北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

人口が少ないほどやりやすくて有利な事

2015-09-25 21:34:22 | Weblog

 現在策定中の第八期北海道総合開発計画は、中間とりまとめがまとまったことで地元の首長さんたちや経済界の意見を聞く説明行脚を実施中。各開発建設部では部長が中心となって市町村を訪ねて意見を聞いています。

 ある町を訪ねて、計画の中間とりまとめ説明後に意見交換をしたところ、人口が少ない故の苦労をいろいろと話してくださいました。

 その一つは「様々な観光素材を作りたいと思うけれども、人口が少ないとアイディアも凝り固まってしまってどれも中途半端なものにしかなりません」というもの。「何か良いアイディアはありませんかね」と言われたので、昔聞いた話をしてみました。

 それは2005年に新潟県上越市と合併した旧安塚町のまちづくりの取り組み。

 安塚町は冬に雪が多い町ですが雪しかない。しかしそれを逆手にとって昔の後楽園球場が東京ドームに変ろうとするときに大量の雪を東京に運んで、東京の子供たちに雪遊びをさせました。

 このことで「安塚町ってどこだ?」という話から一気に町の名が知られるようになったこと。当時の町長さんは眼光鋭い意志の強そうな矢野さんという町長さんでしたが、柔軟な発想で住民の暮らしを守ることに熱心でした。

「雪国の暮らしは雪下ろしと道路除雪が出来れば楽になります。だから私は町の補助で各戸に機械化を進めました。その結果安塚ではほぼ全戸が除雪機を有しています。そうしないと暮らしていけないと思いましたが今でも正しかったと思っています」と述べられた言葉が印象的でした。

 住民への個別の補助金などはなかなかできないことですが、雪との戦いに勝てなければ住民生活はありえない、という確固たる意思を行政として実現する姿勢に力強いものを感じたものです。


 そしてこの矢野さんが言った言葉を今でも覚えているのが、「私などは、『いいなあ、あんたのところは人口が少なくて。それくらいの町民だったら男はみんなちょんまげにしようって決めたら実現できるだろう』と言われたことがありますよ(笑)」という言葉。

 これだけ住民の支持を受けて、全町民が心を一つにして何かをしようと思えば、人口は少ない方が有利だというのです。実に面白い発想でした。

 確かに人口が多ければ何か提案しても意見が割れて全員が一つになるというのは難しいことです。それが人口が少なければそんな人たちが心を一つにして乾坤一擲(けんこんいってき)、のるかそるかの大勝負を挑むことがまだ出来そうに思います。

 人口の過多に関わらず、「町全体がこんな取り組みをしている」ということは大いに話題になりますし、地域の進む方向がぶれないということに繋がるでしょう。

 キーワードは「町全体が○○している」ということ。「全町まるごと○○」という取り組み姿勢。離島だったら「島民全員が○○」ってこと。そこでぶれてはいけません。

 町民全員が観光ガイド検定合格、町民全員が蕎麦を打てる、町民全員がカメラ小僧、町民全員が薪ストーブ、町民全員が養蜂家、町民全員が英語話せる、町民全員が…、さて何があるでしょう。

 名物料理とかゆるキャラとか小さなことをコツコツやってみてもなかなかメディアも取り上げてくれないし情報の波に飲みこまれてしまいがち。

 そんなときの町全体での取り組みに活路を求めるやり方はいかがでしょう。参考にならないでしょうか。

コメント
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