ここのところ、建設業界人が集まると「建設業界に若い人が入ってこない」ということが話題になります。
若者人口が減る中で、最盛期には休日がとりにくいとか、屋外で働くことが辛いなどといった理由でこの世界に入ってくれる人がなかなか増えてはくれません。
建設業は新しい施設を作るだけではなく、これまで作ってきた資産を維持管理するということも担っています。
生き物のように神様が作ったものはケガをしても独りでに治りますが、人間が作ったものは独りでには治りません。
人間が作ったものは人間がコツコツと修繕し続けるしかなく、その修復がおろそかになり、しかも修復をする力がどうも衰えてゆくというのは将来への不安が増すばかりです。
◆
先日ある建設会社の社長さんと話をしていて、やはりそんなことが話題になりました。
私が「農業も建設業も、労働集約型の産業は担い手や労働力の確保が大変になりますね」と言うと、その社長さんは「建設業は確かに大変なんですが、農業の特に畑作などは農家の子供さんが後を継いだり新しい人が入ってきたりでわりと困っていないという話を聞きました」とおっしゃいます。
「へ?農業も大変なんじゃないんですか?」
「それがね、農業って今は大型のトラクターなどの農業機械がどんどん充実しているじゃないですか。もちろん投資も大きなものになりますが、機械がありさえすれば大概のことが楽にできる作業環境になっているんだと。そしてそんな機械だとかコンピューターだ、情報だということになるともっぱら若い人の方が得意分野で、若者の能力を生かせるのが今日の農業みたいですよ」
若者の得意な機械やITを産業の中にしっかりと取り込んで効率的な作業が果たせるのが今や農業ということのよう。
二~三年後には日本列島上空の準天頂衛星システムがいよいよ充実してGPSによる位置計測の精度が格段にあがる予定です。
そうなると農業での自動作業や自動車の自動運転など夢の技術がどんどん現実化してきそう。イノベーションが人口減少を救うことになるでしょうか。
建設業界も効率化と魅力的産業としての受け皿づくりを進めなくてはいけません。