四十代後半の後輩と飲んでいて、「そろそろ趣味も絞り込まないといけないね」という話をしました。
するとその後輩は、「もう僕の世代でも趣味を絞り込んでいる人がいますよ。小松さんも知っているIさんは、ルアー釣りをもう諦めたといって、釣り竿を一本だけ残して後は処分したそうです」と言う。
「ああそうか、釣りを真っ先にやめるとは残念だなあ」
「そうですか、そのIさんが今ハマっているのが自転車なんです。僕ももう何年も自転車に乗っていますが、ここへきて自転車に乗る人は仲間内でも増えているって実感しています」
「そうか。自転車だったら道路舗装面の悪いところが気にならないかい?僕は今舗装関係の仕事をしているので、路面が悪いと思ったらそういうことを情報発信してほしいね」
「なるほど、そうですか。これからはなお一層そういう目で見てみます。確かに下り道路などでスピードを出して路面がガタガタだったり粉々だったりしたら恐怖ですもんね」
舗装面が傷んでいても自動車だったらさほど影響がない、と思う人も多いかもしれませんが、騒音や振動が拡大し、物流でも観光でもドライバーの心理面でも次第に我慢の限界が近づいています。
最近は補修する量よりも傷む量の方が多く、早く計画的な修繕への道筋をつけないと、修繕できる量が傷む量に追い付かず永遠に道路が傷んで行く時代になるのではないかと心配されています。困ったものです。
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自転車などは特に心配だと思ったら、それに加えてこんなことを言われました。
「小松さんは、ランブルストリップスってご存知ですよね」
「当然だよ。道路のセンターライン上に凹凸をつけて、運転の際に線をはみ出すとタイヤがガタガタいってドライバーに気づかせる道路整備工法だね。北海道ではセンターラインをはみ出して正面衝突をして死亡事故に至ることが多いことから、センターラインをはみ出すことへの注意喚起の方法を編み出したもので、北海道オリジナルの技術だ。これによって正面衝突事故件数は大きく減ったと聞くよ」
「そうなんです。センターラインに作ってある分にはなんの問題もないのですが、これが道路の外側の縁石近くにも施工してあるところがあるんです」
「なるほど、居眠りで外側へ飛び出す人もいるだろうからね」
「でも自転車が走るのは大体道路の外側じゃありませんか。そこにランブルストリップスを作られると、走るのにとても邪魔になるんです。これってなんとかなりませんかねえ」
なるほど。自動車に良かれと思ったことが自転車には悪さをするという側面があるんですね。これは気が付きませんでした。
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ところがこの話を記事にしたところさっそく道路を調査研究している方から、「一般国道の外側線への設置はほとんどないと思う。今は高速道路だけじゃないか。ランブルを採用する前に自転車団体にも関係の団体にも意見を聞いたはず」というコメントをいただきました。今度後輩に、どのあたりの道路だったかを聞いてみようと思います。
でももしそういうことがあったら我慢せずにもっと意見として発信してみると良さそうですね。発信して情報交換をすることで双方にメリットが生まれそう。道路の危険個所も教えてください。
【ランブルストリップスとは】 寒地土木研究所HPより
http://www2.ceri.go.jp/rumble/page01/page01.html