成する流れになっている。
ところがそうなると十分な深さや岸壁を持った港は限られており、そこが彼らの悩みでもある。
特にこれまでは中国に近い九州や沖縄などの港を巡る旅が中心だったが、北海道は大人気でここを巡る旅の要望はとても多いのだという。
「釧路の耐震岸壁は魅力的なので是非底を掘ってもう少し深くしてほしい」、というのが彼らの要望だったが、観光にも十分なインフラとはどういうものかという中期的な展望が必要なのだ。
整備だって時間はかかるし、簡易なもので対応している海外の港の例なども勉強しなくてはなるまい。
◆ ◆ ◆
昼食を取りながら地元の宣伝をするコーナーでは、阿寒湖や知床などが紹介されたが、早速質問されたのは「知床は短時間ステイのクルーなどには遠すぎるように思います。ヘリコプターによる短時間での遊覧などは可能でしょうか」という質問だった。
そんなことは考えたこともなかったが、朝到着して夜には出港するという短時間での寄港で移動するクルーズ観光では、ヘリによる遊覧などのニーズは極めて高く、アラスカなどではそうしたオプションが充実しているのだそう。
乗っているのが富裕層でもあれば、なるほど、そうした需要だって考えに入れておかなくてはならないだろう。
我々も安さを売り物にするつましい旅だけではなく、富裕層の思考回路に慣れてしっかりとしたビジネス観を養っておきたいものだ。
◆ ◆ ◆
ちなみに阿寒湖が映った時に、「実は僕はこの週末は阿寒湖で釣りをしていたんだ。阿寒湖はマスの釣りで有名なので、ぜひ時間を取って楽しんでほしいものです」と注釈を加えられたのは、我ながらちょっと自慢だった。
地元の楽しみを知り尽くしておかないと、カバンから魂を取り出すような営業マンになれはしない。
歴戦の強者であれば、地元を自慢するセリフが原稿を読んでいるのかそれとも魂から発せられているものかを簡単に見極めてしまうだろう。
大人の遊びってそういうことを強化するためにあるのだろう。
良く遊べないと良い大人にはなれないと、最近とみに思うようになった。
これもまた道東の持つフィールドならでは、だと思うのだが、苦しい仕事からは楽しいセリフは生まれない。
楽しいセリフは楽しい遊びからでなくては、ね。
北海道運輸局による北海道観光推進事業の一環で、北海道の各港を活用した大型客船による国際クルーズ観光の可能性について宣伝をするとともに、様々なアドバイスをいただこうという趣旨だ。
来釧してくださった二人は、シンガポールからケルビン・タンさんと、上海からはジャンフェン・トンさん。
二人とも中国系でまだ40歳前後と若いが、英語もペラペラでアジア圏域でのクルーズ旅行を造成しているのだ。
釧路空港で歓迎の出迎えをした後に、一行には市内視察をしてもらい、昼食会でさらに意見交換をした。
二人は9月20日に同社のレジェンド・オブ・ザ・シーズが釧路に寄港したことは当然知っていて、おまけにキャプテンやクルーズからは大好評だったという報告も受けていますよ、というリップサービスぶり。
実際に船が接岸したMOOの前の耐震岸壁を視察してみて、「実に釧路は魅力的です」と感慨深げだった。
その訳は、「ダウンタウン(市内中心部)の近くに接岸できて都市的魅力を存分に感じられるから」だそうで、「釧路はとてもヨーロッパ的に見える」とも。
そう、釧路は他の日本の都市とはちょっと違うのだ。
◆ ◆ ◆
釧路が他の日本の都市と違ってヨーロッパ的なのは、市街地のど真ん中を流れる釧路川に堤防らしい堤防がないためだ、と思っている。
ヨーロッパの川は高低差の少ない大陸を流れていて、雨による増水がほとんどなく、そのためドイツにしてもフランスにしても川の水面と河畔を歩く人の距離がとても近い。
それに対して日本の場合は一たび雨が降ると一気に水位が上がるために川の断面を大きく取る必要があり、いきおい土地の少ない都市では深く掘ってお城の堀のような様相にならざるをえないのだ。
釧路川は上流の岩保木水門で増水分を新釧路川に切り替えて放流しているので旧の釧路川にはほとんど影響が少なく、そのため水面に対する視点が低くヨーロッパ的に見えるのである。
川一つとっても、釧路は恵まれた景観を有していると言えるだろう。
◆ ◆ ◆
今後のクルーズに関していうと、前回来たレジェンド・オブ・ザ・シーズは7万トン級の船だが、ロイヤル…社が所有している22隻の船の中では最も小さい船であり、現在はアジア航路から離れてヨーロッパで用いられている。
東アジアは経済発展も顕著なために最も魅力的な市場であり、そのためにもっと大きな船を使うという旅を造成する流れになっている。
ところがそうなると十分な深さや岸壁を持った港は限られており、そこが彼らの悩みでもある。
特にこれまでは中国に近い九州や沖縄などの港を巡る旅が中心だったが、北海道は大人気でここを巡る旅の要望はとても多いのだという。
「釧路の耐震岸壁は魅力的なので是非底を掘ってもう少し深くしてほしい」、というのが彼らの要望だったが、観光にも十分なインフラとはどういうものかという中期的な展望が必要なのだ。
整備だって時間はかかるし、簡易なもので対応している海外の港の例なども勉強しなくてはなるまい。
◆ ◆ ◆
昼食を取りながら地元の宣伝をするコーナーでは、阿寒湖や知床などが紹介されたが、早速質問されたのは「知床は短時間ステイのクルーなどには遠すぎるように思います。ヘリコプターによる短時間での遊覧などは可能でしょうか」という質問だった。
そんなことは考えたこともなかったが、朝到着して夜には出港するという短時間での寄港で移動するクルーズ観光では、ヘリによる遊覧などのニーズは極めて高く、アラスカなどではそうしたオプションが充実しているのだそう。
乗っているのが富裕層でもあれば、なるほど、そうした需要だって考えに入れておかなくてはならないだろう。
我々も安さを売り物にするつましい旅だけではなく、富裕層の思考回路に慣れてしっかりとしたビジネス観を養っておきたいものだ。
◆ ◆ ◆
ちなみに阿寒湖が映った時に、「実は僕はこの週末は阿寒湖で釣りをしていたんだ。阿寒湖はマスの釣りで有名なので、ぜひ時間を取って楽しんでほしいものです」と注釈を加えられたのは、我ながらちょっと自慢だった。
地元の楽しみを知り尽くしておかないと、カバンから魂を取り出すような営業マンになれはしない。
歴戦の強者であれば、地元を自慢するセリフが原稿を読んでいるのかそれとも魂から発せられているものかを簡単に見極めてしまうだろう。
大人の遊びってそういうことを強化するためにあるのだろう。
良く遊べないと良い大人にはなれないと、最近とみに思うようになった。
これもまた道東の持つフィールドならでは、だと思うのだが、苦しい仕事からは楽しいセリフは生まれない。
楽しいセリフは楽しい遊びからでなくては、ね。